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破れ傘刀舟 悪人狩り [時代劇]

4/12~10/19
テレ玉15.05~(月~金曜日)

現在平日毎日放送の連ドラ時代劇で逐次視聴しているものが多く(これも平日毎日放送ではあるがまだ視聴を開始してない)、他のものを見る時間を作れるはずもないのだが、今日は色々事情が重なり、ぽっかり暇になってしまい、それでも他に溜まってる録画を見ればいいものを、これに手をつけてしまった。
しばらくはできるだけ集中してまとめて見ようとは思うが、ほかの逐次視聴ものもありどうなるかわからない。
放送局はテレ玉で字幕オンがなく聞き取りづらい。視聴が困難なほどである。いずれ字幕オン字幕付きのものをどこかでやるかもしれず、上のような事情もあるので視聴を断念しようかと思ったが、まあとにかく第1話はなんとか見終えた。
第1話 1974.10.01 「闇に光る眼」
鷹の御前(財部玄蕃):内田朝雄、上総屋喜八:内藤武敏、貝塚一鬼:五味龍太郎、
第1話であるが、そのキャラクターの誕生を描いたものでなく、すでにそういうキャラとして各レギュラーは存在している。
ストーリーとしても、ゲスト俳優陣にしても、さらにはレギュラー陣にしてもとくにメモっておきたいこともない。今シリーズについては見たという記録だけで、いくかもしれない

第2話 1974.10.08 「鉄砲傷が呼んでいる」
立花主計:岡田英次、林忠英:田中明夫、戸部伊織:嵯峨善兵、筧十蔵:菅貫太郎、大和屋五兵衛:中山昭二、水野忠邦:細川俊夫、目明し:桂小かん
岡田英次はトメで実質メインゲスト。ゲスト枠トップは田中明夫と嵯峨善兵が並記されている
岡田英次という人は普段は悪役のラスボス的な位置に出てくるがここでは意外にも割と小者。老中水野忠邦が単筒で討たれ重体、刀舟が駆り出されるというような筋であるが、その水野の側近用人が嵯峨善兵で、刀舟を探して連れてくる役を命じられるのが岡田英次という図式
つい最近に岡田英次が陰腹を斬るという作品を杉版金さんで見ているが、ここでも岡田英次が陰腹。刀舟とわずか1,2日だけの付き合いながら彼の市井の人々に慕われる人徳に惚れ、水野の手術成功後、刀舟を始末するという戸部に抗議の陰腹
今シリーズは刀舟は町医者という立ち位置で武家からの依頼には多額の礼金を求めるというようなキャラであり、その武家での悪事に最後には殺陣で成敗するというようなストーリーが主らしいのであるが、今回は最後の殺陣が余計に思えた。その前の立花の陰腹でストーリーが終わってるのだ
今回では戸部は刀舟を始末しようとするが、立花の命に代えての諫言でそれを思い直すという展開で、刀舟も戸部を斬るに斬れず。この場面で一応殺陣はあり、それを戸部が止めに来るという演出。
陰腹というのは便利で、先に腹を斬っておいて、あとはセリフを言い終わるまでいつまでも生きているというシステム。今回は戸部に抗議し、戸部が刀舟を襲うのを止めさせ、刀舟はそのことを聞いて、立花のもとへ走り、最後の言葉「町では多くの者が貴殿を待ってござる、必ずお帰りを」を聞いてやっている。
これで刀舟怒り爆発、水野の病床へ駆け込み、水野と戸部に格好良い啖呵を切っており、ある意味ここでストーリーは終わっている。
が刀舟が悪人を斬るという殺陣がないと終われないからか、最後に悪役側の密偵的役だった筧一味と対峙してはいる。
悪役側は水野の命を狙う林忠英とそれと結びついている大和屋、そして林の密偵的役割の筧なのだが、先に工作が失敗したことに気付き、大和屋は筧に斬ってくれるよう頼み、そして林は切腹してしまっており、悪役側で残ってるのが筧だけなのであった
桂小かんはレギュラー桂小金治との掛け合いたっぷり。刀舟を探すよう命じられた町方の手先である目明し
この前に水戸黄門を見た。水戸黄門も字幕オンがなく、聞き取りに難儀していたが、こちらの作品と比べると段違いに聞きやすい。水戸黄門を見た後だと、よくわかる

※8/22
第3話 1974.10.15 「八州狼狩り」
湯浅新兵衛:井川比佐志、稲葉主膳正:仲谷昇、奥沢伊織:川辺久造、平賀仙十郎:千波丈太郎、茂十:丹古母鬼馬二、親爺:木田三千雄、藤造:福山象三、興吉:稲吉靖司
お蘭が命講(死亡保険のようなもの)を始め、その死亡保険金欲しさに自害するのが湯浅(井川比佐志)。それを助けてしまうのが刀舟という始まり方
一方、八州取締役人を斬殺した罪で農民が捕まり護送中浪人に襲われる。お蘭の命講販売のサクラをやっていた伊庭弥九郎がそこに助けに入り、浪人と対峙、農民を逃がしてやる。というのが序盤にあり、罪人を逃がしてしまってるのに、八州は逃げた農民を追いかけるのみというのはなんか変。
実は八州取締内部での意見の相違で、その役人は殺され、偽装のため、殺しの道具は農具だったというのが真相。浪人は八州が雇ったもので、犯人としている農民を正式な裁きにかけるわけにいかないので、護送中に殺してしまおうと企んだのだ
湯浅は八州役人殺害を見ており、それを証拠に刀舟が八州を支配する勘定奉行にかたをつけにいくというような内容。
おれはこのシリーズを見る前に、勝手な想像で旅ものかと思っていた。「木枯し紋次郎」のような感じかな、と。でも第1話を見て、主人公は江戸で定住しているのかと把握。
が、この回で八州が出てきたり、見世物小屋の呼び込みが江戸じゃ見れない出し物を宣伝してたり、はて? となった。最後のナレーションで「江戸郊外」が舞台だとようやくわかった。「このころ江戸郊外は、町奉行、寺社奉行、八州取締(勘定奉行支配)など三支配の狭間となり、一種の無法地帯が生まれていた」
仲谷昇は勘定奉行所役人の役で、ゲストクレジットでトップ(井川比佐志と並記)に来ているが、出番は終盤に一回だけ。刀舟がかけあいに行く相手だ。
やけにセリフが聞き取りやすくなった。慣れたのかもしれない。これも水戸黄門を見た後だったのだけれど。

第4話 1974.10.22 「毒花は散った」
矢島銀次郎:和田浩治、お咲:今出川西紀、寺田耀蔵:加藤武、喜平次:橋爪功、矢車の剛三:富田仲次郎、湊屋常右衛門:久遠利三
操作を間違えた第3話の前に第4話を視聴
アヘン捜査の潜入捜査に入り、信用うされるためアヘンを吸い中毒者になってしまっている火盗同心が矢島。
寺田は火盗の役人で、その密偵が喜平次。矢島が火盗を裏切っているのかどうかという展開、これは裏切ってるように見せかけながら裏切ってはいないのであるが、その姿について報告を聞く寺田のほうは、裏切ったと確信している様子。とこういう展開なので、最後で実は寺田が悪役と裏で繋がっていたという展開かなと予想。しかも最後の取引現場の場面で矢島がまだわかっていない黒幕がいるはずで、そいつがここに現れるはずというフリまであったので。が、それは違っててその黒幕とは長崎奉行所の役人で、それまで作品の中に出てこなかった人という拍子抜けの終わり方。
お咲は悪役側にアヘンを吸わされ岡場所に売られた女で寺田に助けられており、その寺田が実は火盗の役人らしく、自分を愛してくれてるのか、役目のためなのかで迷うという女の役

※8/23
第5話 1974.10.29 「深海の聖女」
お夕:池波志乃、黒木内膳:中山昭二、喜平次:岩城力也、お艶:園千雅子、古本新之輔、藤山浩二、田原千之右
旅もの。舞台は三河の仏島
公儀の船を意図して沈めて、それを後で回収しふところに入れるという舟奉行の悪事。
小判を回収するのに当地の若い女が海女さんとして集められ従事させられるというような話で、池波志乃も潜っての水中シーンがある。そういう水中シーンが多いのが見どころか。
セリフが相変わらず聞き取りにくい。この回でも三河の話だということはわかるのだが、最初その三河という言葉がでてきているであろう場面でその言葉が聞き取れない、とか、お夕の姉がお京で、彼女が舟でぐったりしているところを弥九郎らが助ける場面で始まるのだが、そのお京が息絶え絶えに妹にあとを頼むと言付けをしている場面も妹という言葉が聞き取りづらく、その後、妹を探しに行くという話になっていて、ようやくあの場面で妹に後を頼むと言っていたことに気付くという次第である
そのお京、川島育恵という人が演じているのだが、池波志乃に似ている。
ウィキの各回ゲストの欄、クレジット通りということが多いが、この項では、不完全である。この回ではかなりたくさんの人が役名ありのクレジットになっているが、ウィキにあるのは上記のみ

第6話 1974.11.05 「どぶ沼の夜の花」
丈吉:工藤堅太郎、お市:中川三穂子、松澤民部:睦五郎、矢作の仁兵衛:美川陽一郎、武蔵屋伝蔵:玉川伊佐男、榊原真吾:北村晃一、留五郎:城所英夫
ゲスト枠のトップはここまでほとんどが二名並記だったが、ここでは工藤堅太郎単独。そして工藤がメインゲストにふさわしい働き。この人は江戸っ子の演技がとても達者なのだが、この回でもべらんめえ口調を駆使しての粋がったチンピラ役で最後殺されてしまうという「傷だらけの天使」のようにこのころ流行ったと思われるチンピラ若者のむなしさみたいなテーマ。
朝市が開かれる「しま」は元は矢作の親分と言われる仁兵衛が仕切っていたが病で引退、いまは娘お市と一緒に細々と甘酒屋を片隅で営んでいる。いま「しま」はかつて仁兵衛の子分だった武蔵屋が仕切る。丈吉はその「しま」を取り返したいと思ってるチンピラでお市とは兄妹同様に育った間柄。
と、まあこれだけで登場人物はよさそうなものだが、中盤に武蔵屋の上に立つような留五郎親分というのが登場。さらに武蔵屋と繋がる悪役として旗本の松澤民部というのが登場する。この松澤民部というのはストーリー上それなりの役割があるのだが、留五郎については無意味に思えた。
侍から単筒を盗むという計画を武蔵屋がやろうとし、それを立ち聞きしていた丈吉は待ち伏せして、その侍から横取り、その単筒を餌に「しま」を取り返した、という風に展開。この単筒を盗ませようとしたのが松澤で、その単筒で「単筒の辻斬り」。その単筒の銃と弾には葵の御門、その単筒は武州忍藩松平伊予守のものであり、伊予守にうらみのある松澤は伊予守に罪をなすりつけようとしたのであった。というサイドストーリー。
単筒を盗まれたのは榊原真吾で、父がその単筒を作った鉄砲師、その単筒を運ぶ役を真吾が担っていた。
ラストの展開はすさまじく、仁兵衛(「しま」を岡場所に作り替える留五郎と武蔵屋の計画の邪魔になる)も榊原真吾(単筒を取り返そうと殴り込みをかけ返り討ち)も丈吉(仁兵衛の仕返しに行くも返り討ち)も殺され、怒りの刀舟、怒涛の殺陣。今シリーズは刀舟の殺陣というのが最大の見どころであり、おれもこれまでの回ではさほどではなかったが、この回はそこまでのストーリーと相まってとても良い。

第7話 1974.11.12 「忘却の女」
近江屋徳兵衛:浜村純、小山駿河守:菅貫太郎、綾:服部妙子、宇津木源三郎:住吉正博
馬で走っていて矢で討たれた女を弥九郎が運んでくる。この女は馬から落ちた際頭を打って記憶喪失。これがサブタイトルになっている
お蘭はこの回で「焼け出され講」というのを始めており、講の仕組みを考えては実際に行うというキャラなのかもしれん。
江戸で火事が多いのでそれを始めたところ火事が起きあっという間に三件の請求が来てしまっている。
菅貫太郎は若年寄で老中さえも狙っている小山駿河守。その女、綾の父親(養女ではあるが)であり、綾が帰ってこないという報告を受ける場面から登場するのだが、おや、珍しく悪役じゃないのかなと思ったらさにあらず、綾の殺しを命じたのが駿河守だったのだ。
駿河守は材木問屋の近江屋と組んで、持ちつ持たれつ。この江戸の火事は近江屋が材木の値上がりを狙っての放火だった。
近江屋は駿河守の後ろ盾で材木だけでなく、大名相手の高利貸、米屋など手広くやって江戸一の豪商となっていた
綾は父を諫め、さらには近江屋との約定書をも手に入れたことで、父親は綾を諦めたのであった
宇津木は綾の許嫁、綾から父のことを告白され、駿河守を諫めようとし、それは受け入れられたが、その帰路で浪人どもに襲われていた。
宇津木は綾が近江屋に狙われたと確信し、押しかけて斬ろうとするも返り討ち、記憶の戻った綾に対し、綾を殺そうとしたのは近江屋だが父親の駿河守も承知であったことを教え息絶える。
ラストは綾が最後の父への諫め、受け入れらず刺し違えようとするも、矢で狙われ、その矢が放たれると、それは破り傘ではたかれる。刀舟登場、殺陣となる。
駿河守は刀舟に斬られ、そして雨が降り、破れ傘を綾に差しかけてやると、綾は父親の亡骸に傘を差しかけ号泣、とここはいい場面だ。
「てめえら人間じゃねえや!叩っ斬ってやる!」というのが決め台詞なのだそうだが、まだ「てめえら人間じゃねえ」は出てこない。「叩っ斬ってやる」はここ二回連続で出てきた
細かいがなんか変な場面
釣りをしている刀舟のところにお蘭が走り寄る場面。釣れた魚を猫が食べている場面が挿入され、お蘭がそのことを指摘している。釣れた魚を猫が食べている場面ではその横に水が流れているが、位置関係でいえば、刀舟の横にお蘭がきて下を指してそれを言っており、そこには水が流れているところからは離れており、水は流れていないはず。

※8/24
第8話 1974.11.19 「三途の川の子守唄」
西海屋惣右衛門:名古屋章、お葉:八木孝子、大沼大蔵:北城寿太郎、倉田甚内:中田浩二、岩造:武藤章生、与七:江原真二郎(トメ)
今シリーズはトメがない場合が多く、トメに来ている場合はその回のメインということであろう。今回は江原真二郎。抜け荷の片棒を担いでいたが赤ん坊が生まれるとなり、抜ける決心をするも殺されそうになり、復讐のため抜け荷品を盗み出し逆に脅しをかけようとしているというような役。女房が八木孝子。結末としてはお葉を人質に取られ、与七は刀舟らに止められていたのを振り切って、殴り込みをかけ殺される。お葉は無事に娘を産む、ということからのサブタイトル
名古屋章は時代劇では珍しいかな。あまり見たことがない
ウィキに「初期の回では事の一件が終わると雨が降ることが多かった」とあり、確かに前回も印象的に雨が降ってきていたが、今回では半兵衛が、「先生が悪人を片付けるとよ、必ず雨、降るだろ、そのつもりで、どうだい傘用意してきたんだよ」と、傘を大量に持ってきている、売ろうとしているのだろう。
お蘭が「命くじ」をやっていると言っている場面がある。これは第3話の命講と同じだろう
今シリーズのレギュラー陣の仲間の感じが素敵だ。誓い合って仲間になって何かをやってるというわけでなく、なんとなく集まった連中がなんとなく力を合わせてという感じ。この回でお竜が半兵衛につけられてることを教える場面なんかは、なんとなく町の様子を見ていたらそれに気づいて、教えてやってるという感じ。刀舟が追われるお竜を匿って素知らぬ顔をする場面なんかも、チームとしての連携プレイというより、その場にいたなんとなくの友達が危機の場合はさっと対応するという感じ。
必殺の場合もそれに近いものを感じはするが、それでも完全にチームであることは確かである。荒野の素浪人なんかが近いか。
細かいがなんか変な場面
終盤、最後の戦いに挑むために五人が歩いていくシーン。刀舟の右横ちょっと後ろに半兵衛だが、次の画面では、お蘭の右横ちょっと後ろに半兵衛。これは五人が隊列を崩さずに歩いているとするなら、変である(見直したら、三角形の頂点に刀舟、右後ろが半兵衛、左後ろがお蘭、カメラの位置によってはそうなるかとも思える)

※8/25
第9話 1974.11.26 「遊女の挽歌」
おしの:浜木綿子、滝川玄竹:神田隆、諸井大三郎:中庸介、おひろ:水原麻記、印伝の藤造:富田仲次郎
浜木綿子はトメ。第8話の江原真二郎は「語り 馬場雅夫」の前だが、今回の浜はそれの後。ここにも差をつけてるのかもしれない。
彼女の出番が極めて多く、演技をじっくり見せるタイプのワンマンショー的作品
おしのは岡場所の娼婦の役。冒頭に旅先で休息している医者の玄竹に娘を見てもらおうと駆け込むも、五両を要求され払えないのなら身体で、ということになり、しかし、それが終わると子供は見ないで帰って行き、娘は亡くなるということから医者を恨みに思っている。中盤では亭主も風邪をこじらせ、その際に医者を何軒も回るも見てもらえず、亡くしていたということも語られる
であるから、刀舟にも反発を抱いているという展開もあり、最終盤に玄竹を狙う好機がきたときも、その敵討ちを岡っ引きの追われている男に頼むという場面もあり、レギュラー陣がちょっと脇に追いやられる展開でさえある。
水原麻記はおしのの同僚で、おしのに反発を抱き、周囲を巻き込んでおしのに嫌味を言っているという役で、終始すごい目つきで睨んでいる顔。だがただそれだけの役で、その割にゲスト枠で神田隆と並記でトップ。
おしのは「そんなにあたしを睨んだってお前さんの顔の造作は変わらないよ」と憎まれ口
おしのは岡場所の店で釣り忍を育てようとしている設定。芽は出ていないが。釣り忍は時代劇で見たなと思いこのメモブログを検索してみると二つ出てくる。大岡越前と江戸を斬るだ。

※8/26
第10話 1974.12.03 「三匹のカラス」
清吉:浜田光夫、辰造:小栗一也、お光:江夏夕子、カラスの重兵衛:桑山正一、榊権之助:高森玄、大和屋儀兵衛:小瀬格
浜田光夫がトップにきてるが見終えてさほど印象に残らず。でも見返してみると、やっぱそれなりに、という感じか。
三つ巴。カラス組という盗賊、首領は重兵衛、嘘か誠か貯めた金で大きな診療所を作ろうとしており、刀舟にそれを持ち掛け、弥九郎が担当することになる。
昔の仲間は辰造と大和屋儀兵衛。重兵衛、辰造にはその証拠にカラスの彫り物が背中に彫ってある
大和屋は悪徳同心の榊と組んで、カラス組を引っ掛けようとする。その策略としてお蘭は太和屋の錠前は絶対に開かないと戸中に広めるよう頼まれる。カラス組をおびき寄せ、さらにその錠前は辰造が作ったものであり、辰造は合鍵を必ず作っているはずで、カラス組から、太和屋の錠前のことで相談がいくはずで・・・、という作戦。太和屋は抜け荷で身代を作っており、その昔を知る仲間が鬱陶しかったのだ
清吉はカラス組の手下。お光はすでに足を洗い静かな生活をしている辰造を世話している若い娘。清吉は辰造に錠前のことを頼みに来てお光と親しくなっていく
結末では裏切ったお蘭は太和屋に毒を盛られ殺されそうになるも、弥九郎が全てを奉行所へ訴え、間一髪で捕り方がそこへ踏み込んできて太和屋は御用。太和屋は榊を呼べというも、すでに役目不行き届きにより出頭を命じられてるとの答え。お蘭に用意した毒を自分で飲んで死んでいく。その背中を検めるとやはりカラスの彫り物
その榊は刀舟と奉行所の前で出会い、場所を野原に移して一騎打ちとなり斬られる

※8/27
第11話 1974.12.10 「鉄火花怨み節」
おつぎ:真山知子、宇津木典膳:杣英二郎、相馬屋儀平:人見きよし、万助:村田正雄、坂部十蔵:前田昌明、小野千春、中村孝雄
東龍明、花巻五郎、山本昌平
宇津木が奉行から今度老中に内定しているという人物で、その配下が坂部十蔵。相馬屋を使ってその地を仕切っている。
万助は見世物小屋一座の頭で、小糸(小野千春)という娘が看板。そして、おつぎは本当はおちかといい、万助の娘でかつては舞台にも出ていたが、一座から抜けていた。
そのおつぎの亭主、旅に出ていたはずだったのだが、襲われ負傷した身体で一座の小屋に迷い込み、刀舟が治療するものの、その小屋にまたも斬りこみ隊が襲い掛かり、ついには亡くなってしまう。そして刀舟がおつぎの病気の治療もしていたおり、会話のはずみでその亭主が、小屋で殺された男だということがわかり・・・。そしてその男が持っていた骨壺。中にはアヘン。宇津木たちがやっていた闇の商売であり、その運び屋が殺されていたのだった。
ラストの刀舟の殺陣が笑える。ロード・ウォーリアーズを思わすストロングスタイル、例えば杉版金さんで、殺陣のところで、名乗りを上げるというところでは、低い声の調子から段々声を張り上げていくというのが常道だが、ここでの刀舟、最初からマックスで声を張り上げていて(何者だ、に、うっせえなこのやろー)、斬る姿も真っすぐ敵に向かっていき一太刀である。
中村孝雄までは役名ありだが、ウィキでは省かれている(中村孝雄まではウィキをコピペ)。
東龍明は杉版金さんに出ていた人。ここでは一座の一員で目立っている。東龍明を検索すると髭が映えてる姿が多い(ここでも杉版金さんでも髭は生えていないが)。で髭の生えた人も一座の中におり、目立っているが、そちらは花巻五郎という人のようだ
冒頭のあたりがわかりにくく、理解を諦めて見ていたのだが、配役確認のため再度見直してようやくわかった。まず、山本昌平、この人は大層個性的な顔つきで、大抵目立つ役をやってるがここではほんのちょい役。
茶店で二人の男が落ち合い、割れた天保銭で割符みたいなことをやり、山本昌平が骨壺を渡す側である。それを受け取るのが中村孝雄で島崎重之助という役名も振られている。これがおつぎの亭主。そして島崎重之助が受け取った骨壺を持って旅路を行き、それを道端で休息している見世物小屋の一座が見送る。
そして山本昌平が坂部十蔵から報酬である銭をもらった途端に斬られ、さらに島崎重之助、坂部十蔵とまたもや天保銭で割符、報酬の銭をもらうと、「約束が違う、25両のはずだ」と言うも、坂部十蔵は斬りかかり、さらには控えていた配下に襲われ斬られ、そして負傷した身体で小屋に逃げ込んでくるという流れだ。

※8/28
第12話 1974.12.17 「狼の死ぬとき」
お栄:三林京子、佐武:根岸一正
関東五郎右衛門:伊藤雄之助(トメ、「語り」の後)
舞台は宿場町、ここへ一声かければ千人がすぐ集まるという任侠の親分、関東五郎右衛門が一人で乗り込んできて捕まった。その五郎右衛門を七人衆と呼ばれる手下が取り返しに来る。役人は斬られ、偶然にもそこにいた町の若いチンピラ三人が五郎右衛門を取られないよう守る羽目になる。五郎右衛門配下は、このことが解決するまで宿場から一人も出すなと町に脅し。とまあ展開としてはこれだけ。町の若いチンピラはまあ守る必要性はまったくないのだけどねえ。
その町の岡場所の女、お栄は五郎右衛門の娘で、父親が一人で会いに来るという手紙をもらい、役人に売ったのだった。
最後は刀舟が全員成敗、五郎右衛門はお栄の身請け金を持って来たのであった。
テーマは黒澤の用心棒だとか七人の侍で描かれる町は自分たちの手で守るべきという考え方やそれに反しての町の衆の臆病さ、みたいなもの
半兵衛とお蘭は殺陣も終わった後の最後にちょっと出るだけ。多分ストーリー的に不要となり、が、レギュラーだから毎回出そうという制作側の意思もあり、ということのような気がする

第13話 1974.12.24 「闇の黒幕」
多田源八:江守徹、お仙:岩本多代、常五郎:村上不二夫、同心:灰地順、白井一角:木村元、
榎屋:金田龍之介(トメ、「語り」の前)
話の中身が入って来ない。微妙な出来である。多田源八は唐津藩の侍で領主からの命を受け、榎屋を狙っているというだけのストーリーで、その進行状況が描かれているのであるが、中身が盛だくさんなためか、いまストーリーのどこらへんなのかしばしば忘れる。なんでこの人がここにいるかとか、この人が言ってる内容がよくわからないとかだ。
榎屋と藩の諍いの中身についても一応語られてはいるが、ちょっとよくわからん。老中水野が唐津藩の領主だったころ、幕閣に入りたがり、影公方と称され幕府に顔の効く榎屋が七万石のうち二万石を幕府に差し出させ、それをやってやった、とのこと。唐津藩がなぜ恨みに思ってるのかよくわからん。七万石のうち二万石が幕府のものとなってしまってることで、その後唐津に来た殿様が怒ってるということだろうな、多分。
江守徹が若く精悍な顔つき。

第14話 1974.12.31 「暗黒街のメス」
本田十内:今井健二、仁兵衛:稲葉義男、波野伊十郎:黒部進、おたき:楠田薫、おきぬ:小林千恵
前回と同じ印象で、どうも話を盛り込み過ぎで焦点が定まらず、話が入って来ない。
藩の内部での争いらしく、本田がやくざの仁兵衛を使って、藩内部の政敵を殺すというような話。仁兵衛は凄腕の浪人、波野伊十郎を使うのだが、波野はその殺しをやるときに見られたと思い、老人を一人殺す。その老人はおきぬという娘を女中働きとして売った帰りであり、おきぬは女郎として働くことを強要され、それを刀舟が助けに行くというエピソードがサイドストーリーにしては大盛で挿入(※)されており、いや、こちらはサイドストーリーというよりもメイン二本立てなのかもしれない。エピローグでおきぬが養女としてもらわれていく場面があり、幸せに暮らしていることが示唆されラストのナレーションでもおきぬのように岡場所に売られる娘のことが話されている。
(※)刀舟がおきぬを強引に連れ出し、続いて現れるのがお蘭と半兵衛、口達者に刀舟の恐ろしさを言い、刀舟と話しをつけてやるからと金を要求する場面がコミカル。
序盤での刀舟がお蘭に、大工に小屋を建てさせてくれと依頼している場面があるが、これがその後のストーリーの中で出てきていないようで、なんのためにこんな場面が挿入されてるかよくわからない

※8/29
第15話 1975.01.07 「笹りんどう散る」
本田庄五郎:若林豪(トメ、「語り」の後)、お由紀:武部秋子、内藤監物:高木二郎、お紺:三条泰子、佐伯東馬:天野新士、武平:潮健児、宮廻夏穂
今回はストーリーが単純でわかりやすく、さらに若林豪の存在感ある演技で見ごたえあり。
本田庄五郎は10年前に藩の重役から殺されそうになるという始まり方。その殺されそうになった理由はよくわからない。見てる間は気付かなかったが、今回は忍びの話ということが最後のナレーションでわかった。見直したら草屈(くさかまり)という言葉が所々で出ており、これが忍びの意味、さらには手裏剣がよく出てくるところもそういうわけだろう。で、忍びということになると、まあ秘密を知り過ぎているから、ということで殺されることになったということのようだ。
その際に別れた関係となったのがお由紀
で、10年後というのが本編の始まり、そこで庄五郎は粂吉(宮廻夏穂)という少年と出会い、仲良くなっていく、という展開の中、お由紀と再会、さらにお由紀との間の子というのがいて、それが粂吉。というようなことが終盤にわかってくるという展開。
この粂吉というのは少年、背伸びして大人の真似(庄五郎が用心棒の仕事を探していると知り、おれが口を利けば武平の旦那(その地の馬問屋の親方、当地の顔役なのであろう)も嫌とは言わねえよなどといっぱしの口を利いている)をしようとするところに愛嬌があり、とても良い。
お由紀は庄五郎の消息を知らなかったのだが、そういうことがあったことを知り、自分の子も離れてちゃんと教育されていると聞いていたのだが、捨て子にされていたということを知り自害
最後の殺陣で悪役のボス内藤監物(藩の留守居役から老中を狙う位置にまで出世)のとどめを刺すのは刀舟でなく、庄五郎に譲られている(庄五郎は自分を殺害しようとした実行部隊の長である佐伯東馬も自身で討っている)
テーマとしては、死んだ心持で生きるということ、か。庄五郎は10年前に鉄砲を撃ちこまれており、その身体に入った弾が時折うずいており、しかし刀舟が手術で取りだそうとすると、それを拒み、その銃弾とともに死んだような気持ちで生きながらえていたのだった。
一方のお由紀も遺書で、庄五郎が死んだと聞かされそれ以来、庄五郎とともに死んだ身と思い、内藤監物に無体を強いられ手篭め同様にされても、たとえ夫婦にならずとも自分は庄五郎の妻だと思っていた
明かされている
そのお由紀が命を捨てたことにより、庄五郎は仇を討ちに立ち上がり、討ち果たすと、刀舟に弾を取り出してくれるよう頼み、生きる道を選んだ。そして粂吉と一緒に旅立っていく。そこにその地で出会ったお紺がついていくというエンディング
お紺も色っぽくて良い。女の旅人で博打打ち、お竜の壺振り賭場に参加し武平と一対一の勝負を申し込み牡丹の刺青を見せている

第16話 1975.01.14 「復讐の狼」
権次:勝部演之、仙三:村松克己、仁兵衛:伊沢一郎、岩城伝右衛門:北原義郎、雁金の勘助:土方弘
二つのエピソードが組み合わさったストーリー
一応江戸から離れての旅ものであり、府中が舞台なのだが、レギュラー陣みな簡単に移動しており、旅ものっぽく見えない。衣装もいつものままだし、
刀舟に長兄を殺され恨みをもつうわばみの兄弟という悪党が復讐にやってくるというのが一つ。ちなみにキャストクレジットではその兄弟である権次と仙三はそれぞれ「うわばみの権次」、「うわばみの仙三」となっていた。ゲストキャストについてはウィキのコピペを元にして、あまりいじらないようにしているが、キャストクレジットの際の順番と異なっていたり、役名ありなのに、なしになっていたり、さらに省略も多い。
もう一つは府中、石切り場の仕事を邪魔して、仕事の権利を横取りしようとする代官とヤクザのたくらみというストーリーで、今の石切り場を仕切っているのが仁兵衛、それを横取りしようとしているのが勘助、そしてそれを後押しする代官の岩城
悪人はみなぶった斬るというのが今シリーズであるが、ここでは代官の岩城は刀舟に脅され約定書を書かされており、それで放免。続いて勘助はすれ違いざまに一太刀で片づけており、あれっ、もう終わりかと思っていると、そう、うわばみ兄弟が残っていたのだった。この兄弟との対決がハイライトシーンとなっている
最後のナレーションでは、その回にちなんだ天保年間の社会情勢が、その回のストーリーと絡めて紹介されることが多く、この回もそうである。
土方弘、ウィキに項目がないが、結構よく見る顔である。
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時代劇で「志るこ屋」というのはよく見るのだけど、これは「志こる屋」?

※8/30
第17話 1975.01.21 「他人の顔」
千鶴:松木聖、津軽少将信時:中村竜三郎、妙姫:隅田和世、仙崎四郎太:内田勝正、斉藤喜内:長島隆一、岡部正純
安藤良石:伊藤雄之助(トメ、「語り」の後)
伊藤雄之助が回を置かずに再登場、刀舟の旧友、凄腕の医者
顔の皮膚が剝がれた状態の若い女の死体が発見される。これが良石の行った弘前藩の津軽少将信時の娘、妙の皮膚の移植手術の犠牲者で、その死体のことを聞いた刀舟は良石の手術だと直感する。
この伊藤雄之助演じる良石はただの悪役でなく、自分の娘千鶴の頻発な貧血の原因を突き止め治してやりたいという心根がある
刀舟は良石に皮膚手術のことを尋ね、否定はされるものの、血には種類があるからうまくいったと思える手術も後になって弊害がでることもあるという助言をして別れる
最初の手術はうまくいったと思っていたところ、刀舟の言う通り日にちをおいて手術痕が変色しだし、失敗となる。
ここで、良石は再度の手術を進言、さらに他人のではなく、当人のほかの場所からの皮膚を移植することを提案するも、娘の体に傷をつけることはするなと言われてしまい、再度同じ方法での手術が準備されていく。
そしてお竜がその皮膚移植元として捕らえられた。
日誌を見て手術の事実を知った千鶴は良石を問い詰め、医学の進歩のためにいくらかの犠牲は仕方がないと言われ、自分もその犠牲なのかと問い、首肯されてしまう。
良石がお竜の顔にメスを入れる寸前に、刀舟に言われた薄汚いやつの娘のために庶民の娘が犠牲にされるのは許せないという言葉を思い起こし、自分の娘のことを思い出し、手術を中止する。最後に良心を取り戻したのだった。
とこうなると、どういう結末になるかなと見ていると、良石は手術を中止したことで、その弘前藩下屋敷で殺されてしまい、そこに刀舟が駆け付けるという展開
この回で初めて「てめえなんか人間じゃねえ」と出てくる
刀舟が千鶴のもとに戻ると、千鶴も責任を感じて自害。しかし、刀舟が良石の最後の言葉「実験のために生きながらさせたんじゃない、何人を犠牲にしても娘を助けたい、を伝えてやり、彼女も父親の真意を知り死んでいく
最後のナレーションではやっぱり天保年間のこと。シーボルトの来日で近代医学の第一歩を踏み出した時期であったが、良石の娘の貧血は骨髄が血液を作る機能を破壊されたもので、当時の医学では治す術はなかった、と締められる

※8/31
第18話 1975.01.28 「小さな目撃者」
宮の十左:長谷川明男、越前屋茂左衛門:武藤英司、正太:安藤一人、原田重秀:北原義郎、三次:沖田駿一
長谷川明男が越前屋に雇われている殺し屋の役。その殺しを少年に見られてしまい、それも殺してしまうことを越前屋や弟分の三次からせっつかれるも、どうしてもできない。
その少年はその殺しを見た後そこに倒れてしまい刀舟が治療するも不治の病に罹っていることがわかる。その少年は正太といい、父親を捜しに来たのだという、その父親が十左だった
十左は三次に殺され正太とは対面できないまま死んでいく。刀舟が悪の越前屋、それにつるんでいる原田を斬りに行く
最後のナレーションで正太は癌だったと明かされる。前回も癌とは言わないまでも癌のようなものであろう。
長谷川明男が口数の少ない格好良い役

第19話 1975.02.04 「浦賀沖波高し」
H・カーティス:J・コワラスカ、野宮文蔵:細川俊夫、小田切要助:若杉英二、ウォーレン:ユセフ・オスマン、佐吉:中庸介、小沢幹雄、高木景安:渡辺高光、桂小かん、井上博一、大東梁佶、
山野伯英:中村富十郎(トメ、「語り」の後)
山野伯英は刀舟とは旧知の間柄の医師であり、幕府に外国船の恐ろしさを説いて投獄、牢の近くの火事で解き放しになり、刀舟を訪ねてくるという始まり方
浦賀に外国船がやってきて、その船員との交流というストーリーで、こういう江戸時代で外人との交流というものを扱う時代劇だと、時間をかけた作品ならともかく、一時間もので一話完結となると大味になりがち
桂小かんは岡っ引き権次の役で、棺桶で舟から降りてきた女ヘレン(ジュリー・コワラスカ)を棺桶で運んで江戸見物をさせる半兵衛、お蘭を尾行し、あげく言い合いになっている
最後のナレーションで、ペリーの浦賀の黒船事件は今回の事件の12年後の事であったと言っている

第20話 1975.02.11 「天保御鷹秘録」
相良新之介:中村光輝(トメ、「語り」の前)
お千代:市毛良枝、藤堂将監:鈴木瑞穂、お駒:珠めぐみ、宗兵衛:浜田寅彦、相良一平:福田豊土、大和屋十兵衛:北見治一
中村光輝は錦之介の甥にあたる。後に吉右衛門版鬼平シリーズの後期に与力役で出ていた人で古いドラマを見ていると子役としてもよく見かける。またちょっと小太りで裕福そうで小生意気な感じであまりうまいとも思えず、ただ顔はおれが覚えているということからわかるように印象的であるといえる。
市毛良枝、後年大売れするが、これはまださほどでもないころだと思われる。この人もこの時代の時代劇ゲストで時折見る。
浜田寅彦、善玉悪役どちらでも素晴らしい演技をする人であるが、ここでは主家への忠義一本やりのひたすら善玉
ストーリーとしては、当時将軍家側近で絶大な権力を持っていた御鷹匠頭。相良一平はその座が確実視されていたが鷹を死なせてしまい、切腹。息子の新之介は餌刺(鷹の餌取り)の相良家用人宗兵衛とともに一平の死に疑念を持ち、その仇討の機会を狙いながら長屋住まいとなる(新之介の元服の祝いの場面から始まり、その日、新之介が母の墓参りから戻ると一平は自害しているというプロローグ)
同じ長屋のお千代と新之介は仲良くなるも、宗兵衛が、御鷹匠頭の座を一平とともに競っていた藤堂将監の配下の黒木(藤山浩二)が鷹の餌に毒を混ぜたということを突き止める。
お千代は将監に町で見初められてしまい、大和屋で働くよう言われ、上がることにするが、将監に差し出され自害。
宗兵衛は事の顛末をしたためた書状で老中へ直訴するもならず、斬られてしまう
新之介が仇討に立ち上がるも、門のところで刀舟がそれを止める。書状を渡し、これをもって家の再興を願うように言い、刀舟が屋敷の乗り込む。
エピローグとして、相良家は再興されるも、新之介は六十六部の旅に出る(誰か別の人が弾き継いだのだろう)
大和屋は御鷹御用の餌取り問屋で、将監の配下黒木と結びつき、御鷹所用地として棺桶寺近くを召し上げ、そこに岡場所を作ろうとしていた
お駒は棺桶寺の近くに駕籠屋「駕籠定」を開業した女、が、相良家に世話になっており、新之介を助けるために動いている。珠めぐみはゲスト枠単独表記でトップ、ストーリー的にはメインではないしそこまで重要な役ではないのだけど。
弥九郎が宗兵衛の直訴の際に、宗兵衛が斬られているところへ助けに入っているが、老中の駕籠の供と斬り合っておとがめなしである。
いま水戸黄門を即日視聴しているが、それとゲストがよくダブる。珠めぐみは一昨日見た回「激流の死闘」、武藤英司(今シリーズの18話)は昨日見た回「忍びの掟」に出ていた
「てめえら人間じゃねえ」は17話で出て以来よく出てきている

※9/1
第21話 1975.02.18 「口八丁仁義」
宗春:西村晃(トメ、「語り」の後)、堀田隼人:村上冬樹、矢沢剛之進:中井啓輔、弁天の勝五郎:早川雄三、武田敬助:園田裕久、大内典膳:入江正徳
西村晃が願人坊主の役、寺社奉行からお許しをもらい棺桶寺の住職に就任、半兵衛、お蘭らとともに金儲け。
一方棺桶寺近くの吹き溜まりではコロリ(コレラ)発生。この二つの件がさほど絡まっておらず、ゆえに錦之介と西村晃の絡みは少な目であり、また悪役はこの二つのエピソードどちらにもおり、刀舟はそれらをそれぞれ成敗という形

第22話 1975.02.25 「狂った白刃」
相馬益胤:入川保則、榊原帯刀:浅野進治郎、岩井兵部:尾形伸之介、曽根山:小林勝彦
殿様による辻斬りの乱行。相馬益胤は配下を引き連れ辻斬りを繰り返す。
弥九郎とお蘭が狙われるも弥九郎が返り討ちに。
しかしまだ命があり、弥九郎とお蘭は怪我人として運ぶ。配下のものは殿を奪還しようと作戦を練るのだが、その藩に、そしてこの乱行にも裏があった。
益胤を排除し、新たな後継を立てたい家老の榊原が指南役の岩井兵部に殿へ辻斬りをそそのかしていたのだった。
刀舟は別の患者にかかりっきりで、この件にほとんど絡まない。そのため上記の件を解決するためその現場へ刀舟は赴かず、ゆえにその場での殺陣には参加しない
高みの見物をしていた榊原の屋敷へ刀舟は乗り込んで殺陣。
今シリーズはこのように二つのエピソードで作られる回が多い。
刀舟が治療していたのはたくさんの子を持つ父親で、それが最後死んでしまう。その前に岩井兵部に命じられた一群が棺桶寺を襲ってきており、それがために殺されたみたいなセリフだが、そいつらが殺したのか、治療が叶わなかったのかよくわからない。そもそも治療中の病人を斬る必要性があまりないのだ。でも彼らがその病人を殺したことで刀舟の怒りに火がついたとしたほうがいいし、実際、刀舟も殺陣に入る前の口上でそんなようなことを言っている

※9/2
第23話 1975.03.04 「母恋い童唄」
勝村新兵衛:山本学(トメ、「語り」の前)
伊達民部:戸浦六宏、権六:橋本功、おとき:富山真沙子、おしの:小野ひずる、律:三好美智子、伝馬屋万蔵:川野耕司、倉沢唐八郎:桔梗恵二郎、千世:池田恭子、坂崎伝内:浅若芳太郎
面白かった。ストーリーとしてはご都合主義的なところもあるのだが、なぜか面白く見れた。セリフがやけに聞き取りやすい。作品によって違うのか、おれの体調によるのか。
伊達民部は道中奉行。プロローグで過去の出来事、新兵衛の女房、律が立ち寄った民部に犯され、斬られるという事件。それを見ていたのは娘の千世
そして数年後、舞台は棺桶寺周辺となり、そこへ新兵衛親娘も移り住んでいる。そして、そこでまたも民部の一行が同じような犯罪を犯すというここらあたりは都合よすぎる展開。
権六というキャラが良い。大した役でなく、ストーリーへの絡みとしてはかなり低いが、キャストクレジットでは上位になっている。
大酒飲みで刀舟からきつく注意されてる。酒を飲まないと気が弱い、という典型的ダメ人間で、こういうのは例えばこのシリーズで刀舟が面倒を見ている患者キャラで本編ストーリーに絡まないような形でよく出てくる。権六もそういう人かなと思ってると何度も出てきてそれなりに役割をストーリー上で果たしている。でも、まずは新兵衛親娘、道中奉行の一行など悪役たち、飲み屋経営の姉妹であるおときとおしの(民部によって犯され殺されてしまう役)、その下くらいの位置づけだ。
そういや権六の死ぬ場面。民部の相手をしろと言われおしのが妹には行かせず、自分だけが行く。飲み屋はおしのを守るため権六がいたのだが、そこへ民部の配下がやってきておしのをさらっていく。その際に権六は斬られるが、その身体で棺桶寺までやってきて出来事を報告してこと切れる。こういう場面が今シリーズで多い。斬られてるのに、かなりの距離をよく来れるなと思える。まあ時代劇でありがちではある。

第24話 1975.03.11 「女囚の挽歌」
おみつ:田島令子、阿部正純:渥美国泰、おさき:工藤明子、黒田源内:浜田晃、伝馬人足:人見明、名主:日野道夫
刀舟のところに運び込まれた囚人服の女が疫病。代官所へ刀舟は乗り込み、牢抜けした囚人がいるはずだと叫ぶ、というような始まりで、疫病の怖さをテーマにした作品
面白く見れた。
その囚人にはある事情があるようなのだが、それが終盤までわからない。おれは序盤でその説明があったのにもかかわらず聞き逃したのかなと思ったくらいだ。
牢抜けではなく、ある村で疫病が流行り、その世話のため女囚を派遣、しかし疫病は収まらず、そしてその中から五人の囚人が逃げ出したというのが顛末
代官から郡代への昇格を狙うのが阿部正純(時代劇によく出てくる岡部正純とかなり似た名前だ)。支配地が平穏であるということを重視し、疫病のことを伏せようとし、疫病の怖さを説いて回る刀舟を抹殺しようとする
最初に運び込まれた囚人は棺桶寺近くの「吹きだまり」から運ばれたのでそこへ弥九郎が注意を与えに行く。その後千住界隈が舞台となっており、ということは棺桶寺自体もその近郊であると思われる
田島令子は必殺でいい演技をしていたので覚えている名前。ここではまだ若い。逃げ出した囚人のひとりで、最後まで生き残る。最後は綺麗な服を着ており、そこで面影を感じる。

※9/3
第25話 1975.03.18 「子はぐれ唐人」
大槻丹波守:織本順吉、松谷新之助:佐藤宏之、小沼半蔵:尾形伸之介、侍:阿部昇二、松谷うめ:新草恵子、
陳隆昌:木村功(トメ、「語り」の後)
始まり方に仕掛けあり。
原を行く侍の駕籠が多勢に襲われる。最後には駕籠から姿を現した身分のある侍(織本順吉)が銃撃されて絶命、と静止画像になり、間抜けのSEが流れ、画面を書類のようにめくる場面転換、と、織本順吉が動き出して「結構、今の手はず通り必ず仕留めろよ」。暗殺作戦のシミュレーションだったのだ。
近くにいた百姓にそれを見られたとして、それを本物で銃撃。それを見ていたのが新之助という少年、とここから話が始まる。
唐人の手妻使いに扮装しているのが木村功で、実は新之助の父。長崎の役人をしているときに、上司の長崎奉行大槻丹波守の抜け荷の罪を被せられ、船に乗せられ殺されそうになるも、海の飛び込み、他の船に助けられたということがあり、その復讐に戻ってきたのだった。
新之助は亡くなった母から教えられた父との再会の場所が谷中の根津権現。
悪くない作品だったが終盤で興醒め場面あり。新之助が棺桶寺から逃げ出し、それを追ったお蘭が、小舟で休んでいる陳と出会い、子供のことを話し、見かけなかったか聞いている。そもそもその小舟の場所がどこだかわからないがそこが棺桶寺から近いなら陳がそこにいるのもおかしいし、お蘭が子供のことを話すのも少し変。まあ棺桶寺近くなら、そこらにいる人に子供を見かけなかったか聞くくらいはおかしくないのだけど。
で、お蘭が去った後、岸の方を見上げるとそこに新之助。都合よすぎるし、新之助もどうしてそこへ逃げてきたのやら。まあそこが棺桶寺近くならおかしくはないけど。
で、そこから終盤の展開が始まっていく。
ここらでレギュラーについて
伊庭 弥九郎:織田あきら
強すぎ。刀舟は時代劇にありがちなヒーローで多勢を相手にしても余裕で買ってしまうが、弥九郎もほぼ同じ強さだ。
仏の半兵衛:桂小金治
小金治は(元)落語家でその経歴を生かしたセリフ回しがとても良い。落語作品からの引用と思われるようなセリフもたくさんあるし、寺男であるから「なんまいだぶなんまいだぶ」と唱える場面が毎度のようにあるのだが、それがインチキくさくて、「黄金餅」を思い出させる
稲妻のお蘭:江波杏子
女性陣二人はどちらも誰かに似ているんだよなあ、と思いながら。その誰かというのは、最近の人で、自分がよく見る人で・・・、だとおもうのだけど 江波杏子については誰に似ているか思い出せない。鮎川いずみに少しだけ似ているが。
声にゾッとするような色気あり。
むっつりお竜:ジャネット八田
こちらは誰に似ているか思い出した。これは前にも書いたかもしれない。平野ノラに雰囲気が似ているのだ。演じているキャラも天真爛漫でそこも平野ノラっぽい
胸の谷間が見えるようなコスチュームで明るいむきだしの色気担当
お竜のキャラが良い。舌っ足らずで「よござんすよ」という渡世人口調を多用、渡世人に憧れる若い娘というような感じである。よくあるでしょ、寅さんのテキヤ口調に憧れ真似をする弟分みたいな(寅さん自体が本職渡世人に憧れてるような場面もあるか)、精一杯背伸びした若者像。
ただ、お竜は壺振り師の仕事もちゃんとこなしているところを見ると、素人ではないので、渡世人に憧れるという風に見えるというのはおれの勘違いでもあり、そう見えてしまうというのは演技が下手とも評されそうでもあるが、まあそんなことは吹き飛ばす活躍ぶり
前に必殺と絡めて書いたが、ここへきてますますそんな感じになってきた。ただ殺しをするのは刀舟、そして時折弥九郎。秘密の仕事ではなく、正面から行く。報酬もない、というのは異なる点だ。
刀舟はその事件に積極的でなく、だが、流れの中で全部を知ってしまい、怒りに任せて立ち上がるという風な作りになっている

第26話 1975.03.25 「生きていた女」
秋山大次郎:森次晃嗣、お妙:三浦真弓、千羽左門:石橋蓮司、依田兵庫:新田昌玄、中沢綱四郎:水村泰三、大和屋仁兵衛:山岡徹也、池田駿介、中島元、折尾哲郎、滝川潤、西沢武夫、近江屋利兵衛:加藤嘉
大塩残党を名乗る集団が米問屋近江屋の娘お妙を誘拐。米蔵を解放し、米を庶民に無料で配ることを要求する。
お妙は心臓に病もち。刀舟が呼ばれることから事件に巻き込まれていく。
大塩残党は秋山や千羽左門など。秋山のほうは、大塩平八郎にならい、庶民を救うという理想にまい進、一方左門は大目付依田、近江屋の商売敵である太和屋の裏で繋がっていた。
加藤嘉、名優であり、悪役善玉どちらでもという感じの人、おっかない顔がすごくて悪役でも映える。ここでもそういうおっかない顔をしており、娘を見殺しにして蔵の解放を最初は断るので、悪役かなと思ったが、ただ商売に厳しい人という役割。序盤に出番は多いが、終盤はあまり登場しない。ラストで、米問屋を廃業することを娘に伝えている。
ウィキコピペの上記ゲストキャストでは最後になっており、トメっぽいが、そうではなく、三人目という平凡な位置でのクレジット

第27話 1975.04.01 「妖花女殺し屋」
お鶴:竹下景子、お新:岩崎かおる、お紋:瑳峨三智子、榊原刑部:中山昭二、磯貝伝十郎:田中浩、相馬屋島蔵:伊達三郎、下條伴助:岡部正純
瑳峨三智子がトメ(「語り」の後)。ウィキのゲストキャスト表記は大分実際のものと順番などが異なっている。今回では岡部正純は役名なしだし、順番としては竹下景子と中山昭二が並記でトップ
瑳峨三智子の存在感が強い、ワンマンショー的な作りでさえある。
お紋、お新、お鶴が三姉妹で父母の仇討を密かに決行していくという話。冒頭に一人目が殺され、狙う相手が書かれた紙に赤い線が引かれるという場面がサブタイトルが出るタイミングにあり、その設定はすぐわかるようになっている
竹下景子が殺しという不似合いな役だが、途中惚れた男との場面があり、もう殺しは止めようと言い出すあたり、適役であろう
殺陣の前という終盤あたりでちょっと興が冷める場面がある。
そこまでは罠にかけて誘い出し誰にも見られずうまく殺していたのに、最後は騙して誘い出してはいるが一騎討ちの形、敵うわけがない。場所もそれなりの遠いところなはずだが、場面転換としては一瞬なので、なんでこんなに簡単に移動できるんだよと思えてしまう。まあその場面転換である程度の時間を経ているという風に見ればいいだけだが、時代劇ではやっぱ距離の移動が早過ぎるという場面が多く、それはこのシリーズでも多い(※)ので、ここでもそう見えてしまう。ここではそこで刀舟が馬を必死に走らせており、それなりの距離感が出てはいるのだけど。
刀舟の殺陣の場面は前にも書いたがストロングスタイル、怒りの形相で周りを蹴散らし一気に片づけるという形だが、今回は三姉妹の不利を見て、焦った顔、こういう顔は珍しい。
(※)今作での問題点というか、そもそも時代劇シリーズの問題点というか、どこか町内に主人公が住んでいて、そこでなんらかの事件が起き、それを解決していくというスタイルだと、なんでこんなにここでは事件が起きるんだという気になってくる。
今回でも、前にすでに使ったその地を岡場所にする計画というのを悪役側が練っているということになっていて、使い回し感が強い

※9/4
第28話 1975.04.08 「悪の花が飛んだ」
後藤庄三郎:内田朝雄、石川美濃守:中村時之介、牧野備前守:見明凡太郎、相川源十郎:千波丈太郎
ほかに役名なしで柳家かゑる、立川談十郎とあり、お蘭が訪ねる両替屋の主人が馬風(柳家かゑる)、そして多分その隣にいる手代が土橋亭里う馬(立川談十郎)
話の内容は時代劇でよく扱われるありきたりなもので平凡な出来に感じた
金の含有量を低くして質を落とした小判の吹替(改鋳)、そしてそれに従事する職人の劣悪な扱い。
後藤庄三郎は代々金座の主が名乗る

第29話 1975.04.15 「白の恐怖」
小田仙之介:中村賀津雄(トメ、「語り」の後)
松平大膳:川合伸旺、志乃:松木路子、音松:倉丘伸太郎、竹造:小鹿番、剣持軍十郎:石橋雅史
中村賀津雄は秒針の妻、志乃を抱え、金のために悪に加担、アヘンに手を出し、薬物中毒になってしまった同心。最終的には刀舟の忠告もあり、薬物中毒からは脱するものの知り過ぎているということで殺されてしまう
倉丘伸太郎(倉岡伸太朗)についてはこないだ少し興味を持ち調べたので名前を覚えている。ここでは出番は少なく、特筆するほどでないが、囚人として登場、父親からは極道に身を落としたと言われているも、刀舟らは「あいつはいいやつだ、根っからの悪人ではない」などと言われているような人物。仙之介による火付けからの牢払い(解き放ち)で外へ出て(悪役による音松の解放が目的だった)、そのまま金座押し込みに加わり、錠前を開けている。その押し込みが成功した後殺されてしまっている。という具合で囚人の扮装なのでその甘いマスクはあまり強調されず、顔さえあまり映らない
川合伸旺は老中を狙っている悪役の黒幕で終盤からの登場のため出番は少な目
小鹿番、優しいおっさんのような役をよく見たが、ここでは悪役で絵馬屋の主人かな。絵馬を使ってアヘンをばらまいている
この回に限らずだが。
考えてみると、刀舟は衆人環視、とは言わないまでも、人目のあるところで悪人成敗をしており、殺しを目撃されてしまっており、そう何度もこんなことやれるはずない。今回の殺陣でも、相手方全員を殺してはおらず、去っていく。今回の殺陣では、目的人物、松平大膳に一直線に向かっていき、その過程で数人向かってきたのを返り討ちにしているが、松平大膳を成敗した後もまだ大量に配下は残っていると思われる中去る
もう一つ。距離の問題。ある場所で騒動が起きる。それを見ていた人が、これは大変だと刀舟のところに駆け込む、刀舟が急いで駆け付ける。その騒動がまだ収まっていない。というような場面は多い。
同じ町内ならわかるんだけど、例えばこの回では、仙之介の家で斬り合いが始まり、誰かが伝え、刀舟が駆け付けてるも仙之介は斬られた直後。同心の家ってことは江戸府内だろうし。
さらに。同じく距離の問題。これは前に書いたかな。音松が千両箱を舟で運ぶ場面で斬られる。血だらけで実家のどじょう屋にまで戻ってきて、こと切れている。
杉版金さんとの違い。いま同時期に見ているので気付いた。今シリーズでのお約束ハイライトシーンは最後の殺陣だが、それが最終盤にちょっとだけということもあり、そこまでたっぷりストーリーが描かれており、そこら辺は杉版金さんのお約束場面、殺陣から白洲で時間の半分くらい使ってしまうこともあるのとは違うなと思う

第30話 1975.04.22 「ささやいた死美人」
伝八:芦屋小雁、文吉:芦屋雁平、西前監物:沼田曜一、稲葉新之助:嵐まこと、松田源之進:大木正司、大垣屋重兵衛:河村弘二、吉岡治八郎:永井譲滋、お久美:橘倫子、示現斉:岩城力也
新六:芦屋雁之助(トメ、「語り」の前)
他に役名なしで伊藤つかさ。当時8歳、子役としての登場。刀舟と絡む役。ウィキで出演リストを見ると、今シリーズにこの後も登場するようだ(全部で4回)
芦屋雁之助が兄弟二人とともに登場ということで、その場面は当然喜劇的になっている。新六、伝八が兄弟、その妹のおとよが殺され物語は開幕なのだが、そのおとよの許嫁が文吉となる。さらに文吉に惚れている女がお久美でこの四人が喜劇担当。橘倫子は芦屋雁之助周辺の上方喜劇の人かと思い検索してみたがあまり出てこない。
おとよと勘定奉行吟味方の小沼が心中に見せかけられ殺される場面から始まる。その死骸を診た刀舟が心中でないことを見抜く。
勘定奉行職を狙う吟味方西前監物の不正を告発しようとして殺された小沼の同志である稲葉は刀舟が心中でなく、殺されたもので下手人を知っているという噂を聞いて助力を求めにやってくる。
その噂は下手人を知りたい文吉のためにお蘭が広めていたものだった。そうすれば下手人が刀舟を襲ってくるだろう、と。

※9/5
第31話 1975.04.29 「仇討ち馬子唄」
八巻連三郎:御木本伸介、高島小太郎:宮廻夏穂、高島小治郎:小田敏治、加倉井伝七:藤岡重慶、堂本主膳:梅沢昇、相馬屋辰五郎:村上不二夫、お加代:浅野ゆう子、又平:梅津栄、伊吹十蔵:守田学哉、加助:浅野進治郎、茂十:右京孝雄、お組:藤江リカ
様々な登場人物がどれも魅力的で面白く見れたのだけど、なんだかまとまりがないなあと思った。だが、最後のナレーションを引用するが、まあそういうテーマなのだとしたら、まとまりがないというのも正しい見方かと思う
引用--全てが終わった。人それぞれにそれぞれの道を歩んで行く。だが束の間といいながら、人の心のふれあいはいつまでも消えようとはしない。それを、人生と呼ぶのだろうか。刀舟の心の壁にもそれは 刻みついて離れなかった。--
群像劇なのだな
幼い少年兄弟、小太郎と小治郎:が仇討のための旅。そして仇として狙われており、討たれてやろうと思ったが、その討ち手は亡くなってしまった男(御木本伸介)。
最初は御木本伸介が少年の狙う相手なのかと思ったがそうではないという展開に。
小治郎が暴走する馬をよける際に怪我(これが冒頭)をし、世話になるのは「深川めし屋」、ということはここは深川周辺なのかなと思う。そのめし屋で働く女がお加代
小太郎は、弟の怪我が治るまではの地に滞在することになり、馬子でもやろうと又平の口利きで相馬屋に世話になる。又平は冒頭での小治郎:の怪我の原因、馬の手綱を放してしまい暴走、それを避けようとして怪我を負った
酒の飲み過ぎで刀舟から呆れられ治療は弥九郎にまかっせきりのうわばみと呼ばれるお組。お組はなんとなく八巻連三郎が気になっている
悪役はその地の馬問屋の相馬屋、代官の堂本主膳、そして少年の仇である加倉井。加倉井は堂本主膳に匿われる。
これらの人物がそれぞれに関係を持ち話は進むのだけれど。
その仇討ちの話とは別に、お加代が相馬屋に騙され堂本主膳に差し出されるという話もある。
最後の殺陣では、上手い具合に、というかストーリー上の都合か、堂本主膳と加倉井は別に行動することなり、まずは仇討、兄弟に八巻連三郎が加勢するも、八巻連三郎は病持ち、数人と斬り合った後倒れてしまう、そこへ刀舟、弥九郎が駆け付け、最後は少年が仇討成功。
と、今度は加代のことを聞き、刀舟、弥九郎がそtちに駆けつけ、いつものようにストロングスタイルで成敗
この二つの殺陣を見て、そういや、この二つってまったく関係のない話だよなあ、と。人物は色々絡み合ってはいるものの。
浅野ゆう子、キャストクレジットで見ていたものの、見ている間は全然気付かず。改めて見直したが、まだ幼い顔のままで野暮ったい目つき。田舎から出てきた少女の役

第32話 1975.05.06 「旗本雷馬族」
河合澄人:中野誠也、綾:望月真理子、三輪弾正:渡辺文夫、お春:マッハ文朱、由造:潮万太郎、三輪市之助:手塚茂夫、源次:三角八郎、鬼頭重之進:浅香春彦、須山辰三郎:頭師孝雄、伊助:中村寿成、長太:伊藤洋一、石塚庄助:袋正、早崎菊馬:剛達人
旗本の子息たちが「旗本馬族雷組」を名乗って町中で馬を暴走させ、暴れまわる。
それによって怪我をしたのが綾。兄が北町同心の河合澄人。綾の治療をした刀舟は、雷組をなんとかしろと言い置く。
しかし河合には竹光同心というあだ名があった。刀に苦い思い出があり、普段は竹光を腰に差しているのだった。
マッハ文朱は飯屋の娘で当然力持ちの役。OPでは祭りの相撲大会に飛び入りで参加し、男どもを蹴散らす(そこで相手になってるのが三角八郎)。最後にはなぜかお竜が相手に立候補して、やっぱり持ち上げられてしまっている。プロレスラーらしく、豪快な技の場面がある。
そして彼女が最後の殺陣のところにも参加しており、それゆえ普段とはちょっと違った感じ、すなわち悪役が善玉を圧倒するのではなく、斬りかかる悪役に彼女が対抗、相手を圧倒する場面もある。最後は斬られてしまうのだが。
なぜかこの回も最後のナレーションが前回と同じ始まり方、「全てが終わった。人それぞれにそれぞれの道を歩んで行く」
またナレーションのパターンとして多くの回が「天保年間、これこれこういうことがあって・・・」というようなまとめ方でその回の事柄がこの頃よくあったこと、だが記録には残っていないものも多い、というようになっている。
江波杏子がなぜか急に老けた感じになっている。アップになった時に気付いたのだが。おれが気付いたのは第30話から。

※9/6
第33話 1975.05.13 「欲望の檻の中で」
巳之吉:浜田光夫、お初:市毛良枝、間崎鉄之進:菅貫太郎
幕府から命じられた新城藩の河川普請を巡る不正。江戸家老の間崎が悪役。賄賂で工事を中止にさせ、そこに駆りだしていた藩の農民を故郷へ帰さずに桑畑を作る仕事へ従事させようと他所へ売り渡す計画を商人と画策
お蘭が葵御門の文箱を持って偉い人に化けて登場し、だがその正体がばれて、鉄火な女の言葉遣いに替わる場面のセリフ回しの見事さ

第34話 1975.05.20 「裏切りの街」
善助:浜村純、おきみ:倉野章子、佐平:今福正雄、鬼源:天王寺虎之助、八州取締:桑山正一、惣兵衛:高品格、勘八:長谷川弘、坊主常:森章二、岩松:西田良
テーマは黒澤の七人の侍以来よくある自分の町は自分たちで守ることが大事というあたりで、それは序盤の登場人物のセリフにまずあり、そして終盤でそのテーマが大きくクローズアップされるのだけど、結末としてはなんかこのテーマから逸れてしまっているようで、もっと工夫できないもんかなあと思う。
始まり方が異様なのだが、それもこのテーマに沿ったものでそれを際立たせていることに後になって気付いた。
ある町でのヤクザ二組の抗争。元からいたのが勘八一家、その親分が旅に出ている際に乗り込んできて一気に町を手中に収めたのが鬼源。この鬼源の横暴に町は怯えており、岡っ引きの善助は八州取締に見回りを頼む。
鬼源のために市(いち)には活気がなくなり冷え冷えとした状況になっていたが、そこへ八州取締がやってくると、市には活気があり、何事もなかったよう。善助が街の人に八州に訴えたいことがあるなら訴えろというも、皆が「なんのこと?」というような反応
とこういう始まりで、ちょっと異様である。浜村純は善悪どちらもやれる人、ここでは悪相で登場しており、悪役かなあと思ったが、善玉だった。ゲスト枠トップのクレジットだが、序盤で殺されてしまう。
町の連中は鬼源に脅され一斉に素知らぬ顔をしていたのだった。
八州にチクったということで、善助は殺されてしまう。
岡っ引きは娘のおきみが引き継ぐが、そんなものではヤクザに対抗できるはずもなく、しかしおきみは一人で突っ走る。町の人の奮起を促そうとしていたのだった、とこれは終盤で、そのテーマが露わになってくる仕掛けだ。
棺桶寺からは遠く離れた地が舞台で、刀舟と弥九郎はそういったところを治療に回っているという設定のようだ。で、この地で鬼源にやられた怪我人の治療というのが最初にあり、その後次の地へいくため刀舟は出かけてしまい、弥九郎がその怪我人の様子を見るためそこに残るという展開。そのため刀舟の出番がとても少ない。この序盤に出てきた後は、次の地での治療風景が時折少し挿入される程度で、そして最後のハイライトの殺陣で登場というだけ。
その最後の刀舟の殺陣のシーン。町の人が鬼源に立ち向かえるかどうかという最初に書いた今作品のテーマが色濃くなったところに、刀舟が登場し、いつものストロングスタイルで全員を成敗、ありゃりゃ、じゃあ町の人が自分の町は自分たちで守るというアレはどうなんのよ、という感じである
レギュラーの残り3人もお竜がその地へ壺振りに呼ばれたとか、そのことを聞いて、お蘭と半兵衛がお竜と組んでいかさまをやりに来たとかそんな感じで地元でないところでもレギュラー陣は勢揃い。
高品格は鬼源に媚びへつらう町名主の役。知名度、そして出番が少なくない割に後ろの方で四名並記のクレジット

第35話 1975.05.27 「流れ者の挽歌」
伝次:下条アトム、お蝶:赤座美代子、猪之吉:長谷川哲夫、伝馬屋銀三:小笠原良知、関根刑部:外山高士、仁平:梅津栄、深沢重四郎:内田勝正、紋太:黒部進、おかつ:杉山とく子
永遠のテーマともいえそうで、また、これまでに何度も取り上げられたテーマ。少しぐれた若い奴の青春群像。
メインは伝次、お蝶、猪之吉。猪之吉と伝次は兄弟。猪之吉はかつて名うての壺振り師、いまは病がちで飾り職。伝次は博打場に出入りするまだ何物でもない若者で、少し粋がっていて、ヤクザに出入り。お蝶は岡場所の女。兄弟を心配そうにそして実は仲が良いことを見抜いていてそれに少し嫉妬している。お蝶と兄弟との間の恋愛感情も少しは描かれるが、それよりは兄弟の世話を焼いている、兄弟というものに憧れを抱いているという感じに描かれる。
で、起きる事件は、千住大橋の拡張工事の噂。棺桶寺あたりまでを取り壊して千住の入り口として整備し直すとのこと。と、ここでも棺桶寺が千住近くなのだなとわかる。
伝次はその工事を取り仕切るヤクザ伝馬屋に入ることになり、その仕事を取り仕切ることを命じられる。そこで前金で二十両を手に入れ、それを猪之吉の病を治すための資金として、渡すのだが・・・。
そこに住んでるものを立ち退かせるというのは、反発を買う仕事であり、そして兄妹の対立も決定的になる。
結局伝次では指をつめ、抜けることを決意するものの、そうは簡単に行かず、伝馬屋は伝次を縛り、また立ち退き反対の衆への見せしめに猪之吉、お蝶を殺す
そしてその工事の噂というのは道中奉行がその土地を手に入れるための嘘だったということがわかり、刀舟の怒りが爆発と言う風にラストに向かっていく。
伝馬屋のところに乗り込み、最後は伝次に仇を取らせてやり、そして刀舟は道中奉行関根刑部のもとへ乗り込む。
杉山とく子、もちろんよく知ってはいるが、時代劇ではあまり見ないような気がする。で顔を見てみたら、時代劇でよく見るような気がしてきた。でもあまり時代劇では見てないはず。お蝶の店の女将
内田勝正と黒部進というのはちょっと似ているのだが、並んでクレジット
メイン三人がとてもよい。下条アトムはこのテーマに適役であろう。長谷川哲夫ってのはいい男だ。そして赤座美代子の色っぽくもちょっと何かを諦めた女という役も適役だ。

※9/7
第36話 1975.06.03 「町人武士道」
白川佐吉郎(佐吉):柴田侊彦、九ノ谷兵衛:杣英二郎、九ノ谷源之進:住吉正博、加津:東郷晴子、白川主馬之介:香川良介、霜屋千次郎:成瀬昌彦、戸張権内:桔梗恵二郎、常木伝兵衛:中庸介、瀬沼河内守:中村竜三郎、
さち:宝生あやこ(トメ、「語り」の前)
始まり方がちょっと珍しい形。切腹の場で、その主が現れるのを数人が待っている。さっさとやってほしそうな様子。その切腹をする主が白川家の佐吉郎で、何かの責任を負わされ切腹することになった。佐吉郎は町人の出で、白川家に養子に入った様子。両親(養子に入った白川家の)に挨拶をしている。
何らかの思惑で、罠に嵌められ切腹させられそうになっており、多分後継に誰かを立てたいという思惑だろうということが想像がつく、というような始まり方。が、佐吉郎は切腹を拒み、拒むというより、紛失物がありその責任を負わされているのだが、決定が早過ぎる、せめてそれを探す時間をくれと言い、その場を逃げ出すことになる。この場面はちょっと興醒めで、切腹する一人を四人ほどが囲んでいるのに逃げられるかね。しかも斬りつけられ手負いなのに。屋敷の外に出ると、そこを弥九郎が通りがかり、とこうなると単に一人の男を斬りつけようとしている四人となり、弥九郎の強さに「引け引け」と悪役が助けに入った善玉に対してよく見るような構図になる
この冒頭の場面でサブタイトルの意味もわかり、あとはこのテーマで一直線という感じのストーリー。

第37話 1975.06.10 「傷だらけの烙印」
弥之吉:若林豪(トメ、「語り」の後)
長次:長谷川明男、お夏:徳永れい子、緒方将監:永井智雄、与助:見明凡太朗、木曽屋伴蔵:嵯峨善兵、磯貝軍十郎:五味龍太郎、おしの:小野ひずる、お紺:弓恵子
他に野口元夫
時代劇でそう頻繁ではないが時折あるストーリー
島帰りの男に役人が付きまとい、仕事を探すとその雇い主に男が島帰りだと話して邪魔をするというもの。
弥之吉と長次、お夏は幼馴染で、事情は分からないが捕らわれの身になってるお夏を弥之吉は火事に乗じて、その家に押し込んで、そして長次とお夏を逃がす。弥之吉はその押し込みの罪で島送り、五年後、島から戻ると長次とお夏は結ばれていた。という始まり方。
この三人の恋愛感情としては、実はお夏は弥之吉に惚れていて、弥之吉も同じくで、それを長次も薄々知ってるみたいな描写はあるものの、そこはそこはかとなくという程度で、三人が幼馴染であり、弥之吉のおかげで長次とお夏は結ばれたというところだけが設定という感じだ。
悪役側は作治奉行の緒方将監が悪役の親玉ではあるが、軍十郎が作中ではメインで動き回ってる。火盗の同心。あと、木曽屋伴蔵、これは出番は少しだけ。材木問屋で火事のため儲かっているが、火事は付け火なのだ。
五味龍太郎がメイン格なのはおれにとっては珍しい。キャストクレジットでは後ろの方ではあるが。
長いキャリアの人なのでメイン格はそう珍しいことではないかもしれないが、おれが見るのでは、悪役の用心棒役ということが多い。
弓恵子、この人はメインゲストでもおかしくないような人だと思うが、ここでは役名ありの中で一番最後、トメという意味ではなく、三名並記であり、その後に役名なしがズラズラ続くという形。役は岡場所の女のようで、ところどころで弥之吉と出会うという程度の役ながら色っぽく意味深な感じ、でもストーリーには絡まない。
この回のテーマとなると思うのが、何人かの登場人物に同じようなセリフあり。「逃げちゃいけない」、これは島帰りということで迷惑をかけてることに気付き、旅立とうとする弥之吉への刀舟のセリフなどにあった。そして「誰にでも背中にしょったものがある」、これは島帰りの刺青のことなんかを指していて、ラストで弓恵子のお紺も言っている
長次とお夏の息子、三吉がいい味を出している。刀舟は子供に優しいというのはこれまで何度も描かれていた。ここでは凧揚げを一緒にやり、刀舟が凧を壊してしまい、作ってやると約束するも、いい凧が作れず、そんな刀舟に生意気な口を利いている。
与助も島帰り、今は居酒屋の親父で娘がおしの。軍十郎の脅しで付け火を繰り返しており、終盤で旅立ちを決心した弥之吉に「やっぱり逃げなさるのか」と語りかけ自分のこれまでを明かしているが、そこへやってきた軍十郎は二人を斬っている。この場面で、軍十郎は与助への付け火のことを話した上で、弥之吉を後釜にしてやるとか言っているが、そんなこと打ち明けられて、仲間になってしまうかねえ、それが脅しってものか。
その前後で物語の結末をつけようと、お救い小屋を建てるための土地を得るために、立ち退きや取り壊しがあるという噂、実はその土地をただ得ようとしていたという、今シリーズで何度か出た話の焼き直しがあったり、お蘭、お竜が、悪役の魂胆を早口説明口調で言って結末の殺陣に繋がるなどは興醒め部分だ

※9/8
第38話 1975.06.17 「女肌地獄」
垣見図書頭:織本順吉、藤之家仁兵衛:高城淳一、お仲:榊ひろみ、辰三:青山良彦、お春:高木彩、王:潮建志、日野道夫、武智豊子、野呂啓介、土屋靖雄、福田真知子
今作は時代劇でありがちなストーリー
孫娘を売りに来た男が帰り道に金を強奪される。それは女を買った主からの指令であり、娘を買っては金を回収という一連のからくりになっていたのだった。
悪役のメインはその女を買い集めている藤之家で、その背後には勘定奉行職を狙う垣見図書頭がおり、そして異国の王が集められた女を買うという仕組み
藤之家で働く婆が武智豊子でおとら。これがちょっとコミカル、小狡く動き、悪役側に不利なことを証言しながらも別に善玉のほうへ肩入れするでもなくという役回り。
野呂啓介は藤之家配下の悪党、清吉で、最初の強奪事件の際に爺に服の袖をはぎ取られ、それが犯人と割れる証拠となってしまう

※9/9
第39話 1975.06.24 「どぶ木戸の詩」
綾:吉行和子、島崎左近:北上弥太朗、お国:白木万理、次助:小島三児、源七:植田峻、柏木東馬:大下哲矢、おるい:松木聖、但馬屋:岩城力也
矢吹聞多:長門勇(トメ、「語り」の後)
浪人夫婦が主役。矢吹聞多は荷揚げ人足、病がちの女房の綾を大事にしている。
聞多は侍の世界に戻りたいとは思っておらず、狭くても自分の世界を大事にしたいと考えているが、綾は再興できればと思っている
ここらへんがじっくり描かれる。悪役はすぐわかるようになっているが、終盤までさしたる悪事はしておらず、そして終盤になって綾の父親がその悪役の罠にかかっていたことをする必要もないのになぜか告白をする。
その場面の後に、お蘭が説明口調で蒔くして立てるように悪役の悪事を滔々と説明、という流れはちょっと安直
聞多は矢吹家に婿入り。矢吹は道中奉行(かそれに類するもの)で、松茸道中の際に松茸が一本腐っており、その責任を取り自害。その草った松茸は今の道中奉行島崎左近が入れたものだった。。
島崎左近は唐物問屋但馬屋と組んで浪人から三十両取り、仕官の世話をしているが、その任務に就かせてすぐに失敗する仕事をさせ、その失敗を口実に放り出していた
次助:小島三児、源七:植田峻、おるい:松木聖は矢吹と同じ長屋の住人で、彼らのたまり場である居酒屋の女将がお国:白木万理。ここら辺は大きくはストーリーに絡まない(おるいは借金のかたに但馬屋に連れて行かれるという悪役の悪役たる由縁の一つになっているが)が、聞多の仕官が決まりそうだということで内緒で祝おうとなる場面では刀舟も声を張り上げ喜んでいて、暖かいいい場面(聞多は仕官を断ってしまうのだが)

※追記9/11
見始めてから、一日少なくとも1本は見ようと思っていたが、9/10は夜に見ようと思ってはいたものの、急遽ラグビーを見ることにして、で、その後はグダグダしてしまい、そもそもスポーツ中継を見た後にこれを見る気にもならないので、見れなかった
そして、そもそも、録画ストックが溜まってしまい、また、今期のドラマも評判の「VIVANT」などもうすぐ最終回のものが多く、そちらを見始めたく、この番組については一旦視聴休止しようと思っていたところなので、このまましばらく休止することにする


※10/23視聴再開
第40話 1975.07.01 「仕掛けられた罠」
お琴:長内美那子、梅咲楼吉蔵:小栗一也、伊助:原田清人、佐太郎:清川新吾、幸吉:藤山浩二、辰造:南道郎、
凝った話で面白いと見ている間は思ったが、見終えて考えてみると、どうも辻褄があわない感じもあり。
重要人物である佐太郎:清川新吾が少し南道郎に似ている。最初に出てきたときに、クレジットも見ていたこともあり、南道郎が少し顔が変わったなと思ったくらいだが、その後南道郎も出てきて、こちらは得意役ともいえそうな、悪徳十手持ち、ストーリーでは悪役側ではなく、ちょっとやりすぎな十手持ちという程度だが、拷問で容疑者を殺してしまい、それを恨みに思ったお蘭に殺される、お蘭が殺しをするのは珍しかったんじゃなかったけ。ちょいと話しかけて、スパッと首筋を斬るという絵になる格好良い殺し方。江波杏子はシリーズ始まった当初は息をのむ美しさという感じだったが、その美しさが少し薄れている。
お琴と錠前作りの名人伊助が夫婦。しかしお琴の前に島帰りの昔の男佐太郎が現れる
家から持ち出した20両を手切れ金としてくれるよう頼むが、佐太郎はそれを許さない。
20両は盗まれたことにして、番屋へ届け出。そしてお琴は府中で飯盛り女をやってたときの、主人である梅咲楼吉蔵に、二十両の援助を頼み込みに行く。吉蔵はその職業の割に優しい人物とのこと。これは登場の際には優しい笑みで、悪役とは思えなかったほど。
が、実は悪役で、お琴を店に隠し、江戸へ戻る最中に殺されたことにする。その報を受けた伊助が府中へ行き家を空けると、その隙に錠前の絵図面を写し取る佐太郎一味。絵図面を盗めとお琴に命じたが、最新の注意を払っており、絵図面が盗まれたら、すぐ錠前が交換されることになっていると、先に聞いており、写し取るという作戦にしたのだ。
お琴は内藤新宿で働かされることになり、しばらくしたら上方へ売られるという手はずになる。
伊助は、錠前の絵図面が盗まれていないにも関わらず、その商家の錠前が開けられたことで疑いをかけられ、そもそも最初の二十両についても自作自演ではないかとされ辰造に拷問を受け死亡
お琴は逃げ出し、なんとか棺桶寺へ逃げ込むも、追手がやってきて殺され、そして刀舟の怒りが爆発。
お蘭はお琴の父親に大恩があるという設定で、伊助の敵討ちをしている。
辰造と他の悪役とは結び付きはない。
吉蔵と佐太郎は同じ一味なのだが、同じにする必要がないような気がして、でも最初から全部仕組まれていたのかなあ。でもお琴が吉蔵のところへ行くと限ったことでもないし。
ただ吉蔵が佐太郎をお琴の前に派遣したという風には考えられる
そして三年前に温情ある主人として借金棒引きで伊助の元にお琴をやったという吉蔵の行動が腑に落ちない
江戸から府中が遠くに見えないという時代劇特有の事象
お琴が死んだと聞いた伊助は梅咲楼でお琴のいた部屋を見るという場面、三年前にその店をもう出ているのに、そこに面影なんかあるかねえ。

第41話 1975.07.08 「殺しの報酬」
☆録画不良

第42話 1975.07.15 「愛の残影」
お冬:田代美代子、吉岡大膳:南原宏治、正木源太夫:美川陽一郎、仁兵衛:幸田宗丸、黒部達之助:高森玄、伊藤つかさ
高科藩の世継ぎ問題。家老と商人が悪だくみとここら辺は大したことはない。
それに立ち向かうお冬の方。正当な世継ぎの母親であり、その息子が病となり、御典医も匙を投げ、刀舟に話が持ち込まれる。
お冬と刀舟は昔何かしらの関係があったらしい、幼馴染とかそんな感じ。
それに嫉妬したお蘭は、この仕事を止めるよう散々嫌味を言うが、お冬の命を懸けた戦いに、考えを翻し、最後の殺陣では刀舟とともに戦う(そこに弥九郎はいない)という珍しい形式。
高科藩、架空のもののようであるが、八王子の先という設定らしい。ここでも藩と江戸の行き来があり、が、一時間の時代劇という制限のため、その距離感を感じない
高科は、架空の土地のようで、地図で紹介があり、甲州街道を八王子の先、野田尻、犬目、大月の次ということになっている
伊藤つかさの名前あり。生まれた敏を調べたら、当時8歳、ならわかる。中盤で少女が出て来てた。半兵衛を助けた

第43話 1975.07.22 「運命の標的」
野木十郎太:天野新士、清吉:塚本信夫、相良直秀:北原義郎、相模屋幸兵衛:須藤健、和助:田口計
旗本とどこぞの藩の家老による狂気の遊び人狩り。狩られるのは集められた貧乏人で集め役は相模屋、実際に人集めをするのは和助で、砂金を取れる場所を知ってるから山分けしようと誘い込む。
半兵衛は誘われるも道中で腹を壊しリタイア。
一方お蘭は矢場での見事な腕前に、その遊びに誘われるが、いつの間にか的にされてしまう。ここはよくわからなかった。確かに最初は本当に誘われていたのだが、誘いに乗らないので的にすることに変更したという感じではある。
ラストはお蘭は狙われてる真っ最中に刀舟がやってきて成敗

第44話 1975.07.29 「青春の挽歌」
高岡一馬:中村光輝、和泉屋徳兵衛:大滝秀治、田村監物:川合伸旺、原斉:伊沢一郎、井上:灰地順、村上隼人:藤山浩二、
風間杜夫(土屋)
坂本友明(本多新吾)、坂本香(小沼昭二郎)
木村理恵(ゆき)
いい出来だ。その一つの要因として刀舟などレギュラーの出番が少なく、ストーリーを中村光輝、大滝秀治中心にじっくり描いているところ。
試験問題を売る仕事をやってるのが一馬で、その仕事を取り仕切ってるのが和泉屋、そのバックが田村監物でこれは目付役
一馬は悪事に手を染めているが、善玉
見終えてからサブタイトル確認、「青春の挽歌」、なるほど、そういう作品だ。
一馬は友人を勧誘し、小沼昭二郎はその勧誘に乗り、本多新吾はそれを拒否し。その新吾は、口外はしない、でも悪事から手を引けと忠告
ラストの展開はちょっと解釈の難しいところ。その新吾はそもそもその潔癖な性格から一馬は誘うのが無理だと思っていたが、和泉屋が無理やり誘わせたもの。そしてその和泉屋は新吾からこの件が漏れてるらしいと言い、一馬に殺させようとする。
で、ここからなのだが、一馬は新吾に手紙を書いて川岸に呼び出す。待ち構えているのは数馬と和泉屋の用心棒で左利きの凄腕、村上隼人。村上は身を隠し、一馬が対面、川を渡って逃げるよう言い、新吾は逃げ出すも、村上に追いつかれて斬られる。さらに村上は一馬を斬ろうとするも、そこへ弥九郎らが到着。
これは一馬は新吾を殺そうとしたのか、逃がそうとしたのか、逃がそうとしたのなら、なぜ呼び出す? 和泉屋に強引に命令されたか、とすると村上は一馬がちゃんとやるかどうかのお目付け役か。だから一馬は小声で逃げるよう言い、しかし新吾は斬られてしまい、さらに村上は一馬をも斬ろうとしたということか(最初から一馬は始末される手筈だっただろうが)
斬られた新吾は刀舟のところへ運ばれ、なんとか一命を取り留める。その手術姿を見て、一馬は医者になる決心をするという終わり方
始まりもよい。一馬の父親が和泉屋に強請。なんと一馬の不正をネタにしてだ。それは村上に斬られ、村上「息子の秘密を嗅ぎつけて強請に来るとは呆れた親ですな」、和泉屋「一馬に嗅ぎつけられてはなりませんぞ」というやり取り。その後一馬が登場してくるがこの時点では一馬、及び和泉屋が何をやってるのかはわからない
風間杜夫は役名なしのクレジットだが、「土屋」と呼ばれている。一馬と同じ試験問題を売りつける相手を探す仕事をしており、辞めたいと和泉屋に言ったところ、最終的には殺されている
中村光輝のこの頃のものというのは割とたくさん見たが、どれもいい役。そんなにうまいとも思えず、むしろなんだか鈍重で冴えない感じなのだけど、優遇されてる感じはある。錦之助とは叔父甥の関係

第45話 1975.08.05 「娘を売る市場」
間四郎太:田口計、戸沢松之助:今福正雄、なつ:戸島一美、赤渕達之進:小瀬格、上州屋清兵衛:高木二朗、三吉:吉田友紀、古賀新八郎:晴海勇三、半蔵:岡部正純
田口が回を置かずに再登場。前回も旗本による狂気の遊びという悪事だったが、今回もそう。田口は前回は人集めの役という悪役の中では下っ端だが、今回は悪役の主役、狂気の旗本間四郎太。
年貢を若い娘のいる家だけ高くして厳しく取り立てを行い、その結果娘が売られるという仕組みで、農家の娘が江戸へ売られる。若い女のセリ市、間に買われた女はハードSM、蝋燭や鞭でいたぶられ、死人も出る始末という悪事。岡部正純が女を買いに回る役
悪人が大体わかってきたところで、お竜や半兵衛が刀舟を早くやっちゃいましょうよとけしかける場面では、半兵衛が刀舟の真似「手前なんぞ人間じゃねえ、叩っ斬ってやる」を披露、刀舟にたしなめられている

第46話 1975.08.12 「鞭を振る女」
蝮の辰三:川地民夫、赤沢十兵衛:内田朝雄、お銀:二本柳俊衣、大和屋青華:中山昭二、源吉:吉田義夫、平田備中守:中村時之介、治三郎:高松政雄、政蔵:石垣守一、大形軍八:仙波和之
お銀は貧乏人を執拗に痛めつけ取り立てを行う金貸しの手先。そして大親分の赤沢の女でもある。
蝮の辰三は岡っ引き、悪役っぽい後ろ暗い顔つきでの登場だが、正義の人であり、奉行でさえ手を出せない赤沢を上げることを執拗に狙っていた。
赤沢は金持ちからの借金取り立てにも影響を与えるようお銀の狂気じみた取り立てを看板にしていたのだった。大和屋が金貸しの実働部隊
お銀は実は辰三の腹違いの妹であり、お銀と辰三の父親は半年前に亡くなっており、そこには辰三が一緒におり、辰三が殺したようなものとお銀は思っていた。
ちょっと変なのは、お銀の父親も岡っ引き、半年前に亡くなっている。お銀はその時から変わった。そして軽業で鞭の使い方を覚えたと言っている。見世物小屋にでも行っていたかのようだが、そんな期間的猶予はない。

第47話 1975.08.19 「噂の大地震」
河合参之助:原田清人、河原信乃:町田祥子、巴屋伍兵衛:稲葉義男、風早:千波丈太郎、安藤主膳:田中浩、平沢八郎:森章二、弥吉:市村昌治、源七:奥村公延
蔵奉行安藤主膳と巴屋が組んで横流しした米の埋め合わせに地震の噂を使う。地震が来るから米を買い占めろと。その噂に乗じて、蔵を民衆に襲わせ、被害を過剰にに報告し埋め合わせしようというのだ。さらに、その首謀者として河合参之助を引っ張る。河合参之助と主膳は参之助の妻である信乃を巡ってかつて恋敵。
いま気づいたが、河合参之助:と河原信乃となっている。河合信乃の間違いであろう

第48話 1975.08.26 「華麗なる復讐」
大滝左馬之介:大出俊、おその:佐野厚子、板垣大膳:加賀邦男、田宮:大村文武、小林:片岡五郎、大滝惣右衛門:中村時之介、岩井多聞:有島一郎
仇討の話だが凝っている。まず冒頭は門前町で誰かを探す岩井多聞。毎日そこへ来ており、仇討だと噂されるようになり、そしてついに多聞が動いた。相手を見つけたのだ。これが大滝左馬之介。しかし左馬之介は逃げていき、老いで身体も弱っている多聞は追いかける気力はなく。
が、実は仇として討たれるほうが多聞なのであった。という序盤の仕掛けがまずなかなか良い。
この仇討に家老の公金横領のの件など裏があり、というあたりはありきたりか。
左馬之介の女房がおその。生まれたばかりの赤ん坊を抱えて、幸せにやっていきたいと願っていたが、自分の知らなかったこの仇討騒動で気を揉む。おそのは夢の中で左馬之介が町人姿になっており、それを喜ぶ自分を見る。がその後、本当にそうなって家へ戻る左馬之介を見て歓喜。
だが、仇討は公的なものであり、藩では殿様が仇討成就を待ち兼ねており、左馬之介に見張りまでついており、町人姿になった左馬之介は屋敷へ連れられて行き・・・、さて、どうなる。

※10/25
第49話 1975.09.02 「火刑台の魔女」
蓬莱屋徳兵衛:田中明夫、信乃:堀越陽子、蓬莱屋新三郎:住吉正博、沢野陣十郎:佐藤京一、保科甚内:沼田曜一、戸沢備中守:有馬昌彦
井戸に毒を撒き病気を流行らせ、薬を大量に売る蓬莱屋。主人が徳兵衛、若旦那が新三郎。その新三郎が狙っているのが店で働く信乃。しかし信乃はまったくなびかず、可愛さ余って憎さ百倍。
その薬の調合がまずく、予想外に死者が続発、その処理のため、信乃を南蛮渡来の魔女に仕立て上げ、民衆の怒りと共に信乃は火あぶりにされる
徳兵衛と新三郎。徳兵衛は悪役が定番の田中明夫、一方序盤ですでにどうしようもない若旦那ぶりではあるが、でもひょっとして、こちらは良心を取り戻して、父親のやってることを非難するとかいうストーリーかなと思いきや、信乃を魔女に仕立てるアイデアを新三郎が言い出す場面では、むしろ徳兵衛が引いているのが面白かった

第50話 1975.09.09 「恐怖の脱獄者」
善七:浜村純、霞の黒兵衛:山本麟一、杉山:佐原健二、淡路屋徳右衛門:植村謙二郎、お京:結城しのぶ
脱獄した男が自分を捕えた同心、岡っ引きにお礼参りをしようとするというストーリーで、焦点は浜村淳の岡っ引き善七対山本麟一の脱獄した黒兵衛。その脱獄を取り仕切ったのは善七に抜け荷探索を執拗にやられていた淡路屋なのだが、そこはさほど描かれておらず、一番の悪ではあり、最後に刀舟に成敗されるのは淡路屋なのだが、そこは付け足しに見えた。視聴者の方の怒りが湧かないというかね。

第51話 1975.09.16 「人斬り子守唄」
矢沢哲之介:藤巻潤、相模屋忠兵衛:高品格、お弓:岩本多代、矢沢秀:伊藤つかさ、広瀬源之丞:黒部進
またしても伊藤つかさ。今回はクレジットでは後ろの方ではあるが、ほぼメインといってもいい役。人斬り稼業の矢沢の娘で、口が利けない病、だが刀舟は自分の意思で口を利かないのだと喝破する。伊藤はずっと暗い顔で口を利かない役だが、人斬り稼業を辞める決心をした矢沢に対し、秀を誘拐し、最後の仕事をやらせようとし、最後の仕事を終えた矢沢を口封じに殺しにかかる相模屋一派、刀舟も駆けつけ、相模屋一派と対峙、そして父親の危機に秀は「父上」と大声で叫び危険を知らせる。
全て事が終わった後には笑顔、と難しい役どころをこなしている
元締役が高品格。
藤巻潤は今までそんなことを思ったことはなかったが、カメラの角度なんかによっては田村高廣に似ている

第52話 1975.09.23 「大江戸火焔太鼓」
新門辰五郎:待田京介、仙之助:工藤堅太郎、小染:水原麻記、と組万五郎:山岡徹也、お兼:花岡菊子、吉造:丹古母鬼馬二
刀舟の扱いが特殊。本編ストーリーに最終盤まで全く関わらず。医者の仕事で春日部へ遠出。雨に降られ、体が冷えて病になり、小屋で休息。そこへやってきた少年の助けを得て、元気回復、で、最後の殺陣の場面となる
本編ストーリーは、火消し「と」組の仙之助が組の悪い噂を探索していたことがバレて、火事で出動の際、騒ぎに乗じて殺されかかる。この仙之助を匿うお蘭たち、というようなもの
ゲストトップは新門辰五郎:待田京介だが、あまり出番はなく、ただ最後に騒動を締めるような役回り、ウィキを見てみたら、新門辰五郎は実在の人物とのこと

第53話 1975.09.30 「真夜中の狂刃」
小森陽之介:森次晃嗣、原田左近将監:中村竜三郎、矢崎新八:堀勝之祐、辰五郎:見明凡太朗、伊沢大作:剣持伴紀
宇津木主水:中村竹弥(トメ、「語り」の前)
中村竹弥のワンマンショー的な作りで格好良い場面が多く、刀舟の活躍が薄め、でももちろん最後の殺陣は刀舟で締める。火盗長官の役宅へ一人乗り込む、って強すぎだろ(皮肉)
森次晃嗣の演じる役が結構な悪人だと思うが、最終的に善玉になってるかのような死に方で、ムズムズする。
火付け盗賊改と町方の勢力争いがテーマで、冒頭に押し込み強盗の場面があり、段々とそれをやったのが火盗だということがわかっていく展開は面白い。火盗がやるわけないとこっちは思ってるから、何度か見間違いかなと思ってしまった。
金を奪って、その金を老中に撒いて、町方より上へ行こうという計画は、あまりにも空想的。
宇津木主水はお役御免になったばかりの元町方同心、娘小菊(※)の許嫁が小森陽之介でこれは火盗の同心。
主水は頻発する押し込みの捜査をしつこくやっていたことから、火盗から疎まれており、同心を辞めさせられたあともまだ独自に捜査を続けており、陽之介は義父を殺そうと狙っているというような展開
(※)主水の娘、小菊、今作品では出番が非常に多い大きな役のだが、クレジットで役名ありにはない。役名なしで女性となると蟹沢良恵という人だけ。この人を検索してもほとんど情報が出てこない。

第54話 1975.10.07 「男沼・女沼・恋の沼」
江戸屋源兵衛:吉田義夫、森住庄左衛門:中山昭二、左内:藤岡重慶、茂作:岩城力也、久作:丘寵児、おしの:松下恵子
並木静夫(八十助)、岬マコ(おりん)
旅もの。弥九郎はお留守番なので冒頭にしか出てこない
代官による法外な年貢、商家と組んでの悪だくみ、百姓たちの決死の直訴状と、ここらはありきたり。
序盤でその直訴状を持った百姓八十助が殺され瀕死のところへ刀舟たちが通りかかり、その最後の言葉をおしのという女に届けてくれと言われ、押野という女を探し合いに行く。この場面がギャグとしてちょっと面白い。最後の言葉は「機を織る音が聞こえるところに」だったのだが、お竜はなぜか「機を織る音が聞こえるところに帰りたい」といって死んだという。刀舟が咎めようとすると、しんみりした顔で、先生にはわからないんだよ、恋する男の気持ちは言葉は足りないけどそういう気持ちなんだよと言い放つお竜。ジャネット八田、こういうのが似合う
これはここだけのギャグかと思いきや、最終盤になって、これがキーワードになっていく。実は「機の音が聞こえるところ」はこれはこれでいいのだ。直訴状を隠した場所を言っていたいのだった。
直訴状は見つかり、それが江戸の目安箱へ投げ入れられていたものの、幕府が調査にあたると、関係者はすべて志望、村は元の平安を取り戻していたという最後のナレーション。刀舟が皆殺しで解決するなら直訴状もいらんがな
この回からOPが少し変更、OPは刀舟の殺陣の映像が流れる中、レギュラー五人が映像付きでクレジットが挿入されるのだが、その後者、レギュラー五人のクレジット部分の映像だけが変更。
これまでの古いほうのOPでの江波杏子の映像がなんともいえない色気でよかった。目線がほとんど動いていないが、微妙に上に上げる感じがなんともいえない

第55話 1975.10.14 「いのちの絶唱」
寺崎刑部:伊達三郎、おさち:東山明美、岡駿八:平井昌一、神坂玄馬:穂高稔
三村淳良:中村賀津雄(トメ、「語り」の後)
中村賀津雄のクレジットを見て期待したが、序盤は変な感じ。三村淳良は刀舟の弟弟子、江戸へ出てくると手紙が来て、刀舟はもう待ちきれない
が淳良は小田原の外れの村で、負傷している侍を助け、その治療のため足止め、という風に、江戸と小田原で話が展開することになる。もちろん中盤で、淳良はちゃんとやってくるのだけど。
淳良が助けてやったのが岡山藩の侍で、懐に遭った密書を見られたと勘違いし、「侍の忠義」のため淳良を狙うという展開。
刀舟は逆子の出産を依頼されていて、それなら自分より腕のある淳良にやってもらおうと考えていたのだが、淳良は岡山藩の連中に拉致、それが刀舟に伝えられたとき、刀舟は助けには行かず、手術は自分でやる決心をし、無事成功、岡山藩の屋敷に乗り込む。今回は特別感があり、口上はいつものような威勢のよいものでなく、涙ながらのもの、

第56話 1975.10.21 「闇に咲く白粉花」
春駒太夫:宮園純子、本多和泉守:北上弥太朗、お仙:富山真沙子、阿部大和守:近藤宏
女ばかりの旅芸人一座が弥九郎に連れられ棺桶寺へ。しかしこの一座には裏の顔があり、留守居役年寄衆の阿部大和守に使われる殺し屋集団で、各地に行ってはその藩の重役の暗殺を行っている。
その頭である春駒太夫は一座の娘たちを思い、辞めることを願い出て、最後の仕事を頼まれる、が、それを成功させ屋敷の外へ出ると、阿部一味が彼女たちを皆殺し。
最後にお蘭が春駒から聞いたとして、一座の正体を語るのだけど、春駒からお蘭がそんな話を聞かされるタイミングはないと思うがなあ、瀕死の状態でお蘭のところに駆け込み、そこから棺桶寺へ運ばれ、絶命している
近藤宏、いつも同じような役のように思える。武士で階級が上のほう、いや、武士でなく商家の旦那というときもあるかな、どっちにしても、貫録のある役で、その割に立派な顔つきでなく、小悪党的というか、そのギャップが楽しい

※10/26
第57話 1975.10.28 「愛と死の絆」
手嶋道順:井川比佐志、神岡竜源:内田朝雄、相馬屋伝兵衛:伊沢一郎、手嶋こう:戸島一美、おみよ:風吹じゅん、前沢玄朴:須藤建、辰蔵:江角英明、軍蔵(手嶋武七):速水亮
55話に続いて医者の話で最後のナレーションも似たような部分、「天保年間日本の医業は著しく進歩をし、名医が多く誕生したが、天保医事録に×××(淳良、道順)の名前はなかった」があった
道順は歯科医、金を取らずに貧乏人のために働くという刀舟とそっくり設定。医療費値上げを企む朝雄一派からの誘いを断り、殺されてしまう。
風吹じゅんは上記ウィキコピペでは後ろの方になっているが、二番目に二人並記(:内田朝雄とともに)でクレジット。ただあまり大きな役でもないしストーリーに大きく絡むわえでもない。道順の通う一膳飯屋の娘で、序盤にしか出てこない。

第58話 1975.11.04 「裏切りの賭け」
仙之助:大出俊、粕谷左門:菅貫太郎、近江屋茂左衛門:見明凡太朗、吾助:三谷昇、多平:村上不二夫、お加代:新海百合子、与作:堺左千夫、橘屋:河村弘二
大出俊が回を置かずに再登場。商家の手代という前とは違った役柄で、幅広い役を演じられる俳優ということになるかもしれない
見終えてみると、善玉扱いの仙之助が、それほど褒められたことをやっておらず。
ストーリーは入り組んでいて、面白いが、最後の種明かし的な部分が説明台詞
今作品のような場合、単純にすごい悪をぶった斬る刀舟というのがコンセプトであるから、ストーリーが複雑になると、刀舟の活躍が薄くなったり、最後のぶった斬りがぼやけたり。
御用商人が藩との約束の書状、「お墨付き」を書き替えのため差し出せと言われ、上方に保管してあったそれを取りに行く。その役目を追ったのが近江屋手代仙之助、この「お墨付き」を巡る攻防。
藩の家老が菅貫太郎で、近江屋から別の商家へ差し替えようと画策していたのであった。
仙之助はそれを持ち帰る途中襲われ大怪我、「お墨付き」は安全のため、そこへ埋めたのであったが、後から探しに来るも、それが見つからない、という風に始まり、仙之助は店思いの真面目な手代という感じなのだが、長年働いたにも関わらず暖簾分けはないと言われたことを、恨みに思い、その隠した「お墨付き」はすでにすり替えられており、粕谷の誘いに乗っていたのだった。が、その粕谷にも裏切られて・・・、というような内容
今シリーズはラストのナレーションで、「天保年間はこうこうであった」というような形で、そこに今回のテーマは何であったかが語られるのだが、今回の場合は、藩と商人の関係、困窮大名が借金の文田押しを行い、多くの商家が倒産したというようなことが語られており、これは、今回でいえば近江屋が藩に大金を貸しており、それが踏み倒される恐れもあるから、「お墨付き」書き換えをなんとしてもやり遂げなければならなかったのだ。最後の場面は、近江屋が藩屋敷前で「金を返してくれ」とつぶやく姿に上のナレーションが被さる

第59話 1975.11.11 「天保飛脚人異聞」
亀沢左内:山本学、亀沢知世:真屋順子、源五郎:谷村昌彦、由造:梅津栄、鬼頭玄蕃:高野真二、山崎屋伝兵衛:幸田宗丸、近江屋徳兵衛:久遠利三、亀沢大助:山下雄大、おせん:橘倫子、伊吹佐十郎:森章二
遠い都市間での飛脚はあったが、まだ江戸内など近い距離の中での町飛脚は当時はまだなく、必ず今後この仕事が必要になってくると信じ、その仕事にかけている亀沢左内、お馬役の下級武士。夫が侍を辞めたことに不満を持ち妻の知世は子供を医者にすることに懸命な教育ママ。その息子大助は強制されてるわけでなく医者になりたいと思っている。
知世は出入り先の言葉に騙され、息子の医学館への入学のために金を払って体を奪われ自害、その復讐に左内は刀舟と息子に手紙を残し刀を持って出かけるが返り討ちに。
左内の労咳という設定は不要に思える。病で動けないような体なのに、飛脚業に夢を持ち、懸命にそれを続けるという設定が無理がある。
源五郎は祭り好きなおっさん、左内が怪我でできなくなった飛脚を受け継いでやってやるという、むさくるしい身なりだが人がいいというキャラをうまく演じている

第60話 1975.11.18 「二十一年目の顔」
内藤刑部:川合伸旺、井沢周邦:西沢利明、内藤(田島)新吾:潮哲也、安川剛蔵:中田博久
田島源太郎:大友柳太朗(トメ、「語り」の前)
京都に運ぶ御用金三万両が道中で強奪されたが、それを計画したのは大目付内藤刑部。その運ばれていた千両箱は戻り、しかもその中は石。さらにこの強奪の罪を浪人に被せ、浪人狩りを行う。
幕府の経済政策破綻の結果浪人の存在が社会問題化、幕府転覆を計画する浪人たちを一掃しようとしたのであった。
というのが中盤までの流れ。
この序盤は指摘したい変な部分がある。その強奪で一人助けるのが北町与力の田島源太郎。銃撃され瀕死の状態だがまだ死んではいない、という状態で江戸まで運ばれるのがまず変。
田島に恩のある絵師、井沢周邦が刀舟に助けを求めるが断られてしまい、旧知のお蘭に相談する。ここでお蘭は、刀舟を騙して治療させようと考え、ここ(お蘭の家)まで運んできてよ、と言うと、動かしたら死んでしまうよと答えている。いやいや、散々動かしたじゃんか。
お竜が刀舟に嘘を言ってお蘭の家まで連れ出すが、刀舟はすでに嘘に気付いていて、だが、お蘭には借りがあるといって治療を引き受けている。
治療によって田島が動けるようになり、刑部の息子、内藤新吾が銃撃の犯人だとわかり、となって、ここから田島の追求となると普通のストーリーだが、ここからいくつか捻りのある展開
田島は新吾に対し、捕らえられた無実の浪人を釈放しろ、御用金三万両がどうなったかについては追及しない、と言い出すのだ。
さらに、田島が実亜h新吾の実の親だという設定も出てくる。
絵師の井沢周邦、田島を助けようと奔走する役であるが、ストーリーの中での役割はそこの場面でしかなく、なんでこんな絵師などという意味ありげな設定にしているのだかわからん、と思ったが、そうだ、田島を撃った犯人の人相書きを田島の話を元に描くのだったな

※10/27
第61話 1975.11.25 「さむらい無情」
青木新兵衛:長谷川明男、坂崎民部:今井健二、おしの:黒沢のり子、名主市右衛門:日野道夫、秋沢伊三郎:内田勝正
松浦軍蔵:川津祐介(トメ、「語り」の前)
--膳所藩より江戸に運ばれていた国事犯・青木新兵衛のかごが何者かに襲撃された。刀舟の手術により、新兵衛は一命を取り留める。その頃、刀舟のもとに角兵衛獅子の兄妹が父を探しにやってくるが...。--

第62話 1975.12.02 「許されざる愛」
真崎綾:水野久美、真崎源三郎:山本紀彦、原田倉之助:浜田晃、大垣刑部:高木二郎、真崎周太郎:弘松三郎、竹内半蔵:田中浩、直七:青森伸、伊助:大東梁佶、お加代:椎名祥子
仇を持つ身の綾と源三郎は義姉弟。しかし身ごもった。藩は仇討成就を願っていたが、それを知り、上意として、二人を討つという方針になる

※10/28
第63話 1975.12.09 「父と子の詩」
石黒監物:中村竜三郎、楓:山吹まゆみ、池田屋文吾:中村時之介、藤井又四郎:福本潤、越後屋信三郎:池田忠夫、岡崎和馬:永吉健太郎、お国:伊藤つかさ
父親が処刑され、その仇討ちのため江戸へ出てくる兄妹、そこについてやり一緒に江戸へ出てきたのが楓で、これが実は兄妹を見張るための悪役側。
火薬の原料となる硝石を巡る不正。
四度目の伊藤つかさ。今回も主要な役、どんどん制作側の信頼を勝ち得ている感じだ。妹お国の役で、楓を本能で嫌がり、江戸へ出て来てからはお蘭に懐いてしまう

第64話 1975.12.16 「悪徳の勲章」
黒岩源八:中谷一郎、中村志乃:亀井光代、田辺:勝部演之、浅草の万造:山岡徹也、戸上主計頭:庄司永建、中村喜一郎:神山寛、井上左内:中田浩二、お艶:園千雅子、大常:鎌田順吉、源次:井上博一
中谷一郎がお役御免になった鬼岩と呼ばれる元同心黒岩を演じる。
友である中村が殺され、その件を嗅ぎまわる。
いくら働いても相手にするのは小者で、大物には触れられもしないということに嫌気がさし、世の中は金、とばかりに悪人から金を強請り始め、お役御免になっていた。
刀舟には医術があるから、そうやってえらい生き方ができる、それがない俺は金以外になにがあると、黒岩が言うも、刀舟はお前さんには怒りがあるように見えると。
目付け役の戸上主計頭、配下の井上左内、やくざの万造、そして同心の田辺が組んだ悪に辿り着き、二千両の強請をかけるも返り討ちに。黒岩を看取った刀舟が戸上が開いていた賭場(金のない侍が寺銭目当てに中間部屋での賭場を開いていたというのもこの回のテーマ)へ。
刀舟は二千両も手に入れ、寺でみなしごの面倒を見ている中村の妹志乃に渡す。黒岩は悪人から強請取っていた金を志乃に渡していたのだった。

※10/29
第65話 1975.12.23 「槍しぶき黒田節」
高倉周五郎:横内正(トップ、単独表記)
綾部園:二木てるみ、榊原大膳:織本順吉、越前屋藤兵衛:早川雄三、岩村塔十郎:中庸介、お紺:三好美智子、
銀平:田崎潤(トメ、「語り」の前)
最初から調べてたわけでなく、つい最近思ったことだが、ゲストトップで単独表記とトメの位置での単独表記が重なることはないのかと思っていた。つまり一番格上が、トップ単独かトメに来るのかと思っていたのだ(一方でトップが並記表記でトメもない場合というのもあったような気がする)。
が、違った。こういう場合どちらが格上扱いなのだろう。なんとなくトメのほうが偉そうに見える。
トメ、「語り」の前と、トメ、「語り」の後は併存することはないと思う。そしてトメ、「語り」の後のほうが格上であろう。
仇討の話で大層凝っている。綾部園が息子粂太郎、そして忠義心の厚い槍持ちの銀平を連れての主人源之丞の仇討探しの旅。仇は高倉周五郎。しかしこの仇討には凄まじい裏があった。
源之丞に子種がなく、周五郎と子を作らせる契約が仕組まれており、しかし園は周五郎と愛情をはぐくんでしまった。
身籠った後、事実を知られるのを恐れ源之丞は周五郎を闇討ち、返り討ちに遭っていたという経緯
まあ横内正が悪役になるわけもなく、そして終盤までさしたる悪役もおらず、最終盤に周五郎を抱えていた旗本榊原大膳が返り討ちを言って、粂太郎を誘拐しておびき出すということをやって刀舟の悪人狩りに倒れるという展開
最後のナレーションでは、55話、57話あたりで気付いたパターン、記録には×××の名前は見当たらないというのがその後異様に多く、この回にもある。

*10/30
第66話 1975.12.30 「傷だらけの報酬」
与吉:和崎俊哉、しず:榊ひろみ、板倉内膳:戸上城太郎、六兵衛:松山照夫、向井田左門:小笠原良知、長吉:山崎有右、疾風の三蔵:市村昌治、大和屋善右衛門:近藤準、工藤新八:滝川潤、汐見大膳:若杉英二
錠前職人で島帰りの与吉を息子の長吉が迎えに来る場面から始まる
長吉はしじみ売りで病身の母親を助け生計を立てていて刀舟に感心されていた
その与吉が島帰りのため仕事が見つからず、が、それは裏で手を回されていて、ある藩の屋敷から隠し金を盗む計画に与吉を誘い込む手段であり、それを拒む与吉だったが、長吉が誘拐されるに至り、ついに手を貸すことになる
松山照夫と市村昌治というどう見ても悪役以外にはやれなさそうな面相の二人がやっぱり悪役で登場。松山照夫は悪徳岡っ引き、市村昌治は与吉と前に組んでいて、今回も誘いに来るという役

第67話 1976.01.06 「初姿おんな鉄火纏」
お吉:池波志乃、お駒:二本柳俊衣、富蔵:江幡高志、巳之吉:石山律雄、辰五郎:小鹿番、山代屋籐兵衛:伊吹聡太朗、堀田又七郎:富川徹夫、堀田監物:梅沢昇、留吉:野呂圭介
卯平:西村晃(トメ、「語り」の後)
町火消と組が善玉
定火消、旗本奴「あかざや」組、材木問屋山代屋、旗本堀田が悪役
勢力争いや、材木の値上がりを目論んでの火付けといったストーリー。さらにと組三姉妹の末っ子お吉の実の父親、元飾り職、極道三昧で牢n出たり入ったり、挙句の果てに島送りの卯平とのストーリーも。
二本柳俊衣はと組の長姉、石山律雄はと組の纏持ち。どちらも悪役で個性を発揮する人で、もしかして悪役かなと思ったが、そんなことはなく。
またと組の頭が小鹿番、この人はもっと小者みたいのが似合うタイプである。
さらに伊吹聡太朗が材木問屋の主人とこれもいつもとは違う役。

*10/31
第68話 1976.01.13 「大奥乱れ花」
佐吉:睦五郎、宇之吉:頭師佳孝、上総屋善七:潮万太郎、琴路:円山理映子、山際伊織:加藤和夫、お絹:池田和歌子、多三郎:大木正司、仙之助:大泉滉、孝作:加地健太郎、相川哲之進:安田隆、茜屋籐兵衛:岩城力也、新助:白石幸長、おすが:沙川露里、お芳:大川万裕子、小磯:記平佳枝、宮古:川口節子
大奥と悪徳商人の結びつき。男狂いでしかも少年愛の琴路、少年を世話するのが上総屋で、ことが終わった後、その少年を始末するのが佐吉。佐吉は島帰り、佐渡にいた印で「サ」と腕に刺青。
佐吉はこの仕事を辞めたいのだが、島帰りの中でやっと拾ってもらえたということと、それに加えて佐吉の弟宇之吉も上総屋で働いており、そのことで主人から脅され辞められないのであった。
という展開で、一応善玉が佐吉となる形。次の対象として宇之吉が選ばれ、佐吉はそれを始末しなければならないはずとなる展開あたりから白熱。さらに宇之吉にも刺青が入れられる。まだ佐吉はそれを知らず、これが最後の仕事だとだけ言われていたが、ついにそれと知り、琴路と宇之吉の寝所に乗り込み、佐吉は琴路を斬るという風に、一応一人だけは殺して憎しみの思いを達成しているのは今シリーズでは珍しい。そこに乗り込んできた上総屋配下や琴路の付き人らに斬られ、そこへ刀舟が到着
睦五郎、あまり目立った活躍はないが、必殺仕掛人でナレーションをやっていたので名前はよく覚えている。悪役多めの人で、しかもあまり大きな役はなく、単純な役が多い人で、こういう善悪の境目みたいなちょっとややこしい役は珍しい
頭師佳孝、少年愛の対象にふさわしい童顔の人
キャストクレジットの最後、数人並記の一番左に霞涼二とあって、この人は多くの回でこのキャストクレジットの位置に、「刺青師」としてクレジットされており、今回その「刺青師」がない、単に入れ忘れかなと思ったが、今回は刺青を入れる場面があり、そこで当人が登場しているのかもしれない。普段の「刺青師」というのはスタッフとしての、例えば「方言指導」だとか、「舞踏始動」だとか、そういう類のクレジットだと思われる。
そうか、今回「刺青師」として登場してるなら、同じ肩書でいいということになるが混乱するね。
65話のところにゲストクレジットでの単独表記について書いた際、「一方でトップが並記表記でトメもない場合というのもあったような気がする」と書いたが、この回はそうなっている。トップが二名並記(睦五郎と頭師佳孝)、トメはない。

第69話 1976.01.20 「地獄の女郎花」
寺崎源七郎:永井秀和、藤堂宗俊:小瀬格、伊勢屋儀平:上田忠好、藤堂菊:皆川妙子、塚原伊十郎:頭師孝雄
お歌:波乃久里子’(トメ、「語り」の前)
岡場所の女、
医者として出世を夢見る源七郎は、飛脚から為替を三年もの間毎月受け取っていた。月に三両、差出人はおみなえし(女郎花)
送ってきていたのは各地の岡場所を渡り歩く女郎のお歌、千住へ流れつき、刀舟から診察を受けていた。
その二人の間の関係は、お歌が襲われていたとき、助けに入り、怪我を負ったお歌を必死に治療したのであった。
しかし源七郎は今や出世の糸口をつかみ、偉い医師の藤堂のところへ婿入りが決まっていた
お歌と切れなければならない源七郎の行動が終盤に長々と描かれ、ここら辺は色々解釈できそうなところ。源七郎がお歌に薬だと言って毒を盛ってきているが、刀舟はそれを見破り、毒を取り上げる。が、別口で、源七郎の内祝いとして酒が持ち込まれており、それを飲んでお歌は亡くなる。
源七郎は自分のせいだと言うも、刀舟が源七郎の毒を見せ、酒のほうの毒の出どころは、となり、本当の悪役が登場という風に展開。
二回連続で頭師かと思いきや、違う人だった。調べてみたら兄弟とのこと
永井秀和と聞いて、永井秀明を思い出していたが違う人だった、が調べてみたら親子とのこと

*11/1
第70話 1976.01.27 「死を運ぶ男」
吉岡道玄:平田昭彦、銀次:重田尚彦、八重:伊藤栄子、桂木肥前守:稲葉義男、立花四郎太:島田順司、ふじ:野口ふみえ、雪代:新井純
安楽死がテーマで、心の臓の薬だが多少に飲むと死に至るという薬を依頼によって売っているのが奉行を抱きこんでの御典医と三味線の師匠雪代を中心とした組織。その末端で薬の配布を請け負ってる大工の銀次は喘息で苦しむ姉をなんとか治したいと必死であり、御典医に診てもらうことを雪代と約束していた。だが姉の八重は自ら死にたいと願い、醬油を一気飲みしたり、終いには、弟がそれに絡んでるとは知らないまま、その薬が欲しいと希望するのだった


第71話 1976.02.03 「富くじ殺し札」
山崎辰之進:草野大悟、長吉:市川好朗、赤沢六兵衛:伊達三郎、柴上備前守:近藤宏、源次:中庸介、宮沢主膳:北原義郎、仙吉:関戸純、捨松:晴海勇三、文三:並木静夫、原口:高杉玄
時代劇としても落語でもお馴染みの富くじを中心に据えたストーリー。
当選した人を殺してしまい、金を払わないという元老中宮沢主膳、寺社奉行柴上備前守、そして富くじを取り仕切るやくざもの赤沢六兵衛による不正。
草野大悟が悪徳同心として登場、当選した人を殺してくじを取り返せと指図していたようで、それを実行した男からくじを取り返し、六兵衛に渡しており、不正組織の下っ端といったところ。でありながら、終盤に刀舟の治療を受けた際に天職だとか仕事への誇りということを聞かされ、善玉へ。人質になっていたお蘭を助け、瑞光院で刀舟が危ないと聞き、走り出す。とても格好良い役。
クレジットを見直すと、彼がトップ単独表記で、それもうなずけるような役。出演者が多いためそれほど出番が多かったわけではなく、ワンマンショー的な作りではないが、格好良さが際立っている
また市川好郎という人は聞いたことなく、そこまで有名でないと思うが、かなり格好良い役。当選し殺されたのが兄貴で、フグの毒で死んだという調べだったが、刀舟にこれはフグでなく、一服盛られたということを聞かされ、再度調べてくれるよう何度も粘る。
富くじ、フグの毒で死んだ、と最初の方は落語でお馴染みの題材が連続で出てくる。
悪役どもが刀舟の名前を宣伝に使い瑞光院でも富くじをやろうという流れになり、半兵衛に話が持ちかけられ、自分にも千両が約束され、半兵衛は刀舟には内緒で頼むと話を受け入れているという笑いの場面がある。
冒頭では、お竜が銀六匁当選していて、それをたかが六匁とお蘭が言う。今の宝くじの末等くらいのおのらしく、組違いで下二けたが当たってるというもののよう。
銀六匁を調べてみると、一両の六十分の一が一匁らしく、銀六匁って結構な額。くじが一枚一分(一両の四分の一)、これは落語の設定でもよくあるし、今作品でも瑞光院のくじがその額で売り出されているが、まあそう考えると末等としては妥当、というかくじ一枚の値段が高すぎ。

第72話 1976.02.10 「闇に咲いた渡世花」
新三:久保明、おすえ:北川めぐみ、柿沢弾正:浜田寅彦、お民:小野ひずる、伊助:柳谷寛、鬼の定五郎:長谷川弘、松:阿藤海
桜時雨のお市:甲にしき(トメ、「語り」の前)
前の回と比べるとこちらは甲にしきのワンマンショー的な作り
お市は女旅烏。江戸へは戻りたくない気持ちだったが、やくざに終われる男に頼まれ、千住まで金を届けにやってくる。そこでやくざ相手に啖呵を切り、お竜はそれに惚れこんで真似する始末。
実は商家の娘で、約束しあった男もいたが、駆け落ち覚悟で家を出た日に火事が起き栄羽焼け、その男は来なかった、
その男新三との再会、新三は店で働いていたお民と夫婦になり、お民は病弱ながら赤ん坊をお腹に宿していた。というような展開の一方でお市はやくざとの揉め事が続き、また、これはちょっとつけたしの悪役という感じでやっつけ仕事的ではあるが、千住あたりの土地が道中奉行(浜田寅彦)の暗躍で狩場のためお召し上げになるという計画、それは口実で、その土地を岡場所など歓楽街にするという計画が裏にはあったなどということが持ち上がる。
最後の見せ場としては、やくざのところへさらわれた女たちを助けにお市が乗り込り大立ち回り、お市が斬られたところへお蘭が乗り込み、悪役の一翼である定五郎はお蘭が斬り、お市がとどめを刺すという形、鉄火な口調のお市とお蘭の揃い踏みは他の場面も含めて今回の見せ場。
そして、ここの殺陣には刀舟はいない、刀舟は負傷したお市を看取って、道中奉行を斬りに行く
この回では「刺青師 霞涼二」とクレジットがあり、お市の刺青がフィーチャーされる。刺青が出る回に、スタッフとしてのクレジットだろう。だけど、前回でもお竜の刺青が出てくるが、そのクレジットはなし。

第73話 1976.02.17 「入れ墨の挽歌」
佐太郎:竜崎勝(ゲストトップ単独表記)
およし:町田祥子、川村:森山周一郎、沢田忠順:高城淳一、淡路屋徳兵衛:幸田宗丸、治兵衛:小笠原良知
源作:河原崎長一郎(トメ、「語り」の前)
島帰りの源作は千住に住み着き、それを隠して働いている。その源作がいる長屋へ佐太郎が島から帰ってきた。佐太郎と源作は島で仲間だった。
佐太郎に同心殺しの嫌疑がかかる。しかし源作はその殺しの現場を見ており、また佐太郎はその時刻に、長屋仲間で島帰りの祝いの酒盛りをしていた。
証言できるのは源作だけ。しかし入れ墨者であることを隠したい源作はなかなか証言ができなかった。
殺された同心の日誌には、淡路屋の抜け荷の件を追っていることが最後に書かれており、その抜け荷には淡路屋のほかに、町奉行(高城淳一)と同心(森山周一郎)が関わっており、佐太郎の処刑を急いだ。処刑場に源作は赴き、証言をするが、川村に斬られる。そこへ刀舟と弥九郎が駆け付ける。
刀舟は中盤で源作にその現場で佐太郎がいなかったことを聞いている。もうそこから以降は、いつでも刀舟の出番といえないこともなく、出向くのが遅すぎ
佐太郎と源作は長屋で二人が話す場面以降は一緒になる場面がなく、もう少しこの二人の関係性を深く描いてもよかったか。
竜崎勝は髪を結ってはいるものの、ほぼ現代風のボサボサの頭という感じで、この人のこういう顔を見るのは珍しいような気がする。当時の若手俳優、松田優作だとかの太陽にほえろ若手刑事みたいだ

第74話 1976.02.24 「禁じられた十字架」
お八重:服部妙子、宗之助:剣持伴紀、最上大膳:田口計、田村伝之進:杉江廣太郎、岡島新八:亀山靖博、光元:今村原兵、綾:谺のぶ子
大目付、溝呂木家の側室八重は隠れキリシタンの村の出身、自身は側室入りの際信仰は捨ててはいたが、その痕跡を消すために村民を皆殺し。
外へ出ていて生き残ったのはかつて八重と恋仲であった宗之助。八重に真意を聞こうと訪ねてくるが・・・。
剣持伴紀が前半ではメインゲスト級の活躍。終盤は出番が少ないが。この人は時代劇で常連ではあるが、メインゲストというのはない、というくらいの位置の人。
今回はゲストクジレットで服部妙子と並記でトップ

第75話 1976.03.02 「裏切りの慕情」
おりん:范文雀、本多肥前守忠保:武藤英司、大杉玄馬:大前均、横井孫八:原口剛、多吉:三夏伸、伊藤弘一
一回見終えて、なんだか説明不足というかでよく内容がわからない感じがして、見逃した部分があったかと思い、最後早送りで確認した。というのも何度も眠くなり、無理やり最後まで見たので、そういうこともあったかもということだ。
で、見直したけど、やはりどこか説明不足で、そこを含めて解釈してようやくわかったような気がした。
大目付本多肥前守の密使として老中水野の元を訪れたおりんが水野のところから上知令について書かれている天保の改革の素案の書状を持って逃走。
おりんが何をしたかったのか、書状を渡そうとする相手とはだれか、というような内容。
で、相手というのは横井孫八で、その正体は最後に明かされる形であるが、水戸家家中の者。この横井からおりんは頼まれて書状を盗み横井に渡そうとしていた。
その理由は、劇中の言葉からすると、「おりんは女でございます」「好きになるのに訳がいるんですか」「ただあの人が優しい言葉をかけてくれたんです」ということになり、回想場面で、雨の中鼻緒が切れたおりんに、鼻緒をすげ替えてやる横井だとか、町中で待ち合わせをし幸せそうなおりんが出てくる。
まあ正直言って、「それだけかよ?」というような内容で、もうちょっと深い理由というか因縁というか、そんなのがあるべきで、そこが引っ掛かったのだろう。
ただそういう内容だとわかると、それはそれで面白いストーリーだ。
最後は、横井との待ち合わせ場所に赴くおりん、大目付配下はおりんが誰と繋がってるかを知るため、おりんをわざと自由にしていた。横井を見つけたおりんは横井に近づくが、そこへ大目付配下大杉玄馬が割って入り、おりんは用済みとばかりに斬り捨てられ、横井が水戸家家中の者と名乗り、大目付と言えども手出しできなくなり、横井は歩き出す。書状を横井に向かって差し出すも横井は無視して通り過ぎる。とここで刀舟登場。つまり横井は水戸家がおりんに命じたのではないということにするため、おりんを無視したのであろう。刀舟が斬るのは横井と大杉玄馬など大目付配下。つまり水戸家と大目付はストーリー上敵ではあるが、刀舟から一緒くたに斬られる。
大目付の自害の様子がエピローグで、ナレーションでは上知令がすぐ失敗に終わり、水野は失脚、それは大名旗本の大反対があったためだが、発布以前にその噂が広まったためとも言われている。それが刀舟たちの口から出たものかは定かでない、と締められる
老中、大目付、対老中への反対勢力の政争の象徴である書状を巡る争い、そのカギを握ることになった女の行動意図が一目惚れのような慕情というギャップの凄さにめまいがしそうである

*11/3
第76話 1976.03.09 「帰らざる烙印」
お仲:岩本多代、お常:文野朋子、伊之吉:水村泰三、源七:松山照夫、鬼頭玄蕃:大村文武、長崎屋義平:弘松三郎
岩本多代と文野朋子がゲストトップ並記
二人の女、それぞれの人生模様といったところか
お仲は亭主の伊之吉が島から帰るのを待っている間、息子の病の治療代二両のために身体を売った。
お常は飯屋をやっている。息子は宮大工でしっかりやっていて、その息子自慢と親孝行を客に説いていたが、実は息子は牢に入っていた。
悪役は奉行鬼頭玄蕃を中心にした悪事。鬼頭玄蕃は功績を上げた際にくだされる賞状に執着しており、牢番を抱え込み、仕組まれた牢抜けをさせては捕まえ実績を上げていた
伊之吉は島から帰るも、お仲が身体を売ったことを知り、自暴自棄で博打で借金、悪岡っ引きの源七の誘いに乗り、牢抜けの手伝いをさせられる。そのターゲットはお常の息子だった

第77話 1976.03.16 「十二万石の命」
甚八:高津住男、上田要之進:久富惟晴、大野大膳:細川俊夫、かよ:野口ふみえ、三津代:絵沢萠子、富士乃:原良子、東:山本昌平、玄才:天野新士、甚一:坂上忍(役名なしクレジット)
汐見藩の後継ぎを巡る家老の暗躍。若君、といっても今の正式の殿様であるが、が病で身体が弱って、余命があと数日。その後継に、女中に産ませて今は白を出ているご落胤を取り戻すことになった
が、若君は身体が弱いところに毒を盛られていた。また、取り戻そうとしているご落胤は、実は家老の子であった。

第78話 1976.03.23 「呪われた愛」
お篠:三浦真弓、戸田備中守:北上弥太郎、長野新次郎:石山雄大、お時:小沢沙季子、五兵衛:松崎真、お吉:木之本恵美、海月:中村時之介
旗本の次男坊、長野新次郎は女に金を貢がせて、子ができると子おろし(堕胎)を強要していた。堕胎のほうもシステムができあがっており、寺社奉行黙認のもと寺で行われ、新次郎にとって邪魔な女は手術と称して殺されていた
見ていてふと疑問が。新次郎は何人ものと女をその手口で泣かせており、お蘭がそれを執拗に追っている。こういう描写があるから、新次郎は悪人だと視聴者にはわかっており、騙される側のメインの女はお篠なのだが、なんで騙されるんだろうと。視聴者側だけが新次郎の悪人ぶりを知ってるからかなとも思うが、だがその悪人ぶりは少し見せているし、いいところなんてなにもない様子だし。そして最後にお蘭に新次郎のことを聞かされても、そんなこと聞きたくないと、振り切って行ってしまっており、これじゃあただのバカな女。時代劇の場合登場人物は非常にパターン化されており、助けるに値する人物は助かるのだが、ここではお篠がなんとか助かるという結末。
二枚目に騙されまくってそれでも信じてついていく女というのも定石の一つではあるものの、ここでは二枚目ぶりもあまり描かれてないし、なんで騙されるのやら、と考えると、旗本次男坊、お役目にいずれ就く侍、の嫁という立場がほしいだけの浅ましさしか感じられないのだ

*11/6
第79話 1976.03.30 「生き胴斬り千両」
鬼沢一平:柳沢真一、辻浪江:吉行和子、鈴川大学:杣英二郎、机左内:西田健、
倉田主膳:勝部演之、銀造:杉義一、辻兵馬:堺左千夫
吉行和子が悪事を犯したもののいくらか善玉のように描かれているが、ちょっと無理があるように思える。
辻浪江は浪人飲んだくれの亭主兵馬が酔っ払って寝込んでいるのを見て近くに置いてあった亭主の刀で斬る。浪江のこのことの起きる前にお蘭の命講に入っていた。三十両の掛け金で千両。もちろん浪江が殺したので千両はおりない。だが、浪江が斬る前に兵馬は首を絞められ殺されていた。ということで千両が手に入ることになり、お蘭は四苦八苦。
兵馬を殺したのは机左内で、千両を手に入れるため浪江と示し合わせたものだった。
西田健の存在感と柳沢真一の好演が目立つ
柳沢真一という人はよく時代劇で見る顔。ここでの鬼沢という役は、仕事熱心で善良な同心。とくに序盤でキャラを明確にするためだろう、ひとの良い感じの醸し出し方が良い。こういうキャラはこれまでこのシリーズであまり出ていなかったと思う

第80話 1976.04.06 「地獄の野良犬」
山崎哲之介:藤巻潤、山崎菊:亀井光代、戸村久七郎:清水綋治、本田宗源:小瀬格
新三(安藤新三郎):森下哲夫、和泉屋亮助:森幹太、梅乃家小扇:水原麻記
山崎哲之介は戸村久七郎と組んで、和泉屋依頼の蘭学者暗殺を請け負っていた。本田宗源が蘭学者を排除することで幕府内での力を得ようとしていたのだった。
一方哲之介は仇持ちでもあり、叔父の仇として幼馴染の新三郎を追っていた。が、もうとっくにそのことは諦めていた。特に殺しの仕事を始めてからは。
しかしその新三郎が目の前に現れた。息子長一郎(上屋健一)が井戸に落ちそれを助けたのが今や芸人となって、小扇と組んでいる新三郎だった。一度は興奮して刀を振り上げるも、もう自分にはそんな意欲もないことを思い出し、女房菊も含めて三人で仲良く遊んだ幼年期を思い出し、自分に何かあったらあとを頼むと言い残し、殺しの仕事と決別するための行動に出る
藤巻潤、この頃の時代劇ではよくメインゲストで出てくる、ここでもそうだ。
吉右衛門版鬼平でレギュラーを務めていたが、比較的重要でない役で、おれはそちらのイメージが強いので、今回のようにメインゲストでの演技を見ていても、どうもしっくりとこない。実力以上の役をやってるように見えてしまうのである
水原麻記と聞くと必殺を思い出す。出演リストを見ると、やっぱりその通りでレギュラーはなくゲストでのみの出演だが数は多い。おれの記憶にあるということは、良い作品があったのだと思うけど、どれだろう。「必殺を彩った女優たち」という記事を上げてあるが、その中に入れてるような気がしたが、入ってなかった。「必殺仕切人 第18話「もしもソックリの殺し屋が現れたら」」この作品は覚えてはいるが、大した作品ではない。
最近水戸黄門の方で滝田裕介を見て、清水綋治に似ているなと思っていた。顔が似ているというより、表情の作り方が似ているという感じがした

第81話 1976.04.13 「振袖の熱い涙」
佐吉:松橋登、桶屋儀三郎:山岡徹也、忠兵衛:福山象三、源八:西田良、お春:安東結子、吾作:阿部昇二、十左衛門:桔梗恵二郎
今シリーズで初めてだったと思うがお竜のフィーチャー回でサブタイトルもお竜を表している
江戸の人口抑制のための人返し令、それを差配するのは町奉行配下の町年寄で、金を払えば目こぼし、払えなければ江戸追放と、金儲けの手段ともなっていた。その対象となり金をむしり取られるのが佐吉、夫婦約束をしたお春という女がいた。
お竜は金のため賭場にやってきた佐吉に恋をし、勝たせてやるも、賭場を仕切るやくざに目をつけられ、差しの勝負を持ち掛けられ、お竜も仕方なく、佐吉をいかさまで負けさせる。この場面は善玉をレギュラーが引っ掛けるという構図でシリーズの中では珍しいともいえる
再度の出会いは、急に振袖が欲しくなり入った呉服屋、佐吉はそこで働いていたのだった。見立ててもらって大喜びのお竜だが、それを見せに瑞光院に戻ると皆に笑われ、そこを飛び出していくなんていう場面は見どころのひとつ
ジャネット八田は、今シリーズでは時代劇にはちょっと不似合いなところが逆にインパクトとなっていい効果だったが、出番が多くなると多少稚拙な部分が見える。まあ全部が悪いわけでなく、格好良いシーンもたくさんある
お蘭がお竜に佐吉には「夫婦になる約束をした人がいるんだよ」、と言う場面があり、その後お竜の回想でその言葉が聞こえてくるが、そこでは「お春ちゃんていう夫婦になる約束をした人がいるんだよ」とお春の名前が入ったセリフに変わっている

第82話 1976.04.20 「黄金地獄」
喜助:浜村純、丈次:尾藤イサオ、丹波屋徳右衛門:潮万太郎、丹波屋宗之助:北村総一郎、大野成綱:田中浩
尾藤イサオという人はキャラのはっきりした個性的な役者で個性的「過ぎる」きらいもあるくらい。明るくおしゃべりでお調子者というここでの役ははまりやく。
序盤は彼の独擅場で素晴らしい作品の入り方。
小悪党の巾着切りの役で、偽小判を盗んでしまったがゆえに悪役に追われるという展開で、岡場所に売られた好きな女を取り返すため金が欲しかった丈次はお蘭と組んで決死の作戦を行い死んでいく。
おれは見ていて彼が出ていた「新・必殺仕置人の第17話 「代役無用」」を思い出していたのだが、こちらは尾藤イサオでなく桜木健一だった。
北村総一郎が若旦那の役。年齢を経てからのほうをよく知っているので、若い姿は新鮮。悪役であり、刀舟の殺陣の場面にもいるのに、なぜか斬られずに終わっていく。斬るに値しないバカと判断されたか

*11/7
第83話 1976.04.27 「黒の追跡」
沢田せき:宝生あやこ(ゲストトップ単独表記)
脇坂刑部:中村竜三郎、梢:結城しのぶ、近江屋加助:上田忠好、島崎唐十郎:梅沢昇、
沢田源之助:山口崇(トメ、「語り」の前)
沢田源之助はアヘン探索に血道を上げる同心。父親をアヘン中毒で亡くしておりアヘンを憎んでいる。せきが母親で、家名のことばかり言うのを源之助は父親の死もそれが影響を与えていると母親を責めた。
そのアヘン捜査が奉行の命令ということで止めさせられ、源之助は黒い霧を感じる。
唐突だがお竜が病で下田へ療養へ行くことになり、今回で出演は終了。こういう事柄を差し挟むのにうまいやりかたはないものか。今回途中で胸が苦しくなるお竜の描写、そして最後のところで、刀舟がお竜に療養のため下田へ行くように勧め、お竜が承知する。この最後の場面でこれを差し挟むことによって、そしてその場面は重要レギュラーのさよなら場面とありそれなりの時間を取っているので、源之助の件の余韻が消え去ってしまうのを感じ、この件の後に、源之助とその一家のその後についてのナレーションがあるので、途切れた感じになってしまっている
やっぱこういうときはお竜メインの回にしたほうがスムーズなのかねえ
刀舟の殺陣では、「叩っ斬ってやる」のところで、悪役の奉行が悪役の近江屋を盾にしていて、上田忠好の慌てっぷり「お、お、お奉行様、な、な、何をなさいます」が楽しい

第84話 1976.05.04 「炎のめぐり逢い」
お国:風見章子、仁村屋久兵衛:田武謙三、おきん:横山道代、お照:津山登志子、市川玄蕃:川合伸旺、長次:広瀬昌助
長次とお照は兄妹で、母親お国と人がうらやむような仲良しの三人家族。だが、実はこの三人、江戸の火事の際家族とはぐれてしまった他人の三人なのであった。
第82話もそうであったが、この回でも殺陣で斬られない若旦那。
新レギュラーの「矢車のお千:上原美佐」登場。新たに加わったということで「らしい」演出での登場だったり、この瑞光院四人組の仲間に加わっていく過程の演出もあるにはあるが、とってつけたようなもの。
そういえばシリーズ序盤は瑞光院五人組というほど結束した仲間という感じはなかったと思うが、いつのころからか、自然と五人で集まっのが普通になってる
必殺と大きな構造としては相似していると思った。印象は大分違うし異なってる点を挙げればいくらでも挙がられるとは思うが。虐げられた善良な貧民が権力者に悲惨な目に遭わされ、その復讐がメインという構図

第85話 1976.05.11 「消えた五千両」
源造:鈴木瑞穂、山代屋清兵衛:菅貫太郎、お孝:遠藤真理子、戸沢備前守:天本英世
政吉:岡部正純、与七:中庸介
お孝は盗賊の娘で14歳。15歳になると親の罪に復すため島送りになるという縁座を扱った回。
その親の盗んだ五千両が見つかれば情状酌量で島送りが免れる、その五千両を巡るストーリー。
岡っ引きの源造はお孝の親である銀二が金を巡って殺され、その死に間際娘のお孝のことを頼まれていた。
源造は親身になってお孝の面倒を見ており、善玉かと思いきや、源造の狙いもその五千両で、悪役と連絡を取り合い結ぶ、が、金が見つかると殺され、最後にはお孝との日々を回想するという善玉→悪役→少しだけ善玉回帰みたいな役。まあ悪役であるかえど
遠藤真理子、15歳は無理あるかと。と思って調べたら当時まだ16歳だ。すっかり顔は出来上がっている
大岡越前は78年からだが、江戸を斬るには75年から出演している。ということは当時15歳、江戸を斬る2のレギュラーだ
金四郎とのやり取りなど、その初回もよく覚えている、魚政三姉妹の末っ子だ。

第86話 1976.05.18 「浦賀の花嫁人形」
卯之助:太田博之、お栄:竹下景子、木曽屋政五郎:浜田寅彦、稲垣主馬:沼田曜一、青山左京:横森久、山際源八:高杉玄、喜助:袋正
庶民から出資を募り、成功したら倍返しという木曽屋による舟での荷運び。1回目は成功し、出資金は利息をつけて戻った。そして2回目、舟は沈み、出資金は戻らず。しかし2回目は出航もせず、舟乗りは舟に乗る前に殺されていた。
木曽屋の主人政五郎と息子の卯之助が悪役善玉に分かれている構図。善玉卯之助は刀舟に諭され、善のために生きようと悪役勢揃いの中宣言し、一方父親の政五郎は息子を斬ることを決断するという場面は見どころ。
そして卯之助は斬られるが、政五郎もやがて邪魔になるということで刀舟の殺陣の前に斬られてしまうという展開。
刀舟が卯之助を煽ったようにも見える展開ではあった
竹下は、木曽屋の手代で、2回目の舟の責任者であり、舟に乗る前に裏が奉行配下に斬られた吉蔵と夫婦約束していた女の役。
浦賀に友達を見舞っていた刀舟が斬られた吉蔵を見ていたことから事件の真相が暴かれてる

第87話 1976.05.25 「謎の梅屋敷」
鉄斉(関玄鉄):大滝秀治、お美輪:市毛良枝、玉井右近:中山昭二、楯岡庄兵衛:中井啓輔、おきぬ:小野ひずる、新八:頭師孝雄
またもや蘭学者狩りの話
蘭学者狩りを指図しているのがお留守居役の玉井右近で、実行者が黒桑者という忍者の集団(伊賀、甲賀、根来と並ぶ存在に盛り返したいなどと言っており、かつては盛っていたが今は落ち目の忍者集団という位置づけだろう)
その組頭が中井啓輔
その配下でありながら蘭学者狩りに疑問を抱くのが頭師孝雄
狩られる側がメインで、最後の一人として狙われてるのがシーボルトの生徒で眼科医として名医の玄鉄、江戸へ御殿医として右近から呼ばれ、断りに江戸へ出てきたまま行方不明、指人形師鉄斉と名前を変えて千住の地蔵長屋に潜んでいた。
その娘美輪は父を心配して江戸へ出てくる。
見ていて、視聴者としては当然大滝秀治が最後の一人として狙われてる玄鉄だとわかっている。
ヨレヨレになって瑞光院に運び込まれた美輪に刀舟が鉄斉への手紙を言付け、そこで父娘の対面、手紙は白紙だった、という場面があり、そこで作品内では初めて鉄斉が玄鉄だとわかる場面なのだけど、それより以前に刀舟は気付いてる素振りをする場面はあり、それを仲間に早く言えよと思わないでもない。
そうそう、シリーズ序盤では棺桶寺という名前が頻繁に出ていたが、ここしばらくは全く出ていなかった。何かの事情で使うのを止めたのかなと思い、遅ればせながらこの記事にもその言葉を使うのを止めていたのだが、今回は久々に棺桶寺という名称が出てくる

第88話 1976.06.01 「百年目の逃亡者」
牧野日向守:青木義朗、八田修二郎:松山省二、本多豊後守:大村文武、榊主膳:高城淳一、野村美和:紅景子、浅田勇之介:堀勝之祐、小沢信蔵:黒部進
八田左内:中村竹弥(トメ、「語り」の前)
尾形藩の家臣として三代にわたり入り込む公儀隠密の親子、父が左内、息子が修二郎。修二郎がその役目を継ぐのを拒否し、逃走、左内もそれを追って藩から出奔、公儀からも藩からも終われる身となる。非常に面白い題材で、また中村竹弥の異様な迫力もあって見ごたえあるのだけど、終盤になってストーリーがボロボロという感じもある。
双方から追われているのに、左内は修二郎に対して再度その役目を継ぐように言ってるのは変で。もう戻る場所などないだろうに。
左内は最終的に修二郎の思いを汲んで、老中牧野に、役目を返上することを申し出に行き、多数を相手に斬り合いとなり、多数を斬りまくる一方で、斬られまくる、が、なんとか死なずに、棺桶寺まで戻ってくるのはご愛敬か。新必殺仕置人、最終回の鉄がゾンビのように動いていた、みたいなものか
そして牧野方は左内が片づけたとなると、刀舟は尾形藩の上屋敷に乗り込むしかなく、まず修二郎が父の仇として、尾形藩へ乗り込む。これは勘違い、だって父は牧野邸でやられたのだから。
で修二郎を追って刀舟も登場、修二郎がやられたわけでなく、まだやる気十分という状況で刀舟が現れ、修二郎に手を出させもせず、刀舟一人で全部をやっつける。
でも、考えてみると、尾形藩は悪いこと全然やってない、隠密を嫌がるのもわかるし、であるから、八田が公儀隠密だと知って、それを排除しようとするのも当たり前としか思えない。
不惜身命という言葉が出てくる。おれは貴乃花で知った。その頃から貴乃花はじめ彼のいた二子山部屋勢中心に四字熟語を口上で述べるというのが始まったと記憶しており、また、その四字熟語が世間的にはほとんど知られていないものが多かったとも覚えている。

*11/8
第89話 1976.06.08 「哀愁の女ふたり」
お銀:赤座美代子、三浦大膳:渥美国泰、大津屋宇兵衛:小林昭二、お藤:浅利香津代、仲森万之助:小林勝彦、堺屋儀助:増田順司、谷口源七郎:森川公也、市川田三郎:きくち英一
姉妹のように仲の良い同じ年齢のお銀とお藤が、雨宿りに入った空き家で、同じく雨宿りにきた侍三人に犯され、そこから彼女たちの人生は狂った。
そして五年後。お銀は岡場所を流れ歩いており、今は千住。そしてお藤は飛脚問屋の後妻に納まっていた。
一方侍三人のうちの一人は勘定方の職に就き、飛脚問屋を舞台に悪行を繰り返しており、それを他の二人に手伝わせていた。そして次のターゲットになったのが大津屋で、お藤と再会をしてしまう。
三人の侍が小林勝彦、森川公也、きくち英一で、勘定方で働いているというメイン格が小林。
赤座美代子、浅利香津代どちらも素晴らしい演技。ストーリーは目新しいものではないものの、とてもよい。ただ一時間ドラマの制限とでもいうか、稚拙なところもたくさんある。もうちょっと話を膨らませたり、稚拙なところを丁寧に描けば映画にでもなりそうな感じ。
刀舟が殺陣の際、お銀の持っていた簪を投げて仲森万之助のおでこを刺し抜き殺している。刀以外を使うのは初めてではなかろうか。
ちょっと前に必殺との相似について書いたが、今作なんかは典型的で必殺にもありそうなストーリー。
そういやおれは主水について殺しをするときに、殺しの前か後に、説明的に必ず一言言うと思っていた、子供のころの記憶という意味でである。ところが年を経てから見てみると、ここで一言ほしいなというときに何も言わずに殺しを終えることがある。ある、という程度でなく、非常に多い。喋るほうが稀なであるというようなシリーズもあったように思う。そして見ていて、喋らなくてもいい、喋らない方がいいくらいだとも思うようになった。
そして今シリーズの刀舟、おれは上のように主水に思っていた殺しの際に喋るかどうかという点だが、ベラベラそこまでのまとめという感じで喋る、悪役がやった悪事の説明、何に対して怒っているのかということを過不足なく喋る。おれはこんな感じのことを、もちろん刀舟風ではないけど、主水が殺しの際喋ってたように思っていたのだ。というかこれがあると視聴者は溜飲が下がるというか、時代劇の常道であろう
おれ、偉い。宮田容洋という人が「米造」役でクレジットされている。なんとなく名前に見覚えあり。調べてみたが、宮田陽・昇の大師匠が宮田洋容。名前の漢字の順番がひっくり返ってるけど


*11/9
第90話 1976.06.15 「さすらい母恋い唄」
お京:栗田ひろみ、野村宅之進:郷鍈治、瀬川主膳:今井健二、お弓:小沢左生子、三吉:雷門ケン坊、甚助:奥村公延
栗田ひろみは清純派そのものといった女優でそんな役ばかりだが、ここでは険しい顔の不良少女として登場、なんだか似合わないなあと思ったが、役柄的にはそういう似合わない表情をしていて当たりという役。立派な商家の娘だが母親との確執で家出少女となっていたという役で、最後には憑き物が取れ清純娘としてストーリーを終えている
ストーリーは類型的で、アヘンの扱いを巡るもの。お京の母親お弓がその密売を担っており、お京にもアヘンを仕込むなんて場面や、口封じのためお京を刺すという展開にもなっていく。が、最期にはお京の説得で良心をトロ戻したか、その仕事を止めると柘植、刺されてしまっている。
今井健二は藩の重役でアヘン密売の大元締という役だが、存在感なし

第91話 1976.06.22 「天保女医秘録」
青木志乃:新藤恵美、水野主水正:中村竜三郎、加賀屋:近藤宏、青木良斉:村上冬樹
薬園奉行水野と薬種問屋加賀屋の悪行、薬の効果を見極めるための人体実験。それを諫めた水野に使えた良斉は自害に見せかけ殺された。
良斉の娘志乃が江戸に戻り、女医の看板をあげる。
青木の女房が異常妊娠で、治療を頼まれ、医師の勤めだとそれを引き受ける志乃。無事出産させる。しかし父の死の真相を知り、再度青木を訪ねる。
今回はこういう場面で志乃が抹殺されそうなところへ刀舟が登場、とどめの一撃は志乃が行う

第92話 1976.06.29 「狙われた女」
加代:高田美和、倉之助:島田順司、本橋刑部:加賀邦男、和七:藤岡重慶、皆川唐十郎:佐藤京一、駿河屋辰蔵:幸田宗丸、伊勢屋利兵衛:庄司永建、伊八:野呂圭介
浪人倉之助の女房加代は亭主に茶店で働いていると嘘を吐いて体を売って稼いでいる、その際に殺しを見てしまい狙われるようになってしまった。
倉之助はかつて医者であり、息子を殺してしまったという自席から医者の道を捨てており、加代はなんとか立ち直ってもらいたいとそのために金がほしかったのだ
加代の見た殺しは、勘定奉行が駿河屋と組んでの偽升作り(上げ底の升で米を売り儲けを得る)に関わることであった。
殺陣の前の手術場面では加代が狙われて怪我、その手術を倉之助に任せるという場面がある

第93話 1976.07.06 「大江戸の黒い霧」
大内正二郎:森次晃嗣、おいそ:井原千寿子、渡海屋:野口元夫、源八:木田三千雄、元老中(大久保加賀守):中村時之介、
武蔵屋:加藤嘉(トメ、「語り」の前)
筆の力を信じ悪を暴こうとする瓦版書きの大内正二郎
悪は元老中大久保とフィクサーの武蔵屋、幕府に食い込もうと武蔵屋に持ちかける渡海屋によるいかがわしい貿易
阿藤快みたいな人がいたがクレジットはなかった
なお最後のナレーションによると、瓦版という言葉は明治時代になってから出来た言葉だそうだ

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第94話 1976.07.13 「十万石の罠」
増田武太夫:織本順吉、瀬川矢五郎:菅貫太郎、小川若狭守:北原義郎、太田新之丞:原田清人、木谷主人:深江章喜
捨吉:すのうち滋之(子役)
久米哲之介:若林豪(トメ、「語り」の前)
浪人の久米哲之介としじみ売りの捨吉はなんとなくの縁で一緒に暮らしている
久米哲之介は三人の浪人仲間、瀬川と太田、でつるんでいる
太田が小浜藩の御前試合に臨む、これに勝つと仕官できるのだ。しかし決勝で蒔けてしまい自害。
この御前試合は小浜藩が浪人から金を巻き上げるために仕組んだものだった。
家老、増田武太夫が主導で、殿様である小川若狭守も了解、そして木谷道場主が実働部隊
小浜藩は百姓一揆が起こり、幕府からの取り潰し一派手前。点数を稼ぎたい小浜藩、さらに増田の悪だくみは続く。浪人を集めて幕府に謀反を起こそうとしているとして取り締まると言うのだ。その浪人集めを担ったのが久米の仲間であった瀬川矢五郎であった
子役の捨吉が大きくフィーチャー、キャスト順では後ろの方だが
深江章喜が若林豪に似ており、最初見間違えた。

第95話 1976.07.20 「ある少年の出発」
桂木新太郎:島英津夫、桂木源之助:山本豊三、若松屋藤兵衛:小鹿番、市川武十郎:北条寿太郎、おうめ:緋多景子、
宮崎監物:田中明夫、宮崎綾:真屋順子(トメ、「語り」の前)
会津藩の漆を巡る不正。
新太郎は父親源之助が殺され、その10年後の15歳という設定で島英津夫。
新太郎は父の死後預けられていた医師どうさいの遺言で刀舟に本を届けにやってきた。
その母親は亡くなったと聞かされていたが、実は存命で綾。その父親が江戸家老の宮崎監物。綾を城に上げたことで出世した。
綾は源之助と強制的に別れされられていた。
新太郎は父親から仇討など考えるなと言われ医師への道を歩んでいたのだが、真相を知り仇討に行こうとするが刀舟はそれを止め、自ら行く。
島英津夫は錦之助の息子であり、確か錦之助の息子というのは早逝していたはずと思ったが、この人は存命、他の二人が亡くなっている。ちなみに島英津夫は錦之助の実子ではなく、再婚相手の淡路恵子の連れ子
田中明夫、真屋順子はクレジットで「語り」の前に並記、「語り」の前後でのクレジットで並記というのはこれまでなかったと思う

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第96話 1976.07.27 「怒濤佐渡の嵐」(前編)
第97話 1976.08.03 「怒濤佐渡の嵐」(後編)
巳之吉:有川博、神坂外記:中山昭二、湯浅平馬:柴田侊彦、お京:杉本美樹、お雪:津山登志子、楠原唐八郎:大村文武、島蔵:大東梁佶、おりん:浅利香津代
早崎道庵:大友柳太朗(トメ、「語り」の前、前編のみ)
(ここから後編のみ登場)おみよ:麻田ルミ、伊沢源十郎:尾形伸之助、宇兵衛:岩城力也、新助:伊藤敏孝
前後編もので旅もの。
佐渡金山が舞台。刀舟がお千を連れて佐渡、という始まり。佐渡でコレラが流行り、旧知の道庵に呼ばれたのだった。この道庵は医師であるが、裏の顔は抗議の隠密「里隠れ」(二代、三代にわたって隠密として活動)である
前編では、一方で江戸での話が展開される。前編の終盤までは、この佐渡と江戸の話に接点はない。
が、島帰りしたばかりの巳之吉が無宿人狩りで佐渡金山へ送られることになる。巳之吉の父親はお竜が父親を亡くし母娘で江戸へ出てきてひもじい思いをしていた時に命を助けてくれたという大恩人。半兵衛とともに巳之吉それを奪回しようとするも、どうすることもできず、佐渡になら刀舟もいるし、ということで佐渡へ行くことになるという展開がある。
弥九郎は刀舟の代わりという役目があるから江戸に留まる
前後編だけに時間が余裕があるのか、じっくり丁寧に描かれてるようなところもあり、それゆえ、壮大な時代劇という雰囲気はある。ただ、単に色々盛り込んで話を長くしているだけとも思える。後編に登場するおみよは佐渡の娘で目が不自由だったが刀舟が手術で治ると言って、手術をしてやり、目が治るも、悪代官に手籠めにされ自害、恋人の新助はその死骸を抱え奉行の前に出て殺されてしまう、とこのエピソードもこの回の主要なものなのだろうけど、全編から続いていた佐渡金山奉行の悪事や巳之吉の話に比べると、後編になって突如登場してきたから、付け足しのように見えてしまう。
浅利香津代は間をおかずに再登場、前回良い演技で印象に残ってしまっており、間をおかないとちょっと混乱。

第98話 1976.08.10 「死神のくれた赤ん坊」
磯貝新兵衛:竜崎勝、およし:夏桂子、お糸:北林早苗、大黒屋勘助:北見治一、志乃:津田亜矢子、小野左門:高木二郎、政:青森伸、お京:沙川露里
殺し屋だが、情にほだされたか、依頼された一群にいた赤ん坊を殺さずに助ける。この磯貝が弥九郎の国にいたときの道場の先輩という関係で、赤ん坊を弥九郎に託す。
その殺しの依頼主が一番に殺してほしかったのがその赤ん坊だった、という始まり
その赤ん坊はある藩の側室お糸が側室になる前に作った赤ん坊であった
竜崎勝はトップで単独表記、格好良く作られてる。

第99話 1976.08.17 「黄金の腕」
栄次郎:中野誠也、稲葉大炊頭忠頼:北上弥太朗、田丸屋:潮万太郎、北条茂昭:弘松三郎、真鍋主膳:木村元、戸沢友成:綾川香、小松源内:内田勝正
焼き物の名人栄次郎の作る皿を巡るストーリー。
城の石垣修復を命じられる各藩に在籍的に厳しく、逆に幕府としては、そのことで諸藩を支配。
老中稲葉は焼き物に目がなく栄次郎の作る皿を見つけ持って来たほうに、石垣修復を免除させるとして、競争させた。
目利きの田丸屋が相当に姑息な悪役なのだが、最期の殺陣で刀舟に斬られずに済んでいる。
その殺陣で久々に弥九郎も参加、内田勝正を斬っている

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第100話 1976.08.24 「夜歩き美女」
大和屋惣兵衛:内藤武敏(ゲストトップ単独表記)
お雪:服部妙子、山代屋儀兵衛:武藤英司、柴田山城守:田中浩、玄達:渡辺高光
火付けをしてまで材木の値上がりを謀る山代屋と若年寄の柴田。
一方材木問屋の肝煎りである大和屋は値上がりには反対。
大和屋の娘お由紀は夜歩き病(夢遊病であろう)にかかっていて、悪の策略に利用されようとする
最後の殺陣では、刀舟が口上を述べると、柴田が山城屋を斬り、刀舟が柴田(と配下)を成敗するという珍しい形
玄達というのは祈祷師で、悪だくみに参加するのだが、最後の殺陣で殺されず、半兵衛にげんこつを食らっている
内藤武敏と武藤英司、単に「藤」という字が入ってるというだけの共通点だが、続けてクレジットされ、そういやちょっと顔つきが似ていて、俳優としてのポジションも近いように思える二人だ。この二人が材木問屋という同業で一方が善玉一方が悪役という役で、対峙する場面も多い。
ちょっと前に浅利香津代について、間をおかずに違う役で出てくることについて書いたが、この回の田中浩、同じシリーズに何度出てきても、そして同じような役が多いが、安心して見てられる。
ウィキで見てみたら、田中浩はほぼ20回ごとに出ている。次は第120話

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第101話 1976.08.31 「暗黒街の罠」
平吉:森次晃嗣、河田備中守:加藤和夫、天神の鉄五郎:汐路章、八木清蔵:五味龍太郎、お高:大関優子、大西弥三郎:中村時之介、榎の増次郎:幸田宗丸、河内屋新助:鶴田忍
上方の新興ヤクザ榎一家が江戸へやってきて天神組のシマに食い込む。その抗争を町奉行が操り、榎一家を潰す算段
平吉は同心八木の密偵、その密偵にされた経緯は、親殺しの罪をネタに脅されたもので、だがそれは冤罪だった。そして八木が老いぼれて使い道がなくなった密偵を殺し、その殺しの罪を平吉に被して脅し。榎一家へ潜入させられる。平吉と恋仲なのが髪結いのお高
ここではまず五味龍太郎。おれが見たものでは多くが悪役の用心棒という役柄で端役ということでなくてもメイン格のものは少ないのだが、ここでは悪役側のメインで、映像もアップになるところがあったりで、その悪相がフィーチャーされており、彼の演技が堪能できる
また鶴田忍、こちらはヒロイン、お高につきまとうという程度の端役ではあるが、川に落ちて水の中でもがく場面は面白い。ストーリーに絡まない形のコメディリリーフ的役割かと思いきや、悪役どものの陰謀にちょうどよいと、殺されてしまう役。

第102話 1976.09.07 「仏像を抱く女」
奈美:梢ひとみ、佐伯要之介:清水綋治、小田切主膳:高城淳一、堀川大三:岡部正純
寺の仏像を盗む一団が現れる。その首領が佐伯要之介で、その一団の中に女もおり、それが奈美
これは寺社奉行小田切の指令によるものであり、佐伯はそれの報酬に仕官が約束されている。
奈美は弥九郎の幼馴染であり、そういう形で弥九郎が大きくフィーチャー、背中から斬られてしまう場面もあり、この回で最後かなと思ってしまった、確かシリーズを途中退場するというのはウィキで見ていたのだ。
岡部正純はチンピラ役が多いがここでは同心らしき役、彼なら悪役岡っ引きあたりがお似合いなのだが。
最後のナレーションで寺社奉行には与力同心はなかったとあり、そうすると岡部の役はなんなのだろう、寺社奉行配下の者ではあるのだが。

第103話 1976.09.14 「怪談赤いろうそく」
辻屋お冬:長内美那子、喜八:小野武彦、千倉屋重兵衛:伊達三郎、小田切豊前守:小笠原良知、お芳:萩原奈穂美、辰三:中庸介、田川哲之丞:滝川順
色蝋燭を売る蝋燭問屋の辻屋に人間に血が入った蝋燭だという謂れのない噂が流れる。
辻屋は会津藩から特産品の蝋燭を入荷している御用達問屋。その御用達を奪おうとしている千倉屋はバックに大目付小田切をつけての企みだ。
お冬が女主人、娘がお芳で番頭が喜八
クレジットの小野武彦を見逃していたか、小野武彦っぽいなあと思いながら見ていた。ゲストメイン格である(メインは長内美那子がトップ単独表記だが)
終盤にお冬と喜八が結ばれる展開なのだが、なんだか唐突な気がした。ただただ実直で主人からの信頼の厚い番頭だと思っていたのに。
でも考えてみると、喜八が賊に襲われ刀舟のところに運ばれていたとき、異様に熱心にその無事を願うお冬という描写もあったのだけど・・・。まあ恋情だとか愛情のように見えなかったなあ。もうちょっとそういう要素を強く匂わせてもよかったか

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第104話 1976.09.21 「天保やっちゃば秘録」
吉崎島之助:小坂一也、お千勢:堀越陽子、五平:今福将雄、三田村大膳:内田稔、濱松屋徳兵衛:外野村晋、清水屋辰三:杉義一、矢沢軍十郎:森山周一郎、源七:灰地順 、お咲:橘倫子
青物野菜流通に関する不正
御膳奉行三田村、その配下で組頭の矢沢、青物問屋の清水屋が悪役で、公儀御用御納屋掛上納請負の濱松屋を取り潰そうとする。濱松屋の後妻がお千勢。お千勢の過去を濱松屋は知らないでいたが、元は武家の娘で、吉崎島之助の女房だった。
お千勢が島之助のもとを失踪するという五年前の出来事が冒頭。
この失踪の原因が時代劇っぽくなく、家名のことばかりをいう島之助に対し、お千勢は女にも心がある、その心を大事に生きていこうというような現代的理由での失踪。
終盤はあれこれ立て続けに起き、それらが一々「?」という感じである。
走物(はしりもの)と称する「初物」の制限というのがあり、走物上納品として「ウド」を調達するように濱松屋に声がかかるが、全部買い占められていて、しかし府中でようやく見つけ安堵。
①そのウドを濱松屋配下の行商の娘お咲が父五平が食べたいと言っていたのを思い出し、盗み出す(町への流通は制限されている)。
②それを聞きつけ矢沢らが捕まえにやってきて、それをお千勢が私が渡したと言い出す。
③そこへ島之助が駆け付け、矢沢ららと対峙、刀舟も駆けつけ、矢沢らは引き上げる。
④濱松屋が首を吊ったとお蘭が知らせてくる。
⑤濱松屋が亡くなり、裏切っていた番頭源七(清水屋にそそのかされた。お咲が盗み出すのを告げ口したのも彼)が後悔して謝罪、真相を告げ、さらにお千が黒幕を告げに駆け込んでくる。
⑥島之助が三田村の屋敷へ乗り込むも、それを制して刀舟の殺陣という展開
①のお咲はそこまでの展開で盗み出すような娘でないのだが、いきなりでストーリーのための都合の良い展開
②のお千勢が罪を被ろうとするというのはまったく意味がない行為
③は良い場面で島之助がお千勢が離れていった真意を知った上で、お千勢のために命を懸けようとするということだ
④闕所の知らせが自害の理由のようだが、まだウドが盗まれて騒動(御納屋掛取り上げ、闕所となっていく)になってることを知らないはずなのに。
⑤お千が真相を伝えにやってきて、殺陣に繋がるというのはお約束定番パターン。最初のころはどうだったか覚えてないが、まあ長いシリーズで、お約束があるのも仕方ないか
同じようなことでいえば、初期レギュラー五人がさほどまとまった感じはなかったがいつの間にか五人で事件の真相を探る組織みたいに自然な形でいつも集まっている(といっても刀舟は大抵事件に無関心を装っており、真相を探るというような行動を取るのはお蘭、お千、半兵衛といったところ。弥九郎もそういう行動は基本的には取らない)。こういうのも、話を作るのも大変だし、長いシリーズになると仕方のないことか

第105話 1976.09.28 「闇の中に鈴が鳴る」
おいね:江夏夕子、伊吹哲之介:水村泰三、淺磨屋藤兵衛:浜田寅彦、生沢刑部:沼田曜一、お絹:関根世津子、鬼塚源七郎:中井啓輔、根津の酉蔵:黒部進
斬られ崖から落ちた男が刀舟のところへ運び込まれる。その男は記憶喪失になっていた
記憶喪失というのはドラマでは安直に使われる。話を作りやすいのだろう。
赤穂藩江戸家老生沢刑部、配下の鬼塚源七郎と淺磨屋による塩の横領、売り惜しみのよる値上げ画策、不正な横流しという悪行で、記憶喪失の男は国元からそれを探るため江戸へ派遣された伊吹哲之介だった
記憶が段々蘇っていくのだがその過程で淺磨屋の女房おいねが哲之介と関係があったことが明らかになっていく。おいねは哲之介の正体を探るという使命で色仕掛けで近づき親密になっていた。おいねは哲之介を裏切ったのか、裏切っていないのかというあたりが焦点。ここがちょっとよくわからない。裏切っていないとおいねは哲之介に言い張り、作品展開的にもそういう風につまり悪役ではなさげに描かれているのだが、最後に明らかになる哲之介の記憶では裏切っており・・・。
最終的においねは刀舟に斬られることもなく、最後哲之介が元気を取り戻り瑞光院を旅立つ際に見送りにきており、そこでちょっとだけ視線を絡ませるが言葉も交わさずに哲之介は去っていく、という終わり方。
塩の 横領 不正な 横流し そして売り惜しみによる 潮の値上がり 操作
赤穂藩なのだと思うが、作品内でずっと「あそうはん」と言ってるように聞こえ、最後の刀舟の殺陣の前に悪役の悪行を言い立てる場面では「あこうの塩」と言ってるように聞こえるが「あくの塩」とも聞こえる
サブタイトルにある鈴は記憶喪失の哲之介が異様に反応する唯一のものが鈴の音で、それはおいねがいつも腰につけていた鈴の音だった
淺磨屋藤兵衛:浜田寅彦とウィキにあるが、キャストクレジットでは役名は「浅間」であり、がしかし、本編の中で映る看板は「淺磨屋」

第106話 1976.10.05 「弥九郎白夜に死す」
島崎左平次:久保明、お滝:今出川西紀、島崎庄兵衛:小栗一也、中塚半蔵:平泉征、源助:梅津栄、五平:柳谷寛、おとき:加藤土代子、坂井兵部:久遠利三、峰岸伊十郎:高杉玄
榊大介:真夏竜(トメ、「語り」の前)
サブタイトルからわかるように弥九郎殉職回で、もちろんそれなりに演出はあり、最後はこの回の悪役との壮絶な斬り合いでの討ち死にとなる場面は見どころ
だが、ストーリーへの絡み具合は通常通りで、つまり弥九郎に縁のある人が出てきて、とか、弥九郎が恋した女を守っての死とかそういうものではない。
また冒頭からこの回以降のレギュラーである榊大介:真夏竜が、それとわかる形で登場、つまり、刀舟への弟子入りの若者であり、それにサブタイトルが重なれば、すぐ察せられる。
ストーリーはウィキの弥九郎の項目に注釈として詳しく書かれているが、拝領妻の話。一家四人で長屋に暮らす左平次だが、女房のお滝は拝領妻、息子長太郎は藩の殿様の子。若君が亡くなり、殿様も病となり、急遽長太郎を取り戻す必要となり・・・、という展開。平泉征がいい役で、左平次の脱藩を助けたくらいの仲であり、長太郎を頭を下げて取り戻すも、返せないと断られ、左平次側につく。
梅津栄はいつもあのキャラ相応の変な役だが、ここでは比較的まともな岡っ引きの役。最後の刀舟の殺陣では、藩の上屋敷に乗り込んでいき、なぜか岡っ引き風情のくせに源助はそこにいて、刀舟には斬られずに済んでいる
弥九郎が最期を遂げる殺陣に参加しにいく場面、その前に病人の診療だよとどじょう屋の亭主と言葉を交わすのだが、そこでその病人が大したことなさそうなことがわかるのはよい演出。だって、その診療へ行かずに、駆けつけることになるのだから。
お千がお竜のように壺を振る場面がある。侍屋敷を探るにはちょうどよい、と。この理由もお竜のときと同じで、お竜のときはもっと自然にしょっちゅうこの設定が使われていた

第107話 1976.10.12 「おんな捕物地獄花」
業平のお京:三浦真弓、猪之吉:辻萬長、次助:田武謙三、岩崎屋源蔵:伊沢一郎、本田監物:今井健二、お新:松平純子、皆川敬一郎:森川公也、稲切和十郎:中田浩二、お徳:辻伊万里
米の値上がりが問題になる江戸で米問屋の蔵が襲われ、安売りの貼紙が残されるという事件が相次ぐ。
かつて大きな米問屋だった相模屋は火事を出し闕所。その際仲間の米問屋は世話になってたはずの相模屋を助けず、むしろ潰そうとし、結果それらの問屋は相模屋が潰れた後店が大きくなる(最終的には火付けも岩崎屋たちの犯行だったことがわかる)
この安売り貼紙の犯行はその相模屋の息子猪之吉の復讐。
しかしその安売り貼紙事件に乗じて、別の犯行が始まる。以前には起きなかった殺し、そして蔵の米が奪われ・・・。
勘定奉行本田と岩崎屋の仕業であり、その岩崎屋は相模屋潰しの中心的存在だった
三浦真弓、強い印象があるわけではないが、こんな顔だったっけ、という感じ。じゃじゃ馬娘で女だてらに岡っ引きという役。おれは妹の三浦リカのほうは顔が思い浮かぶのでその顔の印象からの感想ではあるが。
三浦真弓演じるお京は猪之吉の幼馴染。火事を出した後に同じ長屋に移ってきて、お京の父親に猪之吉は世話になりっぱなしだった。
前回から登場の榊大介、前回では冒頭で強い印象を残すキャラでの登場だったがこの回ではもうそのキャラはいきなり封印という感じで、見てくれまでも弥九郎に似た感じで刀舟の助手を務めている。
それはちょうどお竜とお千の入れ替わりのときのようである。お千も基本的にはお竜と同じ役割をすっぽりと務めている感じで、両方とも単に制作上の都合でのキャスト変更かと思える
大介は前回では武術はやらなそうで、弥九郎は剣術も相当であったので、ここはどうなるかなと思ったが、剣は使わないものの武術は堪能のようで、今回なんかは刀舟の殺陣で、わざわざ出向く形式なのに、ついてきて刀舟を助けており、こういうのは弥九郎でもわざわざ出向くときについていくというのはなかったはず。弥九郎が最後の殺陣に参加するときは、刀舟と道を歩いているときに、そういう知らせを聞いて出向くとかそういう場面としてそうなるのが普通というときに多かったと思う
OPの変更点は榊大介:真夏竜の映像のみ差し替え。

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第108話 1976.10.19 「暗黒の烙印」
弥七:大友柳太郎(ゲストトップ単独表記)
辰造:勝部演之、坂部能登守:戸上城太郎、和泉屋新助:清川新吾、源次:西田良、助五郎:土方弘、おきん:富山真沙子、おとき:新海百合子
岩松:松尾玖治、鉄:藤山浩二
弥七は錠前破りの名人で島帰り、堅気になりたいと努力しているが、執拗に岡っ引きの助五郎が付きまとう。
弥七の腕を借りたいと仲間に引き込もうとするのは盗人の頭領辰造、今度は両替屋丹波屋の蔵で江戸中の両替商から集められた冥加金十万両の仕事だという。その裏には坂部がおり、十万両を得た上でその丹波屋不始末を咎め、さらに冥加金を上積みさせようというのだ。
大友柳太郎、辰造の頼みを散々断るも、脅しに屈し了承した直後のそれまので善良な古老から悪の顔に痺れた。さすが名優。こうなるとここからは悪の道をまい進したほうがストーリーとしては良いと思うのだが、この後もやっぱり断る、そして脅されてやっぱり了解するという流れもあり、そのやっぱり了解で、同じく、悪の顔になるのは二番煎じか。
ストーリーとして注目は、お蘭の世話で弥七は和泉屋という若夫婦のやる小間物屋で仕事に就く。そこの女房であるおときが誘拐され、それが脅しのタネなのだが、そのおときは殺すよう指令がされていたのだろうが、辰造の女房おときが、腹の中に子供がいると聞き、情にほだされ、殺さずに運があったら助かると言い残しその場を出ていくところか。
そしてその結末としては、盗人の一団はおときも含め皆、辰造と坂部配下に殺され、10万両はみな辰造と坂部のもの。そこへ刀舟が乗り込んでくる、というようなもの
辰造の配下には3人、源次:西田良、岩松:松尾玖治、鉄:藤山浩二
松尾玖治、役名あり、顔の確認ができた。若い人だ
藤山浩二、この人も時代劇でよく見る顔

第109話 1976.10.26 「地獄のひまわり」
歌吉(お歌):大滝子(ゲストトップ単独表記)
越前屋(坂井)軍蔵:藤岡重慶、岩崎典膳:細川俊夫、宇之吉:小鹿番、本郷伊三郎:田口計、上総屋(皆川)源七:横森久
義助:福本潤
甚兵衛:折尾哲郎
見ごたえあり。ストーリーは時代劇でありがちだけど
お歌の復讐譚。冒頭はその由縁で、侍の堀田家へ嫁入り、祝言の夜、まだ契りを交わす前に、牢抜け五人組に襲われ、家は闕所、親類一同藩外追放。
その五人組は堀田に恨みがあったのだった
その五年後。五人はみな米問屋になっている。後ろ盾は伊三郎の叔父、旗本の岩崎典膳。
上総屋を始まりに一人ずつ殺されていくが、その間に、相手にもわかってきたり、堀田家用人宇之吉がお歌と再会、助っ人に入ったり、とあり、残り二人というのが最終盤となる。
素晴らしいのは江波杏子のお蘭。お蘭は歌吉の切符の良さに惚れこんでおり、仇討ちを止めようとするも、最後の最後、真っ向からの襲撃の際に、「あんたの恨みをちょいと分けてもらいたいと思ってさ」と二人で乗り込む、この場面が最高である。で、二人じゃあかなわなくて、そこへ駆けつけた刀舟の殺陣となる。珍しく、人質を取られ刀舟が一瞬怯む場面もあり、お蘭と目配せして、相手の油断を誘い全員成敗と相成る
時代劇でお馴染みの面々が多く登場していてキャストが豪華
五人組は藤岡重慶、田口計、横森久、福本潤、折尾哲郎。最後の殺陣まで生き残ってるのは前者二人。
折尾哲郎はちょっと岡部正純に似ている顔の人
大介が前回にはなかったような登場回のときのちょっとハチャメチャなキャラを見せる
中岡潔治の名前がクレジットの最終盤、「企画制作協力:中村プロダクション」の横に入るようになる

第110話 1976.11.02 「天保ねずみ小僧異聞」
長次:島英津夫、井筒屋万蔵:武藤英司、伝三郎:大村文武、石田外記:北原義郎、島吉:中田博久、おるい:遠藤真理子、宇兵衛:中村時之介、弥助:池田忠夫、
次郎吉:中村嘉葎雄(トメ、「語り」の前)
お新:大山のぶ代(第110話から準レギュラー出演)
ねずみ小僧エピソード
長次とおるいは姉弟、病の父を抱えて三人暮らし。長次は大工修行しているが、ぐれており賭場に出入りなどしている。ねずみ小僧に憧れている。
悪役は扇子問屋で本丸御用達を狙う井筒屋と奥右筆組頭の石田外記、ねずみ小僧に似せた盗みをやったりもしている。
外記が目をつけたおるいが借金のかたに外記の屋敷へ奉公を強要され、借金を返すための三十両のため長次が鼠小僧の真似をして屋敷に入ろうとすると、次郎吉もやってきて、長次の窮地を助け、そこから盗んだ三十両は長次の家へ投げ込まれる。しかし、その小判にはねずみ小僧を捕えるための印が打っており長次がねずみ小僧として捕らえられる。次郎吉は自訴して獄門となる。
この回からOPがほぼ全面的に差し替え。音楽は不変。レギュラーの映像では矢車のお千:上原美佐と榊大介:真夏竜は不変だが、真夏の勢いよく雑巾がけをしてそのままこけるという映像にこけた部分の音が入っている。稲妻のお蘭:江波杏子は映像が変更されてるものの構図がこれまでとまったく一緒で、後ろ姿で遠ざかっていき、立ち止まり振り返るというもの。OPはあまりちゃんとは見ていないので、これも不変かと思ったが、ちょっと違う、前の回のを見直してみると、江波杏子の構図は一緒だが、場所も着物も違ってて、さらにこの回からのものは傘を持っているという風に変わっている
全面差し替えとなったので細かいところでは色々新しくなっている
錦之助のクレジット、これまでは錦之助も挿入映像でクレジットだったが、今回からは、OPで全体的に流れている刀舟の殺陣のまま静止画になりクレジット。
各レギュラー映像挿入の間に、刀舟の殺陣や手術の映像が挟まっているのだが、大介とお千は間に刀舟を挟まず連続するようになった。
江波杏子の後に刀舟の手術映像があるが、ここはそれを他のレギュラー四人が見守るという映像になっており、これまでは錦之助以外のレギュラーはクレジットの際の挿入映像だけの登場だったが、ここで初めて登場

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第111話 1976.11.09 「闇に舞う白い牙」
おすが:赤座美代子、立花文治郎:坂井修、斎藤玄有:村上冬樹、小国屋仁兵衛:福岡正剛、平田備前守:高野真二、義助:岩城力也、三春:杉本真智子、小川正道:加地健太郎、
立花昌石:御木本伸介(トメ、「語り」の前)
おすがは医師立花昌石のもとへ後妻に入っていて、怪我人を運んできたお蘭と再会。おすがはお蘭の幼馴染で、不良仲間だったのだ。
立花昌石、そして息子の文治郎、大した悪で、文治郎が辻斬り、通りかかった昌石が治療してやり莫大な金を要求。辻斬りする相手は後でゆすりをするための弱みがあるようなやつを選んでいた。
金は文治郎を斎藤玄有のもとへ入れるため。
巨悪は薬事奉行平田備前守と絶大な力を持つ医師の斎藤玄有。薬の「試し台」として貧乏人に処方していたのだった。
時代劇で悪役の多くは、わかりやすく、最初から最後まで言動すべて悪人という感じのことが多いのだが、御木本伸介、トメにきており、そして彼ほどの俳優だと、そう単純にはなっておらず、多少金に執着している理由を語らせたりしており、本当の悪ではないということか、最後の殺陣の前に、刀舟と対峙しているが、睨みつけられてるだけで終わる。まあ悪事を後悔しているということか。文治郎もこの場面で殴られる程度で済んでいる
そして解せないのは最後の殺陣。斎藤玄有が斬られずに済んでいる。また斎藤玄有のコバンザメ小川正道(昌石がたびたび、正道を玄有のところにいるから出世しているが、医師の塾にいたころは俺より下っ端だったと愚痴っている)も斬られていない

*11/17
第112話 1976.11.16 「若きいのちの叫び」
新吉:峰竜太、お妙:市毛良枝、湊屋徳右衛門:稲葉義男、市川甚八:五味龍太郎、松乃家の女将:白石奈緒美、助左:岡部正純、常造:中庸介
峰竜太と市毛良枝がダブルメインという感じの作品で、幼馴染、というか恋人だった二人だが、お妙は江戸へ女郎として売られてきて、その際新吉にはそのことをどうしても言えなくて女中として働くと嘘を吐いて田舎を出てくる。新吉が江戸へやってきて、岡場所でお妙を見かけ、助け出そうとするというような展開である一方、そのお妙のいる女郎屋は逃げ出したお妙を追い回し連れ戻したりはするがメインの悪役でない。新吉が金を稼ごうと働いた湊屋の抜け荷を知り、湊屋は新吉を追い回しという展開がメインのストーリーであり、そこの用心棒が五味龍太郎の市川甚八、これがセリフでは特に言及されてないが常に猫を抱いているとう変化球的演出がある、彼がお妙を追い回す地回りに情報を与えるなどして、新吉をおびき出そうとする。こちらがメインの悪役

第113話 1976.11.23 「浮世絵の女」
お雪:園まり、森川哲之介:長谷川明男、柴田外記:織本順吉、春栄:蜷川幸雄、しの:八木孝子
小松藩の藩札を巡る不正。偽の藩札が出たとのことで換金停止で、町人が苦しむ。その町人への対応に当たるのが森川哲之介、偽の藩札の原因を探ろうとすると藩から止められ、それでもあきらめないでひそかに探ろうとすると、上意として切腹を命じられる。お蘭と知り合い、藩から脱走して町人姿でさらに探ろうとする
がこの偽の藩札騒ぎ、実は家老の柴田外記が仕組んでいたもので・・・。
お雪は国元での哲之介の恋人で、江戸まで追ってきた。絵描きをしており、偽の藩札を実際に作った犯人が自分の先生である春栄であることを見抜く
しのは、この偽の藩札事件で夫を亡くし、茫然とした顔で町をふらつく場面が何度も出てくる。

*11/19
第114話 1976.11.30 「侠盗かまいたち」
島田綾:岩本多代、神崎典膳:外山高士、粂吉:稲吉靖、福井屋儀助:小瀬格、お竜:水上竜子、伊兵衛:笹川恵三、鬼頭定五郎:晴海勇三、おさよ:本間文子
島田左内:川崎敬三(トメ、「語り」の前)
左内は藩から出奔した侍。その嫁の綾は藩の屋敷でいま暮らしている。
その藩の家老がいまやってる悪事が仏講(債券のようなものかな、毎月1朱おさめると1年後に一両返し)という詐欺。
左内は藩で異例な出世をしたものの陰口、嫁の決死の奮闘があったとのこと、そして家へ帰ると子ができたとの報告、自分には子種がないはずなのに、と出奔。
子は家老に無理やり犯されてできた子であった。
サブタイトルは、かまいたちと名乗り、左内が借金強盗、つまり借金を無理強いするという変な強盗。その金で老人のための小屋を建てたいという願いがあったのだ。
大介、登場時に掛け声をかけながらのランニングをやっていたが、今回それが復活している
お新、前回登場時は一番最後に刀舟を追いかけるという出番だけだったが、今回はそれよりは少し多い。といっても今のところあまり出番は多くない役である
襲われてる人を助けようと刀舟と大介が駆け付け応戦、敵が引き上げるという場面、こういうのは時代劇ではお馴染みだが、刀舟と大介が怪我人を診ようと刀を下げてる脇を敵方が逃げており、今なら刀舟を討てるんじゃないかと思える

第115話 1976.12.07 「十八年目の女」
お秋:丘さとみ、北海屋利蔵:浜田寅彦、おりき:楠侑子、幸太:伊藤俊孝
飛脚屋丸十の飛脚が次々と殺される。これはその飛脚屋の飛脚が拾ったはずの瑪瑙(メノウ)を巡っての殺しだった。
蝦夷は松前藩の管轄だが、それだと儲けの薄い北海屋を中心とする五人の商人たちが結託し幕府直轄にしようと計画。老中の好みを調べ瑪瑙を贈り物にしようと考え、松前藩の荷から瑪瑙をかすめ取ろうと道中で道に落としたのだが、それをあいにく拾われてしまったのであった。
善玉がお秋と幸太という母息子。幸太は丸十の飛脚であり、婿入りも決まっていた。そして瑪瑙も拾ったのは彼である。
この母息子は実の親子でなくお秋は息子の婿入りと同時に息子の前から姿を消そうとしていた。過去女郎だったことがわかると差しさわりがある考えたのだ。
北海屋の女おりき。これが終盤一気にクローズアップされ、この善玉か悪役かわからない感じがドキドキさせ、面白い作品になっている。
おりきが幸太の実の母、お秋に息子の前から姿を消すために北海屋で住み込みを始め、北海屋がお秋に興味津々、おりきが嫉妬からお秋に会いに行き、幸太を預けたお秋だと気付き、そして北海屋が幸太を狙っていることもわかっており、という状況で、どういう行動を取るのか?
まあ結論は幸太を売って、殺し屋に殺させようとする、が失敗、北海屋に戻り、殺される、と書くだけなら単調であるが、まあなかなかの演技と憂いの滲む悪役顔がなかなかよい
楠侑子のウィキを見たら、なんと別役実の妻である
北海屋に五人が揃っているところに刀舟が乗り込むが、斬るのは用心棒と北海屋のみ。他の四人は殴られており、刀舟が処罰のため殴るというのは珍しい
大介が刀を使う場面がある。初めてだったと思う

第116話 1976.12.14 「炎のきずあと」
お市(巴屋美和):北川美佳、山城屋駒蔵:潮万太郎、本田刑部:沼田曜一、吉崎島十郎:佐藤京一、猿の伝次:三上左京
流れ星の佐七:若林豪(トメ、「語り」の前)
佐七は行商の煙草屋。元は花火師で働いていた花火屋を守るため出火の罪を被っての寄場帰り。
寄場から帰り、その花火屋の娘美和を探し、岡場所で見つける
寄場での仲間伝次に誘われ、美和を岡場所から受け出すための金のため金蔵の錠を火薬で吹き飛ばす仕事をすることになる。
冒頭、ちょっとメモしておきたい事柄が3つほど
やくざに追われる佐七、多分博打のいざこざであろう、それに行き当たり止めに入ったのが大介とお千。なぜか大介がニコニコ顔、なぜNGにならないんだろう。ちなみにその場面の続きで、お千が啖呵を切り始めるとまたニコニコ顔になってるが、まあこれはお千のやり口を見守ってるということでいいとは思うが
そしてお千の口上「壺振りの矢車のお千」。いつから壺振りに? そういえば踊り子の仕事はここ数回出てこない)
で、お千が金を払って見逃してもらう話をつけ、佐七を助ける。怪我をしてるので治療をしようと腕をまくると、二本線の入墨、お千「なんだい、前科者だったのかい、ちきしょう、三両どぶに捨てたようなもんじゃないか」。前科者だと助ける価値がないってことかね、シリーズレギュラーの割に雑なセリフという感じ

第117話 1976.12.21 「二度死んだ男」
羽の喜兵衛:浜村純、お園:渡辺やよい、清次:森大河、留吉:風間杜夫、鮗の藤蔵:曽我廼屋一二三、多平:根本嘉也、伝十郎:内田勝正
田舎から口減らしのため江戸へ奉公へきた子供の運命。
冒頭の清次、顔を少し白く塗ってるのだろうと思うがすごい存在感、墓場から出てきた男というイメージなのだが、目に生気がなく、なかなかの表情。ストーリー的にもメインゲスト格なのだが、クレジットはトップではない
その序盤を過ぎると、白く塗ってるのも落としているようで、多少普通に戻るが。
清次は殺しを頼まれ、その際にそこにいた女が彼女自身の暴走で大怪我を負ったのをなんとか助けようとして、必死になり、死んだ目に生気が戻る
一方の女お園も清次と同じ境遇であり、自暴自棄になっており、刀舟の手術で治った後も、死にたい、なんで生き返らせたと刀舟を責める。
女も殺せという指令が清次に出ており、しかし清次はお園を助けることに命を懸ける決心をする。清次はお園に自分の境遇を語る清次、お園も生きる気力が湧い、二人は距離を縮め、刀舟の計画で江戸を逃げることになる
ここら辺は幸せそうに笑う二人に完全にフラグが立っており、殺されてしまう運命しか想像できない、が、一方で刀舟の計画での逃走、刀舟は失敗しないタイプの主役でもあり、さてどうなることか・・・、結局一瞬の隙があり、射殺されてしまう二人、刀舟が悪役のところへ乗り込んでいく
浜村純、ここでは悪役。この人は善玉悪役両刀使い。なかなかの名優だ。最後の殺陣では、刀舟の口上の最後「叩っ斬ってやる」に「舐めるんじゃねえ」と返すもその直後一刀両断でやられてしまう。
刀舟に言葉を返すという演出は珍しい。そして悪役の親玉なのに殺陣の最初でいきなりやられてしまうのもいさぎよい。
風間杜夫は清次と一緒に江戸へ出てきた友達で墓石作りの職人、清次から自分の墓を作ってくれと頼まれている。

*11/20
第118話 1976.12.28 「天女のような女」
おりん:沢田雅美(ゲストトップ単独表記)
文治:小野進也、宇佐次:宮口二郎、亮太:小島三児、杉原直亮:森山周一郎、湊屋吾兵衛:早川雄三
沢田雅美、もうこのころ大物だったのか、それともこの特異な雰囲気で作りたかったのか、大フィーチャー作品である
おりん、三年ぶりの江戸でお蘭お千に呼び止められるが逃げてしまう。おりんのことを仲間と言っておりかつてからの知り合い、お千とともにチンチラ踊りをやっていたとのこと(※)
おりんは皆からお軽と呼ばれる惚れっぽい女。三年ぶりの江戸で怪我をしている男文治を助け、そして惚れてしまう
ドラマだから大袈裟な部分も仕方ないが、この文治、まだ歩くのもやっとだというのに、おりんを連れ出し、なんとあいまい宿へ売り飛ばそうとするという序盤の展開、これでおりんは愛想を尽かすかと思いきや、そこからもなんやかやと世話を焼き看病をするという展開。で、最終的には文治も心を開きという風になっていく
文治は抜け荷のザクロ石を持って逃げており、悪役はその抜け荷をやっている湊屋と川舟奉行の杉原直亮
お新:大山のぶ代のクレジットはゲストトップで並記(大山が左)になってることが通常パターン。ここでいえば、沢田雅美と並記になるのが通常だが、今回は沢田雅美が単独で、大山のぶ代、小野進也が並記、大山が右側
(※)
お千はウィキにこうある。
半兵衛のご贔屓の踊り子(第84話の、矢車のお千が初登場での設定)。(以後の放送回では、「矢車のお千」は、半兵衛や、お蘭、刀舟などとも以前よりの顔見知りだった設定)
初登場時は半兵衛だけが知ってる人間だったが、次以降には昔からの知り合いとなったという意味で、おれはその昔からの知り合いだったというような部分は見出せずにいたが、この回での設定は確かにそうで、おりんは大介以外の皆を知ってるという設定になっている

第119話 1977.01.04 「初春の虹をこえて」
おつた:磯野洋子(ゲストトップ単独表記)
下坂大膳:天津敏、和泉屋久兵衛:見明凡太朗、西国屋吉兵衛:山岡徹也、紋次:蟹江敬三、源九郎:黒部進、竹蔵:松山照夫、お京:早川絵美、嘉助:日野道夫
己之助:川津祐介 (トメ、「語り」の前)
己之助は油問屋和泉屋を妹を後継ぎにすべきだと家出して、今はおつたと息子で暮らしている。
おつたの元の男が島帰りの紋次で、千住へ姿を見せ、脅しをかける
一方、油奉行の下坂大膳と油問屋西国屋の売り惜しみによる値上げという企みが進行、和泉屋が油は必需品と蔵にあるものを全部売りに出し、品がないので売っていないと言っている西国屋は困り、和泉屋に抜け荷の罠をかける。このとき悪の岡っ引き竹蔵がその計略に紋次を使いましょうと言って、紋次がその抜け荷工作をやっているが、ここで紋次が出てくる意味はよくわからない。紋次を使う必要があるように見えない
川津祐介は金八先生の上林先生役が子供の時見たからということもあろう、強烈に覚えてて、あのきっちりした真面目キャラしかこの人については思いつかないのだが、ここでは大店を家出したすがすがしい江戸っ子役で全然異なるキャラだがこれはこれでなかなかよい
折尾哲郎が油小売りの太助役。油が入ってるはずだ、売ってくれよと西国屋に懇願し、殺されるという役。顔が特徴的なので目立つ

第120話 1977.01.11 「秘薬の謎をあばけ」
渋江南山:西沢利明、片桐仁十郎:佐原健二、太市:倉岡伸太郎、秋津大伍:中山昭二、お宥:野口ふみえ、黒木主膳正:高城淳一、松仙堂嘉兵衛:上田忠好、弥七:池田駿介、唐沢玄治:田中浩
今回はゲスト出演者がとても多く、そして時代劇でお馴染みの役者が大挙出演している。
労咳を治す薬として発売され飛ぶように売れている寶壽精を巡る話。
寶壽精を作った南山は刀舟と長崎で一緒に医学を学んでいる
悪役はその南山、薬を売る松仙堂、薬園奉行唐沢、老中を狙う若年寄黒木主膳正
一方で労咳の庶民やその家族もたくさん登場している
片桐は労咳の女房お宥を抱えており、善玉だが、仕官と寶壽精を買うための金がほしくて、南山に刃向かった南山の弟子弥七を斬ろうとして、刀舟と対峙するという、善玉がそういう役割になるのはちょっと珍しい。そのまま退去していき、待ち構えていた唐沢配下に斬られている。
太市は父親ごすけが労咳、こちらも金のために強盗を働いて捕まってしまう。
お新の役割について。彼女は登場時からそうだが、刀舟はその酒癖の悪さのため苦手としていて、道端で出会ったり、瑞光院を訪ねてきたりすると、慌てて逃げ出す。こういう刀舟はこれまであまり見なかったはずで新しい一面といえる

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第121話 1977.01.18 「唐絹は死の匂い」
佐吉:太田博之、黒部典膳:川合伸旺、大野:草薙幸二郎、丸高屋角右衛門:田島義文、お志乃:麻生よう子、乾左源太:北村大造
贅沢禁止令が出た江戸で、隠れて唐絹を売ることが横行、その売人が佐吉。しかしその唐絹は巧妙に日本産とを混ぜ合わせたものだった。
その偽物を作るため織子が必要で、織子の女たちをさらって劣悪な環境で働かせていた。
佐吉の恋人お志乃は自分も織子をやっていたことを佐吉に話し、それを盗み聞きしていた悪役側同心大野はお志乃をもさらって織子に加えてしまう。そのとき佐吉は・・・。
お千と半兵衛は佐吉のその金儲けに乗り気で、お千は佐吉と組んで、唐絹を売りに行く、お千はサクラ役で、他の客を煽るため、大袈裟にその唐絹を褒め欲しがるというようなことをやる。
刀舟がそれを止めさせようとするのを振り切ってお千半兵衛はその商売にまい進するという場面が見られる。刀舟の言うことを聞かないというのは珍しく場面だ

第122話 1977.01.25 「凧と十手とにごり酒」
本田道玄:田中明夫、皆川辰五郎:睦五郎、中原滝:伊藤栄子、岩崎伊七郎:天野新士、吉野屋田蔵:近藤宏、
倉本新兵衛:大友柳太朗(トメ、「語り」の前)
またもや大友柳太朗である。大友ほどの大物が出ると、ストーリーより彼の演技をじっくり見せるという作りになる。
また今回は大介が数人に襲われるという場面から始まり、それ以降もストーリーに大きく絡む。彼がフィーチャ^されるのは初めて。見せどころである倉本の後悔の言葉を聞く相手が大介という場面もある
その序盤、彼のキャラは数人を相手にしても負けないというものなのだが、ここではストーリーのためにあっさりと負けて連れて行かれる。
そこで銃の暴発に巻き込まれたという人間の手術を強要される
そのころ瑞光院では心配して四人が待ってる。これは変、お蘭やお千は別のところに住んでるはずである。まあなかなか大介が戻らないから心配して待ってるということなのかな
その大介が手術した銃絡みの件以降、銃に絡んだ話が頻発するという風に始まって行き、銃の密造、そして試し撃ちに生きた人間を使い、町の庶民の銃撃事件が起きるという話。
倉本は相棒が倉本を庇って銃で殺されたという一年前の事件を引きずっていた。その相棒の嫁が伊藤栄子
悪役は西の丸留守居役本田道玄、倉本の上司である与力皆川、そして吉野屋
倉本は最後敵方に乗り込み、銃を三発撃ち込まれ壮絶な死。アップになるおでこに銃弾がめり込んだ画面はグロい

第123話 1977.02.01 「母と子の挽歌」
磯貝主水:西村晃(ゲストトップ単独表記)
定二郎:島英津夫、備前屋信兵衛:細川俊夫、和泉屋多兵衛:高桐真、源次:折尾哲郎、佐伯蔵人:伊吹徹、
梅吉(お梅):淡島千景(トメ、「語り」の前)
西村晃、淡島千景と大物二人に島英津夫という風に力の入れたキャスティングの作品。
まあタイトルから予想がつくように梅吉と定二郎が母息子という関係なのだが、定二郎は備前屋の跡取り息子、梅吉は備前屋の過去の女で、備前屋の跡取りが亡くなって、定二郎が備前屋に入ったという関係でありそのことを定二郎は知らないという相関図。
定二郎はグレてアヘンのとりこ、金を作るために仲間と強盗をして暮らしている
ウィキに「ゲスト出演者には錦之介の当時の妻淡路恵子、後の妻甲にしき、実弟中村嘉葎雄、淡路の連れ子島英津夫がいる」とあるが、淡路恵子は出ていない。この回の淡島千景と間違ったのではなかろうか

第124話 1977.02.08 「あだ花無情」
夜桜のお袖:波乃久里子、南蛮屋以蔵:梅沢昇、政吉:森下哲夫、銀次:金井進二、大蔵屋多兵衛:岩城力也、岩蔵:市村昌治
登場人物がなかなか難しい展開に追い込まれる話でストーリーに惹かれる面あり
お袖は盗賊の一味、仲間を抜けようとしてリンチされる場面から始まる。怪我をしたお袖は瑞光院に運ばれという形で刀舟らと知り合う
そのお袖が抜けようとしたのは男ができたからで、その相手は公儀御用達の大蔵屋の番頭政吉
それを盗賊一味が知ることになり、政吉に脅しが入る。
政吉はお袖の前歴を知らないでいたという状況で、これはお袖、そして政吉にとっては難しい局面。どう話を収集つけるのだろうという興味が湧いた。
政吉が多少悪役っぽくなり、また演じる森下哲夫の顔がそういうのに似合う、つまり悪役顔でもあり、まあそうなるよな、と思ったが、そのまま悪役になってお袖を脅すとかそういう風にはならず、小悪役という感じ。となると、次の展開は予想できる。お袖が落とし前をつけるために一人で盗賊のところに乗り込むという展開だろう、と。果たしてその通りになって、あとは、二人が生き残ってハッピーエンドか、お袖は死んでしまう展開か。
なのだが、最後も予想はできなかった展開。お袖が死ぬとしたら、盗賊と対峙して殺されるというのが予想だったが、その対峙する場所が、大蔵屋への押し込みを決行、戸を開けるのは政吉、という局面にお袖が現れ、戸は開けちゃいけないと叫び、盗賊と対峙。
ここへ刀舟も現れるので、刀舟が斬るのは盗賊一味のみ。役人だとか悪の商人とかが出てこないし、押し込みの直前に刀舟が立ちはだかるというのも珍しい。

第125話 1977.02.15 「ろくでなし」
源之進:工藤堅太郎、持田一馬:岸田森、志乃:水原ゆう紀、了海:北見治一、古着屋:梅津栄、柏仙:人見きよし、天神の利蔵:藤山浩一、樋口周蔵:加地健太郎、堂上帯刀:浜田晃
色々設定がてんこ盛りで、詰め込み過ぎのようにも思えるが面白い
まずサブタイトルのろくでなし、これは源之進のことを指してるのだと思ったが、最後まで見ると、もう一人、持田一馬のことも指しているのだろうと考えられる。
持田一馬は名優岸田森が演じており、中盤に少しだけ出て、多少のろくでなし、でも当然これだけの俳優だからそれだけということはなく、最終盤に劇的な登場をして、そこでろくでなしぶりをさらに発揮、だがしかし・・・、という展開
一方源之進は冒頭からすさまじくろくでなしぶりを発揮。
盛り場のチンピラで、兄を探しに江戸へ出てきたという志乃に目をつけ、いつもやってるように、手慣れた様子で、志乃を罠にかけようとする。男たちの集団で襲わせ、それに助けに入り、という狂言で、女を手懐けようとするも、先に大介が助けに入ってしまい失敗。
しかし、そこへ兄を見つけたとうまいこと言って誘い出し、岡場所へ売ろうとする。しかしそこで志乃が倒れてしまい、やってきた刀舟に志乃の面倒をしばらく見るよう固く言い渡されしゅんとなるもうなずく。
ここで志乃が白血病で余命三か月くらいという設定が加わる
が、持ち上がったその盛り場の立ち退き問題、そこは火除け地に沸いた盛り場で、寺社奉行が代替わりしたタイミングで、立ち退きのお沙汰。
役人に袖の下、さらには女をあてがうことになり、商売女をあてがうも、汚らわしい下がれ、と。そこで源之進は志乃を出すことにする。志乃は気に入られるがそこへ刀舟登場、序盤で最終的な悪役と対峙するというのは珍しい演出。
ここでは志乃を取り返すだけで、あとは役人に真昼間から酒女と知れてもいいのかと説教するのみ。
この後、さらに役人に取り入るため、志乃を差し出すことに執着するあたりは、役人がそれだけ気に入ったというようなセリフはあるにはあるが、ちょっと無理があるようにも思えるが、ストーリーとしてはわかりやすい。志乃を差し出せるかどうか、と単純化させてるというわけだ。
さらに面白い設定としては役人との仲介役の和尚、源之進始め盛り場の連中は和尚を頼みにしているが、これが実は役人とグル。
そして終いには、袖の下を出しても女をあてがっても、結局はお取り潰しになるということが他の土地の者からの情報でわかってきて、そこで盛り場連中はどうするか。源之進が真相を知り、皆に話してもそれを信じず、志乃を出せ出せと強引に。
そして志乃を受け取りに来るのが今はやくざ天神の利蔵の用心棒、兄の持田一馬という劇的な再登場(最初の再会で、一馬はもう自暴自棄で、父の死を知らされても、何の感情もわかず、もう会いに来るなと言い渡している)。出世の糸口を掴めるかもしれんと志乃についてくるよういう一馬のくず具合がなかなかである
志乃は自分から行く、父の墓参りに一回来て、と言い歩き出す。この終盤に来ると、ついに源之進は善玉へ。一馬に説教をし、最終的には嬲り殺しにされる
刀舟が乗り込んでの殺陣では、他を全部斬ったあと、一馬が残る(志乃は役人の酒の相手をして肩を抱かれてる際に自害している)。さて一馬を斬るのかどうか。志乃が最後の気力で起き上がり、兄を斬らないでと懇願。一馬は志乃の死骸に取りすがり涙。刀舟は一馬は斬らずに終わる。
これだって、一馬のクグ具合を見ていた者からすると、一馬の涙は助かるための芝居じゃねえのと思え、刀舟の決断は正しのかどうか。

*11/22
第126話 1977.02.22 「逢初橋の女」
伊佐吉:江原真二郎、生田新八郎:早川保、お島:倉野章子、吉崎民部:杣英二郎、新助:石田信之、坂井屋義助:稲葉義男、利兵衛:木田三千雄
朱及び朱墨の売り惜しみによる値上げを狙った坂井屋と旗本吉崎民部による企み
伊佐吉は朱塗り職人、息子は三太。お島は岡場所の女、逢初橋のたもとでいつも佇み幸せを待っている。彼女と三太は顔馴染み、三太は母親になってほしいという
新八郎は冗談が好きな明るい浪人、だが裏では殺し屋
新八郎と伊佐吉は同じ長屋で三太も懐いている
これまで朱の抜け荷の運び屋を使っては殺してきており、伊佐吉も運び屋として雇われ、殺されそうになる。殺しに来たのは新八郎だった。しかしその新八郎も用済みと、殺されそう囲まれ、そのとき新八郎は伊佐吉を逃がそうとする。

第127話 1977.03.01 「復讐の赤い矢」
お絹:珠めぐみ、周治郎:柴田侊彦、加七:北村総一郎、平井監物:北原義郎、永田兵部:長谷川弘、新之助:堀勝之祐、近江屋多三郎:高野真二
比較的複雑な構成。1時間ドラマにしては「過ぎる」かもしれない
闕所となった呉服の上總屋の娘がお絹。恋仲だった男周治郎は商売敵の近江屋の次男。
加七は上總屋の元番頭、北村総一郎が演じており、悪役っぽい神経質な顔。意外ということもないのかもしれないが、今作では悪役のメイン格、というか実行犯として動き回ってるのは彼のみ。しかも悪知恵という意味ではできる男で見ごたえあり。
近江屋の番頭が殺され、加七が番頭として近江屋に入る。そして探ったところ、上總屋の闕所の件は近江屋の策略だったことがわかったとお絹に吹き込み、お絹とともに敵討ちを始める
加七が悪役だとわかるのは終盤なので、この時点ではわからないのではあるが、善玉だと思えたお絹も殺しを始めるので、どうなることやら、と
最終的には加七は、藤堂藩家老平井監物と闕所物奉行永田兵部の仕組んだ悪だくみの実行犯で、近江屋が上總屋の闕所物を手に入れ、その近江屋は敵討ちということで皆殺し、遠縁の加七が近江屋を手に入れ、藤堂藩の抜け荷の品を扱うという手筈。
お絹は最後に恋人だった周治郎をも刺す。ここで加七が全部種明かしをするのはご愛敬、時代劇で言わなくもいいことを最後に言うことによって、視聴者への説明ということもあろうが、今作ではそこらは全部すでに説明済であり、やっぱ言わなくもいいことであろう。その後お絹を女房に取る予定でもあったことでもあり、それならなおさら言わなくもいいことであるが、まあ全部手に入れたという自己顕示欲の誇示、今後のお絹への権力の誇示ということなのかな。
お絹は加七を刺そうとして失敗、最後は自害

第128話 1977.03.08 「鬼の涙が闇に散る」
真崎慎吾:山本紀彦、寺尾園:今出川西紀、甚兵衛:小栗一也、板倉大膳:織本順吉、松田屋藤吉:潮建志、矢吹又十郎:大木正司、真崎雪:森川千恵子
窮民を救うことを謳う鬼面党が商家を襲う事件が立て続けに起こる
園と甚兵衛は屋台のそば屋をやっている父娘、しかしストーリーが進むうちにこの二人について正体が段々明らかになって行き、鬼面党ともなにやら関係があるような、という風に展開していく。
慎吾は以前園と恋仲であり、今は鬼面組を追う同心。
園は武家の出であり、甚兵衛は寺尾家の用人。園の父親は生田万の乱に参加しており、その遺志を継ぎたいと、父親の友人であった西の丸留守居役板倉大膳に訴え、園は松田屋の助けを受け生活をしていた。
そして鬼面党は窮民を救うことはお題目であり、実際は人を殺して金を奪うだけの押し込み、大膳と松田屋が園の話をきっかけにやり始めたものであった。最終的に園は鬼面組の首領に仕立て上げようとされる。

第129話 1977.03.15 「御狩場絶唱」
お豊:磯村みどり、仁助:和崎俊哉、惣兵衛:香川良介、源八郎:五味龍太郎、村田重三郎:大村文武、つる:丸山秀美、松三:矢ノ目がん、富岡:中庸介
千住の将軍家御狩場が舞台、鳥見役所の御鷹同心支配頭が村田、配下に源八郎以下三人、これが悪役。鳥を殺してはならないという規則があり、それを悪用、鳥の死骸を百姓の家の前にばら撒き因縁をつけて金をふんだくる
越後の百姓家から売られてきたつる。この御狩場近くの村でつるを連れてきた女衒が鳥見役所の見回り役人とトラブルになり、その隙に逃げ出し、仁助に拾われることになる。その女房がお豊でおつるを邪魔扱い、しかし仁助は放っておくわけにもいかないと庇う、とこういう相関関係
五味龍太郎の悪役としての存在感。この記事の前の方で何度かすでに書いてるが、ここでも悪役側のメイン。悪役の親玉は組頭であるが、実行部隊の彼がストーリー上は動き回るという形だ。三人組だがリーダーであり、他の二人はセリフも少なく極端に存在感が薄くなっており、彼のみが目立つ。
つる:丸山秀美がストーリー展開のためでもあろうが素晴らしい演技。村で邪魔者扱いされてきた彼女がそれでも仁助やお蘭の愛情に恩義を感じて直訴状を自分が持って行くと名乗り出る場面だ
磯村みどりと和崎俊哉がクレジットでゲストトップ並記だが、磯村は出番少な目、最後にそれまでの悪役っぽかったところから善玉へと見せ場、つると仁助が逃げたと勘違いし、追っかけるも、直訴状のことを知り、つるを庇って死んでいく

*11/23
第130話 1977.03.22 「地獄の王将」
佐吉(堀田佐平次):長谷川明夫、おりん:葉山葉子、本多采女:浜田寅彦、本多又七郎:剣持伴紀、清川新太郎:坂上忍、弥兵衛:柳谷寛、甚十郎:堀田真三、駒屋喜兵衛:庄司永建
そうかあ、坂上忍かあ。今回は子役が活躍、最初にクレジットで見てたのに、そのことはすっかり忘れてて、本編見終えてから改めてクレジットを確認した次第
佐吉は旅烏姿、飲み屋で女中にしつこくちょっかいを出す侍をぶちのめし、それを見ていたお千が惚れている。
おりんは髪結い
新太郎は仇討免許状を盛る少年侍。
それが段々この三人に繋がりがあることがわかってくる。新太郎の仇の佐平次があの佐吉であり、佐平次とおりんは夫婦を約束していた関係、と
そして役者構成や演出、例えば新太郎がその仇討の件で自分を可愛がってくれた新太郎を仇とはどうしても思えないなどと話しており、この仇討の件には裏があった
天童藩家老本多采女、その息子又七郎が実は新太郎の本当の仇であり、その罪を捨て子で本多家で育てられた佐平次が被らされていたのだった。
そのことを密談しているのを新太郎が聞くという演出は面白い。子供がストーリーの秘密となっている部分を聞くという役をやるのは珍しい
ひとつ変なところ。
新太郎が藩屋敷を訪れると本多がちょうど仇の居所がわかった、必ず仇討を成功させるよう藩がちゃんとやるというようなことを言っており、仇討のお膳立てをすることを約束しているのに、本多が息子又七郎に佐平次が見つかったことを話すと、又七郎はいきなり佐平次を殺しにかかってしまっている。殺さないで連れてこないと、新太郎に討たせることができなくなっちゃう

最終話 1977.03.29 「さらば刀舟江戸の街」
横井蔵人:藤巻潤、岩月左門:小松方正、沼田玄伯:小堀阿吉雄、瀬川矢五郎:勝部演之、名主仁左衛門:日野道夫、美濃部:中村竜三郎
水野忠篤:水島道太郎(トメ、「語り」の前)
さすがに最終回らしくスケールの大きな、そして通常とは異なるストーリー展開で、そのためかツッコミどころがあったり、また、刀舟の殺陣はあるが、「人間じゃねえ」や「!叩っ斬ってやる」が出てこない。
ゲストトップが藤巻潤で上に書いたが、最終回ということでちょっと荷が重いのでは、と思ったが、ストーリー展開上、超格好良い役となっており、それを見事に演じている。
大山のぶ代のクレジットがなく、最終回なのに出ない、それほど出演回数も多くなかったし、軽んじられてるなと思ったが、最後に登場していた。
また江戸を去る刀舟の回想として弥九郎とお竜も出ている、こちらもクレジットなし
大塩平八郎の乱の後、すぐに11代家斉が家慶に将軍職を譲り自らは大御所になる。が実権は持ち続け、家斉派の水野忠邦と家慶派の水野忠篤の対立となるというナレーションから始まる。
その大御所が遠乗り中に馬から落ちて怪我、刀舟が呼ばれるという展開。一刻を争う事態なのに、刀舟は断り続けるというのんびりした進行は、まあドラマだからか。
その頼みをしに来るのが横井蔵人、また刀舟を行かせないように仕組むのが忠邦派で、岩月左門(これが何者かはよくわからない、ただ忠邦と繋がりのある大物らしいが浪人を装っている)が実行部隊。
ここで刀舟の周囲の人物を捕え脅しに使うという作戦に出るのだけど・・・。刀舟にその脅しが正確に伝わるのかどうかが甚だ疑問。まだ治療を承諾していない段階でもあり、その脅しは治療へ行けというメッセージと捉えかねないとも思えるのだ。
まあそれはそれ、蔵人の人柄に惚れ、刀舟は治療に出かけ、なんとか治す。
が、蔵人は上から治療後刀舟を斬らねばならないと聞かされた。罪人の治療を受けたということが問題なのだ。で、大御所の列が瑞光院にやってきて、ひと悶着ありながらも去っていく。残ったのは蔵人、刀舟はすべて御存知、「斬りにきたのか、でも殺気がない、負けるつもりだな」に蔵人は見破られたかと自分の腹に刀を突きさし、ここから刺客が延々と送られる、江戸を出ろと忠告、刀舟はその忠告に従って、寺に「旅に出る」と書置きを残す、という風に終わっていく。
折尾哲郎、役名なしだがそれなりに重要な役、大御所が落ちた後暴走する馬に蹴られて重体になった子供の父親で、刀舟に治療を頼むが、刀舟が役人に横暴なのを見て、大丈夫かなあと気を揉む。刀舟の周囲の人物を捕えて脅しにするという場面で捕まるのも彼である

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刀舟の殺陣の前に、善玉が重傷を負うなどで、治療にあたる場面が入ることが多く、普通の時代劇だと殺陣に入るところがワンテンポ遅れる感じがあって、そこが独特である。
キャストクレジットで最後の方役名なしで同じ名前がよく出てくるということが時代劇でよくあるのだが、ここでは松尾玖治という名前が相当にたくさん出ていた。数回、役名ありにもなっていた。108話で顔も確認できた。
108話 岩松:松尾玖治
無題.jpg
111話だったか110話あたりで刀舟が顕微鏡を覗いている場面がある。確か顕微鏡は前にも出てきていて、何人か刀舟を訪ねてくる旧知の医者というのがいたと思うが、そのやってきた医者が土産として持ってきて、刀舟が弥九郎に与えていた
音楽、木下忠司
集中して連ドラを見ている間、そのテーマミュージックが頭にエンドレスで流れるということはよくある。この作品にもあった。そしてその際、なぜか途中から水戸黄門の危機の場面、殺陣の場面に流れる音楽に変化していくことがよくあった。まあ同時に水戸黄門を見ていたからということもある。一方で、音楽担当が同じ木下忠司ということもあるかと思う。まあ似ている曲ではないのだけど。
似ているといえば、木下だけでないようにも思うが、時代劇で特有のリズムが良く使われる。水戸黄門のダッ、ダダダダッ ダダダダッ ダダダダダダダダダッってやつであり、この作品のテーマ曲もそれである
また時代劇ではよくよく聞くと結構凝ったものもたくさんある。五拍子だとか、五小節がひとかたまりになってるとか。
それにしても 木下忠司、そして山下毅雄の仕事量はすごいものだ。まあそのころの製作環境から、独占的に一手に引き受けるようなシステムみたいのが構築されていたのかもしれんがね





徹子の部屋 ナイツ

08/18(金) 13:00 - テレビ朝日|30分|DR
徹子の部屋 ナイツ[解][字]
取りあげられたのは漫才協会の会長に塙が就任したこと。
それぞれの家族、特に子供との生活や義理の父親の話、特に塙の方は義父を題材に本まで出版したという話題も。
桂子師匠の思い出。
といったところか。
そしてこれは徹子からのリクエストということなのだが、南京玉すだれを披露、さらにこの話題がかなり長くしつこかったのが面白かった。
徹子は前に寄席で見たことあるとかで、ナイツで見た覚えもありリクエストをしたのだそうで、一方ナイツはこれを得意にしているわけでもなく、今回もリクエストがあったことで押し入れから引っ張り出してきたとのこと。すぐ壊れてしまうものなので慎重にそして短めにやったことから、徹子がもっと長かった気がするとか言い出したりするのも面白かった。
塙に娘のあいだで流行ってるとして「竹下☆ぱらだいす」の話題になり、やらされる羽目になっていたのも面白かった
また、徹子相手だからわかりやすくゆっくり大きな声でしゃべっているのがいつもと違う感じで興味深く、が、しかし視聴者向けにナイツらしさというか塙のボケに丁寧に土屋がツッコミを入れるのもおかしかった。

落語研究会22/8月☆ [落語・演芸]

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「子ほめ」柳家喬太郎
「麻のれん」春風亭一之輔
解説:京須偕充
聞き手:赤荻歩( TBSアナウンサー )
放送予定時間
2022年8月21日(日)あさ4:00?
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◆第205回落語研究会(2時間版)◆
8月27日(土)深夜3:00~5:00
内 容:「蜘蛛駕籠」桂 宮治、「七段目」古今亭文菊、「お札はがし」入船亭扇遊
お 話:京須偕充 赤荻歩(TBSアナウンサー)
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2時間版のみ視聴
この回(2時間版)から京須さんの相手が変わった
※23/8/13視聴
「蜘蛛駕籠」桂 宮治、「七段目」古今亭文菊
この二席が解説付き。
後半の「お札はがし」入船亭扇遊」のほうが落語研究会に似合う大ネタのように見える、といってもおれは「お札はがし」というのは知らないのだけども。
宮治、冒頭で、「どこの誰だかわからないような人間に盛大な拍手をまことにありがとうございます」といつもの挨拶。
22年の初旬の公演のようで、皆におめでとうとかいいことあったねと言われるとか言っており、笑点のことだなと気付いた。「ここでは詳しくは申し上げませんが」と「笑点」とはあえて言ってなかったけど。知名度を急激に上げたころということだ。
小痴楽もそうだが、この宮治も落語研究会に買われているのか、よく出てくる。
序盤を見て、意外にもこれまでおれが見たイメージと異なり割と本格的落語家に見えた。なのだけど、中盤の笑いどころ、六郷の渡しであ~ら熊さんを何度も繰り返すところがあまり面白くなかったのは残念。
解説では赤荻が宮治の高座を「爆発的でしたねえ」と賛辞。それほどだったかなあと思うが、落語研究会という場からすると、そうなのかもしれない。
文菊の七段目。おれはそもそも七段目という落語を聞いたことあるのかどうか。いや聞いたことはあるのだろうけど。おれが歌舞伎を全然知らないため、歌舞伎が元ネタになってるとどうも気が逸れてしまうのだ。今回、忠臣蔵にちょっと知識がついたためか、この七段目で語られてる芝居の内容そのものに、こんな筋立てなのかと驚く。お軽勘平のお軽が登場、兄と話している。勘平は亡くなっており、芸者になって由良之助に買われようとしているみたいな内容。
文菊は浅草お茶の間寄席でよく見ているが、あれは寄席サイズで、短いものばかり、この人の比較的本格的な高座は初めて見たような気がした。充実した高座

落語研究会22/7月 [落語・演芸]

「らくだ」五街道雲助
解説:京須偕充
聞き手:赤荻 歩( TBSアナウンサー )
放送予定時間
2022年7月17日(日)あさ4:00?

◆第204回落語研究会(2時間版)◆
7月23日(土)深夜3:00~5:00
内 容:「居残り佐平次」柳家権太楼、「四段目」春風亭柳枝、「猫の災難」橘家文蔵
お 話:京須偕充 長岡杏子(TBSアナウンサー)

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23/8/12視聴
ここからは2時間版の方のみを、そしてその2時間版のほうは全部を視聴していくことになる。今回の2時間版の前半である「「居残り佐平次」柳家権太楼」は地上波TBSで22/4月の放送、3か月遅れというわけだが、地上波TBSの1時間版についてはすべてパスして、数か月遅れの2時間版で視聴
「居残り佐平次」柳家権太楼
つい先日、権太楼で「鼠穴」を見ている。それも落語研究会のものだ。そのときも触れたた権太楼を見る時いつも談志を思う。
今回に関してもそうで、そして久しぶりに談志のものを見たいなとさえ思った。まあ見ないけど(※)。
見ていて、この部分、談志はこれこれこういう演出だっただとか、この部分はどういう風にやってたかな、確認したいな、とか、色々思う
この演題については談志の前に圓生が有名、他は知らない。圓生のものは参考程度に聞いたかもしれないがあまり覚えていない。
談志のものが自分の基本になっており、が、どこが談志の工夫、オリジナルで、どこが前からの引き継いでいるところかは完全にわかっているわけではない。というのが前提。
序盤において確か談志のオリジナルの部分だったと思う箇所、権太楼はそういう風にやってなかったというのが二点あった。
佐平次と一緒に遊びに行くほかの三人の男は品川へ行く直前に居酒屋で初めて会ったという部分。権太楼は佐平次と三人は身近な友達という談志とは異なった、つまり普通のやり方。
談志は佐平次が病んでいて品川で療養するために行くという設定については意識して省いていたはずだ。権太楼は従来通り。
三人から一円ずつ集め、それを三人に渡して母親に渡してやってくれとやる場面、そういや佐平次と三人が知り合いでないという設定の談志はどうやってたっけな。名前を名乗って、住まいを言って届けてくれるよう言ったか、それともそんな場面はなかったか
ちょっと驚いたのは中盤、佐平次が勘定を請求されるも払えず開き直る場面で「成り行き」という言葉を使ったこと。これは談志の大好きなフレーズ。ここは談志を意識したのかなあ。そういや「勘定勘定って感情害する」というのも談志が使っていて権太楼も。
その次の場面となる佐平次が刺身の醤油を持って客のところへ入ってくる場面でのやり取りがかなり談志と似ているが、ここは談志のオリジナルが多いのか、それとも以前からのものなのか。
ただ談志は醤油の代わりに隣の部屋の蕎麦のつゆの残りを持ってきており、それがわかって客は「なんだ蕎麦つゆか、道理で甘いと・・・」というようなことを言うが、権太楼は蕎麦のつゆという風にはしていない
その後の佐平次が店を荒らし回り始める情景描写もかなり似ている。同じ言葉を使っていたり。
佐平次が店の主人と対決する場面も結構似ていたなあ。「ガキの頃から手癖が悪く・・・」と気取って語り始め主人の方は「どっかで聞いたことあるな」と返したり。
落げは権太楼のオリジナル。佐平次から正体を知った店の男が店へ戻って主人にそれを話し、連れ戻しましょうと言われると、主人が「(そんなことしたら)居残りの上の居直りをされる」。
京須さんはこの落げの部分を、従来のおこわにかけるの説明なども交え、ここは権太楼の工夫として褒めていた
談志との比較を書いたが、権太楼のことだから、談志のを知らないということはなかろう。でもまあはっきり談志の引用をやるなら、ちゃんと断っているだろうし、もしかしたら習っているのかもしれないし。でもどの程度だと断りを入れないといけないのかとかよくわからんけど。
見ていて、談志のやつはやっぱ名作だったなあと思う。そして印象的なところはそれなりに流れるような調子だったと思うがどうだろう、記憶の中で美化されてるだけかもしれない。談志は口調が淀みないというタイプでなかったし、登場人物が自由にやり演出家談志がそれに戸惑うというようなことを言っており、アドリブめいたやり方もしてたしね。でもおれが見たやつ、90年代中頃のひとり会だが、まだ後年ほどはつっかえる部分は目立たなかったようにも思う。
権太楼はそういうタイプでないのはわかるがもうちょっと流麗になってほしいかな
貨幣価値について
落語で一円と出てくると明治時代、一両と出るとそれ以前ということなのかなとなんとなく思っていた。一円が一両なのだが、どうも同じ価値のように聞こえず、一円のほうが価値が低そう。以前にも書いてると思うが、一両は今の十万円と考えると換算しやすく、さほど外れてもいなさそうなのでそう考えている。落語に出てくる一円にそれほどの価値を感じないのだ。
銭のこともある。一円が100銭、一両が4000文。銭と文ではこれだけ違っているが、落語の中で出てくる銭と文にはさほど違いがないように見える。
で、今回、佐平次がほかの三人ら集めるのが一円、最後主人から高飛びの費用としてふんだくるのが五十円なのだが、最後の最後に、五十両という言葉も出てくる。円と両と両方出てくる落語は別に珍しくはないし、一円は一両なのだろうが。今作品の一円の価値ってどれくらいなのだろう、そして時代設定は?
(※)。見たいソフトはビデオテープ90年代の最初に出た「ひとり会」であり、再生機がないし。多分動画サイトを検索すれば出てきそうではあるが、おれが持ってるソフトのものでない可能性もあるし、もしおれが見たいやつだとしても、動画サイトで見るのはちょっと嫌かなあ。結局自分の持ってるソフトで見たい、が、簡単に見れる状況でなく、それをやるとなると、それだけでは済まず、自分の持ってるビデオソフトの一大復活プロジェクトになりかねなくて(ついでにやれることではないが、そうなるとカセットテープやアナログレコード、CDなんかも気楽に視聴できる環境にしたいと欲張りな思いもある)、ああ頭が痛い。まあ色々あるのだ。
結局いつも記憶の中にある談志を大事にしようと結論
※23/8/13視聴
「四段目」春風亭柳枝、「猫の災難」橘家文蔵
柳枝という名前が今あるとも知らず(調べたら浅草お茶の間寄席で一度見ていた)、はて誰がいつ継いだのだろうと思いながら視聴。マクラで真打披露興行をこの三月で終えたという話をしていた。
この番組では同日放送のものが同日収録であるとは限らず、というか、同日収録のほうが少ないくらいだろうと思う。柳枝はその披露興行でさん喬と正蔵が口上に並んでくれたことを言い、そのさん喬はこの落語研究会での主任とのこと
文蔵、ほとんどやくざのような強面で武骨な落語をやるというイメージでいたが、ところどころで唄い調子のような部分があることに気付く。
秋めいてきたというようなことを最初喋っており、そういう時期の高座
最後のところで幕が閉まり、ありがとうございましたと挨拶しているところを見ると主任か。にしては大きなネタでもない。文蔵が落語研究会で主任をやるくらいになったか
こぼした酒を吸う場面が良い。最後には顔をゴロゴロと床に擦り付けて、品性のいやらしさを表現、当人のイメージ(本人の本来かどうかは別だが)にも合致していていてとても秀逸
序盤で兄貴分が酒を一緒に飲もうと訪ねてきて、酒を買いに行く場面。酒も肴も自分が奢るというようなことを兄貴分が言っており、なら、鯛に目をつけたとき、あの鯛は隣の猫のお余りで頭と尻尾しかないことを白状してもよさそう。ここは、割り勘という話から、鯛があるなら酒はおれが買うとしたほうがよさそう。他の落語家のものはどうなってるかは覚えてないが(結構色々な人で聞いてるはず)
そうそう志ん生は「犬の災難」で鯛でなく鶏肉だったな、はて鶏肉だったら、頭と尻尾が見えているとはならないが、どうやってたんだっけ、と検索。
なんと志ん朝も犬の災難でやってるようだ、後で聞いてみよう。鯛が鶏肉に替わっているの部分は、肉屋が隣に届けたのを預かって、そこへ酒を飲もうと誘いがきて勘違い、となっているようだ。

鬼平犯科帳’71 [時代劇]

鬼平犯科帳’71(鬼平犯科帳'71)
BSフジの朝放送の時代劇シリーズ。うーんこの枠はチェックし忘れるなあ。シリーズものを一気に放映しており、それが終わるとすぐ次のシリーズが始まるのだが、その交代する時期をうまく見極められない。毎週金曜日に翌週の番組チェックをしているが、今回は8/10の木曜日から開始。おれがチェックしたであろう、その先週の金曜日には、その前のシリーズが終わり、次のシリーズがなんであるかについては出ていなかったのだろう。出ていれば、当然気付いて、予約を入れているはずだ。とりあえず、予約をしていない場合は、そのシリーズがいつ終わるかをチェックすべきであろうな。
今回は第3話より録画開始となる

※追記
8/14
まず1話放映を終え録画できたので視聴。とりあえず最初の内は逐次視聴していこうかなと思う。杉版金さん、水戸黄門と併せて三本も逐次視聴していくと他のことができないなと思ったが、ちょうどよく、今週は水戸黄門の放映が休止されている。
08/14(月) 09:00 - BSフジ・181|60分|10倍録
[字]<時代劇>鬼平犯科帳’71 第3話  「兇賊」
3 10月21日 兇賊
竜崎勝、古今亭志ん朝、長谷川明男(沢田小平次)、土田早苗(おしん)、正司歌江(おもん)、堀井永子(おつね)、市村昌治(友吉)、石橋雅史(関口助九郎)、川野耕司(百助)、西川敬三郎(大村の主人)、曾我廼家五郎八(九平)、安部徹(甚五郎)
キャストクレジットはウィキコピペ。レギュラー陣もキャスト欄に掲載されているのでそれもそのまま。慣れてきたら、順次レギュラー陣のコピペは止めるかもしれない。
今回の場合は正司歌江(おもん)から後ろがゲスト。
竜崎勝、古今亭志ん朝はもちろん前のシリーズにもメイン格で出ていたのでお馴染み。
そうかあ、長谷川明男(同心)に土田早苗(密偵)が鬼平配下かあ。
さて今作、見始めてちょっとだけ驚く。とても個人的なことだが。
今作は吉右衛門版では第1シリーズの第9話。おれは吉右衛門版は全部視聴し録画も残っているのだが、いくつかの回で録画不備があり、録画し直そうとして、そして録画はしたものの、一度見たという意識があるためか、なかなか見る気になれずにいたところ。で、その録画不備回の最初がこの1-9であり、これは最初の方だけ見たものの飽きてしまい、見るのを止めていた回。なので、割と最近に見ていた回。脚本は同じものを使っているのだろう、始まり方が同じで、「ああっ、この回かあ」と思った次第。
2023/01/30(月) 18:35 - BSフジ・181|55分|10倍録
[字]<時代劇>鬼平犯科帳 第1シリ―ズ 9話 兇賊
メインゲストが米倉斉加年で九平役。
であるので、71版を見終えた後どうせならと吉右衛門版のほうも視聴、比べながら見た次第。
いくらか変えているところもあり、またほとんど同じセリフのところもあり。始まりと終わりについては同じ場面であり、セリフ、ナレーションもほぼ同じ。
冒頭の場面は九平が生まれ故郷に立ち寄り、しかしそこに知人は一切おらず、生家、ここも見ず知らずの人が今は住んでいるが、そこで佇んでいるとそこに子供に声を掛けられ、井戸の水を一杯飲ませてもらい、というような場面で、見終えてみればストーリーには関係がなく省いてもよい場面だが、老境の盗人の心境が描かれたとても良い場面だ
おもんは序盤、平蔵が芋酒を飲んでる九平の酒屋に飲みに来る夜鷹。ここに正司歌江というのがなかなかだと思った。娼婦となると綺麗処というのが相場かと思うが、こちらも老いた娼婦の悲哀が表現されてる。そういやこの酒屋の場面で71版では平蔵はもうこの年齢だから色恋とは遠ざかってるというようなことを言っている(「そいつは精がつきそうだ、だがおれの年じゃ、おかげを被ることはなさそうだ」、「妙な気で奢るんじゃない、見たとおりの年だ、そっちの方はもうからっきし意気地がねえのさ」)が、吉右衛門版にそれはない。ここは吉右衛門版平蔵の想定年齢を意識して省いているのだろうな。吉右衛門版ではこの回に久栄は登場しているが、71版では登場していなかった。

4 10月28日 狐火(前篇)
5 11月4日 狐火(後篇)
竜崎勝、古今亭志ん朝、富士真奈美(おまさ)、風見章子(久栄)、堺左千夫、武田昌之、北川陽一郎、河村憲一郎(彦十)、小高まさる、大坪日出代、佐代雅美、田村元治、渡真司、藤岡重慶(庄七)、白石奈緒美(お千)、浜村純(源七)、江見俊太郎(河内伝内)、岸田森(又太郎)、草野大悟(文吉)
浮田左武郎(勇五郎)(後篇のみ)
前後編ものだったので、「5」放映後、その日に一気見
とてもいい出来
今シリーズも歴史的作品だから見て入るものの、作られた時代が違うからともいえそうだが、演出もそして平蔵のキャラもなんだかあっさりとしていて「こんなもんか」と思ってもいる。
比べられるものでもないが、心の中では吉右衛門のほうがいいし、おまさは梶芽衣子だろうと思っている。おまさについては69年版で誰が演じていたかも覚えてはいないのだが。
で、今回、平蔵とおまさがとてもよく。またストーリーがいいからその通り作るだけでもよくなるのか、それとも制作側にも気合が入ったか、すべてがうまくいっている感じ。
鬼平について全作を事細かに覚えているということはなく、タイトルに聞き覚えがある程度。が、これは見始めてあああの作品だなと思い出す。世良公則が出てたことだけを明確に思い出す。
吉右衛門版について調べてみたが、この狐火を使っているのは1-9と劇場版。後者で世良公則が出ている。おれもそちらを思い出していたのだが、2時間ある作品で世良公則のエピソードが中盤に終わり、終盤に平蔵の昔の女が出てきてとかいう展開だったはず、この作品も最近見たような気がするなあと調べてみると、吉右衛門が亡くなった時に放送があり、一度見ているにもかかわらず、視聴したようだ。そうかあ岩下志麻が後半のメインであり、平蔵の昔の女だったんだな
1-11では1時間枠でやっているのだろうな。いまHDに残ってる(「第1シリ―ズ 9話 兇賊」のところで書いたが、録画不備のため再度録画してそのままになっている)から後でちょっとだけ見直そう
さて、今回では劇場版の岩下志麻部分はない。つまり劇場版でも狐火エピソードは1時間で終わっているものとみえ、テレビシリーズでも1時間。今回はそういう作品を2時間にしているということか。いくらか盛りだくさんだなと思えたのは、平蔵が先代狐火の女房であるお静を狐火から奪おうとして諫められ手打ちの儀式をしたという回想場面。若い平蔵は後ろ姿だけで幸四郎が演じているものと思われる。こういうエピソードは劇場版にはなかったのではないかなあ。だって劇場版では岩下志麻が平蔵の昔の女として出てるんだもの、ほかにこんなエピソード入れ込んだら過剰である。
今シリーズでおまさや彦十が初登場、吉右衛門版では登場人物の関係性を受け継いでいるのではないかと思われる言い回しが多々あった。彦十がおまさ、平蔵をそれぞれ「まあちゃん」「銕つぁん」、おまさは彦十を「おじさん」

6 11月11日 おしげ
竜崎勝、土田早苗(おしん)、堺左千夫、高瀬敏光(小柳安五郎)、北川陽一郎、青沼三朗(千鳥の清兵衛)、山田晴生(都築宗庵)、高松政雄(伊勢屋太兵衛)、二瓶秀雄(重蔵)、川島育恵(おしげ)、田中浩(夜蟹の音吉)、松川勉(宗助)、殿山泰司(友五郎)、渚まゆみ(おうめ)、黒川弥太郎(佐嶋忠介)
やけどの痕が顔に残る船頭の友五郎と、同じくやけど痕が顔にある女おしげがひょんなことから知り合い、お互いを思いやりながら生活をしていこうとするが、どちらにも色々事情があり・・・。
こういう内容なのに、二人ともとくに、おしげの方はさほどやけど痕が目立っておらず、おれは最初のやけど痕が映る場面を見落としたのか、セリフから、おしげにはひどいやけど痕があるらしいが、まったくそれが見えないので不思議に思って見ていた。殿山泰司のほうは顔自体に特徴があり深い人生のしわがあるような顔だから、こちらもさほど目立っていない。
佐嶋が登場、与力であるから酒井よりも偉そうである
テクニックを使った映像が一か所。
友五郎とおしげが江戸を出ることを決めた場面が終わるとその二人を映していたカメラはそのまま小屋の中から壁のぐるりを映し、そのショットのまま入口あたりを映すとそこには火盗の面々が踏み込んできたところ。これは壁を映している間に時間が一気に流れたということで、見てる側は面食らう。この手法は時間でなく違う場所に飛ぶという風にも使えるであろう。つまりこの場合なら、壁のぐるりを映し、その先に平蔵の役宅になっているとか。
鬼平の特徴に気付く。水戸黄門や大岡越前、金さんなんかと比べるとワンパターンでなく、ストーリーにいろいろなパターンを駆使して面白さを重視している。今回は平蔵始め火盗はさして活躍せず、友五郎とおしげの行動と心の動きが丹念に描かれている。それゆえか最後盗賊たちが捕まるところはあっけなく、もう終わりかよと思ったくらいだったが、そこはこの回ではさして重要でなく、その後友五郎とおしげにどういう処置がくだされるかが、また時間をかけて描かれている。
そしてそのためだろうが、上にあげた三作品は主役やレギュラーが目立つように作られているが、そこまで平蔵の活躍が描かれていないし、全部平蔵が事件を解決するという風にもなっていない作品が多くある。「鬼平外伝」というのは、それを逆手に取ったかのような作品で鬼平の世界観を鬼平抜きで、それゆえ無理に鬼平を出さないからこそシンプルに描けている作品だと思う

7 11月18日 夜狐
古今亭志ん朝、長谷川明男(沢田小平次)、加藤武(井坂孫兵衛)、寺尾聰(粂八)、三条美紀(近藤満寿子)、加賀邦男(近藤監物)、木田三千雄(半助)、宮崎和命(山本惣市)、石川徹郞(岡田権十郎)、二見忠男(勘七)、高橋長英(弥吉)、春川ますみ(おやす)
加藤武はゲスト、寺尾聰はレギュラー、それ以降はゲスト。
ここではまず高橋長英か。若い。この人はよく見る顔だが、ここまで若い姿は新鮮。まだツヤツヤしている。役が落語の厩火事のような髪結いの亭主で、そして小悪党。女房の稼ぎを当てにしており、口先や身体の相性で女房を手懐けるあたりの演技、そして小悪党ならではの鋭い目つきが絶品。
女房を演じているのが春川ますみ。これは別に落語を下敷きにしているわけではないが、それでも落語で描かれるようなのどかな長屋の夫婦の情景が比較的多めに描かれている。で、ふと思ったが、鬼平にはそういう情景ってあまり描かれないのではないかとふと思ったが勘違いかもしれない。何しろ暑くてあまりものを考えられない。こういった情景というのは時代劇において必須ともいえそうな情景だ。でも鬼平だと特徴的な盗賊との対決みたいなものが主という感じがして、それゆえこういうのは珍しいかなと思ったのだ。
次に上げたいのは寺尾聰だ。今シリーズからのレギュラー。第2話に出ているようだが、おれは見れなかった。
志ん朝の忠吾とペアを組んでの仕事。
寺尾がビバリーに出たとき、志ん朝との思い出を話していたことを思い出した。このメモブログにもメモしたような気がしたが、検索しても見つからず。
若いころスタジオで会ったとき、言葉は交わさないながらも、目でニヤッと合図してきたことが印象に残ってる、互いに父がその世界で有名どころでその思いが通じ合ったような気がしたというような話。志ん生も宇野重吉も有名というかその世界を極めたとでもいうようなでかい存在である
そのときの話しぶりでは一面識もないような感じを受けたのだけど。まあそんなことは言っておらずおれの勘違いか、もしくは、その時点ではそうだったが、その後の共演ということかもしれない。
ちなみにネットで調べたところ寺尾聰のビバリー昼ズ出演は2015/12/16で昇太がパーソナリティーの日である。昇太がパーソナリティーというのはおれの記憶とも合っている

8 11月25日 兇剣(前編)
9 12月2日 兇剣(後編)
竜崎勝、古今亭志ん朝、橋本功(大河内一平)、江波多寛児(牛滝の紋次)、中庸介(大門の常八)、河村祐三子(よね)、江角英明(猫鳥の伝五郎)、武田昌之、石橋蓮司(善作)、浅野進治郎(渡辺喜左衛門)、山谷初男(白狐の谷松)、辻伊万里(おはや)、南祐輔(稲垣鶴太郎)、坂口芳貞(与兵衛)、浜田寅彦(出雲屋丹兵衛)、織本順吉(大和屋栄次郎)、北村和夫(浦辺彦太郎)
ああ、さてさて。
前後編ものなので、第9話放映当日に2話をまとめて視聴
冒頭、どこがどうというわけでもなく、これ一度見たことあるかもという気がした。後になって考えてみると、平蔵が京に墓参りに来るという冒頭を、吉右衛門版ではなく見た記憶がかすかにある。吉右衛門版でも見たと思うが。
そしてその感じは正しかったようで、後編の志ん朝忠吾が平蔵を追いかけて追い越してしまうという喜劇的場面(※)を見て、ああ、これは一度見たようだ、となり、その後のさらに志ん朝の喜劇的場面、酒を所望し、飲み過ぎてしまい、という場面になり、確かに見たな、となった。
全部見終えて、このメモブログを検索、あっさりと見つかる。なんだ、これ見たことあるやつか。事前にも検索かけてるんだけどなあ、タイトルの数字が全角「’71」になってるから気になったりということまでしてるのに、見落とした。
俄然見る気を失くす。これ以降どうしようか、そもそも録画は残ってるわけだし。
この回ではまず北村和夫、おしんに出てた人だが、眼鏡が印象的でここではそれをかけておらず、ちょっとわからない感じである。彼の息子が北村有起哉、そして北村総一朗とは親戚関係はないのだけど、眼鏡の感じは北村総一朗と印象が近い。今回の役でいえば、そういや北村有起哉が似ているともいえそう。
織本順吉が若く、顔がツヤツヤしている。
ストーリーとしては、池波正太郎らしいというか鬼平らしいというか、最後のところで二つの件(押し込みとよねによる渡辺屋敷への復讐)が重なり、話を複雑にそして見応えがある風になっている
(※)この場面はかなり強く印象に残っている。初めて見たときは特に志ん朝に注目、いまメモを見返すとまだ吉右衛門版を見ておらず、時代劇も特段見ていないころのようであり、そのため志ん朝目当てに見ていたのかもしれない。鬼平は喜劇的に作られてる作品もある(「密偵たちの宴」など)が、それほど喜劇職は強くなく、今シリーズでは喜劇的場面は志ん朝が一手に引き受けているという感じ(吉右衛門版でもそういう役割は忠吾役の尾美としのりだ)で、この回でもシリアスな展開が続いており、この追い抜いてしまう場面も記憶では相当に笑えるシーンとして記憶しているのだが、実際にはそれほど大袈裟ではない、もちろん笑いを狙ってるのは確かだが。が、この後の酒の場面ではかなり喜劇的色が濃くなっており、追い越し場面はその前触れという風に見える

※追記8/30
前に見たことあるやつということがわかり見る気が失せて、しばらく放置状態にしていた。自分の録画データHDを確認してから削除しようと思っていたのだ。ようやく古いHDの中を探した。
確かに「71」も残っていたものを発見、ただ字幕オンがついておらず、今回放映分にはついているので、今回放映分を残すことにして、録画がちゃんとされてるかの確認も必要だから、これを機に今回放映分を見ていこうと思う。時間のあるときに随時視聴していく予定。
「69」も録画があるのを発見、全然覚えていないもんだな。上でメモブログを検索したと書いたがそのときにあったような気がせず、再度検索、丹念に検索結果を見てみたら、見つかった。なんだ、「69」も「71」ももう見ているか(「69」の白黒放送時代分だけまだ見ていない)

※追記
10/4
HDの容量の問題があり、整理できるものはどんどん整理していこうということで、こちらの視聴を再開
10 12月9日 隠居金七百両
菱見百合子(お順)、加藤嘉(堀切の次郎助)、中村吉右衛門(長谷川辰蔵)

11 12月16日 女賊 下飯坂菊馬
高津住男(勝四郎)、池田秀一(幸太郎)小栗一也(瀬音の小兵衛)、増田順司(伊之助)、渡辺美佐子(お千代)

12 12月23日 鈍牛
東野孝彦(亀吉)、菅野忠彦(田中貞四郎)、今福正雄(安兵衛)
3話続けて視聴。意外にもあまり面白くないなと思う。11話なんかはお千代という女だてらに盗賊の頭をやってる年増の女が、若い男、因縁のある男の息子、を手玉に取ろうとするも、お互いが身体目当てに離れられなくなってしまうというような話で、その男女のやり取りが延々繰り返されるあたりが退屈。
10話はもう辰蔵の吉右衛門に尽きる
12話での東野孝彦はちょっと頭の足りない男の役。火付けと疑われ自白もしてしまうが、実はやってないのでは、という疑いが持ち上がる。

※10/5
10/4に三本見ておりどれもなんだか退屈に感じたのだが、今日以下を見てやはりなかなかの出来だなと思った。3日にコロナワクチン接種、副反応で4日はボーっとしていたせいのように思う。4日は杉版遠山の金さんも1本見たが、そっちもしばしば気が逸れた。
13 12月30日 雨乞い庄右衛門
木村功(雨乞い庄右衛門)、加東大介(岸井左馬之助)
松山照夫(勘定の定七)、稲吉靖(与平)、上田忠好(大藪の文五郎)、沢田正昭(円造)、沢りつお(八十八)、山口譲(壮助)、加藤正之(宿役人)、中村是好(板場の甚造)、園田裕久(でくの安五郎)、上林詢(神楽の市之助)、柳生博(破目の伊太郎)、町田祥子(お照)、池田忠夫(鷺田の半兵衛)
平蔵がほとんど出てこない作品、上のう6話のところで書いたが、平蔵が活躍しない作品ということだ。
二人の名優、木村と加東が道連れになるとう風にたっぷり二人だけの場面が見れる。
とくに木村功の死相が浮かんだメイクが鬼気迫る。この人は必殺仕事人で元締役、シリーズ途中で亡くなっており、存在感抜群ながらも後で振り返ると出演回数の少なさにびっくりするのだが、その際のほうが死相が出ていてもよさそうなものなのに。
水車の百姓の場面が効果的でありこういうのを少し挿入するところが文学的。
松山照夫が若い。風呂の場面では、手拭で前を隠しているが浴槽の中の親分庄右衛門を見てびっくりして前を離してしまっている、もちろん映ってないが
平蔵がほとんど出てこない、左馬之助が訪ねてきて、ようやく登場。その次の場面で最終盤になるのだが、いきなり場面が飛んだようでもありカットの見事さを感じる。
一方で平蔵はレギュラーだからと無理やり登場させた感じ
そしてエンディング、事件現場に平蔵配下が登場するでもなく、庄右衛門が全部を片付け、そして水車の百姓を見つめる左馬之助、回想の庄右衛門のセリフ「ああして暮らすのも人間、同じ一生でございましたなあ」が被さる、見事
お照序盤での庄右衛門を評する言葉、「ただくたばる人じゃない、地獄の底まで道連れにしようって人」、が結末に効いてくる

※10/6
14 1972年1月6日 平松屋おみつ
松本克平(甚五郎)、木田三千雄(徳之助)、宇津宮雅代(おみつ)、荒木道子(おりん)
おみつの一生とでもいうべき、1時間ドラマでは物足りないような長い時間軸の話のように思え、が、しかしたかが三年間ほどのスパン(セリフで冒頭の事件を三年前という場面があった)、それでも長いし局面が大きく転換する場面が二回ある。その二回、おみつが父親殺害事件の後、父徳之助の友人で会った甚五郎を父親代わりに生活を始めたが、その甚五郎が姿を消した場面から、平松屋へ女中奉公をしている場面への転換、そして平松屋の若旦那利太郎に強姦され、暇を申し出るという場面から、利太郎の嫁になり平松屋の立派なおかみになっている場面への転換、その転換の際のその間に何があったかはわかるものの、もうちょっと何かあってもいいのではないかと思えるところをスパッとカットしているところが見事。まあ時間の制約もあるだろうけど、カットの美学ともいえる。文学的でもある。
そしてこれはまあ当然ともいえるが、甚五郎が終盤になりおもつの前に姿を現し因縁噺の結末をつけるというあたりも時代小説っぽい。さらに最初にあった甚五郎、徳之助、おみつの間の因縁がぼんやりしたままで、説明台詞で決着をつけないところもよい
最後におみつが息子清太郎を連れて平蔵のところへ挨拶に行っている場面、平蔵が清太郎に「おじいちゃんのような立派な職人になるのだな」と言っているが、商家の跡取り息子でもあり、ちょっと違うんじゃないかなあと思う。徳之助が作った煙管の話題の出たところだからというのはわかるけど

※10/7
15 1月13日 下段の剣
浜田晃(不破の惣七)、見明凡太朗(牛久の小助)、久世竜(島田鐐助)
高松英郎(松岡重兵衛)、中村吉右衛門(長谷川辰蔵)
吉右衛門版鬼平は全部で150作ある。
原作者の池波から原作以外は使わないでくれと言われており、リメイクだとかいくつかの原作をひとつにした作品なんかもあり、結局原作自体は150に相当満たない数なのだろう。
そしてテレビドラマで4人がやっており、おれはそれをほとんど全部見ているが、丹波哲郎版だけは全26回と多少少ないが、他はみな作品数も多い。
ということは、同じ原作のものを何度も見ているわけで、なので、詳細を覚えていなくとも、なんとなく見たなあという作品が多い。他の人が主役のものの詳細を一々覚えていれば、これは古典落語鑑賞のようになっていくのかもしれない。
今作品もなんとなく覚えていた。
高松英郎という人はこの頃のもので大物然として出ているものがほかにも例えば必殺仕置人の準レギュラーなんかがあるが、うまいのかどうなのかよくわからん。ここでは平蔵をも忍ぶ凄腕剣士でありながら盗賊の用心棒、平蔵がぐれるのを救ったという難しい役、あまり殺気みたいなものは感じられないが、大物感はある。

※10/8
16 1月20日 掻掘のおけい
稲野和子(おけい)、津坂匡章(砂井の鶴吉)
武藤英司(大滝の五郎蔵)、富田仲次郎(念仏半平)
木村元、内田勝正
大滝の五郎蔵登場。が、ウィキを盛るかぎり、この回だけのようだ。もちろん密偵としてであるが、普段密偵として働いているのでなく、平蔵から久々に呼び出されたという設定。
序盤は津坂の特徴を生かしての喜劇的演習がが多用されている
一方終盤から結末はなんだかグタグタに見えた。いやちゃんと作られていて、おれがその言いたいことを感じ取れなかっただけかもしれないが。
一本うどんが出てきていた。吉右衛門版にその名の通り「一本うどん」という回があったように思うが、この話だろうか。なんとなく忠吾が主役の回でしかも痛めつけられてたような覚えもあり、それだとしたら、全然違う話ということになるが。

※10/9
17 1月27日 のっそり医者
伊藤久哉(土田万蔵)、戸島和美(お菊)、福山象三(落合の儀十)、中村竹弥(萩原宗順)
のっそり先生は中村竹弥、そしてこの回はお菊が見どころ。お菊はある押し込みでみなしごになり、役宅で面倒をみている少女、13歳という設定。まずは平蔵の役宅でのっそり先生のところでの奉公の話を聞かされる場面、この役宅にいつまでもいられないという状況を悟っており、その奉公先がどんなものかもわからないまま、そこへ行きたいという場面、またそれを最初久栄がお菊に話し、それを平蔵は隣の部屋で聞き耳を立てているのだが、気にしないふりと気になってしょうがないというあたりの演技が良い。
そしてその後の展開、偏屈なのっそり先生のその人格のすばらしさに見て、一生懸命尽くすようになり、親子のように親し気になるというあたりの演技も良い。
結末。実はのっそり先生は仇と狙われる身、のっそり先生はお菊とともに江戸を逃げるが、その道中で陣痛の女を助けるため足止め、のっそり先生を狙う土田に追いつかれる。一騎打ちとなるところで、火盗の役人たちが追いつく。土田は辻斬りの常習犯だったのだ
最後は文学的な締め。土田は辻斬りを繰り返しており、数多くの罪を犯し、一方ののっそり先生は血気にまかせて人を殺したが、その後は人のために尽くす人生だったと

18 2月3日 情事
森山周一郎(宮森 忠右衛門)、津野哲郎(坂口兵馬)、川野耕司(天神の藤兵衛)、五藤雅博(塚本左内)、永井柳太郎(老僕 与五郎)、平井昌一(松岡弥太郎)、三島史郎(朝宮亀次郎)、玉川伊佐男(牛堀 九万之助)、左時枝(お久)
前回に続いて、1時間ドラマの中に文学的な香りを感じさせるもの
ここでは左時枝のお久に注目。武家の娘だが出自は聞かぬという約束で、道場の女中に入っている。このお久、父親が仇討で終われる身であり、一緒に旅をしていたが、追う身である亀次郎と叔父の宮森と対峙することになり、手裏剣を幼いときから教わっていたお久は、父親から飛び道具は卑怯だから使うなと言われていたにも関わらず、手裏剣で加勢、亀次郎の目を潰していた。
その亀次郎を江戸で数年ぶりに見かけるというのが物語の発端。
お久は討たれる覚悟をし、ここで女の性とでもいうか、道場生の弥太郎に抱かれる。がこの弥太郎、ひどいもんで、お久を抱けるかどうか賭けをしていたのであり、他言無用とお久に約束させられていたにも関わらず、ペラペラと仲間に自慢。
亀次郎とお久の再会の場面、なかなか今の時代には理解されないようなお久の人生観が爆発。亀次郎が仇討は止めるから二十両くれと言い出したことに激怒。それでも武家か、情けない、自分は手裏剣を投げたふるまいを恥じてきたのに、と言い出し、「親の仇を二十両の金子と引き換えるような見下げ果てたお方には今更おめおめと討たれはいたしませぬ」尋常な勝負なら受けると言い捨てる
格好良い武家女子である。
最後の方はちょっとアレである。亀次郎は借金が道場生たちにあり、その金の返済の代わりに、お久をいつでも呼び出せるから、好きなようにしろと言い出し、亀次郎はお久のところへ行き、勝負を申し出て、呼び出そうとするのだが。大勢でやってきたとバレて、その場で襲おうとする。なら、いつでも呼び出せるもなにも、単に大勢で行って集団で襲ってるだけで、亀次郎の働きがないではないか。
さらに、大勢で行っているにも関わらず、なぜかお久が弥太郎に情事をバラしたことを詰め寄る場面では一対一で、他にいるはずなのに、誰も出てこない。
結末はお久が弥太郎を殺し、自分は自害、亀次郎が叔父を伴ってお久を出せとやってくるも、そこへ平蔵登場、亀次郎が押し込みの一味であり、そして押し込みの際女を襲い殺した男だということをその押し込みの既に捕まっている頭に確認させた上で斬る。最後は道場主(玉川伊佐男)への事情を書いたお久の手紙で終わる
平蔵の活躍がここ数回少な目、年齢のせいだろうか。ここではラストに出してバランスを取ってる感じ
工藤堅太郎が密偵吉松として登場、こんな人も出てたのか

19 2月10日 刃傷以后
原田大二郎(辻又五郎)、森秋子(千代)
綿引洪綿引洪(永井伝蔵)(綿引勝彦)
長谷川明夫の沢田小平次が登場。原田大二郎の辻又五郎との男の友情とでもいうようなストーリーで、
気持ちのいい終わり方
冒頭のエピソード、千代が強すぎる故化け物娘とののしられ、そして悲しいいたずらがなされ、それがきっかけで自害してしまい、それが元で又五郎が町人になっていく由縁が語られる。千代が主役かと思いきや、千代はこの場面だけで、そこから長く続く又五郎が主役という意外感のある仕掛け。ここだけで色々と盛沢山。千代に対するからかいは行き過ぎたいじめでどぎつかい面がある。
その一方でうまい描写がある。偽の又五郎の恋文に千代は待ち合わせ場所へ出かけて行き、それが嘘で、男欲しさに化け物娘が出てきたなどとののしられるのだが、千代が又五郎にその手紙の真偽を確認しに来る場面。又五郎は真摯にこんなもの書いてない、なんならここで同じものを書いてみせます、などと偽者であることの証明に必死になる。が、女心をまったくわかっておらず、遺書に、すがるような気持ちで又五郎のところへ行き、自分の浅ましさに気付いた云々、と又五郎の悪気はなかったのだが、わかってないということを思い知らされることになる。この流れも悲しい
この場面はプロローグともいえ短時間で終わるのが贅沢
その後もわくわくするようなストーリー。又五郎と沢田が組んで悪役と対決するというのが概要だ

20 2月17日 裏道の男たち
堀田真三(火傷の浪人)、和田文夫(音羽の半右衛門(二代目))、野口元夫(音羽の半右衛門(初代))、 塩沢とき(おくら)、金子勝美(おみね)、上田侑嗣(伊三郎)、柴田侊彦(川窪平四郎)、小瀬格(秋山高庵)、城野ゆき(お喜世)、高原駿雄(内田勘兵衛)
これも文学的というかまさに時代小説だなあという感じ。二十年前の殺しから始まり、そしてその後・・・、という風なところは時代小説によくありそう。
野口元夫という人は見かけがとにかく独特、時折時代劇で見る

21 2月24日 あいびき
吉行和子(お徳)、峰岸隆之介(覚順)(峰岸徹)
灰地順(疾風の陣内)、戸田春子(おつね)、木村博人(源次)、三井弘次(仁兵衛)、綾川香(文吉)
大工の棟梁の嫁、お徳は府議密通を行っておりそして知らずに悪人に建物の図面を渡しているという役。そしてなにも罰せられず終わっていく。悪役っぽいのだが罰せられないということで終わってみれば悪役でないのかなあという不思議な存在。
大工頭領、仁兵衛の江戸っ子というか職人気質というか無愛想な感じがとてもよい
これまでさほど出ていなかった長谷川明夫の沢田小平次が三回連続で登場
前回に続き最後に長谷川平蔵が出張ってくる
ラスト。女は美しく生まれると不幸せになると平蔵、沢田が長官の奥方様が手頃。あまり美しくないとうことを言っているのか
話が面白いなあ。ここ数作品、駄作がない。11話をつまらないと書いたが、おれがぼけてたのだろう。
多分原作が相当によくできているのだと思う。映像作品の質としてはやはり吉右衛門版のほうがいいと思う。良し悪しはあまり断定したくはないが、少なくとも後年に作られたものであり、今見るには時代が近いから現代人の好みにあった作りになっているということはいえるし、またあの作品はこれも時代のせいというのが強いと思うが、相当に丁寧に作られているということもいえる。
もう一度あちらを見たくなった。

※10/10
22 3月2日 殺しの掟
森幹太(聖天の吉五郎)、飯沼慧(金子安斉)、須藤健(伊勢屋勝五郎)、内田武樹(原田友二郎)、
森下明(岬の仙蔵)、磯村みどり(お清)、江守徹(松永彦七郎)、高橋悦史(西村左内)
「兇剣」で今シリーズは前に見たことあると言うことに気付いたが、今作品はそれ以上によく覚えている回だった。他の人のシリーズではなく、この幸四郎版の作品に見覚えがあるということだ。そもそもこれは以下に記すように鬼平でなく仕掛人が原作のようで、他の人の主役のシリーズではやっていないと思われる
今作は西村左内という名前に覚えがあり、そう必殺仕掛人である、さらにサブタイトルも見覚えがあったので、ちょっと検索して調べてみた。このサブタイトルは小説「仕掛人・藤枝梅安」の初出作であり、西村左内はその作品の登場人物とのこと、必殺はそれをベースに作ったということなのだろう。岬の仙蔵、というのも必殺では「岬の千蔵」として出ていた。今作で元締は「聖天の吉五郎」となっている

23 3月9日 泥鰌の和助始末
大坂志郎(泥鰌の和助)

24 3月16日 大川の隠居
進藤英太郎(友五郎)
山岡徹也(犬走りの富造)
23と24を続けて視聴
どちらも有名な作品だと思われる。タイトルはよく覚えている。どちらも見覚えはなかった。確か吉右衛門版でどちらもスペシャルとして作られてるんじゃないかな、なのでタイトルはよく目に入るという状況がある。
進藤英太郎の飄々とした喜劇的演技が印象的

※10/11
25 3月23日 礼金二百両
田中浩(木庄)、木村博人(長尾)、
高橋義治(黒木)、山田はるみ(もよ)、高野浩幸(千代太郎)、瀬良明(喜兵衛)、増田順司(谷善左衛門)、堀越節子(芳乃)、清水綋治(又太郎)、川辺久造(横田大学)、戸浦六宏(山中伊助)
ちょっと異色の回であるが、しかしこの鬼平という作品は決まりきった形があまりないというのが特徴でもあるので、そういう意味では異色とはどういうことかともいえる
冒頭プロローグとラストのエピローグでは、火盗の長官の内証のやりくり(経済事情)の大変さが語られ、この回の本編でやった仕事の御礼に「礼金二百両」をもらい、平蔵が酒井にこの件の口止めをして、久栄も含め三人で酒を飲むという場面で終わる。
本編では酒井の叔父、善左衛門が持ち込んできた横田家(多分旗本であろう、善左衛門が用人を勤めている)の子の誘拐事件である。
家臣の戸浦六宏の山中伊助が誘拐一派の共犯。戸浦は悪役が多く、それもかなり非道な悪役が多い印象だが、ここではちょっと弱気な面もあり悪になり切れない面もあり、そしてやる理由というか因縁もあるというような役柄。一方首謀者は清水綋治の又太郎。その因縁とは山中の妹もよが横田の先代にはらまされ、そのとき奥方の芳乃がもよを追い払ったということがあり、しかし山中は横田の家に残れることになり、それを恨みに思っていた。そしてもよの子が又太郎である。
この芳乃はいまも隠居として健在、今回の事件にも当代である大学とともにことに当たっているという構図。
またプロローグ部分では風邪で寝込む平蔵、仕事のことは一切持ち込むなと厳命しつつも、酒井が持ち込んできた話を、もったいをつけて聞いてやる(後継ぎを育てるためなどと言っている)などというわざとらしい演出があり、結局は平蔵の推理が当たって事件解決という風になっている。
酒井は相当に平蔵の信頼厚いようで、「自分で考えろ、ここが留守を預かるお主の正念場だぞ」などと平蔵に言われている

26 3月30日 はさみ撃ち
09/14(木) 09:00 - BSフジ・181|60分|10倍録
<時代劇>鬼平犯科帳’71[終] 第26話 「はさみ撃ち」
佐原健二(針ヶ谷の友蔵)、八木昌子(おもん)、佐山俊二(弥次郎)、柳永二郎(猿皮の小兵衛)、長島隆一(大亀の七之助)
江戸家猫八(三次郎)
最終回
これも有名な作品のような気がする。吉右衛門版はどうだったか調べると、第6シリーズ6話がそれで、猿皮の小兵衛(中村嘉葎雄)、弥次郎(垂水悟郎)、おもん(松田美由紀)という顔ぶれ。
この回では、三次郎が七之助に助働きを集めてくれと頼まれているが、吉右衛門版では同じく江戸家猫八の彦十が頼まれるという流れのようで、過去作品を踏まえてのことだろう。
その三次郎、今シリーズでおれは初めて見たが、第1話に出ていたようだ。吉右衛門版では密偵の役割はほとんどしてなかったはずだが、ここでは密偵の役割をしている。
五人の助働きに平蔵配下が出向くという展開で、平蔵、酒井、忠吾、伊三次、そして竹内孫四郎が選ばれている。前者四人はメインレギュラーだが、竹内はドラマ構成上「その他同心」的な役割の人で、ここで初めて目立ってるという感じである。ちなみに顔はちょっと伊藤克信みたいな感じで割と「その他」の中では見分けはつく
また、忠吾は真面目に考えればこういうのに選ばない方がよさそうだがそこはご愛敬か。


今回録画できなかった第1、2話は、こういう風にまとめて見るときに一緒に見ておきたいので、この後、過去録画したやつをHDから引っ張り出して見ることにする。

※同日の10/11
第1、2話を視聴
1 1971年10月7日 剣客(けんかく)
山本清(定七)、幸田宗丸(野見の勝平)、鮎川浩(殿見の市兵衛)、金井大(留吉)、垂水悟郎(石坂太四郎)、佐々木孝丸(松尾喜兵衛)
江戸家猫八(三次郎)
割とシリアスな場面に忠吾のコメディ場面が長々と入っていてちょっと場違いな感じがある。シリーズ第1話ということで志ん朝を見どころにしようとしている感じもあり、またシリアスな場面と忠吾のどじキャラのバランスというのは鬼平の魅力の一つではあろうが、この回では忠吾場面がちょっと長い(第2話では少し出番は減ってるが、やはり出てきたときは長め)。
三次郎とのつながりを平蔵が騙る場面が序盤にある。26話では五鉄の名前が出てこなかったが、ここでは五鉄にしゃもを食いに行こうと言っており、が、事件が起きてそれはお預けとなり、結局猫八の出番は最後だけ。
平蔵と三次郎の関係は本所で遊んでいたころの馴染みとのことで、彦十と同じような関係のようだ。ラストの五鉄の場面では猫八が銕っつぁんと呼び、その方が性に合うと言っている

2 10月14日 猫じゃらしの女
中井啓輔(小助)、上野綾子(内儀)、此島愛子(おきよ)、小林昭二(彦造)、青野平義(甚右衛門)、 藤田弓子(およね)、石浜朗(卯之吉)
このサブタイトルは池波志乃と結びついている。吉右衛門版のことだ。そしてそのおよねは伊三次の情婦だったこと、シリーズで複数回、つまり少なくとも二回は出ていたことも覚えている。ゲスト枠で二回も出るのは珍しいことだと思う。準レギュラーというほどではないものの。
面白いなあ。ストーリーがとても面白い。伊三次は当然堺左千夫、この回ではメイン格。この人は主役をやるような感じの人でなく、といったら失礼だが、おれが見た中で時代劇のメインゲストをやったようなことはなかったと思う。レギュラーでもメイン、二番手ということはなく、それより下くらいの位置の人だ。それだけにここでは輝いていて嬉しい。
そういえば、最初に時代劇を見始めたころ、この人が色々なところに出ていて、俳優目当て、特にそれほど有名でない俳優を目当てに見るのが楽しみになったというところもある。それこそ、この鬼平、さらに錦之介の鬼平に出ていて気付いたということだったかもしれない。

幸四郎平蔵の出番は終盤の作品では減っているような気がするが、鬼平自体が平蔵のあまり出ない作品も多いので、シリーズ全体でそういう回は多いのかもしれない。
また鬼平自体が平蔵のあまり出ない作品も多いというのも、ひょっとしたらこの幸四郎版だけかもしれず、それを俺が鬼平という作品自体がそうだと思い込んでるのかもしれない。
吉右衛門版で吉右衛門の出番が少ないなんてあまり考えられないし、さらに錦之介版となったらなおさらだ。
志ん朝の出番も終盤少なくなったような気がした。
丹波哲郎版でも志ん朝忠吾が継続しており、おれはそれを期待して見て、なんか非常に冷遇されてたイメージがあるのだが、もしかしたら今シリーズでもだんだん出番が少なくされていたのかもしれない。制作の判断か志ん朝が仕事の関係でそうしたのかもしれない。
終盤に少なくなったというのがおれの勘違いかもしれないけど

杉版金さんと並行して、両作品とも1日1作は必ず見るように、見進めてきた。こちらを先に見終えてが、まああちらも残りは最終回の1作だけで、明日に残そうと今日はあえて見なかっただけだ。二作品同日フィニッシュでもよかったが、こちらは勢いがついて一気に見てしまった。

落語研究会22/6月 [落語・演芸]

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「妾馬」柳家さん喬
解説:京須偕充
聞き手:赤荻 歩( TBSアナウンサー )
放送予定時間
2022年6月19日(日)あさ4:00〜
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◆第203回落語研究会(2時間版)◆
6月25日(土)深夜3:00~5:00
内 容:「一眼国」林家正蔵、「提灯屋」春風亭一之輔、「ひなつば」桂やまと、「粗忽の使者」柳家花緑
お 話:京須偕充 長岡杏子(TBSアナウンサー)
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2022/06/26(日) 03:00 - BS-TBS|120分|12倍録
落語研究会▼「一眼国」林家正蔵、「提灯屋」春風亭一之輔、「ひなつば」桂やまと[他]

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視聴したのは23/8/7で以下の演題
「ひなつば」桂やまと、「粗忽の使者」柳家花緑
花緑、おれはこの人が苦手で、ある意味この人が録画に入ってると、そこで視聴が止まる傾向さえあるくらい。
柳家のお家芸の粗忽もの。見ていて不思議な気持ちに。小さんの弟子であるが小さんの影響をほとんど感じさせないばかりか、落語家口調からも離れた調子。これは想像するに、ある程度意識したものであろう。落語家口調なんて身につけるには格好の環境にいたはずなんだから。
昨日に「「松曳き」三遊亭志う歌」を聞いてるのだけど、共通点がありちょっと驚く。「ひなつば」では屋敷で植木の作業、三太夫さんがいて、松をどうのこうの、と。
「粗忽の使者」でも使者の地武太治部右衛門が行った先で相手するのが三太夫さん。そして助けに入る町人が職人、植木職人かな、でも閻魔(くぎ抜き)を使ってるから大工かな、ウィキには大工とある

落語研究会22/5月 [落語・演芸]

2022年5月15日(日)あさ4:00?
「蜘蛛駕籠」桂宮治
「七段目」古今亭文菊
解説:京須偕充
聞き手:赤荻 歩( TBSアナウンサー )

◆第202回落語研究会(2時間版)◆
5月21日(土)深夜3:00~5:00
内 容:「たちきり」古今亭菊之丞、「糖質制限初天神」鈴々舎馬るこ、「一人酒盛」柳家小里ん
お 話:京須偕充 長岡杏子(TBSアナウンサー)


05/15(日) 04:00 -
未視聴
TBS1|60分|DR
落語研究会【桂宮治『蜘蛛駕籠』・古今亭文菊『七段目』】

05/22(日) 03:00 -
未視聴
BS-TBS|120分|DR
落語研究会▼「たちきり」古今亭菊之丞、「糖質制限初天神」鈴々舎馬るこ ほか

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23/8/6視聴
「糖質制限初天神」鈴々舎馬るこ、「一人酒盛」柳家小里ん
「糖質制限初天神」は前に演芸図鑑で見たはずと思い、マクラだけ聞いてあとは飛ばそうかなと思ったが、マクラがそれなりの面白く、また本編を聞き始めてもまったくどんなだったか思い出せずで結局全部視聴。
そうかお父さんが買ってくれとねだる構図なのか。以前見たときのメモにもそのことが書いてあった
マクラは師匠との生活の中での食事の話。おかみさんの料理がうまいとか師匠がとにかく食べろという教育、若い者がたくさん食べるのを見るのが嬉しいとか。
落語研究会で新作というのは珍しいのではなかろうか。考えてみるとおれは初めて見るかもしれない。地上波本放送に入らないところでは特別ではないのかもしれないが。
出囃子が「UWFプロレスのメインテーマ」とかテロップで出るのが妙に可笑しい
柳家小里ん。おれが落語を見ていたころに名鑑を買ったことがあり、そこにもつるっ禿げの写真があったことを覚えている。ずいぶんな年齢なんだろうなと思い検索、現在75歳だそうだ。
ちょっと悪口も混ざるが、口跡がとてもよくお手本のような落語口調。そしてどこにも工夫がないまっすぐな芸。マクラで酒飲みの小噺をいくつかやってるが、全部聞いたことあるもの。と、ここらもお手本のような落語口演。うまいなあ。
この人の場合、名前もそうだし、おれにその名前に記憶があったこともそうだが、小さんが師匠である、と。そしてそれが頭にあるからだが、フォルムも似ているし、そして落語を演じるのにも師匠の面影が感じられる。それほど濃い影響ではなく、繰り返すが小さんの弟子ということが頭にあったからそう思う程度で真似してるという感じではなく、所々に出てしまう小さんの影響という感じ。
小さんの酒飲む噺は映像でいくつか見てる。そういや親子酒は小さんの実演を二回見ており、おれは小さんを3回しか見ておらず、そのうちの2回だ。もう1回はアレ
で、この落語は小さんでは見たことなかったように思うが、なぜか聞いたことあるような気がした。似た噺で「猫の災難」を小さんで聞いたかもしれないなあ。


落語研究会22/4月 [落語・演芸]

TBS
「居残り佐平次」柳家権太楼
解説:京須偕充
聞き手:長岡杏子( TBSアナウンサー )
放送予定時間
2022年4月17日(日)あさ4:00?

BSTBS
◆第201回落語研究会(2時間版)◆
4月23日(土)深夜3:00~5:00
内 容:「上燗屋」桂宮治、「火事息子」五街道雲助、「松曳き」三遊亭志う歌、「掛取り」柳亭市馬
お 話:京須偕充 長岡杏子(TBSアナウンサー)

04/24(日) 03:00 -
未視聴
BS-TBS|120分|DR
落語研究会▼「上燗屋」桂宮治、「火事息子」五街道雲助、「松曳き」三遊亭志う歌[他]

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23/8/6記
ずいぶん落語研究会の録画が溜まってしまった。
地上波TBSでの1時間版の放送は数か月後にBSの2時間版で放送されるというパターンであることがわかった。これまでは地上波の1時間版を見て、数か月後に放送の際には一度見たものはパスしていたが、今後は1時間版については見るのを止め、2時間版のほうで全部見るようにする

今回視聴したのは1時間版ですでに視聴したものはパスして
「松曳き」三遊亭志う歌、「掛取り」柳亭市馬
「松曳き」三遊亭志う歌。無観客、2021年1月収録というテロップ、さらにはマクラで日付まで言っていた、1/19。緊急事態宣言真っ只中だそうだ。
「松曳き」は談志の中でもイリュージョン分野の一番上に来るような作品。おれも1,2回くらい見たはずだ。そのイリュージョン、つまりは出鱈目なやり取り、に目を奪われ、殿様と三太夫の「松を曳け」というのやり取りがなにかというと出てくるということくらいしか覚えておらず、今回見てみて、こんな場面もあるのか、と再認識、といってもそういう部分はこの人が新たに入れ込んだものかもしれないが。でもこの志う歌、まだ真打になったばかりとのことで、そして落語をやってる姿勢から、そんなアレンジを入れてるようには思えず。
植木職人の八が殿様に呼び出されて、仲間も一緒に殿様と酒を飲むという場面のことだ。こんな場面あったのか。
終盤から落げのところは聞き覚えがあった。姉さんが死んだ、云々である。
「掛取り」柳亭市馬
掛け取りを題材にしたものはいくつかあり、またこのネタの一部だけをやる場合もあり、というようなネタ。今回は四人の掛け取りがやってくる構成で、追い払う手段は狂歌、喧嘩、義太夫、芝居である。
狂歌は3代目金馬が狂歌家主としてやっているのをラジオで聞いたことがある。
印象的だったので前にも書いてると思うが、先代文治を末広亭の年末で聞いた。確か、芝居の場面をやった後に、喧嘩の場面となり、その喧嘩は売り言葉に買い言葉で、帰れるもんなら帰ってみろ、帰れなくってよ、さよなら、で終わりにしていた。
この喧嘩の場面、談志が映像になってるなにかで、圓生の掛け取りのその場面を真似てるのを見たことがあり、その後圓生の音源も聞いたはずだ。「ここを動かないぞ」「動かさないぞ、動けるもんなら動いてみろ」という奴だ。
今回見ていて、そういえば文治のやつでは、このやり取りはなく、短くやってたなと思った。
柳家では睨め返しのほうがお家芸という感じがする。

水戸黄門 第3部 [時代劇]

08/02(水) 18:30 - BS-TBS|60分|12倍録
[新]水戸黄門第3部<デジタルリマスター版>▼第1話「南から来た密使」(水戸・江戸)
新シリーズ初回という大事な回で、意外にも弥七がかなりフィーチャー。もちろんシリーズ初回はどういう理由で光圀が旅へ出るかという旅の目的となる事件の発端エピソード(今シリーズでは薩摩藩取り潰しを光圀が主導しているという噂で藩内が騒動になっていると聞きそれを確かめに行く)であり、それは今回もそうであるが、そこに霞のお新が絡んでおり、そこに弥七も絡んでくるという内容で、弥七の過去も少し知れる
というわけで霞のお新がシリーズ初登場
霞のお新の父親役が市川小太夫、三船の「大忠臣蔵」で最終盤に吉良上野介役を兄・中車の急死により引き継いだ人だ
前回最終回で光圀にたしなめられていた柳沢が今回も暗躍しそうで、キャストは同じ。山形勲
成田三樹夫は柳沢に雇われ光圀一行を狙うという立ち位置。髪型が角度によっては現代的に見え、登場時はなんだか松田優作だとかそんな感じにさえ見える
岩井友見、少しの出番ながら旅立ちの場面では見せるねえ。旅の一行から外されそうになった格さんとともに旅立つ一行の前に現れ、これが女房の役目とキリっとした表情で言い、そして一向に加わることになった格さんとちょっとした別れのシーン、それに八兵衛始め一行が喜劇的に絡むものだから、真面目な場面と喜劇とが混ざってとても良い雰囲気
この場面の前の光圀が旅立ちを宣言し、格さんの義父の中山備前(永田靖)とやり合う場面も楽しい。ここら辺は今シリーズ以降も毎度のこととなるのだろうが。
冒頭も良い。冒頭は今シリーズ大テーマの薩摩のこととは関係のない一エピソード。西山荘で畑仕事をしている光圀爺さん、そこを通りかかる籠と行列、今回老中となった小笠原佐渡守が御老公にご挨拶とのことで、供のものが爺さんに無礼な口を利くが、佐渡守が籠から顔を出し、急いで出てきて平伏す、というまあまあお約束パターン。喜劇的で楽しい。
八兵衛は弥七の子分というキャラからすっかり光圀の近しい人という感じで、西山荘で農作業をする光圀へ握り飯を運ぶという風に冒頭の場面から登場
これまで折々書いてきた助さん評についてはこれから長い里見浩太朗の助さんが続くので折々書いていくことにしよう

第2話 12月6日 明神谷の決闘
おせい:野川由美子
栄次郎:前田吟
松田玄蕃:玉川伊佐男
相模屋次郎八:香川良介
大五郎:藤岡重慶
源太:穂積隆信
大久保加賀守:原聖四郎
竹:武藤章生
熊:山本一郎
寅:田中幸四郎
野川由美子と前田吟がメインゲスト。
二つの石屋の争い。栄次郎は花火職人から石辰に職替えしてきており、火薬の扱いに長け、石を切り出す際の重要な任務を担っている。
これを邪魔し、あわよくば石辰の山を奪おうとしているのが相模屋
山本一郎というのはチンピラか悪徳岡っ引きあたりの悪役が多い印象だが、ここでは善玉側である石辰の人夫。石辰から裏切り者が出そうな展開でこの人かなと思ったが違って裏切り者は源太
光圀の正体を明かすお約束場面はまだ構築途中か。今回はこの藩の殿様大久保加賀守が弥七からの投げ踏みで駆け付けその場を収め、光圀へ平伏すという形
八兵衛、今回は光圀一行でなく弥七と行動を共にしている
助さん。見てくれは杉良太郎のを引き継いでいる感じだ。そして、女好きキャラも健在。序盤で、石辰の衆が相模屋から暴行を受けているのを助けた助さん格さん、おせいの美貌にすぐにまいってしまう助さんを光圀と格さんがからかっている。
お新が弥七を狙うという構図が第1話でできあがっており、それはこの回にも継続、未だ誤解は解けず。

※追記8/7
月曜日。この週から杉版金さんを放映当日に見ていこうと決めたのだが、こちらも即日視聴で対応していこうと思う(最悪週末までにその週分を視聴)。暑くてほかにやる気もせず、あまり何も考えずに見れる作品だから。
08/07(月) 18:30 - BS-TBS|60分|12倍録
水戸黄門 第3部<デジタルリマスター版>▼第3話「雲助珍道中」(箱根)
第3話 12月13日 雲助珍道中
おとし:青柳美枝子
熊:柳沢真一
茂:三角八郎
茶店の婆さん:笠置シヅ子
定:和崎俊哉
風祭の平十:小林重四郎
田代甚太夫:深江章喜
浜田鉄之進:島田順司
寅:市村昌治
設楽三河守:藤沢宏
色々盛りだくさんだが、出来は物足りない。この出来の物足りなさはなんだろうと考えてみると、サブタイトルから想像できるようにちょっと喜劇チックなところがあり、そこに時間を取られて悪役の悪事っぷりがほとんど描かれておらず、最終的には最後の場面でセリフで悪事が並べ立てられてるという感じになってるからだと思い至る。
内容は、箱根の人足、馬方、駕籠かきが悪事三昧、それがそこの親分、そして道中奉行にまで繋がってるというようなもの。
登場人物が比較的複雑な構成になっている。
おとしは大工の娘で父親が斬られ敵討ちを狙ってる善玉。だがその父親は実は賄賂を渡すなどしてたということが最後明かされる。
風祭の平十が雲助を束ねる親分。その配下の下っ端に熊と茂がおり、これが光圀と道中することになり喜劇場面を担う。悪役側だが下っ端で、根は善人というキャラ。元はおとしのところで大工をやっていて、棟梁が殺されてしまったという話を光圀にしてるが、その際に、手間賃のピンハネをされたとか愚痴ってる。
役人は悪役側で道中奉行は設楽三河守。浜田鉄之進はその中では固いと評され、周りから石部金吉と言われるキャラ。おとしは奉行を仇と狙うが、実はおとしの父親を斬ったのは浜田で、それはおとしの父親が行った不正のため。
と、まあこのように悪役側に善玉がおり、善玉側が完全に善ともいえずという構図。
最後は光圀が名乗りを上げ、奉行の罪状を並べ立て、責任の取り方はわかってるだろうなと、多分切腹となったのであろうことを示唆。
さらにはおとしと浜田で仇討勝負。浜田はわざと隙を見せて、おとしに討たれようとし、手に傷を負い、それ以上はおとしは動かず、そこで光圀は勝負を止めるという流れ。最後は浜田がおとしの後見人、そして熊も茂もおとしに付きそうという形に納まる
おとしが奉行を狙って斬りこむ場面、ここで浜田がおとしの父親の賄賂のことをあげ、自分が斬ったことを言い、これは仇討だから、周りは手を出すなというも、奉行は浜田が賄賂のことを言ったので後には引けず、となっていくという展開。ここの殺陣がなんともままごとみたいで迫力がない。
九郎太と藤吉も出てきて、平十に旅の爺(光圀)を殺すよう頼んでいる
光圀の正体を明かす場面が後年の形になりつつある。こちらにおわすはを格さん、頭が高いを助さん、という風に言い分けている
笠置シヅ子は序盤だけの出番でチョイ役の割にやけに長く映り存在感あるなあと思ったら、著名な人か。
弥七の出番が非常に少ない。
そしてこの回はお新が活躍、雲助に囲まれるおとしを助け、おとしが父親の敵討ちをやろうとしていると聞き、自分も父親の敵討ちを考えての旅であり、助けることにするという流れで、おとしが斬りこむ場面まで一緒に付き添って助けてやっている。
冒頭では旅日記を光圀が忘れたとかで、助さん格さんで小田原に戻ろうとしている。そこで助さんがまた石辰のおせいさんに会えるかもしれないとか言ってる。一話完結の場合前回の人物の名前は出さない方がよいように思う。
冒頭は助さんと格さんが旅日記を取りに行かされており、その一方で光圀と八兵衛が一緒。

第5話 12月27日 掟を破った黄門さま
茅乃:望月真理子
勘四郎:東野孝彦
名主 正蔵:北沢彪
義三郎:浜田寅彦
山崎因幡守:北原義郎
千坂修理:中村錦司
サブタイトルの掟とは東照神君のお墨付きのことを指している。
山葵はこの地においてのみ作ること、他所で作ることを許さぬというのがその掟。
他の地からやってきてそれを破る勘四郎、名主の娘茅乃から山葵の苗をもらって持ち出そうとし、名主の正蔵もそれを黙認。
が、この三人のほうが善玉扱いで、そこには苦渋の選択があり、また奉行は運上金の不正をやらかしており。で光圀の裁きはどうなるか、というような内容
これまで度々助さんのイメージについて書いてきたが、この回は新しい助さんに変わり始める最初の回となるかもしれない。
冒頭は八兵衛加えて四人での旅、そして道化役が八兵衛になってることで、助さんも八兵衛をからかっており、助さんの道化役からの脱却が見られる。そういうイメージがあったからか、中盤で光圀から指図を受ける際にも助さんが何やら品格を備えたかのようであるし、助さんと格さんが喋る場面でも対等な感じに見える。
浜田寅彦は善悪どちらの役もできる人。今回は百姓として登場、虐げられる百姓という役かなと思っていると、そこに名主が役人に引っ立てられる場面が出てきて、そこで自分が名主になるべきだなどという時の邪悪な顔、周りの男たちの嫌そうな顔で、義三郎が悪役らしいと知れる。顔の表情で一瞬にしてそれをわからせる演技は見事。
光圀が名乗りを上げる場面、今回はまず格さんが頭が高い、助さんがここにおわすは。印籠はなし
東野孝彦の勘四郎と光圀の場面多々あり。
東野孝彦、この人は上手いのかねえ、子供のころから東野英治郎の息子だと知って見ていたが、どこに出ていてもなんか浮いてるように見え、親の七光りなんじゃないかと子供心に思ってた。が、一方で『あばれはっちゃく』シリーズで有名とのことで、おれはこの作品を好んで見ていたわけではないが、確かにそのお父さん役がはまっていたようなイメージはある。

第6話 1972年1月3日 仇討ち姉弟
都築うめ:奈美悦子
都築竹次郎:岡本隆成
赤石呑龍(黒川源十郎):小池朝雄
木賃宿の女中:正司花江
おぎんの父:山村弘三
金太郎の母:吉川雅恵
太田備中守:市川男女之助
おぎん:中原早苗
金太郎:砂塚秀夫
いろいろ盛沢山の回。
落語から拝借がたくさんある。時代劇ではありがちな手法で、大岡越前でもそういう回は多かった。その際、丸々落語の一つのネタを使う場合以外に、色々な落語から引用してくるという方法があるのだが、今回は後者。そういう場合は例えば長屋を舞台にして喜劇色の強い作品という風に落語に似合う作風になるのだが、今回は見終えてみると、あまり喜劇色を強くする必要もない作品(仇討をしようとする姉妹と知り合い助けることになる)であり、フィットしていない感じがする
落語からの引用個所。
まず宿にて光圀の魚の名前の講釈。真っ黒だからマグロ、ほうぼうで取れるからホウボウ。と、ここらへんはそれなりに威厳のある爺さんが言っているから、みんな感心してしまっており、あまりやかん先生のインチキ感がないから、別に落語からの引用ということでもないのかなと思ったのだが。
この場面に続いて、その食事している部屋へ夫婦喧嘩がなだれ込む。「すべた」「ひょっとこ」「おかめ」。これは厩火事かな。
これが連続したことでやっぱ落語かなあ、と。でもまだ確信が持てず。しかしその後もたくさん。
夫婦喧嘩の夫のほうが三行半を書いてくれるよう光圀に頼む。
「離縁状を五、六本書いてくれ」「五、六本がダメなら二本」「一本は女房に渡すとして、もう一本は」「婆にやる」「その婆とは」「おれの生まれる前からいる婆だ、よく考えたらおれの死んだ親父のかかあなんだよ」「それじゃお前のおふくろじゃねえか」「まあ早く言えばな」「遅く言ってもそうだ」ここらは天災だとか二十四孝が混ざった感じか。
弥七がおぎんの父がやってる飯屋で、「のようなもの」を頼む。これは居酒屋
ラストは厩火事でその夫婦喧嘩の決着をつけるよう弥七が助言、その決着はどうついたかまでは描かれていない。茶碗を壊そうとするところまで。この茶碗については、中盤でそういう茶碗を亭主が大事にしているというフリがなされている。
この夫婦喧嘩の夫婦がおぎんと金太郎
金太郎は昔中間で屋敷勤めをしており、そのときの主人が仇討をしようとしているうめ、竹次郎の父親で、今はこの地で魚屋、うめを家に置いて、仇討の手伝いをしており、昔の主だとしても女を入れて世話ばかりしているということで夫婦間が危機になった。
本筋のほうはその仇討ちを巡るあれこれ。
そしてその仇が小池朝雄の黒川であり、これが成田三樹夫の柘植九郎太のかつて手先をやっており、今回の旅で、昔馴染みで押しかけて一晩泊っているという風に関係が深い。この二人の俳優は同時代に同じような作品で同じような役をやってる関係ではなかろうか、あまり詳しくはないのだけど。
さらにお新と弥七が対面し、人質になってしまった仇討姉弟を助けようとする。その結末は描かれていないが、二人は助け合ったのではなかろうかという場面がある。でもその後の場面ではお新が父の仇と弥七に斬りかかってもいるのだけど。
冒頭、光圀は木賃宿に泊まろうと言い出し、本当に泊る(この宿は上に書いた魚の名前のうんちくのっ宿)。ここのお風呂では湯が少なく、格さんが助さんと八兵衛に一緒に入れと言い、本当に狭い湯船に三人が入るという場面がある。
横内正の格さんについて。前にも書いたが、この人がアップになるたびに、ああこれだ、これって子供のころ見たんじゃなかったかなあ、と思う。推測するに、俳優の名前などわからずに最初は見ていて、それがこの横内正の格さん(及び里見浩太朗の助さん)の時代で、その後大和田伸也に替わったころに俳優の名前を憶えだし、という感じではなかろうか。しかもおれは横内正から大和田伸也に替わったことさえ気づいてなかったのかもしれないと思い至る。
まあそのあたりは大和田伸也の格さんを見たときにまた思い出すかもしれない。
また、おれの水戸黄門の最初期の記憶が志乃が一向に加わっていて、まだ助さんと結ばれていないという時期のもので、それが第9部、大和田伸也格さんが初登場のシリーズだそうだ。うーん、これが横内正の格さんの時代だったとしたら、おれが横内正の格さんの時代を見ていた証拠になるんだがなあ

第7話 1月10日 日本一の川人足
伝造:中村竹弥
おしげ:馬渕晴子
作兵衛:多々良純
源八:舟橋元
中田才助:高野真二
権次:梅津栄
三吉:堀川亮
友:松山照夫
松平紀伊守:五十嵐義弘
黒田右衛門佐:小田真士
中盆:川谷拓三
中村竹弥は川越人足(かわごしにんそく)の役で、基本的に位の高い武士の役や、そうでなくても鳶の頭とか格のある役が多い人で、こういう最下層とまでは言わないが身なり的にはそういう汚らしい荒くれ男の役は珍しい。ここではそこを仕切っている作兵衛の組に入らず睨まれてるが、同じ境遇の人足の中ではリーダー格。
善玉なのだが博打好きで、女房おしげともうまく行ってない。三吉という息子と二人暮らし
作兵衛側の人足に梅津栄と松山照夫がいる。松山照夫が結構若く見える。
ゲストキャストはウィキのコピペ。川谷拓三はクレジットなしか、あっても役名なしだろうなあ。賭場で壺振りの隣で場を仕切ってる人、セリフあり、大きく映る場面もあるが出番は一瞬だけ。
川留めとなってしまい光圀一行は足止め。その地の川渡しの親方と宿役人の中田が結託した不正の話。
最後の殺陣のところで、その地で川留めのため足止めされていた大名二組(松平紀伊守、黒田右衛門佐)が川留めが解けたと聞いて渡し場にやってきてこっちが先だと争う場面、そこまででこの二組についてはほんの少し触れられていただけで親方と宿役人の結託というストーリーとはまったく絡んでいないのだが賑やかしとして楽しい。
矛盾が多いような感じ。
弥七を襲うお新と藤吉。光圀を殺す算段ができ、光圀は光圀がやられたとなると、弥七は狼狽して隙ができるとか言っているのに、その算段の前に弥七を襲っている
光圀を殺す算段は、その場面そのものが描かれてないので詳細はわからないが、藤吉が越後の縮緬問屋の番頭と名乗り、中田と接触しており、その後作兵衛が光右衛門を川渡しでなんとかしようと工作を始めており、まあそういうことなのだろうが、にしては藤吉が越後の縮緬問屋の番頭と名乗るのはどうなんだろう、主人を川渡しの場で沈めてくれと頼むのはなんかおかしい。
善玉おしげが知らずにだが悪役藤吉から小判をもらって、願いを聞いてしまっている
おしげは伝造に愛想をつかしているが、最後の場面では駆けつけてきて、光圀は夫婦円満になってよかったというような感じになっている。が、おしげが伝造を許すきっかけになるような場面がない。
そもそもなんで駆けつけてきたのだろうとさえ思うが、それは伝造が簀巻きにされたと聞いて駆けつけたというのが解釈としては良いと思う。
助さんについては第5話以降そのイメージが崩れず、むしろ強固になってきている。端的に言い表す言葉を思いついた。助さんが三枚目か二枚目かということなのだろう。三枚目的な場面がまったくなくなっていて、しかも八兵衛に対する態度などいくらか品格があり堂々としている

第8話 1月17日 雪姫変化
堀直次郎:里見浩太朗(里見が二役で出演)
お仙(中村仙之丞):弓恵子
雪姫:松本留美
村上玄蕃:神田隆
宮田伊十郎:菅貫太郎
吉兵衛:福田豊土
井伊直宣:武内亨
矢沢:西山嘉孝
呼び込み:広瀬義宣
「里見が二役で出演」するという、まあまあありがちな演出。
どこがどうというのは挙げづらいが、なんだかつまらない話だった。ありきたりであるのだが、それは毎度のことでもあるし。ここまではとても楽しく見れていたのだが、見進めていくにつれ、だんだんこういう風に思う回も多くなるのでは、と思う。大岡越前の終盤なんかではリメイクばかりだったのを思い出す
里見二役という仕掛けに注力してしまい他がおろそかになり、ストーリーが単調になってるように見える。
また、光圀を狙う九郎太、弥七を狙うお新と藤吉(ちなみにこの回ではお新は出ていないが)というシリーズを貫くストーリーがちょっと邪魔な感じがする。こういうのはうまく使えば効果的なのだが、なんだか毎回の各エピソードにちょっとだけ絡んできては失敗して、という風にこちらのストーリーは進まないで、本編ストーリーの邪魔をしてるだけと思える
最後にちょっとした意外な展開があるのだが、これも見終えると、なんでそんなことをやったか、そして小手先であり、大したことはないもの。
ストーリーは城主が病、息子も身体が弱く、娘の雪姫に婿をどこから取るかで家臣の間で揉めている。
悪役は城代家老の村上で、婿を取る先の家老と約束して、藩を恣にする計画。直次郎というのは雪姫の思う相手であり村上じゃないほう側が推す婿候補、もちろん大名の家の息子である。その直次郎を助けるのが中村仙之丞一座という手踊りの一座、その関係性はよくわからない。
印籠を出す場面がある。今シリーズ初めてだったように思う。少なくともこの数回は出してなかった。光圀が助さんに渡し、助さんが「ここにおわすは」の口上、そして格さんが「頭が高い」をやる。
その後の光圀の裁定からが意外な展開。悪役側城代家老の村上を褒め、善玉側雪姫を少し叱り、城へ戻って村上の思う通りの姫の婚礼の仲人をやると言う。これには助さん格さんも不満顔。
が、お見合いの席に現れたのは雪姫が手に手を取って逃げようとした直次郎、そしてそこで相手との約定書を証拠の書状として改めて村上の悪辣ぶりを指弾、切腹の沙汰がくだり、村上は手向かうも捕縛。
その前の場面で村上を指弾してもなんの問題もなく、小手先の変化という感じではある。
弓恵子、おれがこの日見た杉版金さんの次回予告で彼女の顔が映ってた。次回出演とのことだ。このころの時代劇でよく見る顔というのはほんとに何度も出演していることを思い知る。
広瀬義宣、よく見る名前だ。今回初めて顔を確認できる役
松本留美、なんだかへたくそ。
弥七が光圀への知らせを風車で投げるというお馴染みの場面で、「危ない」と助さんが叫んで光圀をかばう場面がある。弥七の投げるものが危険に見えてしまう場面というのは珍しいのではなかろうか

第9話 1月24日 愛のむち
吉住沙織:水野久美
岩倉武太夫:夏目俊二
浜松屋剛右衛門:武藤英司
法浄:岩田直二
吉住喜一郎:斎藤信也
立原:永田光男
松平資俊:峰祐介
吉住喜十郎:入江慎也
助さんが杉風助さんのように三枚目的場面があるが、光圀が杉のときのように追い込むようなことはしない。
殺陣では助さん格さんが外へ出ていってしまい、それを契機に別働隊が襲ってくるので、光圀が殺陣で対応する時間が長い
印籠を出すのは格さんで、頭が高いを先にやり、ここにおわすはが後になっている。どちらも格さんの言葉
水野久美がメインで印象に残る作り。
岩田直二が珍しく和尚さんで坊主姿

第10話 1月31日 泣く子にゃ勝てぬ黄門さま
へら平:田中邦衛
桂:高森和子
兵馬:山本豊三
お宮:新田勝江
お雪の方:二本柳俊恵
岩城半左衛門:近藤宏
お鶴の方:三浦徳子
旅籠の女中:中里ひろみ
久世重之:坂東京三郎
この回は中盤から登場する田中邦衛のためにあるような回で、登場してから数分は完全に彼がメイン。光圀一行が泊る宿の隣の部屋の毛ずねのへら平、街道筋じゃ少しは名の知れたなどと言ってるからだ中に間抜けな刺青をしたやくざ者。
赤ん坊がうるさいと光圀一行の部屋へ怒鳴りこむも、逆に助さんに懲らしめられ、宿賃を払うよう約束させられ、金がないと今度は宿から逃げ出すと、今度は柘植に捕まり、その宿への付け火を約束させられ、どうしようと右往左往、光圀に正直に話してみると、さらに仕事を頼まれて・・・、といった具合
ひょんなことからあ赤子を拾ってしまった光圀一行、この赤子が藩の世継ぎにおける対立の一方の若殿様、というような内容
助さん下げのセリフがいつくかあるものの特に三枚目にもならず、この程度のからかいなら自分の子供のころ見た里見助さん像に反するものではなく、むしろその像にあう

第11話 2月7日 恩讐の通し矢
遊佐新八郎:高橋長英
福地宗右衛門:吉田輝雄
藤兵衛:竜崎一郎
加納屋重兵衛:香川良介
榊原内膳:永井秀明
水野監物:高野真二
おゆき:松木路子
伊達綱村:南条新太郎
五助:平沢彰
通し矢、連続で矢を射抜く競技らしいが、それを巡るストーリー。一方で家老が商人と運上金の裏帳簿という一件もある。後者についてはその悪役の片割れ加納屋が中盤であっさり捕まってしまい、いつもは最終盤に来るはずなのに、と変な感じ。後で思い直したが、弓矢の競技のほうがメインストーリーだからである。
殿様役は高野真二。今シリーズで殿様は最後の最後に駆けつけて光圀に平伏すというだけの登場が多いが、この回ではそれなりの出番。事の起こりはこの水野の見栄からくる家来自慢、弓の名人は我が家来の遊佐新兵衛だと自慢し伊達に言い返され、競技を行った結果新兵衛は負けて切腹、その切腹も気に障ると家名断絶となる。そしてその弓対決に勝ったのは伊達の家来の福地。この回ではその福地は、その名前を明かさずに所々に登場(光圀の窮地を救ったり、ラストでハイライトシーンとなる新兵衛の息子新八郎の通し矢の窮地に現れ腕の治療をしてやったり)し存在感たっぷり、最後に光圀に正体を見透かされ、新兵衛が非業の最後を遂げたと聞き、自分も家禄を捨て浪々に身となったと明かす。
高橋長英は数日前に鬼平71で見て若いことに驚いた。そっちの作品では小悪党だった。ここでも幼い顔つきで、が、しかしこちらは父の恥をそそぐためと弓道に励む真っすぐな若者

第12話 2月14日 消えた密書
おけい:桜井浩子
高月軍太夫:戸浦六宏
儀助:郷鍈治
敬太:室田一人
喜兵衛:信欣三
成瀬隼人正:永野達雄
この回では霞のお新関連のエピソードが主になっており、弥七への誤解が解けるという転機の回となっている。お新の回だというのに弥七が出ていないというのはもったいない。
そして悪代官対百姓というその地での通常通りというようなエピソードも一応あるのだが、お新エピソードに時間をたっぷりかけており、こちらは付け足しのような感じ。最終盤にとりあえずこっちも片づけておくかというような作り。おれは時間が迫っていたので前後編にでもして次回の持ち越しかなと思ったくらいだ。
永野達雄は藩の附家老の役で、ラストの光圀一行の殺陣で駆けつけてきて、光圀の正体を明かす役と言う風に前回のところで書いた「今シリーズで殿様は最後の最後に駆けつけて光圀に平伏すというだけの登場」という役割
伝書鳩がはやぶさに襲われ、その手紙の行方というのが今回のポイントの一つなのだが、悪役側はその行き先を知らぬはずなのに、その手紙を偶然に手に入れてしまっていたお新から藤吉がうまいこといって奪おうとして、それが成功したとぬか喜びする場面がなんだか変だし、お新は機転を利かせて手紙を別のところに隠しており、このお新の行動は藤吉の動きを読んでいるわけだが、藤吉が手紙のありかをわかっていないはずなのに、警戒するのは重ねて変
この回の冒頭で八兵衛が三枚目、助さんがそれをからかうという場面。里見助さん、そして八兵衛の立ち位置についての象徴的場面かと思う
八兵衛加えて四人旅というのが定型になるのかどうか。この回では最初も最後も四人旅だが、前回では八兵衛は除かれており、そこにさして必然性はなく、毎回八兵衛連れということで固定したらよさそうなものだ。まあ最初のほうでは、八兵衛に別行動をさせておいて、八兵衛は一行とは別のところでなにか事が起きるという風に必要性があるのかもしれないが、ラストの旅立ちの場面では一緒に旅立つとしたほうがわかりやすい、これももちろんなにか別行動をしているという設定があるなら仕方ないが。

第13話 2月21日 死を賭けた願い
中村五平太:佐藤慶
お花:鮎川いづみ
幸右衛門:織本順吉
中村金八:倉岡伸太郎
川井伊賀之介:横森久
お千代:町田祥子
石川近江守:峰祐介
焼き蛤屋:北見唯一
いい出来。色々盛りだくさんなのだが、まずは佐藤慶に尽きる。この人は第6話の小池朝雄と同じく、成田三樹夫と同時代に同じ作品で同じような役柄で出ていたような人。ここでは若くして家老になったという役で、この人は悪役一辺倒ではないもののそこで光る人であるから、おれもそういう風に見ていたが、終盤まで悪か善かどっちかなと思わすような役。それをなかなかわからせない引っ張り方とそれに見合う演技で見ごたえあり。
この弟が中村金八(倉岡伸太郎)。この倉岡という人もどこかで見たなと思ったが、杉版金さんの50話に少し書いてある。この人のキャラ、顔つきを生かした役で、こちらは善玉とすぐわかるような真っすぐな青年侍。
登場人物の相関関係が面白い。幸右衛門というのは町人で博打好きなのだが、それと中村兄弟になにがしかの関係性があり興味がそそられる展開。昔の友達(金八と幸右衛門の娘お花は恋仲)とのことで、中村家はそれまで武士の家でなく、妹の千代が殿さまの目に止まり、城に上がって、兄弟も侍になったという流れ。その千代とは本当の兄妹でなく、それゆえ、千代の子、春千代が殿様の子でなく、五平太の子ではないかと噂される始末。で、そこら辺を使った後継争いに家老の川井の悪だくみが絡んだ話となっている。
レギュラー陣にも色々動きあり。今回は助さん格さんの旅の様子から始まる。光圀に命じられて別の道を行っているらしく、それを命令した際の光圀の物真似を皮肉たっぷりにやっている。
光圀の方は八兵衛を連れて、焼き蛤を食いまくり(この場面で北見唯一が出ている)。腹を壊してお花の馬に乗せて家へ連れて来られるという風に事件と関わっていく。
柘植も登場し相変わらず悪役側と光圀抹殺を依頼している(その担当を命じられたのが五平太で、銃を持って光圀の牢へ入り、人払いをし、そして銃口を自分に向け、長い銃身なので足で引鉄を引いて自害、死をもって後継争いについて光圀に頼む)が、お新は柘植一派とはもう切れたと格さんに言明し、光圀に加勢。
助さん格さんは敵に襲われ、これは老公も危ないと、その敵との戦いは助さんが受け持ち、格さんは光圀のもとへ急ぐという展開のため、助さんは序盤ではこの場面のみ。終盤の殺陣で助けに駆けつけるという風に出番は少な目。
弥七は登場しない。
今シリーズ初だったと思うが、ちょっとだけ長いキャストクレジット。でもゲストで表示されるのは佐藤だけ

第14話 2月28日 激流の死闘
川井芳江:珠めぐみ
川井新八郎:小笠原良知
吉沢頼母:永井智雄
惣右衛門:成瀬昌彦
蓬莱屋伝兵衛:幸田宗丸
板倉重冬:坂口徹
一行が二手に分かれての旅路で始まる。格さんと八兵衛は路用の金子を受け取るために別行動。そこで多勢に襲われている旅人を見かけ助ける。
次の場面では光圀と助さんのほかになんとお新も同行。一行に加わっている姿は初。
比較的助さんがからかわれている場面が多い回、そして
別行動しているときに合図として宿の玄関軒先に笠を吊るしておくということをやるが、その笠に「格」と名前が書かれている。この演出は後年のものでは見慣れたものだが、今シリーズでは初めてのはず、見落としがあるかもしれないが。
その笠は乞食に盗まれ、あっさりその目印はなくなってしまうのであるが、光圀たちが到着し、他の宿に部屋を取るも、窓から格さんと芳江が百姓の格好をしてこっそり逃げ出そうとしているのを見つけるという風に、合流は達成される、といってもこの場面では八兵衛だけが合流し、格さんと芳江はこの回を通じて二人での旅、行動という風になっている
柘植が悪役の密談のところに現れるというのがお約束になってきており、少々飽きた。全然目的である光圀抹殺を遂げられていないのに、へこたれてない。
ストーリー。亀山藩が舞台。他国からの米の買い入れは禁制である。しかし品薄のため、川井兄妹が自分の意思で持ってそれを行おうとしており、妹の芳江が菰野藩に入り、その件を了承してもらう。その際に売るのではなく貸すということにしている(幕府による詮議への対策であろう)
それを邪魔するのは家老の吉沢頼母。米問屋蓬莱屋と組んで米の値上がりを操作しているのだった。
珍しい展開としては、殿様の重冬はそれを許可していること。重冬は長の患いで権力が弱まっているということもあるのだろう、家老の頼母は殿の意向に反した行動を取っている。
結末で、頼母は光圀から問い質され、禁制である米の買い入れ(借入であるが)を止めただけだと言い張るも、蓬莱屋が全部自白。そしてその禁制である買い入れの件については、光圀が菰野藩から寄進してもらい、重冬の病気見舞いに持参しようとしただけだと、菰野藩主からの書状も見せて、決着させる。
見せ場は菰野藩からの米を運ぶ道が全部塞がれ、急流の川を使っての運び入れ。西部劇にでもありそうな急流を下る小舟、それを迎え撃つ敵方、万事休すかと思われたとき、光圀からの密命で一行から離れたお新の手裏剣攻撃。

第15話 3月6日 忍びの掟
茜:有川由紀
小弥太:江守徹
名張の弥平次:武藤英司
久留島嘉門:滝田裕介
柘植玄斉:天本英世
松丸:牧冬吉
甚内:千葉敏郎
忍び:福本清三
今回は忍者の話で最初から最後まで。伊賀の国が舞台で、そこには名張もの、柘植ものという忍者の一族がいる。侍の身分を持ちながら生活は百姓仕事、そして苦しい年貢の取り立てに苦しむ、
名張の弥平次が名張ものの頭、茜が名張の弥平次の娘で小弥太は恋人、小弥太は忍者を抜けたいと思っているが、茜はそれを許さずという風に、抜け忍についてそれぞれ考えており、その後登場する弥七についても見解を異にする
一方城代家老の久留島は太平の世に忍者の力を疎ましく思っている。そこへ柘植が現れお約束の光圀抹殺を依頼、久留島はそれを受け入れながらも一考、名張には光圀を守るよう、そして柘植には光圀抹殺を命じ、争わせようとする。
弥七が久しぶりに登場、そして彼の出自が名張ものであることが明かされている。久々の登場、そしてストーリー上重要な役割を担っているにもかかわらず、出番は名張の弥平次に光圀を守ってくれるよう依頼するのみ。抜け忍であるとされ、追われる身であり、ただそれについてはいまの名張ものの頭である名張の弥平次を庇ってのことだったということで茜の誤解は解けるが、それでもその地は弥七にとって危険ということで、旅の先の道を急ぐことになる。
この回はお新は中盤以降に登場、ということで弥七との再会はなし。
柘植九郎太は柘植もの出身、こちらも抜け忍という立場、柘植の頭の玄斉に高飛車に命令している
死んだと思われた夜鴉の藤吉が再登場、といってもウィキでその後も登場回があることは知ってはいたが。今回は鉄製の鎧に身を固め、プロレスのビッグバン・ベイダーの頭につけてる兜みたいな感じだ。
忍者回ということで、侍同士の刀での殺陣だけでなく、忍者ものらしい大きな仕掛けがふんだんに使われている。大爆破だとか仕掛けの施されたからくり屋敷、柘植九郎太は久留島に変装(もちろん変装のところは滝田裕介が演じているので、変装しているとは視聴者にはわからない)
久留島、切腹になって当然の悪なのだが、どう身を処するか尋ねられ、切腹をしようとすると、光圀はそれを止め、もっと良い政治をしろというような意味のことを言って許している。
「なばりもの」という言葉がわからず検索、名張(なばり)という地名は、「隠(なば)り=隠れる」が由来とのこと
福本清三は名張の一員、クレジットでは役名なしか、もしくはノンクレジットかもしれない。
牧冬吉は名張ものの実行部隊のリーダー格。

第16話 3月13日 あほんだら兄ちゃん
おひさ:北川美佳
藤七:中山克巳
宗兵衛(弥宗次):稲葉義男
弓削:外山高士
油屋呉七:飯沼慧
胴元:汐路章
馬:山本一郎
油屋の用心棒:丘路千
丁の目の半次:芦屋雁之助
この回は色々盛りだくさんだが、まずは芦屋雁之助。必ずしもメインゲストというほど出ずっぱりではないのだが、彼が出てくる場面の大阪言葉がとっても魅力的で印象に残る。サブタイトルも彼の役のことを言っている。そして必ずしも喜劇的な作りはしておらず、つまり明確に笑えるオチのあるような場面が芦屋雁之助の出ているところではない(むしろ光圀らがそういうのをやってる)のだが、大阪弁の魔力なのか、なんとなく楽しい。登場場面では山本一郎と一緒で漫才コンビのような立ち振る舞い、汐路章との賭場の場面でのやり取りも素晴らしい。
役名が「丁の目の半次」、ウィキのコピペ。そんな役名だったのか。
ストーリー。芸者のおひさが藤七と逃げる。おひさを狙ってるのが代官の弓削、手先が油屋
おひさが逃げ込むのが父親の宗兵衛のところ。おひさの兄が半次。
追ってきた弓削らが、宗兵衛のところにやってきて驚く。かつて密貿易で弓削、油屋、宗兵衛が組んでいたのだった。その過去をネタに宗兵衛ひとりに罪をかぶせることもできると脅し、おひさを差し出せと迫る。宗兵衛は自害し、半次はおひさを渡すと弓削を誘い出し、仇討ちをしようとする。そこへ光圀一行も駆けつけ大団円
さて、もう一つ。弥七とお新の再会がこの回でなされる。
お新の誤解が解けて以降、なかなかこの場面にならず、その話題もあまり出てこずやきもき。ひょっとして忘れちゃったんじゃなかろうかと思ってしまうくらいだ。まあそれはないにしても、そこまで大袈裟にはしないのかな、と。
ところがこの回は冒頭で弥七抜きの五人での旅路。光圀が別路へ行くと言い出し、弥七との待ち合わせ場所にはお新だけで行けと言う。気を利かしているのだ。これだけで、大袈裟な演出にしようとしていることがわかる、というか、こういう風に扱われてるだけで、すでに重要な場面として扱っていることになる。
ただ再会はなかなかならず、結局終盤の殺陣の場面で弥七が強敵(丘路千)と戦ってるときに、お新も駆けつけ「やっちゃん」と声を掛ける。相手が強敵なのに、返事をして、戦いながら光圀と呑気に会話を交わし、気の緩んだ殺陣である。
エピローグ場面で、恋心を確かめあう感じの二人の会話がちょっと長めにあり、そこへ格さんがやってきて光圀の真似をして出立を告げる。
光圀が一人で出立してしまったと聞いての旅立ちであり、普段の最後の場面は、一行が仲良く歩いているのであるが、ここでは、光圀を皆が追いかける形。さらに八兵衛、終盤で悪党を尾ける役割を負っているものの、穴に落ちてしまい・・・、その扮装(要所要所に置くため風車をたくさん持っていた)で旅立つ皆を追いかける。一行の全員である六人勢揃いの旅姿は初であろう
光圀らの喜劇的場面。俳句や短歌のことを話す光圀、それをまぜっかえして、八兵衛が五七調で「お新さん 弥七親分ああ弥七親分と繰り返し」
楠木正成の墓参りと言っていた光圀、さらには俊徳丸、そしてお初徳兵衛。
おれは詳しくないのでよくわからないながらも、侍の墓詣りかと思えば芝居で有名な人物である。
ちなみに、これも詳しくはないのでよくはわからなかったがお初徳兵衛の心中の場面のパロディも出てくる。
山本一郎は付き馬の役、半次が賭場で借金、それの取り立て。

第17話 3月20日 二つに別れた黄門主従
お葉:武原英子
島原甚内:小林勝彦
市兵衛:谷口完
六之助:大竹修造
千代吉:伝法三千雄
加賀藩の用人:永田光男
定吉:島岡安芸和(子役)
佐々木:笹木俊志
ごろつき:志賀勝
ごろつき:川谷拓三
ごろつき:井上茂
本家 小松屋緑寿斎:金田龍之介
宗家 小松屋緑寿斎:曽我廼家明蝶
堺が舞台。商人が大名と五分のつきあいをする意気込みを見せて賑わう町というナレーションの紹介から始まる。
まず光圀と格さんが宗家小松屋にやってくる。小松屋はお茶道具の店、京の万里小路の紹介で立ち寄ることとなり、一行は小松屋で落ち合う約束になっているのだ。
続いて助さんと八兵衛が本家小松屋へ。
同じ名前の店が向かい合ってあることに夜になって気付き、双方事情を探り、その二つの店の諍いの原因はわかる。ここでなぜか光圀一行は一緒になろうとはせず、お互いの主張に乗っかり、相手方がこっちに来るべきだとなるのは変と言っちゃあ変だが、それほど不自然に感じられないよう作られ(例えば助さんが滞在する本家には可愛い娘のお葉がいるとか)ていてうまい。
宗家本家ともに悪役ではなく、ちょっとした意地の張り合い。先代に身寄りがなく、二人の番頭のどちらかが後継ぎということになっていたが、それを指名しないまま死んでしまい、こうなったという程度のことだ。
宗家には息子六之助、本家には娘お葉がおり、二人は好き合っているが、とても夫婦になりたいなどといえそうにない。
悪役は宗家の番頭市兵衛と大坂城代お側役の島原甚内。
市兵衛は島原が見初めたお葉を手に入れるために本家へ罠をかけ、一方六之助がお葉との駆け落ちをしようとしているのを見つけ、そこでも悪だくみ
どっちの悪だくみにも絡んでいるのが市兵衛である
また島原甚内のお葉を手に入れるための罠とは、大坂城代愛蔵の藤原定家の書簡、表層の修理を依頼。しかし中は偽物。本家小松屋緑寿斎はそれを島原に申し上げるも、城代が直々改めの上手渡されたものを自分が持って来た。自分の手から離れるまでは本物であったのだから、もしそれが偽物なら、それは小松屋内ですり替えられたに違いない。というもの。
そしてそれを許す代わりに娘をくれと言いだす。
解決の場面で光圀はそれを持ち出す。それほど大事なものを紛失したのなら、それは城代の身に難がかかる大事件であり、そのような大事件が当家の娘をその方へ差し出せば片付くではない、と。
光圀は城代には黙っててやるから定家の書簡はこっそり元に戻しとけという感じが放免。この際光圀は印籠で名乗りを上げているが、この名乗りはちょっと珍しく、島原甚内一人に対して行っている。周りに小松屋など数名はいるが。普段は悪役の配下と殺陣をやった後なのに。
で、定家の書簡が市兵衛の手にあると知り、市兵衛を放免してしまっていたので焦って助さん格さんが市兵衛を探し回り、ここで取って付けたように殺陣が始まる。
また市兵衛と定家の書簡は、その回初めての登場となる弥七がそこへ突然登場し、市兵衛を懲らしめ奪還。ここら辺も取って付けたような感じ
島原甚内を恐れ入らせて終わりという風に思える回で終盤は駆け足という感じだった。しかもこれはおれがそう思ったというだけのことだが、島原甚内を恐れ入らせる場面がまだ時間的に中盤のような気がしていて、それが終盤だったことに気付いて、この回は時間が短く感じられた。終盤が取って付けたような急いだ展開なのも含め、内容が盛沢山なのかもしれないな。
中盤から終盤にかけてのところで、二つに別れていた光圀一行が相談している場面はないのだが、ストーリー的には相談していたのだろう。おれは終盤になって光圀が二つの問題をどんどん片づけていくのを見て、話が飛んでるようにさえ思ったくらいだ
小林勝彦も谷口完もあまりメイン格で見ることはないのだが、ここではたっぷり。これを見るだけでもこの回は価値あり。とくの小林勝彦、ちょっと抜けてる悪役、光圀に叱られてるときの間抜け面など、これまで見た中で一番だ
金田龍之介は悪役も多いが、ここではちょっと意地が悪いが憎めない真っ当な商人
井上茂は気付かなかったなあ。志賀勝と川谷拓三は市兵衛の配下のごろつきで最後の取って付けたような殺陣の場面でセリフのある二人。

第18話 3月27日 人情・刀鍛冶
お園:北林早苗
おまき:大塚道子
安藤外記:神田隆
七之助:村井国夫
おのぶ:京春上
藤五郎:徳田実
要助:前川良三
浪人:岩尾正隆
備前少将綱政:南条新太郎
左門:夏八木勲
祐定:志村喬
前回のように二人が並列で争ってるような話で、こういう場合、片側が完全な悪役の場合もあるし、前回では、両方とも善玉という形だった。今回も同じく両方とも悪役ではない。だが、その片方である左門は悪ぶった登場。
でも時代劇の場合、完全な悪役なのか、悪ぶっていて実は善玉なのかというのもわかりやすく作られている。少なくとも後者の場合、完全に視聴者を騙すようには作られていない。今回の場合も、どっちだろうとは思ったが、善玉の可能性はあるなとは思えるようになっていた。そういうのは例えば、誰がその役をやってるか、どういう扮装でどういう言動か、というあたりで探ることになる。やはり俳優によって悪役専門の人とか、逆に悪屋は絶対やらない人とか。今回の場合は役者でわかったというわけではなく、父親の祐定が左門の実力を認めているらしいことがわかる場面があったりといったあたり、また左門が悪ぶり過ぎていて、しかしながら、憂いの表情があったりとかがヒントだろう。
刀鍛冶の話。名工祐定の後継問題。長男が七之助、左門が実力はあるが粗暴な左門、そして左門は後妻であるおまきの連れ子であり、祐定とは血が繋がっていないのである。
で、両方とも善玉。左門のほうは終盤で、殿さまへを箴言を父親の祐定がしようとすると、それに被せて自分がそれを言うという劇的な形で善玉へ転換。
お園は芸者で左門の女。
左門の母親おまきは自分の息子の刀を勝たせるよう家老安藤外記をそそのかすという悪をしでかしており、最後、祐定に成敗されそうになり、それを七之助のほうが庇うという形で、おまきは追い出されるだとか殺されるまではいかず、心を取り戻すというような形で決着
また前回もそうだったが善玉だらけというわけにもいかず、おまきのほかに外記を登場させ悪役に仕立てている。外記は刀の出来を判定する係でそれをおまきから脅される形で曲げた判定をしようとするという悪事なのだが、まあよく考えるとそれだけじゃ弱いわけで、実は辻斬りを何度もしていたという罪までしていたことにされている。ここらの悪役の仕立て方はちょっと安易か。
その外記によって八兵衛が斬られる場面からこの回は始まっており、そこへ助さん格さんは駆け付けるが、取り逃がしている。よく考えると相手は年寄りひとりで、こちらは最強のふたりであるのに、である。まあやたら相手を殺したりはしないようにという命令でも出てるのかもしれないが。
この回はどこか説明不足というか、話が飛んでいるというか、そんな場面が多い。まあおれの感想ではあるが。
八兵衛が光圀たちに内緒で自ら動き回る場面がいくつかあり、その動機が説明されておらず、これもそんな例の一つだ。まあ辻斬りに会って、その際証拠の品を手に入れたので探しているということは見直してみてわかったが、内緒にしておく理由はない。
ほかにも、おまきが外記に会って、自分の息子、左門の刀を選んでくれと頼む場面、断られ、次の場面でお園に出会い、お園から外記が辻斬りやってることをネタに脅せばと提案されてる。続いておまきが外記に再度会っている場面。と、話を進めるのに急ぎすぎ。
前二つの場面の間にいくつか説明が必要なのではないか、場面が飛んでるように思える。なんでお園はおまきが外記にそういう頼み事をしていることを知ってるのか、とかだ。こんな感じの場面転換、エピソードの流れの中で飛んでいるような場面が多いような気がした。
弥七、お新はまったく登場せず。柘植九郎太もまったく登場しないのでストーリーとしてはすっきりしている。前回もそうだったな。弥七はちょっとだけ出ていたが。ということは二名が競うという形のことも含めて二回続けて似たような構図だったということになる。

第19話 4月3日 姿なき復讐
志乃:五月みどり
榊原源十郎:井上孝雄
松崎典膳:北原義郎
関根源蔵:夏目俊二
山名屋五兵衛:山岡徹也
綾:服部妙子
伊助:田島義文
黒田弥九郎:高森玄
伊勢屋甚助:入江慎也
田原屋利吉:村居京之輔
蜂須賀綱矩:志摩靖彦
榊原源十郎と妹の綾が父の仇を狙うという役どころで、榊原家で働いていた伊助とその娘の志乃がそれに協力している。
仇は家老の松崎典膳とその配下、また商人の山名屋など、という構図
特徴的なのは、善悪はすぐ把握できるものの、劇中で光圀一行は仇討をする側の意図がなかなか掴めず、一方榊原のほうも光圀一行のことを邪魔ものだと思っているまま中盤まで進行すること。といってもこれはさほど特徴的ということでもなく、水戸黄門の中でパターンかされた劇作のうちの一つといったところか。
脚本の問題。シリーズ全部に通じることで、これは時代劇全般、いやとくにこの枠、水戸黄門以外に大岡越前などでそうなのだが、善悪どっちなのかとか、敵か味方かみたいなことをうまく描くところがテクニックだと思うが、セリフで「おれは味方だ」だとか「この人は悪い人ではない」とか、あからさまなセリフで明言してしまうところが度々出てくる。今回も源十郎に助さん格さんが言ってる。
五月みどりかなと登場のところでは思ったが、途中で違うなと思ったり。やっぱり五月みどりだったか
夏目俊二というのはよく見る顔だ。歌舞伎顔とでもいうか、坂東八十助(十代目坂東三津五郎)みたいな顔だ。
川谷拓三らしき人が侍の格好で。3幕の最初、助さん格さんの邪魔が入り、「逃げたぞ」というセリフ。

第20話 4月10日 帰って来た男
お夏:関根恵子
安太郎(十一の安):前田吟
おちか:町田祥子
横波の五郎蔵:藤岡重慶
代官 軍八郎:見明凡太朗
寅次:河原崎建三
二葉屋の主人:長浜藤夫
野々村内記:溝田繁
あかしや卯八:有川正治
用心棒:木谷邦臣
五郎蔵の乾分:志賀勝
水戸からの路銀を受け取るため、格さんが一行から離れての旅路。で、そこで金を奪おうと後をつけてきた男(十一の安)ともみ合いになり、崖から落ちそうになるその男を助けようとして、最後の言伝を頼まれる。光圀の元へ戻りたいが、逡巡した挙句、その言伝のためにそちらへ寄ることに。しかし、そこでその家の長男安太郎が帰ってきたと間違われて・・・。というわけで、こっちの話がメイン、そして一方の光圀一行はというと、その入ってくるはずのお金で酒を飲んでの散財、しかし金はない、助さんは格さんを探しに出ることを許されるも、光圀と八兵衛は人質で、宿の手伝いをさせられ、という展開が時折挿入される、こちらは喜劇モード。こっちの場面の序盤では「居残り佐平次」を思い出したが、意識しての引用かどうかは微妙。例えば飲んで盛り上がってるところで勘定を言われ、「飲んでる最中に金の話はするな」と言う場面とか、翌日の散々飲み食いし長々とした勘定書きを見て、「いやしかし安い。でも今は金はない」と言ったり。後者は居残りではなかったかもしれない。落語であったよね「安い・・・でも金はない」って。
キャストが興味深い
前田吟はまったく気付かず。河原崎建三、若く、最初の方から似てるなとは思ったが、よくわからず、終盤になって多分そうだな、と。
川谷拓三らしき人が今回も。今回は中盤で漁師たちが網を取り返しに行ったときに出てくる五郎蔵の子分たちのうちのひとり。左利きだから目立つのだが、違うかもしれない。

第21話 4月17日 母恋巡礼
お静:岩本多代
おさよ:竹内美香(子役)
讃州屋清兵衛:春日俊二
住職:北竜二
大野丹波:伊達三郎
西沢伊十郎:沼田曜一
銀次:江波多寛児
新田屋仙左衛門:野口元夫
お新が登場。
その登場の場面がちょっと不自然。そもそも光圀に同行するのか、しないのならなにをしているのやら。ここでは女中として登場
また途中のかくれんぼの場面も不自然極まりない。おさよの親を探すという話で、事態が込み入っており、説明の難しい中、なかなか会えずおさよが落ち込んだ顔をしているのに、能天気にかくれんぼしましょと言って、相手が乗り気でないのに、勝手にじゃんけんして、おさよが鬼になり、お新は隠れていると、おさよがさらわれる。
また、この不注意を光圀に報告するとき謝りもしないのも変
この回では助さんと格さんが何も告げずに途中からかなり長い間いなくなっておりこれも不自然。そして再登場する場面が、光圀が危機の陥ってる場面、場所は原っぱ、そこへ駆けつけてくるのも、なんでその危機を知ったのやら、で変
最後の殺陣で光圀の名乗りがないばかりか、光圀はその場にいないというパターンからは外れた円種討つ。光圀は協力してくれた寺の住職に、色々な願い事(けっこうそれが盛沢山でこき使うなあと思ってしまった)をする前に名乗っており、それは光圀一行と住職だけの場面。そして殿様に事件の証拠を届けるように頼む際に、自分(光圀)のことは内緒にしてくれるよう言ってる。
これはこの藩に自分が来ていることは内緒にしておかなければならないなにかがあるのだろうか。
久しぶりに柘植九郎太による光圀抹殺作戦発動、多分第15話以来
弥七とお新が同時出演も久しぶり。しかし特にその仲に関する演出はほとんどなし、お新の登場のところでちょっとからかわれてるが。こちらは多分第16話以来
同時に杉版金さんや破れ傘刀舟を見ているが、ゲストで出てくる人がさっき違う番組で見た人だということが非常に多い。同じころの作品だから当然なのかもしれないが。
今回でいえば、沼田曜一(刀舟30話)や野口元夫(刀舟37話)

第22話 4月24日 消えた姫君
鶴姫:八代順子
梅乃:八木昌子
大田黒将監:沢村宗之助
増田源三郎:柴田昌宏
吉沢:丘寵児
新次:黒木進
新太:田中弘史
ふぐ新主人:山村弘三
黒沼源兵衛:守田学哉
清十郎:諸口旭
増田頼母:市川男女之助
この地について時には気を養うためと遊びに行きたい助さんとそれをたしなめる格さんとで喧嘩になり、二手に分かれることになる。助さんは八兵衛を多少強引に連れて料亭へ、一方格さんは光圀と宿へ。といっても光圀は積極的に格さんの味方をしたわけではない。
内容としては、藩の家老同士の争い、城代家老増田頼母が次席家老大田黒に陥れられ牢に入れられており、それを助けようとする息子の源三郎とかつて増田頼母に恩がありそれを助けようとするふぐ新の親子(息子は新次と新太)。その情勢についてはなにも知らないお転婆な鶴姫、頼母によって学問の手ほどきをされていたのだが、が城下に遊びに来ており、そこへどうにかして書状を届けようという作戦。
結末は鶴姫が事情を知り、奮闘するも大田黒の逆襲にあい、最後は光圀登場。処罰については、鶴姫が光圀に自分に任せてくれ、父の裁きによって罪を償わせると言い、よくぞ申されたご存分になさるがよいと返す光圀、舌っ足らずに「大田黒らを引き立て」と鶴姫
黒木進は小野武彦の前芸名だそうだ。確かに小野かなとは思ったが、こんな昔から活躍してたとは。

第23話 5月1日 仇討ち博多人形
小袖:鮎川いづみ
文平:蜷川幸雄
瀧田嘉兵衛:川辺久造
元舟屋徳兵衛:潮万太郎
鮎川いづみと蜷川幸雄が兄妹で、両親の死に不正を感じ証拠を探す芸者の小袖、一方そのことに無関心な素振りで人形作りに励む文平
今回は柘植九郎太による光圀抹殺作戦発動。登場パターンもいつも通り悪役側の元へ現れ脅し半分餌半分と言った感じで作戦を了承させるという感じだが、今回は冒頭、舟で辿り着いた光圀一行を柘植の指図で刺客が襲うという始まり方
弥七とお新も登場ということでレギュラー勢揃い
鮎川いずみという人は、自分の一番好きな必殺シリーズで、それも好きになった要因である子供のころ見ていたシリーズにメイン格(何でも屋)で出ていた人なので特別な女優という位置づけなのだが、ウィキを見て、芸能界を止めた理由として「自分は芝居が下手だって気持ちがどこかにあって、芸能界には向かないと思い、決心をした。」という言葉が掲載されていて、それ以来じっくり演技を見るようになったのだが、確かにさほど、ね。
この回はその鮎川いずみと蜷川幸雄がメインであり、文平は小袖をモデルに人形を作っているが、その人形を見た助さんはその人形に暗い影があると言ったことで二人は衝撃を受けるという一コマがあり、そして最後の光圀一行の旅立ちの場面ではそのエピソードを踏まえて、人形の顔に鮎川いずみの顔が重なり、仇討を遂げ明るい顔立ちになったことが描かれるという風に、かなりフィーチャーされている

第24話 5月8日 女海賊とにせ黄門
源爺:東野英治郎(東野が二役で出演)
卍丸の船長 亀:清水良英
おこの:御影京子
唐物商小町屋宗吉:大竹修造
田上作左衛門:早川雄三
壱:草薙幸二郎
三造:市村昌治
松浦肥前守:不破潤
まつら屋の婆さん:吉川雅恵
黄門役の俳優が二役やるという形での偽黄門登場の回で、偽黄門というのはこれまでにもあったし、今後も何度もあるとは思うが、こういうのは珍しいのではないかな。まあよくわからないけど。
始まりから罠にかけられ、光圀とお新のみが舟に乗っており、供の三人を待っているのだが、舟が出航してしまうという風に始まる。それは抜け荷を行ってる海賊の舟であり、お新は売り飛ばし、男の客は海に捨てようとなり、ここで舟の下男、源爺(東野英治郎)が登場する。
源爺が光圀を海に落とす役になるのだが、手加減でもしたのか、光圀はうまく小舟に乗り移ってしまい、海賊たちもそれを放置。まあ光圀が生き残ってくれなきゃ話にならない。
源爺が光圀に心を動かされ手加減したとかそういうことかと思って見ていたが、そうではないようで、その後の展開の中でそういうことは語られないし、源爺はちょっと抜けているバカという程度にしか描かれていない

第25話 5月15日 狙撃者
おみの:金井由美
鬼塚甚八:菅貫太郎
下げ針の金作:武藤英司
茂平次:高品格
戸塚剛右衛門:植村謙二郎
跡部新作:小川真司
大川内左内:矢奈木邦二郎
そろそろシリーズ終盤、前回の最後でそもそもの旅の目的である薩摩藩のことに触れており、もしかしたら前後編でワンエピソードだとか、各回において薩摩藩の揉め事の件がちょこちょこと顔を出すとかするかなと思い警戒(それならば一気見したいのだ)したが、今回は普通の旅の一行程でのエピソード。しかも島原の乱で有名な天草の島が舞台で呑気に島めぐりをしてるってわけだ。薩摩への行程の一分なのかねえ。
その島原の乱が終わり年貢は半分になっていたのだが、それを代官、名主が組んでの過酷な年貢の取り立てとそれに抵抗する村人というような話。名主が高品格。代官の部下の鉄砲名人が菅貫太郎で髷を結わえず、現代風な髪型、今回は出ていないが今シリーズでの成田三樹夫みたいな見てくれ

第26話 5月22日 肥後の競い馬
喜助:安井昌二
琴姫:北川美佳
寅蔵:藤原釜足
宍戸刑部:河津清三郎
十時新太郎:清水綋治
大島剛蔵:五味竜太郎(五味龍太郎)
小山田一平太:小林勝彦
細川越中守:中村錦司
中間:西田良
清水綋治が若く父親の仇討を狙う純真な若侍という若いからこそやれる役で珍しい
五味龍太郎がメイン格の悪役。小林勝彦も中村錦司も若い。中村錦司はこの頃は殿様役も多めに思える。
またも柘植九郎太が失敗しだけど格好つけてるというワンパターン。やってて馬鹿らしく思ってそう。
残り2話。前後編かどうかわからんが、まとめての視聴にしよう。

第27話 5月29日 夕映えの対決
おひさ:北林早苗
高林くみ:真屋順子
伝九郎:江見俊太郎
土々呂の逸平:小堀明男
彦造:寺島雄作
町奉行:永野達雄
保利十九二:高橋悦史
高橋悦史はトメなのだろう、実質メインゲストは高橋悦史と北林早苗と真屋順子で、高橋悦史は人夫頭をやってるが、裏のある人物。女房が北林早苗でこちらは威勢の良い江戸っ子的な女でちょっと北林早苗にしては珍しいか。そして保利十九二はかつて長崎で医師の勉強をしていたという過去があり、そのときの恋人が真屋順子。高林くみが訪ねてきてしまったことから、女同士の嫉妬対決みたいのが始まりそうになるが、その場面はすでに緊急事態でもあり、そういうものを裏に秘めながら、ドタバタと話が結末に向かうという風な演出。
そしてこの回は別路を行く弥七のみが上記のメインストーリーに絡むという形になっており、それじゃあ光圀の出番が少なくなると心配してなのか、序盤に光圀が一つあっさりと事件を片付ける。市中引き回しになってる子供がおり、通行人に事情を聞いて、それをもうすんなりと受け入れて、役人連中にさっさと名乗って、裁きを下すという風に。これは水戸黄門では珍しい演出かもしれない。大岡越前で冒頭に三方一両損の判決部分をやるみたいな、シリーズのハイライトシーンを冒頭にやってしまうというやり方。
なおメインストーリーのほうでは光圀の名乗りをお新がやっており、これは珍しい。初めてだったと思う。またそこで平伏した悪役がもう一人の悪役を殺してしまい、騙されておりました、ここに成敗してやりましたと光圀に得意げに命乞いという、これも光圀が名乗った後の展開としては珍しい。ここで平伏している悪役はヤクザ連中ばかりで、侍はおらず、悪役に侍は介在していない。
薩摩に入るためにはどうしたらいいかみたいなことが序盤では強調され、最終回に向けてという雰囲気はあるものの、この回には柘植九郎太は出ておらず、起きた事件には次回に引き継ぐ事項なし。前後編になるかもという予想は外れだった(9/20視聴)

09/20(水) 18:30 - BS-TBS|60分|12倍録
水戸黄門 第3部<デジタルリマスター版>[終]▽第28話「暗雲晴れて」(薩摩・江戸)
(9/20視聴)
第28話 6月5日 暗雲晴れて
司馬丹兵衛:佐々木孝丸
笠間与一郎:天野新士
お百合の方:松村康世
甲府宰相綱豊:坂東京三郎
水戸藩上屋敷の侍:波多野博
第27話に続けて見出したが、27話から引き継がれてることはなさそうであり、さらに序盤で司馬丹三郎の父親というのが登場、第1話の司馬丹三郎の回想シーンが出てきて、そういえば第1話はちょっと見ていて理解が消化不良だったことを思い出し、第1話を見直すことにした。第1話は1.3倍速を基本での視聴にした。
結果的にこれは大正解。第1話とこの最終話が前後編ものと見てもいいのではなかろうか。となると今シリーズのそれ以外の回はなんなんだということになりかねないが、何度か書いたように柘植九郎太は自信満々に登場しては失敗しても笑ってるし、その横やりもワンパターンで各回のエピソードにいい効果を与えてるように見えないし。
まあとにかく。この回の行程として(薩摩・江戸)とされているように、薩摩の揉め事はこの回ではかなり早めに終結する。今シリーズは3幕ものであるが2幕の中盤で終わる。
追い詰められて光圀が爆弾抱えて崖に飛び込むなんというシーンが第1幕の最後にあり、こりゃどうなるかなと思ったが、それは丹兵衛が身代わりになっていたとのこと。
さすがに柘植九郎太も悔しそうで、そして2幕中盤以降では、江戸に戻り柳沢に報告がてら自決を勧め、が、しかし柳沢にはまだ策略があり、自分が自決すれば、同志となっていた尾張公にも罪が及ぶことになり、それを光圀はどう考えるのか、と。そして第3幕、江戸城内、将軍、光圀、御三家と甲府宰相、そして柳沢の場面となり、ここはただその舞台での会話劇、前シリーズもこんな感じだったと思うが、光圀が柳沢の上を行く策略で、柳沢を自決させずに隠居に追い込む。
ラスト、水戸藩江戸屋敷に深雪が赤ん坊を連れて登場、生まれたての赤ん坊だぞ、雑に扱ってるなあと思う、ラストシーンでは水戸への帰還の旅路で、深雪は赤ん坊を抱いての旅路、って無理だろ、それ。
お新と弥七でお新の父親、野ぶすまの仁平の墓参り。夫婦になることを示唆。

明日からは「水戸黄門 第41部」。さすがに全シリーズ放映とはならないか。
まだまだマンネリ完成にはなっておらず、特に印籠のシーン、これからどうマンネリ化していくのか見たかったが、でもまあちょうどその道筋も見えてきた感じでもあったので、いいタイミングか