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三屋清左衛門残日録 [時代劇]

BSフジ
<BSフジ20周年特別番組>と銘打たれている。ちなみに第1作目は「BSフジ開局15周年記念」である
放映日は下記

作風は全然違うが先日見た「無用庵隠居修行」と同じような設定、すなわち、主人公は隠居したばっかの武士で、せっかく隠居したのに事件に巻き込まれ、逆に自分から入っていき、というようなもの。剣術の腕に覚えありというのも同じだ。そして年に1回2時間くらいのスペシャル枠で作られており、これまで4回というのも偶然にも同じだ。
作風やキャラクター造形は全然違っており、それは演じる役者のせいもあろうが、比べるようなことではなかろう。ただ作品自体はこちらのほうが見ごたえがある。こちらは製作が時代劇専門チャンネル、BSフジ、東映となっており、まあ手練れの仕事だ

『三屋清左衛門残日録』(第1作目)
主人公、三屋清左衛門を演じるのは北大路欣也
伊東四朗、演技なのか地なのか、足が悪いということで畳に直に座る場面では座布団を何枚も重ねて座っており、セリフでもその旨言ってる。息子の伊東孝明もキャストとしてクレジットされている、どこに出てたかわからないが。
優香は三屋家に入った嫁。家督は清左衛門の息子に譲られている。その息子のほうはほとんど出てこないが優香はストーリーには関わってこないもののやけに存在感があり、この家の主人はいないのかと思えてきてしまう。
ヘンテコな終わり方で、味わい深いというかなんというか。通常のドラマでいう結末が完全に明かされない感じになっている。なのだけど、これはこの後の作品で描かれるのだろう。ということは、年に1本くらいのペースながら、続きものとして作っているということか(ウィキより「2016年と2017年、BSフジ開局15周年記念特番としてテレビドラマ化され、2016年2月6日に「登場篇」、2017年2月11日に「完結篇」が放映された」とある)。最初からこの二作は作るつもりだったということだな。

※『三屋清左衛門残日録 完結篇』(第2作目)
やはり予想通りメインストーリーの結末が明かされる
大物ゲストが何人か出ているのだが、見終えてから改めて考えてみると彼らとメインストーリーとの関連性が希薄で、そこらへんが特徴的でもある
伊東四朗(ゲストではないが)、中村敦夫(第1作目のゲスト)、寺田農と笹野高史(今話のゲスト)、これらが全員主人公の清左衛門と幼馴染、もしくは若いころの友人という設定。友人とともに老いていくことだとか、年寄りになりしがらみのない交友関係を懐かしむことなんかがサブテーマなのだと思える。
寺田農と笹野高史はどちらもメインストーリーに大きくは関わらない。寺田農のほうは思い出話としてメインストーリーである派閥争いのことを因縁として語るという役割があるにはあるが、笹野高史のほうはほぼそのストーリーには関わらない
伊東四朗はストーリーとがっつり絡む、というか奉行の役であり、隠居した清左衛門に現在の状況を入れてくるという役割、中村敦夫は第1作目の最後の方にちょっと出てくるだけなのだが、年老いて気が触れたと噂される(実際はそういうふりをしていただけ)役で存在感ばっちり、中村敦夫は最近自分が見ている範囲だが、ゲスト役でほんの少しだけ出るというカメオ出演的な出番が多い感じ。もっと前面に出るような作品があってもよさそうなのに。
そして、このことに関連するといえそうだが、他にもメインストーリーに絡まないエピソードがたくさんあるように思う。
第1話の最初のエピソード、清左衛門が過去に妻以外の女となにやら訳ありというエピソードもとくに消化されない
第2話のラスト、料亭の女将みさとのやり取り(清左衛門の老いらくの恋の結末とでもいおうか、みさが故郷に帰ると言い残す場面)も同じくメインストーリーとはあまり関係ない

※『三屋清左衛門残日録 三十年ぶりの再会 』(第3作目)
前作のところで書いたことが割合的外れでなかったことがわかった。今作でも幼馴染、若いころの友との交流や再会がテーマ。
今作では、まず伊武雅刀と原田大二郎が幼馴染として登場。
さらに前作までにも出ていたレギュラーだが栗塚旭演じる中根弥三郎が今回は活躍。中根は道場主。栗塚旭という人はおれは今回初めて知ったのだけど、ウィキを読んでみると1937年生まれでこれまでもそれなりに活躍し、そして近年、老年になって人気爆発した人らしい。おれはそれを知って、どこに出ていたのかなと思ったが、役名見てもよくわからないで、三屋の下男の人かななどとも思っていたほど。
序盤でその道場主がどうやって道場を引き継いだのかの因縁、前の道場主の娘と次期道場主の座を争って試合が行われ、負けた男はそれ以降行方知らずになったということが語られ、その行方知れずになっていたその男が終盤になり現れ、道場主との再度の試合を求めるという展開になる。この男との出会いがサブタイトルの所以
序盤から料亭の女将みさが普通に登場。あれれ、前作、エンディングでのアレの設定は反故にされたのかな、と思うものの、この第3作が第2作以降の時代だということも明示されておらず、第1作と第2作との間という設定かもしれないしなどとも思う。
と思っていたら、多分その説明ということなのかなあ、いやそうとしか思えないな、終盤で突然、今回の作品にはそこまで登場していなかった前2作でのメインストーリーである派閥争いの話、朝田派と遠藤派の話が出てきて、第2作の結末は遠藤派が勝つというものだったが、ここでは遠藤派が勝ちそうだということが語られ、第2作目の結末のころのエピソードだとわかる
優香が相変わらず目立つ。クレジットも二番目。女優としてそこまでのネームバリューがある人でもないし変な感じがする。
第2作目から小林綾子が出ているのだけど、優香と小林綾子を交代してもよさそう、というか、優香の役を小林綾子ならはまり役という感じがする

※『三屋清左衛門残日録 新たなしあわせ』(第4作目)
まずは時系列。これも第1作目と第2作目の間の出来事のよう。つまりは、派閥争いはまだ決着がついておらず、朝田家老が牛耳っている時代。第3作ではその派閥争いの話は大して出てこなかったが、今作ではかなり朝田家老が関わる話
そして、優香が出演していない、いや、エンディングにほんの少し声の出演(手紙が送られてきて、それを読んでいるのが優香)と、過去の映像と思われるものが流れる。里江は里の両親が身体が不自由になりそれを助けに行っており、両親の身体は元に戻ったものの今度は自身の身体の不調を訴えるようになり、という展開が所々で語られ、エンディングでは手紙で妊娠を知らせてくるという次第。
ということは第2作目では赤ん坊が生まれてるかしないとおかしいのであるが・・・。
優香は今年4月に出産をしておりそのためのこの処置か。優香はクレジットは2番目を維持。
想像するに最初の2作は当初から制作されることが決定しており、その後企画が続いたということなのだろうか。時系列でいうと、1,3、4、2となりそうで、もう1回第2作を見ると上記のように矛盾が生じていることに気付く可能性もある。まあ見ないけどさ。
前作までほとんど存在感のなかった清左衛門の息子、又四郎が今作ではフィーチャー。里江がいないためか、清左衛門の娘が嫁ぎ先から出張ってきて清左衛門の世話をするという場面もあり、その娘の旦那も活躍するという展開。原作にあるエピソードなのだろうか。
里江がいない、そして又四郎がフィーチャーされるため、ようやく清左衛門が隠居の身で主人が息子であるということがわかる(いや、前からそれはわかっていたが、そう実感できるということ)。
前作までの幼友達との交流や再会というテーマは薄れるが、ここでも同じような役割の大物俳優2名がゲスト。
三田佳子と小林稔侍。
三田佳子は滝野という役で、清左衛門が用人であったころ、江戸屋敷の奥向きを取り仕切っていた奥方の側仕えであったという旧知の間柄。こちらのエピソードは序盤で結構あっけなく終わり、次のエピソードとはほとんど関連がなく、二時間に二つのエピソードを盛り込んだ形。
小林稔侍のほうは寺井権吉という役で清左衛門の青年時代、同じ道場にいたが、手詰めと呼ばれる柔術の腕を見込まれ、道場を変えることになり別々の道を歩むことになったという間柄。この小林稔侍が絡むほうのエピソードのほうが今回のメインといえそうなストーリー。
そしてテーマは親子ということになろうか、又四郎が朝田家老の息子から因縁をふっかけられ、果し合いを申し込まれ、という展開で、二組の親子のそれぞれが描かれる。果し合いでは腕からみると又四郎の分が悪く、絶体絶命というところで寺井権吉が登場して前振りしてあった柔術の腕を見せ、決闘を終わらせるという展開であった。もちろん寺井がそこに出てくる因縁もちゃんとある。

全作を通じて伊東四朗が喜劇俳優というキャラを生かして、彼が出てくる各場面の最後にさりげなく喜劇的演技をするのが邪魔にならない程度のさりげなさで良い。
物理的に暗い場面が多い。夜、夕方、そして昼間だけど家の中、そうこの時代なら家の中というのはいつも薄暗かったのだろう、という風に暗い場面を本当に画面を暗くしていて、それはかなり意識的なのだと思われ、そしてそれでも今の技術での撮影なら見るのに支障がないだろうという自信からの演出なのだと思うが、おれにとっては非常に見づらい。よく見えないなあなどと思っていたが、それは自分の見る環境、照明の加減のせいもあった。証明が当たる角度を変えてみたらよく見えるようになった。これって前に必殺を見ていたときもこんなことがあったのを思い出した



今回放送されたものは<時代劇祭り!藤沢周平原作6作品を放送>とされていて、以下放送されたようだ。おれが見たのは三屋清左衛門残日録シリーズのみ。もっと早く気付いていれば全部見たのだけど。
といってもこれからも何度も放映されるように思う。そもそもこれを見ようかなと思ったのは、毎週各テレビ局のサイトを巡回していて、しょっちゅうこれが放映されているのを見てタイトルをなんとなく覚えたという程度のものだから。

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(一)9月13日(日) 21:00〜22:55『闇の歯車』
(二)9月27日(日) 21:00〜23:30『帰郷』
(三)10月 3日(土) 19:00~20:55『三屋清左衛門残日録』
(四)10月 4日(日) 18:00~19:55『三屋清左衛門残日録 完結篇』
(五)10月10日(土) 19:00~20:55『三屋清左衛門残日録 三十年ぶりの再会 』
(六)10月11日(日) 18:00~19:55『三屋清左衛門残日録 新たなしあわせ』
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