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正月時代劇 いちげき [時代劇]

2023年1月3日夜9時~ NHK総合、90分

現代的台詞や音楽が散りばめられた演出、その一部であるが漫画的なセリフもある。
「小説『幕末一撃必殺隊』を原案にしたコミック『いちげき』を原作」とのこと。脚本は宮藤官九郎
俳優陣について
杉本哲太、OPで一番最初に映る顔。これが五味龍太郎そっくり。昔の時代劇俳優だ。過去の大物が出てきたのかなと思ったが、考えてみると、年齢的にとっくに亡くなっていそうで(調べてみたら2013年に80歳で亡くなっている)、まあ亡くなっていなくても、高齢でおじいさん役くらいしかやれなそうである。よく見てみると杉本哲太。どうしてこんなに似ているように見えたのだろうと考えたら、もっさりしたもみあげである。その五味龍太郎うんぬんでなく、今作品で彼はかなりよかった
じろう(シソンヌ)、劇中悪役の中で奥に隠れたような役。これもかなりのはまり役。数日前ドリフで吉良役をやっていたが、そんな感じの役作り。
尾美としのりが勝海舟、なんとも軽薄な感じで、これが現代的というか漫画的というか。時代劇で過去の英雄を描く時こんな風には普通やらない。
伊藤沙莉もいい役どころ。魅力たっぷり。
芸人で塚地武雅と高岸宏行が出ている。確か後者は大河ドラマにも出たとか。どちらもNHK好みなのであろう。
主役側の一撃必殺隊に七人が選抜され、さらにキク(伊藤沙莉)が入り八人。その各々をもっとキャラ設定がわかるくらいにまで描いてほしいところ。連ドラならそれをやるのだろうけど。
その中の誰と誰が仲が良いのかとか、誰がが死んだりしたときにその思い出とかが語られる際に、思い入れがないからよくわからない。
芸人二人は最後まで生き残る役。芸人が重宝されてると感じる、まあ途中で死ぬのはそれはそれで目立つが。
幕末、薩摩側が幕府を挑発するため、藩士を浪人にして町を襲わせる御用盗ということをやらせる。御用盗の頭が杉本哲太だ。
で、それを幕府公認で取り締まると大ごとになるからと、百姓を集めて少しの訓練、彼らに御用盗を戦わせるというのが構図。
ドラマだから主役側が善玉であるのだけど、これって史実としては絶対善とはいえず、そこら辺は迫力不足、というか割り切って描いているのだろうなと思う。
講談との交わり
前にNHKで伯山を使ってドラマ「怪談牡丹燈籠」をやっていたが、そのときより、さらに講談が作品の中に入ってきている感じである。
ナレーションだけの役割以上で、落語のように登場人物のセリフを語る場面が講談にあるが、それを利用して、登場人物のセリフが伯山によって語られる場面が多くある。とくに序盤。役者に喋らせればいいような場面にも伯山の声(演技の映像のところに伯山の声が登場人物のセリフとして入る感じ)。
冒頭はエピローグとして杉本哲太の伊牟田が率いる御用盗が荒らしまわる場面である。その場面は本編の中に出てくる場面であり、それゆえ、途中で再度同じ場面が出てくるという演出。
で、そのエピローグの後に、伯山が高座で講談を始める場面となり、ラストはその高座の伯山が話を締める。つまり、伯山の講談が続いている中で、それをドラマ化したという風な演出になっている。
講談を始める場面のところの挨拶がなあ。「どうもみなさんこんばんは。講談師の神田伯山でございます」、これはテレビ用挨拶、普通に講談でやってるかのような挨拶にしたほうが、講談師神田伯山がやる講談の中身をドラマにしているという演出の趣向に合っているように思った