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日本の話芸(2023.1~3) [毎回視聴]

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柳家蝠丸 落語「さじ加減」
初回放送日: 2023年1月8日
柳家蝠丸さんの落語「さじ加減」をお送りします(令和4年9月18日(日)収録)【あらすじ】阿部玄益(げんえき)という医師、放蕩がたたって勘当されてしまう。二年後、心を入れ替えて評判の医師となった玄益は、かつて夢中になって通いつめ、結婚の約束までした品川宿の芸者・おなみが、心を病んで座敷牢に入れられていることを知る。玄益は三両でおなみを身請けし、一生懸命に看病すると…
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大岡政談から落語にしたもの、また最終盤には落語「井戸の茶碗」の内容が出てくる演出となっていて、これは冒頭の演題紹介のところでの説明からすると蝠丸の演出のようだ。
中盤では大岡が悪者に有利な裁定で噺が終わるかのような仕草を見せたのでちょっと驚いた。「これで終わったら怒るでしょ」と続きを話し出す。
客有り、例のスタジオでの収録

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桂福團治 落語「ねずみ穴」
初回放送日: 2023年1月15日
桂福團治さんの落語「ねずみ穴」をお送りします(令和4年11月10日(木)NHK大阪ホールで収録)【あらすじ】財産を食いつぶし、兄を頼って江戸に出てきた弟。兄は3文だけわたし、これを元手に商売を始めてみろと言う。兄を見返そうと、言われたとおり商売をはじめ、懸命に働く弟。そのうちおかみさんをもらい、娘もできた。奉公人も1人、2人と雇えるようになり、10年も経たないうちに大きな質屋の主人となったが…。
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検索引っ掛け用「鼠穴」
圧巻、素晴らしい出来。80歳超えでかなり高齢の落語家。恒例になってきての味わいという感じ
桂福團治についてはほとんど知らないが、このメモブログを検索してみると、いくつかこの日本の話芸で聞いてるようだ。
で、「ねずみ穴」、江戸落語かと思ったら、「上方落語から3代目三遊亭圓馬を経て東京の6代目三遊亭圓生へ伝わった」とのこと。多くの落語が上方由来であり、江戸落語かと思ったら上方由来というのもよくあることだが。
また、福團治はこのねずみ穴も含め人情噺を得意にしているとのことで、自分の十八番を出したということだ。
「夢は土蔵(五臓)の疲れ」という圓生の落げの言葉はちゃんと出てくるがそこで終わりにせず、その後に兄弟揃って一生懸命働き名を残したと人情噺風に締めている

--三遊亭歌武蔵 落語「植木屋娘」
初回放送日: 2023年1月22日
三遊亭歌武蔵さんの落語「植木屋娘」をお送りします(令和4年9月18日(日)収録)【あらすじ】植木屋の幸右衛門の娘、お花は今小町と呼ばれるべっぴん。最近、町内の若い衆がお花を狙っているようで幸右衛門は気が気でない。ある日、書き出し(今でいう請求書)を書いてもらうために、かねて懇意の和尚に頼んで、寺に居候している伝吉に来てもらうと、この伝吉が…
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2/19視聴
上方落語が元だそうである
時間が大層短かったのか、高座のあとにまた演題解説、といっても師匠の円歌の思い出話が主である。

--宝井琴梅 講談「夜もすがら検校」
初回放送日: 2023年1月29日
宝井琴梅さんの講談「夜もすがら検校」をお送りします(令和4年11月20日(日)収録)【あらすじ】江戸時代の中頃、京都の玄城検校(げんじょう けんぎょう)という琵琶法師は『平家物語』を語らせれば日本一、一晩中聴いても飽きないというので、『夜もすがら検校』と呼ばれていた。大名に呼ばれて、使用人の友六を連れて江戸に行った帰り道のこと。友六は江戸で知り合った水茶屋の女にそそのかされて…
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2/27視聴
演題紹介によると、長谷川伸の原作だそうで、それを琴梅の師匠、馬琴がやってたとのこと。
まだまだ講談界には知らない人が多く、この人は初めて名前を聞いたと思う。ずいぶん偉い人のようで、現在「講談協会」の会長だそうだ。いい語り口

--瀧川鯉昇 落語「二番煎じ」
初回放送日: 2023年2月5日
瀧川鯉昇さんの落語「二番煎じ」をお送りします(令和4年11月20日(日)収録)【あらすじ】江戸時代、町内の火の用心のために、旦那衆が夜まわりをしていた。寒い中をひとまわりして番小屋で休憩していると、一人の旦那が、娘が持たせてくれたと言って酒を取り出す。月番は、お役人が時々見回りに来るのだから酒なんかとんでもない、と言うと…
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12/12視聴
録画したまま放置してしまっていたこれと、この放送の二回後の桂塩鯛、落語「二番煎じ」を続けて視聴
放置してもう数年経ってしまったような気がしていたが、今年の2月だったか。聞き逃して、また冬になったら聞こうと思っていたのだ。このネタは好きなのでね。鯉昇のほうはまあまあ普通通りか

--柳家小さん 落語「笠碁」
初回放送日: 2023年2月12日
柳家小さんさんの落語「笠碁」をお送りします(令和4年11月20日(日)収録)【あらすじ】とある大旦那、子どものころから仲がいい美濃屋の旦那と碁を打つのがなによりの楽しみ。ある日、「待ったなし」で打ち始めたところ、大旦那が待って欲しいと言い出したのに美濃屋は待てないと拒む。ついには大げんかになってしまい…
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2/27視聴
六代目小さんはほとんど聞いてない。このメモブログに書くようになってからテレビで数回聞いただけだ。あまり評価のされてない人であるが、年齢を重ね軽い調子でやってるのが心地よい。予想外にいい出来。
会場は例のスタジオっぽいところ、このところ東京落語会のものがなく、ここでの東京勢は収録ばかり。ここでの客はあまり反応がよくないこともあり、大きな反応は期待できない。この回も序盤はさほどよくないものの、笑いどころでは笑いが起こり、終盤は大きな笑いというほどでもないが、いい反応。
落げは少し付け加えられていて、「『あなた、まだ被り傘を取らないじゃないか、ちょいちょい、待ってくれ、待ってくれ』『えっ待った、今日も待ったなしだい』、笠碁というお噂でございました」
ずいぶん短く、終盤にも解説が入っていたが、そこが5分くらいあった。
小さんの笠碁。というと五代目のものを聞いたときのことは前に書いた。そうか、小さんの笠碁かと感慨深くなった

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桂塩鯛 落語「二番煎じ」
初回放送日: 2023年2月19日
桂塩鯛さんの落語「二番煎じ」をお送りします。(令和4年12月1日(木)NHK大阪ホールにて収録)【あらすじ】年の瀬に町内の者で、「火の用心」の見回りをすることになった。番小屋は寒くてたまらないが、お酒はご法度。そんな中、かぜ薬だと偽って酒を持ってくる者や、いのしし肉の鍋を持ち込む者が出てくる。ところがそこに役人がやって来てしまい…。
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12/12視聴
この演目は江戸落語という感じがしていたがウィキに因れば上方が元。
この塩鯛のもので変わってるように思うのは、酒盛りするのはいろりに陣取った三人で、しかもそのうち一人しか飲んでいない。有名なあの宗助さんもその三人の中にはいないし、ほかにも酒盛りに入っていない人がいるようである

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春雨や雷蔵 落語「文違い」
初回放送日: 2023年2月26日
春雨や雷蔵さんの落語「文違い」をお送りします(令和4年11月20日(日)収録)【あらすじ】内藤新宿の女郎・おすみは、なじみ客の半七に「父親がたびたび無心に来て困っている。二十両都合して欲しいと言われたので、渡してやって縁切りにしたい」と頼み込む。半七が二十両までは用意できないと言うと、今度は別ななじみ客、馬方の田吾作に「母親が病気で高価な薬がいる」といつわって十五両を手に入れる…--
4/23視聴
春雨や雷蔵。ベテランの落語家。熟練の達者な話術、うまい。これくらいの年季の落語家なら平均的という感じでもある。
名前は知ってるし聞いたことあるんだろうけど、あまり印象にもなく。このメモブログを検索してみて笑ってしまった。これまでに数度この日本の話芸で聞いていて、毎回同じような感想を書いている。
「文違い」、よくできた落語。舞台の配置が良いと思った。おすみと半七のいる部屋、向かいに田舎もののお大臣である田吾作、階下に芳次郎、という構図と、そこを行き来するおすみ。
そして芳次郎ももしかして小筆(こふで、芳次郎が貢ぐ相手の女)に騙されてるのでは、というさらに騙され構図の先がありそうに思わせるところも面白い(ということに今回気づいた)
「文違い」、おれの記憶では落語研究会で志ん朝のを見た(テレビ)はずで、そのときこっきりのような気がする。いや、当時色々な媒体で落語を聞いてたから、過去のものとして志ん生や馬生のもの聞いたかも。
で、その志ん朝のものを見たときに、これは三枚起請とよく似た噺として記憶にインプット。三枚起床じゃなかったかな。他に似た噺はあったっけ(※「落語の演題における似たような設定」という第でメモがしてあった「五人廻し、文違い、三枚起請、お見立て」)。
三枚起床も志ん朝のものを覚えていて、それは多分「日本の話芸」だったと思う。
落語に夢中になり一気に見始めたころ見聞きしたものについてはやはりかなり記憶に残っているものだな。
廓噺のことを思い起こしているうちに、そういえば志ん朝で「付き馬」を生で見たんじゃなかったっけと思い出す。志ん朝を池袋演芸場などで見たという記憶については何度かここに書いたと思う。志ん朝の池袋での生の高座、いつのものかというのはもうほとんど覚えていないが、そういえば付き馬も見たということを久しぶりに思い出した。まあほんとに見たのか、間違っているか自信ないけど。

--一龍斎貞花 講談「仏の作蔵 命の手習」
初回放送日: 2023年3月5日
一龍斎貞花さんの講談「仏の作蔵 命の手習」をお送りします(令和4年11月20日(日)収録)【あらすじ】旗本、山中勘十郎に仕える作蔵は手習いなどせずに育ったので、文字が読めない。主人から託された手紙を携えて使いをする途中、ひょんなことから手紙が濡れてしまい、広げて乾かすことにする。すると、それを見た僧侶からとんでもないことを教えられる…
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6/29視聴
講談大会を楽しく見れたのでその勢いで溜まっていたこちらを視聴。途中まで見て、ああこれ見たことあるなと。一度見た演題なのですんなり頭に入る。
で、見終えてから、どこで見たっけなとここを検索するも見つけられず。おかしいなあ・・・。いや、絶対に見てるはずなのだけど。誰で見たのか、演題が異なるのか(※)。
冒頭の演題紹介では、講談大会にも出ていた弟子の貞弥の名前をあげている。彼女が寺の娘で自分が仏壇屋のせがれ、仏縁の師弟でもあると。
(※)絶対にどこかで見たはず、そしてこんな時のためにこのメモブログを書いてるのに、と気になって仕方なく、ふと、演題でネット検索(まずそれをすればいいのに、なぜかそれはせず、このブログ内検索だけをしていた)、別の演題で「無筆の出世」というのがあるのを知り、再度それをこのブログ内検索をした。見つかった。「第50回NHK講談大会」で松鯉がやってる。やっぱりかあ、おれの記憶でこのネタは「講談大会」での高座が始まる前のナレーションによるあらすじ紹介が残っていたのだ

--桂文枝 落語「文句の叫び」
初回放送日: 2023年3月12日
桂文枝さんの落語「文句の叫び」をお送りします。(令和5年1月12日(木)NHK大阪ホールにて収録)【あらすじ】恐妻家の佐川は、いつも妻から文句を言われている。「ほかの家庭はどんな様子なのか見てみたいので、家に行きたい」と会社の先輩にお願いをし、お邪魔することに。しかし、実は先輩も恐妻家。妻に頼み込んで、なんとか佐川を家に招待したが…。--
9/26視聴
もう80歳だそうだ。今でも若々しい。
まあ新作落語としてありきたりなネタ(※)だな。先輩が佐川を家に迎えて酒を飲んで気が大きくなって、料理が遅いと「チャッチャとせえ、アホ」と言ってしまい、佐川が帰るのを駅まで送り、来た電車に乗ろうとする佐川を抑えてまで、そのことを何度も確かめ、最終的に「明日も一緒に帰って」とこれがオチ。(※オチがなんか聞いたことあるような感じがしたのだ。が、これを書いてふと思いつき、このメモブログを検索、そうかやっぱり。演芸図鑑で文枝がこれをやってるのを見ていた)
冒頭のマクラではエスカレーターでこけたという話で、座布団からはみ出しての話しぶり。
オチの後は落語家らしくなく、タレントらしいというか、客席に手を振っていた

--古今亭志ん輔 落語「らくだ」
初回放送日: 2023年3月20日
古今亭志ん輔さんの落語「らくだ」をお送りします(令和4年11月20日(日)収録)【あらすじ】ずうたいが大きくてのそーっとしているところから「らくだ」というあだ名の乱暴者。このらくだの家を兄貴分が訪れると、当人は食中毒で死んでいた。兄貴分は通りかかったくず屋をつかまえて、長屋の月番に香典を集めさせろ、大家から弔いの酒とさかなをもらってこいと無理難題の数々を言いつける…
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※3/19放送休止、3/20と3/26に放送
6/30視聴、これの後に古今亭志ん橋「風呂敷」(5/7放送分)を視聴
志ん橋のところにも書くが、志ん橋という人は俺が落語を見始めたころ古今亭一門の中で志ん生そっくりの風貌というところが目を惹いた。まあつるっ禿げというだけなのだけど。
で、いま志ん輔を見ると、こちらもつるっ禿げである。でもあの頃から志ん輔も髪は短くしてたと思うが。
思いついたことをいくつか。
年齢も結構言ってるだろうに、元気である。
演題紹介では酔っ払いを虎というが今ではあまり通じないと。で、それが今日のポイントと。らくだの中にそんな箇所あったのかなと思っていたが、オチのところで使っていた。自作であろう。魚屋に刺身をもらいに行かせるというところでグズグズ言うのに対し「死人にカンカンノウを躍らせろ」でワッと受けたところで切るというのは普通のやり方であるが、今回はその後がまだあり、そこでらくだの兄貴分(名前は名乗ってない)はふぐを持ってきたという、で、「虎にはふぐ」という落げ。
マクラでは月命日に師匠の墓参りに行く、そのときによく志ん朝の姉の美津子に会って話をする(そこで昔の長屋つきあいはどうだったという風にしてらくだの前振りとしている)ということを言っていた。結構な年齢(調べてみたら生まれは1924年)だと思うが、まだご存命なのか
この落語は多くの人で聞いたわけでもないが、大抵以下のような演出だったと思う。志ん輔のを聞いて思い出した、彼もそうやってる。
らくだの兄貴分が屑屋を使いにやる場面で、屑屋は使いに出る際にそこまで歩く場面というのを一切省くところが特徴的。会話の流れとして、らくだの兄貴分の「行ってこい」に屑屋「へい、ごめんくださいまし」月番「はい、ああ屑屋さんかい、何だい」屑屋「実はあのらくださんがね・・・」みたいに三人が同じ個所にいるかのように省略(屑屋「へい、ごめんくださいまし」のセリフ、「へい」がラクダの兄貴分への返事、「ごめんくださいまし」が月番への挨拶)しており、そこが初めて聞いたころはなんか戸惑ったが、これが省略の妙なのだなと思うようになった
おれにとってはらくだは談志。談志の中での最高傑作かと思う。でその談志との比較というほどこのことではないが。
談志の場合、屑屋の使いの三軒目、八百屋に菜漬の樽を借りに行く。ここで屑屋が尋ねていくと、八百屋はもうすでにらくだの死んだことを知ってると言う風になっており、これは談志が本に書いていると思うが、ここは談志の工夫だったはず。で、志ん輔はそのようにはやっておらず、らくだが死んだことを屑屋から初めて聞くという風にやっている
屑屋が酔っ払い、らくだのことをぐずぐず言う場面というのはここらへん全部談志のオリジナルのように思っていた。志ん生や松鶴のを聞いたはずだが、そういうのはなかったように思う。少なくともあまり強烈にはやっていないからおれの印象に残っていないのかと思う。
で、志ん輔は甚五郎の蛙を買えと言われたというエピソードをやっていて、これは談志のものから取ったのかなあと思った(談志と同じようにやってるわけではない)。間違ってるかも。間違ってたらおれの不勉強だ。

--春風亭柳橋 落語「代り目」
初回放送日: 2023年3月26日
春風亭柳橋さんの落語「代り目」をお送りします(令和5年2月11日(土)収録)【あらすじ】酔っ払った男が夜中に家に帰ってきて、もう少し飲みたいという。仕方なしに女房が酒を出すと今度はつまみが欲しいと言い出す。なにもないので、女房は横丁のおでん屋におでんを買いに出ていく。残った男は、流しのうどん屋が来たので…
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※3/26に志ん輔の「らくだ」の後に続けて放送
柳橋はまあ無難な落語であまり新しい発見もなさそうだし、ネタも平凡だし、パス