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若者たち 3部作 [映画]

①若者たち(67年)②若者は行く -続若者たち-(69年)③若者の旗(70年)。2点
66年の連続テレビドラマの映画化。テレビドラマは途中で打ち切り(視聴率でなく差別問題にひっかかった)になったとのこと。2014年に連続テレビドラマとしてリメイクされた。また93年のテレビドラマ「ひとつ屋根の下」の原型でもあるとのこと。

青臭い面もあるが、奇妙な魅力もある。テレビドラマのほうも機会があったら見てみたい。
現在でいう「サヨク」的な立ち位置で成立してるので、そこらへんは失笑してしまう。風俗を描くと古臭さが漂ってしまうということだろうか
単純に言うが「世の中を良くしたい」vs「現実に生活していかなきゃならない、甘っちょろいこと言うな」という対決なのだが、前者「世の中をよくしたい」のベースに現代ではほぼ全面否定された「サヨク」があると、どうにも本気になれない。ここでいう「サヨク」とは学生運動であったり、デモでの運動であったりである。

佐藤太郎:田中邦衛
佐藤次郎:橋本功
佐藤オリエ:佐藤オリエ
佐藤三郎:山本圭
佐藤末吉:松山省二

この兄弟5人が主人公。②では三郎が③では末吉がメイン、といっても各人の色々なエピソードがたくさん放り込まれているが。太郎はこの兄弟の父親的役割でオリエは母親的役割なのだが、③ではみながずいぶん成長しているからなのだろうか、ちゃぶ台囲んでる姿が、本当に父親母親みたくなっている。①②ではそういう風に見えなかったのに。
また②のみナレーション入り(仲代達矢)。そしてなぜかラストシーンでそのナレーションにあわせて、兄弟5人が観客に最後の挨拶を語りかけ、画面ではオリエがカメラに向かって手を振るという演出。突如観客に語りかけるというのはいささか斬新。

その5人以外では、オリエの恋人の戸坂(演・石立鉄男)、町子(演・夏圭子)が全作に登場。町子は①②ともに重要な役割。③では次郎と結婚しており、最後出産する。ただ③では影が薄い。

少しの出番であるが①の大滝秀治、②の名古屋章が両方とも後年のイメージ通りの役柄で面白い。また①には栗原小巻もちょい役で出演している

ウィキによると「当作品がデビュー作である「佐藤オリエ」は本名(正しくは「オリヱ」)であり、本人役を除けば自身の名前を役名にした珍しいケースである」とのこと。デビュー作とあるが、それ以前の出演も散見できる。佐藤の出演映画は
若者たち(1967年)
若者は行く-続若者たち-(1969年)
続・男はつらいよ(1969年)
若者の旗(1970年)
とあり、その後もいくつかあるがそれほど多くはない。上記4本すべて見たが、もっと大活躍しててもよさそう(テレビを活動の主体にしたのだろうか、テレビドラマは多い)。

ウィキ--
1966年のテレビドラマの放送終了後、映画版が俳優座主導で3作品製作された。脚本が山内、監督が森川と、主要スタッフはテレビドラマと共通である。
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若者たち
1967年公開。俳優座、新星映画社(自主上映)製作
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こうあることから、なんとなく頭でっかちの演劇青年たちの芝居のように最初のうちは見えてしまった。またテレビドラマが元でありスタッフも一緒であり、まあテレビドラマ風味ではある。

この兄弟は常にテンション高く怒鳴りあいの口論、そして乱闘を行っており、一緒に住むの嫌になるだろうと思うが、そこは演出であり、ひょっとしたら、これが名物なのかもしれん。また台詞にもあるが心の底でお互いを大事に思ってるという絆があるからこそ言い合えるというのがあるのだろう。些細な理由にみえることで口論にもなれば、言い合ってる両者どちらの主張もとち狂ってるように見える場面もあり、なかなか楽しい。
また①の冒頭にもあるが飯を食うシーンが豪快(茶碗から飯をがっつく)でこれも楽しい。

5人のキャラクターが非常に立ってる。
太郎は父親の役割、どケチ、弟妹の幸せを願うが過剰になりすぎの面もあり、三郎との議論の場面では理想主義の彼に対し現実主義的な面から言い争う。
次郎も太郎と同じく社会に出ているので現実主義。バカで難しいことはさておきの猪突猛進ぶりがほほえましい。
三郎は理想主義的だが今でいう「サヨク」的属性。③ではその理想も現実と折りあわせなければと夜間学校の教師になっている
末吉は③で太郎の現実主義的考えそのままに金を儲けることを第一に考える人間に成長。これも過剰でどこかぶっ壊れてる。
オリエは唯一の女兄弟、母親的役割。

追記)
第1作放映前の冒頭に「カットしないで放送します」の説明で
やけに詳しく「原爆病についての誤解を招く差別的表現がありますが、我々はそういった偏見に加担するものでなくうんぬん」って出てた。



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