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チロルの挽歌

2020/12/26(土) 21:00 -未視聴 BS 103|89分|12倍録
高倉健ドラマ チロルの挽歌(前編)「再会」[字]
2020/12/26(土) 22:29 -未視聴 BS 103|89分|12倍録
高倉健ドラマ チロルの挽歌(後編)「旅立ち」[字]

作:山田太一

昨日に続いて、HDに残っていた高倉健のドラマを。
先日、ネットサーフィンにて大原麗子のウィキを読んでいた(ゴリエが再ブームみたいなニュース記事から、色々見ていてゴリエの母親役を大原麗子がやっていたと知り、ゴリエというのが流行っていたのは時代的にもう大原があまり表舞台に出ていないころじゃなかったかと思い詳細が知りたくて色々探したがどの程度出ていたのかとか、いつのころかとかはよくわからなかった)。
そこで、彼女が「生涯の代表作」と自負していたということを知って、そういえば録画も残ってるから今度見ようと楽しみにしていた。で、現代ものドラマを「ザ・商社」で見始めて、ほんとはすぐに見ようと思っていたが、結局最後になってしまった(松本清張ものと高倉健ドラマの自分のHDにあったものの中で)。

とても素晴らしい出来でちょっと驚いた。1時間半で前後編の全2話(計3時間)。前編を見終えて、これはかなりいいぞ、と思ったが、後半のほうはそれを遥かに凌ぐ良さ、これは前編で惹きつけられていたからこそだと思うが、後編の中盤あたりからはかなあ、畳みかけるように面白い場面が連続する。立石と菊川の対面の場面の後に、菊川と志津江の場面で志津江が一瞬菊川に失望し、逆襲し、仲が少しギクシャクする場面の面白さが発端、その後は市長がその3人の事情を問い質し、口外しないことを約束したすぐ次の場面で部下たちに話しているというコメディの基本のような場面から、その市長、人間的に軽い男というイメージでここまできていたが、彼がその軽薄さはそのままに、3人を集めて話し合いの場を作り、そしてなんとなく解決にまで持って行ってしまうというあたり、そしてその場面では今作品の重要人物がかなり揃っており、それまではおれは高倉健、大原麗子、杉浦直樹3人のドラマ(ちょうど字幕オンの色付きはこの3人)だと見ており、他は有名どころは揃っているが、あまり大した役割が与えられていないように思っていたが、ここらでみんなが存在感を発揮し、そういう意味でも大満足。

その3人のドラマだと思っていた特に前編を見終えたあたりの感想としては、その3人の人間関係、現在のドラマでいえば公式HPで相関図として表されるだろう、において、菊川の反応、立石が自分たちの町にやってきたことを極度に恐れ、すぐにも逃げ出そうとする、というそれは、よくわかる。それ以外の人物については、どうだろう。こういう立場になった時、どう反応するのが普通かはよくわからない。ただ志津江の反応、行動だけは多少ドラマ構築のための不自然さはあるようにも思うが、それを不自然だなと思わせない自然な演技、演出が素晴らしい。立石については、いきなり二人がその町にいることを知ってしまっての上の反応だから、ここも不自然さはない。

高倉健は寡黙武骨愚直な男という俳優イメージで、ここでもそういう人物像ではあるが、例えば元妻の志津江には、もちろん家族なのだから、乱暴な口調になるし、若い榎本なんかにフレンドリーな口調で喋ったり、そういう場面が楽しい。

菅井きん、田中義剛は大した役ではない。前編のところでキャストクレジットにあったが、前編で出ていたかなあ、後編でようやく気がついた。

阿部寛、出ているところわからず。キャストクレジットでは「工事の男」として一応役名あり(役名なしの人もいっぱいいる中で)。ウィキには「建設現場社員」とある。
こういうのは検索すれば大抵引っ掛かるが、出てこない。
阿部はファッションモデル出身で俳優業はいきなり主役からスタートし、その後の低迷時期にこれに出たらしく、であるから、有名どころがチョイ役で出たということで「役名あり」というのはわからないでもない。
また、自身がこの作品を印象深いものとして挙げているとのことだ。
阿部寛を検索していて気付いた。「続 遙かなる山の呼び声」を見逃した。つい先日の9/17に放映されたとのこと。制作決定のニュースは見たんだけどなあ。どうせ放映前に宣伝をたくさんやるだろうから気付くだろうとおれはほとんどテレビを見てないくせに油断していた。まあ、いずれ再放送やるっしょ

ラスト近く、大勢の炭鉱夫が歩いてくる場面は意味わからず、検索してみた。詳しく解説されてるサイトがあり、そこに山田の言葉があった
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「非現実の世界って、まだ馴染まない人も多いからメジャーな時間帯で長いと拒否されるけど、それとなく、番組の終わりのほうとかに入れたりして。『チロル…』のときも、途中で見たくない人はとっくにチャンネル換えてるだろうし、ここまで見てくれたということは、終わりまで付きあおうと思ってくれてる人たちだから、ちょっとわがままを許していただこうという気持であのシーンを入れました」
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また最後のほうでそれまであまり出ていなかった立石の娘がいきなり存在感を発揮したと思ったら、最後の方は彼女のナレーションで説明的に締められており、が、その終わり方もなかなかだと思った、これについても山田の言葉がある
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「ラストはナレーションなどを使って、一見さわやか風でしたけど、問題がすっきり解決したわけでなく、実に生臭くて、いやな終わり方と言えばいやな終わり方ですね。他の男と駆け落ちした奥さんが、今度は前の夫のところに戻って、しかも、三人は一見仲よく同じ町に暮らしている。あれに対しては、あいまいさに反発を感じるという方や、あれを「うまくいった」と受け取って、そううまくはいかないよ、とか、古典的な気持のいい終わり方だった、などという意外な感想までいろいろな声をいただきました」
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杉浦直樹という人は、おれがいまよく見ている系統のもの、つまり時代劇では出てこないが、おれが子供のころ親と一緒に見ていたテレビにはよく出ていた。名優だと思う。おれが思い出すのは「あ・うん」なのだが、そういや高倉健も「あ・うん」に出ていたなと思い出し、が、共演でなく、違う版での出演だったはずなどと思い出す。
そうそう、この杉浦直樹は向田邦子のドラマによく出ていた印象、そうだ、向田邦子のドラマを確かBS12だったかで特集したやつを録画したんだったな、あれもいずれ見よう。