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鬼平犯科帳 (萬屋錦之介) 第3シリーズ('82) [時代劇]

放映データ
2016/03/15(火)~2016/05/31(火) 毎週火曜~木曜日(途中から毎週火曜~水曜日) 19:00~

錦之助平蔵が第1、2シリーズとちょっと雰囲気が変わっている。自分の苦手なギラギラした感じが減りいい感じに力が抜けている。時期を見てみると、このころ自分の会社の倒産や病で倒れたりしているようだ。
鬼平のパターンとして平蔵は自分で街中へ出て探索をしたり、見回りをしたりというのがあるが、今シリーズではそれが異様に少なく、役宅で指示を出す場面に留まるような演出が多いように思う。体調面でなにかあったのだろうか。先に書いた表情のことと合わせてそう考えるのが自然でもある
そういうことが気になり始めると妙なもので、立っていて然るべき場面、といっては言い過ぎではあるが、立っていても良さそうな場面で座っているという場面もいくつか見られる。
高松英郎は出ていない。よく見るとオープニング映像に平蔵以外のレギュラーも出ていて、前シリーズまでは高松英郎が映っていたが、今シリーズには出ていない。
藤森健之が同心役の準レギュラーとして加わる
作品の重要キャラクターである木村忠吾(演・荻島真一)は「第3シリーズ第16話を以て、細川峯太郎と入れ替わる形で降板」とのこと。
毎回必ず出るレギュラーでないのだから、降板というか、16話以降出ないだけとも取れるが、17話から19話でイキイキと細川峯太郎が木村的役柄を演じているので、まあそういうことなのだろう。
11話のゲスト、せんだみつおを見たとき思ったが、割とこの錦之助全3シリーズで複数回メインゲストを務めている人が多い。

1
さざ波伝兵衛
石橋蓮司
2
兇賊
花沢徳衛、八名信夫
3
霧の朝
山田吾一(井関録之助役)、日色ともゑ、藤村俊二、伊佐山ひろ子
4
雨乞い庄右衛門
小沢栄太郎、ラビット関根、松山照夫、都家歌六
都家歌六はのこぎり音楽の寄席芸人の人か。どこに出ていたかわからなかった
岸井左馬之助役で第1、2シリーズの神山繁から変わって田村高廣登場。平蔵の出番はほとんどなし
5
浅草・御厩河岸
三ツ木清隆、中村又五郎
6
隠居金七百両
森川正太
辰蔵が活躍する話で森川正太は辰蔵の友達
平蔵の出番少なし
7
雨引の文五郎
和田浩治、佐山俊二、睦五郎
雨引の文五郎を和田浩治、それと対立する盗賊を睦五郎、両者に因縁のある老盗人が佐山俊二。佐山俊二はおかしみがにじみ出る喜劇人であるが、ここでは喜劇的要素なし。平蔵に呼ばれてくる密偵の役
平蔵の出番の少ない作品が続いていたが、今話では久々に街中へ出かける描写がある。
8
白と黒
野際陽子、池波志乃、玉川良一、吉田義夫
丹波版で「盗人姉妹」となってる話で、吉田義夫は同じ役。野際陽子、池波志乃、玉川良一、特に後者二人の喜劇的演技が楽しい。玉川良一は隙あらば池波志乃に迫っているのが妙におかしい。玉川良一が風呂場で良い加減になり浪曲を一節唸る場面もある
9
梅雨の湯豆腐
東てる美、原田大二郎、岸田森、関敬六、北村総一郎
北村総一郎は脇役のクレジットで気づくかなと思ったが、割と大きい役。原田大二郎の演じている男の金玉を潰した男で、原田と岸田に殺されるという役。岸田森は殺し屋稼業である原田の先輩格の男
10
熊五郎の顔
山口果林、村野武範
11
白い粉
せんだみつお、佐藤万理、江幡高志
せんだみつおが平蔵の役宅の料理人で平蔵に毒を飲ませる話。その妻役が佐藤万理
彦十が西村晃になって初登場
12
尻毛の長右衛門
長谷直美、小林昭二
13
男の毒
吉沢京子、尾藤イサオ、殿山泰司、小野ヤスシ
14
蛙の長助
由利徹
15
夜狐
渡辺篤史、左時枝
16深川・千鳥橋
17
土蜘蛛の金五郎
多々良純
左馬之助の田村高廣が光る
18
大川の隠居
有島一郎、浅香光代
有島一郎がすごい格好良い。伊三次とのやり取り、ラスト平蔵とのやり取りは見もの
中盤で伊三次が家を訪ねてきたときに、伊三次「入っていいかい?」「どんどん入ってくれ、っつってもどんどん行き過ぎると庭に出ちまう」と落語でお馴染みのくすぐりがある
19
はさみ撃ち
阿藤海
20
市松小僧
高瀬春奈、山田隆夫、茶川一郎、江幡高志
おまゆ(高瀬春奈)を相手に市松小僧の山田隆夫の喜劇的動きが光る。おまゆの父親役、江幡高志も同じようなことやってる
21
艶婦の毒
野川由美子
平蔵が京都へ父の墓参り。供は細川峯太郎。そこで細川が嵌った女(野川由美子)は平蔵が20年前に嵌った女であった。という話で、その20年前の回想場面が多いが、平蔵も野川由美子も同じような見てくれなのが何とも。
22
狐火
高品格
ここから各密偵の過去をテーマにした作品が続く。今話はおまさがお上のお役と自分の過去の因縁の人物と板挟みになるというような話
23
馴馬の三蔵
今話では粂八がお上のお役と自分の過去の因縁の人物と板挟みになるというような話
24
むかしなじみ
織本順吉
今話では彦十がお上のお役と自分の過去の因縁の人物と板挟みになるというような話
今話を見て、常に思っていたことをいくつか。
鬼平は平蔵の活躍はもとより、密偵の存在というのが特徴的。その証拠に火盗の同心の活躍というのはほとんどなく、木村忠吾が特異なキャラクターとして描かれる程度だが、密偵は個性が強いキャラクタ-がたくさん出てくる。
その密偵だが、お上の役についてることは盗賊仲間の間で噂にならないのかなとちょっと思う。もちろん、噂にならないように、密偵の存在を知ったものは死刑にしちゃってると考えても良いのだが。
そしてもうひとつ。この密偵という存在は非常に興味深く文学のテーマとしても格好の存在。足を洗ったとはいえ、その密偵の仕事を表立って活動するわけにはいかず、日陰の存在。そして昔馴染んだ盗賊からは「犬」と罵られる存在。
ところが鬼平ではその密偵の存在の苦しみみたいなものはあまり描かれない。小説は読んでいないのでこれはあくまでもテレビドラマの方についてであるが。そしてこれは無茶な言いがかりでもあって、テレビドラマ版をまとめて見たうえでの感想。つまりたくさんの作品を作る上で、そればっかり描いていても飽きられるので、そういう部分をカットしていると考えることもできる。だから見ている側は、密偵をいつもそういう存在だという前提で見る必要はあろう。なのだが、続けて見ていると、描き方が軽く見えてしまうことはしばしば。
そういえば今話では彦十が旧知の盗賊に出会って、すぐ平蔵に報せ、ひとり掴まえても仕方ないから、大勢集まったところで一網打尽にしようという計画になるが、こんな部分も、そりゃ盗賊らは「犬」と罵るよね、と思う
25
本門寺暮色
藤木悠、中村嘉葎雄
藤木悠は井関録之助役。「高杉道場・三羽烏」という作品で高杉道場・三羽烏は平蔵と左馬之助、そしてその作品での主役の人が挙げられていたはずであるが、今作品で平蔵は録之助に向かって「高杉道場・三羽烏のお前が云々」というようなことを言っている、どういうことだろう。
中村嘉葎雄はキャストクレジットで「凄い奴」と表記。剣豪の殺し屋を演じている。今話は捕り物でなく、その凄い奴との攻防を描いており、クライマックスは平蔵との対決場面
中村嘉葎雄は「必殺」のレギュラー、しかも最高傑作「新・必殺仕置人」のレギュラーということで嫌いなわけはない。一方錦之助はあまり好きでない。ということもあるのかもしれない。この二人はあまり似ていないと思い込んでいた時期がある。だが、二人が競演している作品で続けざまに二人が映ると本当によく似ている。思い返してみれば、なんで似ていないと思ったのかよくわからない。
今話でも中村嘉葎雄の存在感がすごい
26
春の淡雪
赤塚真人、穂積隆信、梅津栄


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