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ベスト・キッド [映画]

1984 アメリカ
09/09(月) 13:00 -
NHKBSプレミアム|128分

有名な作品だが超名作というほどではない。80年代の匂いが濃厚な中程度の作品。
ラスト、ジョニーが負けて、ダニエルを「真の王者だ」と称えるところはどこか取って付けたよう。ジョニーは作品の頭から悪役で、その後最後まで悪役のまま。最後の試合のところでもとくに改心したような素振りがない。これが例えば試合中に倒しても倒しても立ち向かってくるダニエルに心動かされるみたいな描写が何回か入るなら、わからないでもないが(「ロッキー」でのアポロのように)。※と思ったらこの作品の監督は「ロッキー」の監督だった(ジョン・G・アヴィルドセン)
ちょっと中だるみを感じた。ミヤギがダニエルにワックスがけをやらせるなどする場面。そしてそれらが空手の修行に実はなっていたという展開は予想通りながらも、その場面にくるとわくわくする。
軽い作品なのでテーマといえど深く掘り下げているようには見えないが、以下の二点。貧乏階級のダニエルとリッチ層のアリの恋愛。そして日系人ミヤギという移民の問題。ダニエルも移民なのだろうか。主演のラルフ・マッチオがそんな風に見える。彼自身はウィキによると「父親はギリシャとイタリアの血を引き、母親はイタリア系アメリカ人」。そしてそのダニエルの恋の相手が純粋な白人でリッチ層、また敵のジョニーやコブラ会の面々も純粋白人層。
当時の普通のアメリカ映画ならその純粋白人の方を主役にするだろうにそういう意味ではちょっとおかしな構図、ということをあるサイトで指摘していた。そのサイトではこれはそういうマイノリティ向けの作品として作られたのかもしれず、それゆえどことなくチープで、それは製作費が少ないのでは、とあった。
確かにチープな印象はある。製作費は800万ドル。同時代の作品で比べると、「ロッキー4」は2800万ドル。「フットルース」は820万ドルといった感じ
主要登場人物のミヤギが日系人ということで、日本に関することは多数、というより最初から最後までたくさん出てくる。ある意味日本のマーケットを狙ってるようにも見える。
ダニエルの母があまり移民系のように見えず、また貧民層にも見えない。コンピュータ会社で幹部候補の研修に行けるというようなことも話しているし
敵対組織はコブラ会でこれは「Cobra Kai」だ。そこで師匠への呼び名は「sennsei」。
ミヤギは最初から最後までダニエルをさん付け、つまり「ダニエルさん」と日本風に呼んでいる。
ダニエルがバイク(ほんとうは自転車なのに)に乗っていると言うと女の子が何のバイクと尋ねる箇所では「ホンダ? スズキ?」と聞かれている。それに対して「ミヤジターボ」と答えるのはなんの意味かわからない。このミヤジ、登場人物のミヤギを呼ぶときの言い間違いが何度も出てくる。
字幕版。字幕でアメリカ・インディアンという言葉が出てきた。今まで映画のテレビ放送を見てきた感じだと、インディアンという言葉はたとえそう言っていたとしても「先住民」と訳されることが多いのだが。そしてその直後には「先住民」という言葉も出てくる。

原題について--
日本で劇場公開された時のオープニング(引越しのシーン)のタイトルはThe Moment of Truth。その後、DVDやBlu-ray DiscではThe Karate Kidに差し替えられている
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The Moment of Truthはサバイバーによる主題歌のタイトルでもある。サバイバーといえばロッキー3(1982)の主題歌で有名だ。

この作品、シリーズ化されているようで、4作ある。3作目までダニエルが出ている。ミヤギは全作に登場。
さらにはジャッキー・チェンが出ているリメイク版がある。
そして2018年にはyoutube配信のドラマ版が作られており、そこにはダニエル・ラルーソー役でラルフ・マッチオ、ジョニー・ロレンス役でウィリアム・ザブカというオリジナル版と同じ配役がされ、オリジナル版の34年後という設定だそうだ。有料だが無料の部分もあるので少しだけ見てみたが、面白そうではある。主役はジョニー・ロレンスのほうのようで、ジョニーは落ちぶれ、ダニエルは自動車販売会社の社長として成功しているという設定、ジョニーはミヤギのような役割を果たすようだ



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