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江戸の渦潮 [時代劇]

オリジナル 1978年フジテレビ 全23話
今回
BSフジ
7/26-8/25
「江戸の旋風」シリーズの派生作品とのことで、江戸の旋風との関連はどんなものなのか気になる。ただウィキを見る限り別世界を舞台にしているようだ。一方出演者はかなりダブってるようだ。

今日は3話まで視聴。
江戸の旋風のウィキに「『太陽にほえろ!』を始めとする当時大人気だった刑事ドラマのテイストを取り入れて作られた」とあったのを覚えていて、そういう頭で見てみると、なるほどそうで、OPの音楽や演出なんかがそんな感じ。普通の時代劇よりスピード感があり、そこが魅力であると同時に、普通の時代劇を見慣れており、見たいと思ってるおれはついていくのが大変。
と、これが第1話で思ったことなのだが、第2、3話と、割と普通の時代劇だなと思った。
主演は小林桂樹でメインは小林に加え古谷一行、露口茂の3人。
『太陽にほえろ!』のような刑事ドラマのテイストを強烈に放っているのが露口茂の辰蔵(岡っ引き)。同じ演技しかできないともいえるし、同じようにやってくれと言われたのかもしれない。目の使い方や話し方がまんま山さんである。といっても、おれが太陽にほえろに見てたのはガキのころ(ルパンと太陽の再放送を学校から帰って見ていた。この二本はセットで記憶にある)で、そのときの記憶だけだが。
第2話で、真犯人を喋ってくれない目撃者への説得なんかは落としの山さんだ。
古谷一行はちょっとビジュアルとしては三浦友和風。
なかなか優れた設定だなと思ったのは、露口茂の岡っ引きの辰蔵がいる長屋「ふくろう長屋」の住人たちがどういう関わりか、みな辰蔵の子分的な働きをするというところ。辰蔵の号令一下、個性的な面々がさっと行動するあたりは格好良い。と同時にここも刑事ドラマ的でもある。この長屋連中が活躍する回なんてのがあるといいのだが。今までのところさほどでもない。
ここに数人おり、こういうところに知らない顔ばかりだと覚えるのが大変だが、ここは豪華
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梅助 小松政夫(第16話、第22話を除く)
新内流し。ふくろう長屋の住人。
万八 梅津栄
手相占い師。ふくろう長屋の住人。
入道 東野英心
坊主。ふくろう長屋の住人。
おこま 岡江久美子(第16話、第21話、第22話を除く)
ことぶき庵の店員。ふくろう長屋の住人。
定 古澤カズオ
ふくろう長屋の住人。武器は楊枝。
こはる 中森いづみ(第21話、第22話を除く)
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知らない顔は定とこはる(おこまの娘、子役)くらいだ
定は根津甚八、火野正平、石橋蓮司、松山照夫あたりに似ている。狂気をはらんだ目つきが魅力的。時代劇の中で時折あり、必殺なんかではよく見られるが、現代的な頭髪
岡江久美子が若く、健康的な美人
ほかのレギュラーとしては名取裕子がこれもまだ若い。
竜崎勝は同心役で、物語上、主役連中とは異なる奉行所側の行動をとるような役になるのだろう。
文太 小野ヤスシ
金六 左とん平
この二人はコンビのように笑いを担当。文太が正式な岡っ引きで古谷一行の純之介についている。一方、金六は魚屋だが捕物好きで、事件が起きると、岡っ引きのような行動で、現場に駆け付け、それなりに認められてもいるようだ。
と、こうなると純之介は辰蔵と文太を岡っ引きとして使ってるということになる。
先日訃報が伝えられた野村昭子は半兵衛のところの女中。
守田比呂也が名取裕子の父親役で、酒屋なのか飯屋なのかの主。
小林桂樹の唐木半兵衛は第1話で寺子屋の先生をやっている。このとき、奉行所からどういう役割を与えられてるのか与えられてないのかちょっとわからない部分もあるが、第1話では多分引退した元同心で、その回の最後に純之介から十手をもらっており、その後の回で「臨時回り同心」と名乗っている。

1 1978/05/04 父子同心
村野武範、二木てるみ、藤岡重慶、
横森久

2 1978/05/11 爽やかなり! 五月晴れ
篠ひろ子、内田朝雄、内田昌宏(内田勝正)
篠ひろ子は登場場面での遠目のショットだと竹井みどりのよう。アップになると全然違うが。
辰蔵は十手の二股になっているところで刀の刃を挟み捩じ切るという技を持っており、この回ではそれを内田勝正演じる塗量旗本の船村相手にやってしまい、刃が船村の頭にぶつかり負傷させてしまい、厄介なことになるというのが序盤にある。終盤の殺陣でも同じ技を見せている

3 1978/05/18 命の泉いつまでも
松原智恵子、御木本伸介、勝部演之、西田健
市村昌治

※追記 8/26視聴
4 1978/05/25 断崖に立つ男
珠めぐみ、小野進也、草薙幸二郎、山本昌平
草薙はやくざの親分の役で序盤に早々に殺されてしまう。
小野進也は自分の女を親分に差し出すという男の役で、その情景、女の部屋の前で親分が出てくるのを待ち、そこで親分から金を放り投げられるという、新必殺仕置人の「代役無用」を思い出した

5 1978/06/01 酔いどれ十手
植木等、織本順吉、松山照夫
植木等が始終飲んだくれている牛込の岡っ引き。牛込は辰巳屋が支配しており、町方も手が出せない。
辰蔵が会いに行ってみると、どうやら酔っ払ったふりをしているようで、大きな悪事を暴こうとしている様子。飲んだくれのふりをすることで辰巳屋にひれ伏しているように見せ油断させているのだ。その辰巳屋が織本でその配下が松山。
ここまで見て。
ストーリーは各回どこかに甘いご都合主義的なところがある。
意外なことに見どころは露口茂。ここまでほとんどの回が辰蔵が主導して話が進んでいく。半兵衛は隠居の身ということもあり、出番が少な目、純之介は若く威勢が良いが、こちらも出番少な目。この回では探索から外されてしまっており、中盤はあまり出番がない。古谷一行、役柄もあろうが、若々しく、初々しい、一本調子な感じがする。

6 1978/06/15 春風にのった母子
桜町弘子、土屋嘉男、垂水悟郎、西川和孝、水上竜子、
富田仲次郎
囲碁を題材にした話
土屋嘉男は序盤で殺されてしまう虎之助という碁打ちで、掛け碁のため名門の中林一門を破門させられている。その子が卯太郎(西川和孝)、これがやけにうまい、調べてみるとそれなりに名のある子役。卯太郎の実の母は中林家の娘でおぬい(水上竜子)だが、虎之助とは別れてしまっており、今は中林を継いでいる算道を婿にしている。虎之助は下賤な商売女であったおなみ(桜町弘子)に惚れ、そのため身を持ち崩したのだが、結局嫁にしており、卯太郎も懐き、親子3人で仲良くくらしていたのだった。という構図で、中林家が卯太郎を取り戻そうと画策、弁天の繁造(富田仲次郎)になんとかしてくれるよう頼んだのだが、繁造は虎之助を殺してしまったのだった。

8/27
7 本放映時未放映 強く咲け! 花一輪
嶋めぐみ、蟹江敬三、松本克平、丹古母鬼馬二、あき竹城
相手の舌を噛み切って殺してしまったと思い込んでる夜鷹の話
殺されるのが丹古母鬼馬二で、殺されてる死骸の場面からの登場、あと回想場面で動く場面が少しある程度。あき竹城も出番は少な目、聞き込みに応じる女郎
この回ではおこまがフィーチャーというほど出番は多くはないが、それなりで、その夜鷹に同情し話を聞く場面が多くあり、そこでおこまの過去、辰蔵との出会いが語られる場面もある。娘かと思っていたがこはるは妹で、妹と病弱な母を食べさせるため夜鷹をやっていたことがあり、一斉取り締まりで自分が夜鷹だとわかっているのに、娘として扱い逃がしてくれたのが辰蔵だったという過去
「本放映時未放映 」というのはどういう事情だろう、ウィキにはとくにその辺の事情は記されていない

8 1978/06/22 男、涙の十手の誓
ハナ肇、浜田寅彦、久永智子、天草四郎
久永智子は仁和令子の過去の芸名。溌溂とした若い娘を演じている。
天草四郎は屋台の主だろう。出番は多い。見覚えあるなあと思った、確かこの人がキャストクレジットでよく見る天草四郎だったはず。
今シリーズのキャストクレジットではゲストのところに役名が出ないので、顔があやふなな人については、どこに出ているのか、どの役を演じているのか、探すのがちょっと難儀である。
十手持ちになるのが夢という金六のフィーチャー回。金六が屋台で知り合った男(ハナ肇)と仲良くなり、その娘(久永智子)とはお互いが恋心。が、その男は夜狐という盗賊で、金六はそれを知り悩む。手柄を上げれば岡っ引きになれると聞いていた男は金六に捕らえられようとする。とこの辺りでの左とん平とハナ肇という喜劇役者二人に久永智子を交えた場面は感動的で、そこに音楽がこれでもかと被さるのが過剰気味か。

8/30
9 1978/06/29 日陰の花に朝が来た
夏純子、待田京介、堺左千夫、香川良介、
待田京介が五年前に江戸から逃げた凄腕の殺し屋の役でえらく格好良く撮られている。夏純子がその殺し屋が惚れた女で、この女のために五年前に逃げたという事情もある。必殺でいう元締(ここでは「請負人」と呼ばれている)の役が香川良介で、待田と親子のような関係で仕込まれている。待田、夏が互いにその元締に相手を解放してくれと懇願する場面や、最後には待田が香川をその凄腕で殺す場面、それをお目こぼしする半兵衛などの場面は見どころ。

10 1978/07/06 五年目の対決
古手川祐子、平田昭彦、峰竜太、沖田駿一、村田正雄
峰竜太は盗賊の一味で引き込み役として入り込んだ商家でその娘(古手川祐子)に惚れてしまうという話
湯島が舞台になっていて聖堂(ひじりどう)、昌平橋(番屋の場所がを昌平橋渡ってすぐ、とある)などがセリフで出てくる
第9話では小松政夫、第10話では梅津栄が出演していない。名取裕子や野村昭子や子役のこはるあたりは出たり出なかったりだが、辰蔵を慕う長屋の住人はレギュラーで全部の回に出そうなキャラでもあり、この辺はストーリー的に不要だから、ということでなく、俳優のスケジュールの都合だろう。まあ、長屋レギュラーはたくさんいるのだから、ストーリーとしてはいなくてもいくらでもやりようやある。

8/31
11 1978/07/13 虹を渡る浪人
横内正、堀越陽子
辻斬りが立て続けに発生、横内は仇を探す浪人の役だが、この辻斬りの犯人。が辰蔵はなにやら理由があるように思え、自分に任せてもらう。その浪人は病が重く、高値の高麗人参の薬を飲んでいた。妻が身体を売り稼いでいたのだ。そしてそれを知っていた浪人は、妻が身体を売る日につけていき、買った男を斬って、その金でやけ酒を飲んでいたのだった。というような話で、この辻斬りの件は第3幕で片がついてしまい、つまりはドラマのストーリーとしては異例なほど早く決着がついてしまうという演出。この夫婦は夫婦になった日に父親が殺されすぐさま仇討の旅に出ており、夫婦としてのやすらいだ生活というのを経験していない。武士としてのしきたりである仇討、夫婦の幸せとはなにかなどが描かれた作品
この回はゲストの名前で知ってるのは横内だけで、この妻役は誰だろうと一応調べてびっくり、この堀越という人は、1981年に横内と結婚している。
上記の長屋レギュラーの件だが、この回では小松と岡江が出演していない。まあ今後もこのスタイルなのだろう
この回では辻斬り浪人の家が湯島聖堂(ゆしませいどう)とされている、前回はひじりどう(聖堂)として出てきた

12 1978/07/27 お夏がひとり旅立つとき
小林千登勢、木村理恵、中井啓輔
この回はこれまでとは打って変わった異質な内容。ストーリーとしてはとても薄っぺらで、言ってしまえば、大奥に上がることになった商家の娘がそれが嫌で家出する、それを純之介が保護して見守り、そこに恋情がほのかに芽生える(恋情というか兄妹の情、おもんが二人を見てそう言ってる)。そして娘は意を決して家に戻り大奥に上がるというだけのものである。
それだけではとても1時間ドラマにならない、で、そこにいくつかのエピソードが投入される。その中でも、その娘は妾に産ませた子供であり、その妾だった女が小林千登勢。で、そういう秘密(大奥に上がろうとする娘の実母が実は下賤な女)で、商家を強請ろうとする件は重要で、それゆえゲストのトップクレジットは小林なのだろう。木村のが出番は多いが。
その兄妹のような二人がいちゃついたり、見つめ合ったり、みたいな場面が多い。
でもそれだけでももたないからだろう、商家がちょっとやくざ者みたいのに娘を探すよう依頼し、娘が見つかり家へ連れ戻そうとすると、純之介が追い払うみたいな場面があり、この場面なんかは、正直いってまったく不要だと思った。
キャストクレジットの後にスタッフクレジットがあり、そのバックでは作品のコンセプトが語られる前口上がナレーションである。そこでは「(当時の江戸の街は)繁栄の陰にどす黒い犯罪が渦潮(うず)を巻いていた」などと言っており、ここまでは正にそういう作品群だったのであるが、今回に限っては、犯罪臭はまったくなく、大奥に上がることもそれが彼女にとっては窮屈であったり、親のための犠牲という面はあろうが、結局納得して上がっていくわけだし、その裏に犯罪的ななにかがあるわけではない。
木村理恵は、立花理佐をちょっと思い出させる風貌。立花理佐はもうちょっと後の人ではあるが。先日視聴した大忠臣蔵 (1989年、松本幸四郎)での彼女を思い出していたのだ。
木村は『太陽にほえろ!』のレギュラー(捜査第一係3代目内勤員)だったそう
この回ではそういう内容でもあるからか、長屋レギュラーでは定のみ登場という異例の回となる

13 1978/08/17 復讐に燃えた女
緑魔子、佐原健二、小島三児
都家歌六
緑魔子が思いつめ幾分狂気をはらんだ人格を演じる。そういうキャラだからだと思うが、戸川純を思い出した。
盗賊一味を純之介が追うが、追いついた時にはその首領と息子は仲間に殺されていた。その息子の女房の役が緑魔子で、純之介が殺したと聞いて、復讐を思い立つ。
小島三児は金をもらって噂話を広めるという商売をやっており緑魔子に雇われ純之介の悪評を広める。これで純之介をおびき寄せるという策略なのだ。
小島三児はコメディアン出身。今シリーズでは左とん平と小野ヤスシ、そして小松政夫と梅津栄がコンビでコメディ場面が挿入されてる(特に前者が多い)が、ここでは小島三児もそれに加わるような場面がある。
この回の長屋レギュラーで登場しないのは東野英心のみ。
都家歌六は聞き込みの際に尋ねられそっけなく知らないと返事をしてる飴売りだろう

9/1
14 1978/08/24 純情柳河岸
高品格、風間杜夫、西沢利明、佐藤万理
佐藤万理という人は時代劇ゲストでよく見る顔で清純派として印象的。似たような感じで栗田ひろみがいる。
佐藤が同じ店で働く風間と恋仲。高品がおじいさんで、今は堅気だが元盗賊。西沢がその過去を種に脅し、佐藤に引き込みを命じるというようなストーリー
この回では長屋レギュラーは全員登場、金六が出ていないがこれは初だったと思う。

9/2
15 1978/09/14 悲しみには愛の祈りを!
香野百合子、高橋長英、高原駿雄
第1幕にヘンテコな演出がある。オルゴール(「チャルゴロ」と呼ばれている)を持っている娘が寺子屋におり、そのチャルゴロ、どうやら盗品らしいと半兵衛が純之介に話し、純之介がそれを調べに行くよという場面。寺子屋内にて。「目録(そのときの盗品一覧)、調べてくる」 と純之介が画面の上手に立ち去る、すると画面の中央、奥にある寺子屋の裏木戸から、純之介が入ってきて、縁側を通って部屋に入ってくる。この純之介は目録を調べてきて、半兵衛にそれを伝えに来た場面(半兵衛の座ってる位置が変わっている)。
これがワンショット(ワンカット)。これは多分二つのカットをうまくつなぎ合わせるなどなんらかのテクニックを使ってやってるのだろう。でこんな凝ったことをやるからには間違ったわけではあるまい。ちょっと思い出したのが『ワン・フロム・ザ・ハート』。ワンカットで場面が転換するという演出が多用されていたと覚えている。舞台演劇的ということなのかなあ。ここではどういう意図なのやら、単なる遊び心だろう。
この回も長屋レギュラーに欠席あり。ここまで全話出演はメイン3人のほかには文太と定だけだと思う。
ここで半兵衛の座ってる位置が 先ほどと変わっており時間が経過していることが わかる

9/3
16 1978/09/21 男の出会いと別れと
前田吟、河津清三郎、沢井桂子、岡本茉莉、磯部勉、稲吉靖司、
幸田宗丸
力作。見どころ多し。
前田吟が辰蔵と縁の深いやくざの役で、これは珍しいというかそう聞くとちょっと似合わない感じに思えるが、悪くない。妹の祝言を機にやくざから足を洗おうとするが、うまくいかず、逆にその祝言に出させろと親分に言われ、一方で妹はそれを拒むばかりか、兄の出席さえ拒もうとする始末で、板挟み。というお膳立てで、辰蔵の過去、元はやくざで、前田に助けられ足を洗い、その後医者(のまねごとのようなものか)になり、そして半兵衛配下の十手持ちになったというその経緯までが描かれる。
辰蔵がそういう展開(祝言は無事挙げられるが、そのすぐ後に、その婿は殺され、前田は復讐に行くが達せず、重傷を負い、死んでしまう)の中、やくざ口調を繰り出す場面や、親分を斬り殺そうとする辰蔵を止める純之介を打ち据える場面がある。
映像的にも印象的な場面がある。半兵衛と辰蔵の会話の場面、二人を舐めるように映すというのが4回も繰り返され、その間音声は二人の会話。
回想シーン で辰蔵が半兵衛に助けられる場面(罪人を治療しているところに半兵衛が上司と共に踏み込む、上司が構わず引っ立てろというが、半兵衛が身を挺してそれを阻止する)があり、今度はドラマ内の現代で、それをなぞるように純之介に助けられるという場面がある
岡本茉莉、寅さんで旅役者の役をやってた人だ。キャストクレジットで気付いてはいたが、見てる間は意識せず。後から考えてみると、前田吟の妹役、非常に感慨深いキャスティングだ。
この回では小松政夫と岡江久美子が出ていない。そしてこういうことは初めてであるが、おこまが不在の理由やそれに纏わることが長屋連中と辰蔵の間で交わされており、これまでそんな素振りはなかったと思うが、おこまと辰蔵が恋仲であることが冷やかされたりもしている。その場面では、長屋連中が一緒に飯を作り、そして飯を食べている。飯を一緒に食う(多分朝食だろう、つまり毎度一緒に食しており、家族的な関係)ほどに親密な関係であることがわかる

9/4
17 1978/09/28 ふくろう長屋の人情
内田稔、武藤英司
サブタイトルにあるように長屋連中が活躍する話で期待したが、ところどころで話に無理があるように思った。
特にフィーチャーされるのが茂吉。おいねが店にやってきた男から吉原の店での豪遊の払いを求められ、証文まで見せられ連れていかれてしまう。数日前に店にやってきた男に「悪い奴らに追いかけられてるから、裏から逃がしてくれ」と言われ、逃がしてやったのだが、その男が騙っているようだ。
茂吉が純之介に付き添われ、吉原の店まで行って交渉するが、証文を見せられ、その金を払う約束をしてしまう。
なぜ茂吉がそんな謂れのない金を払うことにしたのかというと、その証文を見てそれが没交渉になっている義兄の仕業だとわかったからだった

18 1978/10/05 老盗とその娘
范文雀、今福正雄、今井健二、汐路章、原口剛
尾崎八重というキャストクレジットがあった。必殺仕舞人の尾崎弥枝だろうか。このメモブログには1977年の江戸を斬るIIIに出ているとのことで、活動時期としては重なっている。が、作品内では確認できず。女性はメインの范文雀以外でセリフのある女性はもうちょっと年齢が上の人ばかり、風呂屋で背中の痣を確認する(時代劇でありがちな設定)という場面で女風呂が映りそこに若い女性もいるようだが・・・。

9/5
19 1978/10/12 仇討ち別れ道
新藤恵美、佐藤佑介、宮口二郎、菅貫太郎
新藤恵美、佐藤佑介が仇討姉弟。弟の方は仇討に消極的な気弱な男で彼の俳優イメージどおり、そして対照的に姉の方は弟の尻を叩いて敵を探し歩く。仇討をせねば武士として生きていけないというしきたりがテーマ。結果二人は仇討を断念しようとするのだが、そこで巡ってきてしまった仇討の機会。が、とどめをささずに、奉行所に任せるという(敵は辻斬り強盗、押し込み強盗の賊の一人)。半兵衛は上との交渉で仇討を成し遂げたとの免状を姉弟に渡してやる。
菅は俳優の格からしたら、意外に下の方のキャストクレジット、旗本でその強盗団の首領格
意図してかせずしてか。金六がその敵と行き会ったとき、姉もそこを通りかかり、それが敵であり、奉行所には黙っててくれ(仇討をしたいので奉行所に捕らえられては困る)と言われる。
その次会ったときには、奉行所がその敵を特定したらしいとわかり、こうしちゃいられないと、私たちも先回りしなくては、と金六を手下のように扱う。この件を単に秘密にしてくれと頼んだだけの間柄のはずなのに、いつの間にか金六が手下になってるのが妙に可笑しいのだが、ここは意図しているのか。手下になれとかなりますとかそういう描写もなく、ただその姉の迫力にいつの間にか言いなりになってるのが金六らしいというか。

20 1978/10/19 くたばれ! 女蕩し
三林京子、森下哲夫、大木正司
年増で小金持ちの女を女房にしては殺すという色男、これがサブタイトルの女蕩し。
こういう構図は時代劇ではよく見るもので、必殺でもいくつか思い出せるし、落語にもある。例えば「包丁」や「厩火事」だとか。
騙されてるのがほぼわかってるがそれでも男を信じたい年増女、こうなると何を言っても男の言うことを信じてしまうのであるが、そんな「包丁」や「厩火事」にある男と女のやり取りみたいなものも今作品でやられるのであるが、見たことあるようなやり取りだからつまらないということはなく、それなりに楽しめる。演技がうまいのだろう。
三林京子がその年増女で常磐津の師匠。辰蔵の幼馴染。やっぱり男に騙され、辰蔵に待ち合わせ場所、時刻を嘘をついてまで男と逃げる算段、殺される寸前まで行くのだが、半兵衛の見事な技、釣りをしている振りで見張っており、殺し屋がドスを抜いたところで、釣り糸でそのドスを巻き付け跳ね飛ばす、で殺しを防ぐ。これは殺人する行為がないと捕えられないということだろう。

9/6
21 1978/10/26 まじめ同心泣き笑い
中村嘉葎雄、亀井光代、清水綋治、大前均
高杉哲平、来路史圃
今回の放映では、次回予告が最後にくっついている。BSフジの時代劇放送ではよく見るが。前回の予告でのこの回の紹介では、「ゲストに中村嘉葎雄を迎え」と名前入りでのゲスト告知。この次回予告をしっかり見てるわけではないので、これが珍しいことかどうかわからないが。
ちなみにこの次回予告、ナレーションであらすじや見どころを紹介する場合と、ナレーションが入らず次回のダイジェスト映像のみの場合がある。これも前に見たシリーズでそうだった記憶ががある。例えば「旅がらす事件帖」でそうだったはず。
中村嘉葎雄、さすが。ダメ同心の役で、若手の純之介にさえ指導されるような役。古谷一行に一本調子なところがあるのだが、それと比べるとその若手同心に指導されるような役を見事に演じている。
彼が以前捕らえ損ねた殺し屋の役が清水綋治。その殺し屋がまた出没したらしく、が、しかし、倉持は中村嘉葎雄を捜査に加えようとしない。で、純之介が強引に彼と一緒に捜査することにする。
病身の妻がおり、その妻の看病にかかりっきりという事情が彼にはあり、しかし、捜査において、愛している女がその殺し屋にはおり、その女を愛している彼の気持ちはわかると、その女を見張ることを止めようとしない。というこのあたりが作品のテーマで、ラストは殺し屋が全部の仕事を終え、依頼していたのは商家の番頭なのだが、彼らが殺し屋を始末にかかり、そこへ割って入る中村嘉葎雄、という三つ巴の立ち回り。そこで殺し屋の女は殺されそうになったところを中村が決死の技で救う。それを見て、殺し屋は感謝し、すべてが終わった後、自白するという内容で、その最後の殺し屋が中村に感謝する場面、でくの同心だと思ってたが、お前がおれの女を助けてくれた、と何度も言う場面はなかなかであった。
この回は比較的、半兵衛も辰蔵も出番が少ない、辰蔵の出番が少ないというのは珍しい

9/7
22 1978/11/02 老盗夜に走る
辰巳柳太郎、津々井かず枝
藤森健之(真田健一郎)
都家歌六
辰巳、津々井は単独クジレットだが、その次からは三名連記となっている。その最初に沢田。純之介の上司役でここまで竜崎勝が担っていたような役割。1回だけの出番。ウィキに「大学卒業後に新国劇に入団し、辰巳柳太郎に師事」とある
都家歌六の名があったが確認できず。
冒頭は若い娘たちがおしゃべりをしてる場面で、講釈師の噂話。伯円だの八丁つぶしの文車の「四谷怪談」を今夜寄席の夜席に聞きに行こうと思うだのと。伯円、八丁つぶしは伯山の名前や、三代目伯山の異名である八丁荒らしをもじったものだろう。
ここまで皆勤だった定が登場しない回

23 1978/11/09 命を賭けた男たち
有川博、御木本伸介、清水涼子、金井大、関川慎二、剣持伴紀
御木本伸介はゲストで二番手クレジットだがなかなか出てこないなあと思って見ていたが、終盤、第4幕で1度だけの出番。
最終回らしい演出になっているが大仰で無理がある感じ。普段は事件があると、それにすぐ立ち向かっていくのであるが、今回はなぜか尻込み、というのも旗本相手だからだ。で、それを周りのいろんな人、子供も含め、からなんとかしてくれだとか、見損なったわ、などと言われ、その事件を捜査することがいかに大ごとかを示した上で、最後に立ち向かっていくという筋立て。
旗本の部屋住みの横暴がその事件というやつで、それを演じるのが、有川博、関川慎二、剣持伴紀
御木本はそのうちのひとりの叔父で、旗本のことを取り仕切る目付。半兵衛がそこへ行き、その部屋住みどもの横暴を申し立てる場面で登場する。
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辰蔵は十手の二股になっているところで刀の刃を挟み捩じ切るという技は序盤で何度か見たが、その後は最終回まで出てこない
皆勤したのはメイン三人以外には小野ヤスシのみ。見ていていかにも彼のイメージにあった役だなと思う。この人はコメディアン出身であり、自分の子供のころバラエティで見かけることがあったが、あまり面白くもなく、また前に出るタイプでもなかった。この作品でコメディアン系統である左とん平や小松政夫、さらには俳優だがコメディの得意な梅津栄なんかがガンガンコメディ的演技をする一方で、小野はまったくそういうことをやらず、左とん平のコメディ演技を受ける程度、そのほどの良さがとてもいい感じである。
ウィキに例えば「梅助 小松政夫(第16話、第22話を除く)」とあるが、この○○を除くというのは不正確(ほかの人物についても)で、他にも出ていない回がある。
キャストクレジットではまず、小林桂樹、古谷一行、ここは映像入り、そしてちょっと間があき、レギュラー陣の単独表記で左とん平、小松政夫、岡江久美子、その後複数表記で、その他レギュラー、その後ゲストが偉い順、キャストクレジットの最後パート、ここでまず「ナレーター 近藤洋介」があり、東野英心、竜崎勝、露口茂(露口は映像入り)の順。東野英心が意外にいい位置。
キャストクレジットが終わったところで、メイン3人が並んだ姿が、右から、そして左から、そして正面から撮られる。格好良いのだが、これと似た構図のショットが途中で入る、それは露口中心に長屋レギュラーが並ぶというもの。これを見ても割とこの露口と長屋レギュラーが今作品の肝という風に見える。
キャストクレジットではこはるの位置が定まらず、役名なしでゲストが3名以上連記されるところに入っていたり、役名ありで、レギュラーの二名連記のところに入っていたり。「ナレーター 近藤洋介」の右に入っていた回もあった。
このキャストクレジットのところでの映像では、レギュラー陣が生活しているところといった情景がふんだんにあり、そこでは長屋レギュラー連中がわちゃわちゃしてるところがあったり、それと同じくらいの尺で、半兵衛が寺子屋で子供を相手にしている姿だとか、純之介が文太、金六を連れて走ってる姿とかあるので、必ずしも長屋連中に重きが置かれてるというわけでもないが。

岡江久美子、悪くはないが、彼女は健康的で明るいイメージ。ここでの役は岡っ引きの下で働くうさんくらい長屋の住人というキャラであり、そう考えると合っていないようにも思えるが見てる際にはそんなことは感じさせない。
ほんとうはもうちょっと暗さのあるほうがいいように思う。というか、彼女の場合、その健康的、明るさがどちらも突出している感じもあり、それが彼女の俳優イメージでもある。なんでこのキャスティング? とは思うが、先に書いたように見てる際にはそんなこと感じさせずミスキャストとは全く思わないのだけど。
おこまはウィキにと「ことぶき庵の店員」あるが、そんな描写はなかった。
名取裕子、まだデビューしたて。彼女の俳優イメージは、主演級しかやらない大女優というイメージで、こういうレギュラーの中でも下位の役で出ている姿はなんだか珍しい
倉持格之進 竜崎勝。もったいない使い方。登場回が少なく登場場面も少なく、そして役としてもあまり面白みのない役(メイン3人がやることを否定しようとするというだけの登場みたいなのが多い)。ストーリーとして全体的にうまく作られており、時間もパンパンに使っており、彼の入る余地がないような感じでもあり、ただ一方で、彼をうまく使うようなストーリー、演出にもできたようにも思う。主人公たちのストッパー役という役割のその先に、実は裏で悪事を働くという悪役だとか、逆に、いつも対立してはいながらも、人情味ある言葉をかける場面で、実は奥底で繋がりあってるとかそういうキャラ構築がないのが残念。最終回にも出ておらず、クレジットではトメの前という位置のわりにひどい扱い。
おれがこれを視聴中に古谷一行の訃報が伝えられた。9/2に発表されたようで、おれは翌日コンビニの夕刊紙見出しで知った。亡くなったのは8/23

時代劇を延々見続けているが、今作品は他よりもちょっと面白いと思った。ストーリー自体は穴が散見できるものの、こういう演出はいいなあと思う。そしてなんといっても露口茂。格好良すぎる。彼の場合山さんのイメージ以外はまったくなく、こんなに活躍してる作品があるとは、と驚いた。
さてこの作品の次に放映されているのは、またもや江戸シリーズの派生作品「江戸の激斗」で、今番組の終盤では作品が終わった後に次の放映として盛んにCM[が流れる。メインはまたまた小林桂樹、露口茂のようでとても楽しみ
※追記
見終えたその日にそのまま「江戸の激斗」の視聴に入る