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少年寅次郎スペシャル [テレビドラマ]

総集編 11/27、再放送が12月2日(水) 午前1時20分(火曜日深夜)~1時間15分
【前編】12月4日(金) ・【後編】11日(金) 夜10時~(各45分)

なぜかなかなか見る気がせず、ちょっと置いておいた。
せっかく録画したから総集編から見る。これをやると知って検索をかけたら総集編(再放送)も引っ掛かってきたのだ。
車平造(毎熊克哉)が圧倒的に良い
松田優作の息子、松田龍平のような感じで世の中を拗ねたような暗い嫌な目つき。ながらファミリードラマなのでそんな場面ばかりではないのだけど。
井上真央はいい女優になった、今更だが。当時もそういえば5時に夢中の夕刊ベスト8でこの作品での井上真央の演技について好意的に書かれていた記事が紹介されていたと思う
いいお母さんを演じるという段階に入ったという感じで可愛いアイドル的女優から一歩抜けた感じがする
総集編で未公開部分があったか、新規撮影部分があったかどうかはわからないが、ナレーション(原由子)は新たなものかもしれない。物語の進行を助けるものなので、場面のつなぎなどはオリジナルとは異なっており、そこをつなぐために新たなものを入れているかもしれない。そもそもオリジナルから日が経っていないので、出演者もほぼ変わりなく、の状態ではある
さて総集編を見て気付いたことがある。
これ以上何を描くのかと。母親光子が亡くなり父親とぶつかり家を出て行くまでが前のオリジナルシリーズ。そこで少年時代は終わったとも言える。そこまでの時代のエピソードを書くのがこのドラマの趣旨でもあろう
このスペシャルドラマで何をやるのかなかなか難しい。

さて特別編、家を出た寅次郎のその後であるが、そこら辺は映画版のあのマンネリズムをなぞった、というかパロディと言うか。啖呵売を修行する寅次郎、そして旅先で恋をして振られ、柴又へ帰ろうと決意する、ここまでが前編でありそこに回想場面が挿入されるという構成。この回想場面はオリジナル版を再度使用したというわけではなく新規撮影である。つまりはその旅に出た寅次郎が回想したのはオリジナル版では描かれなかったエピソードだったということになるのだろう。ここに井上真央が登場するという風な作りになっている
旅先での恋の相手はさとこであり、演じているのは森七菜、いま大いに売り出してる女優だ。さとこというのはオリジナルシリーズにも出ていた裏の工場の女子行員で寅の初恋とされている娘、そのときから演じているのは森七菜だ。再会を喜び、寅は本領発揮で舞い上がるものの、話をしていくうちにさとこはもう結婚が決まっているということがわかり・・・、という寅さん王道のパターンである。
まあ、といっても、そこらへんのパロディ的展開はこういうところではやりすぎてもいけないし、でも家を出てからの寅ということになると、他に描くものはなさそうでもあり、最初に書いた心配通りという感じだ。で、回想場面の挿入ということになるのね、はいはい、という感じ。まあ結局その少年寅次郎の時代のエピソードを更に描くための舞台装置ともいえそう
後編では柴又に戻った寅次郎、家の前まで来るがさくら、おいちゃん、おばちゃんとは対面せずに帰っていくという展開でもちろんこの後編にも回想場面が挿入される、というよりそれがメインか。
柴又に帰った寅次郎は家に入り込み(確かオリジナルシリーズでは出てこなかった工場につながる裏庭が登場)物置部屋で隠れさくらたちの会話を見ているのだが結局対面せずに帰っていくことになる。その後、場の気配で兄が帰ってきていたことを悟ったさくらが寅次郎を探し歩く場面になり、川原では寅が隠れてる近くでさくらが兄に呼び掛けるというような接近場面もある。
これが映画版となると、例えばこの物置部屋の場面、もしくは川原の場面で大抵さくらやおばちゃんが隠れている寅を見つけ「お兄ちゃん」「寅ちゃん」と呼び掛け、それに対しばつが悪い寅次郎は「おい、達者でやってるか」などととぼけ、それに対し「何やってるのよ」と返すのがお決まりであるのだが、ここでは対面せずに終わってしまい、どこか消化不良。そしてなぜ対面場面がないのか、と考えてみると映画版一作目で家を出てから何十年ぶりに帰ってきたという設定だからであろうか。
ラストシーンが良い
啖呵売をやっている寅次郎の前に演奏旅行の旅に出ていた夏子が現れる。
これは前フリがあり、寅次郎が隠れて見ている中で、夏子がさくらたちに見送られてその演奏旅行に出かけるという場面があり、旅先で寅に会ったらこれを伝えてくれとさくらが頼むというシーンが入っているのである
このラストシーン、これ以上話を描くとちょっと余計でこのあとどんな会話が二人にあったのだろうと想像させるような余韻のあるエンディングとなっている所が良い
リリーの登場する「『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』がこんなふうに終わる。ラストシーンでリリーと再会、一緒にバスに乗って去っていくというアレである。

おおっと思ったのは八千草薫が演じたお千代ちゃんが出てきたことである。らっきょとちびらっきょのエピソードが回想場面として挿入されていた。

コロナ禍での制作だったとのこと
そういや平造が亡くなる前にさくらと縁側で話す場面があり、そこで二人が微妙に距離を取っている。ソーシャルディスタンスを意識したか