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大忠臣蔵 (1989年)松本幸四郎 [時代劇]

1989年(昭和64年)1月2日にテレビ東京で放送された12時間超ワイドドラマ(のちの新春ワイド時代劇)。全6部
放映
TVK
3月11日から4月1日

1-2話 第一部 「刃傷・松の廊下」
3-4話 第二部 「風雲赤穂城」
5-6話 第三部 「浪士の危機」
7-8話 第四部 「吉良の逆襲」
9-10話 第五部 「いのち雪に散る」
11-13話 第六部 「討ち入り」

原作が森村誠一で企画協力に角川春樹事務所。
主題歌が五木ひろし。出演もしている。
ナレーションは城達也、来宮良子
クレジットは最初と最後にあり、最初にそれなりの人数のキャストクレジットがあり、最後のクレジットではそれ以外の役者クレジット(とスタッフクレジット)。最初のクレジットも普通の1時間ドラマくらいの人数が表記されており、この辺は吉右衛門版とは異なる(吉右衛門版は最初にクレジットされるのはまさに主要人物数名だけだ)
最初、最後のクレジットで同じ曲がかかる

第1話
まだ始まったばかりで演技がどうのこうのではなく、俳優イメージとして岩下志麻(理玖)、松坂慶子(阿久里)あたりは合わない感じ。岩下志麻はそれなりにまとめてくるだろうけど、松坂慶子はどうだろう、美しさはずば抜けているが、演技に関しては不器用だからなあ。
一方吉良の芦田伸介は合いすぎ。柳沢吉保の仲谷昇もいい
序盤にそのころ江戸の火消しは大名が担っており、赤穂はそれに長けていたというようなナレーションとともに、火消し後で火事装束の赤穂藩士の状況が描かれ、そこで結構たくさんの藩士がテロップと共に紹介(森田健作、山内としおと最初に紹介され、しってる顔なのでテンションが上がった)される。こういう演出はいい。ここでどういう風にキャスティングされてるかわかるのだ。
また火事装束というのも、討ち入り時も見咎められないようにその格好だったとのことで、そういう演出なのかもしれない。
吉右衛門版を見たばかりだから、そことの比較ともなるが、違っている点がいくつもある。
まず、主税が松之丞と名乗っている。そういやそうだ、なんで吉右衛門版では最初から主税だったのだろう。
吉良家臣、清水一学となっている。こっちのほうが普通の描き方だろう。まだ出番はほんの一瞬だけ。
大石と不破で江戸へ下向。今回の饗応役のことで内匠頭に直言するためである。不破が浪人ではないという状態で登場し、この江戸行きで事件※を起こし、赤穂藩を出ることになるという展開。
そして一番の違い、これが後々まで影響するかもしれない、内匠頭が最初から吉良に対して喧嘩腰、「高家筆頭であることをいいことにいつまでも不埒な真似をさせておくわけにはいかん、この機に大名の意地を見せてやる」などと言っている

※その事件とは、お善世(おきよ):立花理佐が犬に追いかけられ、その犬を撲殺して助けたのが不破、で生類憐みの令があるので脱藩。
この「おきよ」なぜかOPクレジットでは「お善世」で劇中テロップでは「(浅野家腰元)おきよ」

珍しいところで松本竜助が出演している、四十七士のうちのひとり。
内匠頭と共に饗応役をやるのは伊達左京亮村豊とされているが、クレジットでは伊達右京亮となっている。単なる間違いだろう

第2話
岩下志麻、松坂慶子。懸念は不要のようである。全然悪いところがない
畳屋の一件があり、五木ひろしが演じている(顔を作り過ぎ笑)。が、この畳の一件、3月14日のことで明日までに仕上げる必要が生じるという話になっており、その3月14日が刃傷なので、うまく行っている様子が描かれた後どうなったかは描かれない。
この回は松の廊下、刃傷まで。脇坂は登場せず。斬られた吉良に近づき、血で汚すなと一喝するエピソードがなし
畳の一件は伊達村豊が内蔵助に教えてあげる(自分の方では畳替えをやったのだが、まだそちらではやられていないと家臣から報告があったと言っている)という形で内蔵助は知る。この伊達についてはどの作品でもあまり深くは描かれていないように思う。この作品でも吉良が内蔵助に意地悪をしておいて、その後吉良が伊達に耳打ちしてるような場面もあり、いじめに加担しているようでもあり、このように助けているような場面もある。

第3話
多門伝八郎:中村勘九郎が登場。吉右衛門版より相当に抑えた描かれ方、もちろん多門は内匠頭ひいきではあるが。
脇坂、及びその藩が赤穂の城の受け取り役として名前だけ登場。赤穂の混乱に軍勢を出すという風に描かれる。
堀部安兵衛は即刻吉良の無事を知り、吉良家討ち入りを言い出す、それを止めるのが阿久里でだが、それはそんなことすべきではないということでなく、失敗したら恥の上塗りだという心配、で内蔵助の指図に従えと。
色部又四郎:高橋悦史
山吉新八郎:村上弘明
登場、いい場面だ。吉良が死んでくれたらよかったのにと色部がつぶやく
新八郎は色部に赤穂の家臣だったらと問われ吉良を討つ、そして吉良を守るなら上杉も討つ、刺し違えるには不足のない相手だなどと答える。内蔵助の名前が出てきて、色部対内蔵助という構図が浮かんでくる。
そして新八郎は赤穂へ派遣され内蔵助の動向を見張ることになる。新八郎は密偵のようだ。
萱野三平:坂東八十助が赤穂hの使者。こうしてみると、三平は使者をやってるのだから、大事に女と過ごしていて面目なく、浪士を脱藩したという経緯は生じないようだ。三船版でも使者となっていたはずで、となるとお軽勘平にはならないはずだが、どういう風に話を持っていったんだったかな
藤田まこと登場。
お善世(おきよ):立花理佐、と不破が江戸以来の再会を果たす
おきよは第2話で赤穂没落後、七代将軍の産みの親となるとされている。
おきよがその不破との因縁の犬の事件以降に浅野に仕えたとナレーションで語られているが、そんなことはなかろう。その犬の件のところでのテロップですでに「浅野家腰元」となっているし、不破が江戸へ出た後に浅野に仕えたとしたら、阿久里と話ができるほど近しくなれるはずもない(阿久里に意見するくらい近しい腰元)

第4話
藤田まこと、大野九郎兵衛役である。が藤田ほどの大物が汚れ役をそのままやらないだろうと思っていたが、そのとおり。大石の意を通じており、金を集めているという役割であり、脱走するのも大石には伝わってるという風にされている。この後も金集めをして大石を援助するという風に登場するのかもしれない。
しかもその脱走するときに、浪士たちに襲われ、なぜかそれを見ていた新八郎に助けられるという場面、藤田まことと村上弘明である、ニヤニヤしてしまう。まあ考えてみるとなんで新八郎が助けるのやらと思える(色々なんだかんだ言ってるけど)し、これが伏線となって・・・、ということもなさそうで、単に必殺繋がりの場面を演出しただけだろう。
密偵、新八郎が内蔵助の真意を悟っている。これは吉右衛門版の密偵がそのことを悟れなかったのとは異なるところ。
内蔵助の裁定。浅野家再興、それができなければ吉良の首。吉右衛門版では浅野家再興は眼中にないという風にされていてそこらへんが異なる。まあ深読みすれば、浅野家再興なんてなるはずはないとすでにこの作品の内蔵助も考えているだろうし、浪士たちもそう思ってるだろう。
不破数右衛門が追いすがるおきよと別れる。仇討隊に女はいらんということだ。この後おきよはどうなるんだろう、もう終わりだとしたら、出てきていた意味がないし。絡ませ方が難しそう

4/16
第5話
城の明け渡し場面が最初に。検視役の公儀目付が登場するも脇坂は登場せず。
検視役の公儀目付
荒木十左衛門:西山辰夫(EDクレジット)
榊原釆女:市川新車 (現:市川高麗蔵 (11代目))(OPクレジット) 
この場面が終わった後は、お軽勘平とそれ以外のこと、内蔵助が京の山科へ、吉良は屋敷替えで本所へ、などなどが交互に描かれる。
お軽勘平(ここでは三平だが)については、この回ではあまり多くは描かれないが、この回の序盤でのナレーションでは、「お軽勘平がここから始まる」という宣言のようになっており、次回へと話は繋がる。
山吉新八郎を演じる村上弘明が、内蔵助なんかに絡むとなんだか浮いている。芝居の質なのか、村上の演じる密偵キャラが劇画チックというか。

第6話
お軽勘平がここでは前回よりは多めに描かれ完結。ストーリー的にはまたこれまでに見たのと異なっており、そして見終えてから全体的な目線で考えるとなんだかいらないエピソード。吉右衛門版とは相当に違う内容である
お軽勘平については後述
田中貞四郎:加納竜など赤穂藩の軽輩どころが吉良の駕籠を襲う。この事件を聞き及び江戸勢の動揺を抑えるため内蔵助が江戸へ下向する
前回に続いてだが山吉新八郎について。色部からの密偵なのに内蔵助を助けたりする場面がこれまでにいくつかあり、なんだかんだ理屈を言ってはいるが、そしてそれはわからないでもないが、ストーリーを繋ぐためと見えてしまい、必然性を感じない。

第7話
高田郡兵衛エピソード前編
新八郎と平八郎が吉良の屋敷へ行くことになる
内蔵助、理玖を離縁し実家へ帰す

第8話
高田郡兵衛エピソード後編、というか結末。おれは第7話で高田郡兵衛のエピソードは完結したと思っていたのだが、その後があり、ここが結構驚きの展開。因縁がいくつも重なる形になっており、そこらへんが次々と出てくる展開はとても面白く。そして最後は辻褄合わせのように、バタバタと完結しそこらは無理やり話を納めた感もあり。
この高田郡兵衛エピソードについては後述
後半は内蔵助の京での放蕩三昧。これは、郡兵衛エピソードと並列で交互に描かれるのではなく、郡兵衛エピソードが終わり、場面変わって! となって始まる形。
安兵衛と奥田孫太夫が京を訪れ内蔵助に意見しようとする場面の演出、遊び惚ける内蔵助、数人の女に股を開かせそのトンネルをくぐって陽気に遊んでいると、そのトンネルのゴールに安兵衛と孫太夫、というもの
大学の処置、浅野家再興ならず、が決まりそれに合わせて討ち入りが決まる。そういや、この作品では浅野大学は一切登場しなかったな

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第9話から最終話まで
まとめて見たので感想も所々はまとめて書く。
9
矢頭右衛門七初登場、母親役が入江若葉。この回では江戸へ向かう様子(母や妹とともに向かうが手形の問題で女を連れて行けないことになる)だけであるが、右衛門七はその後所々で登場、討ち入り後は主税とは幼馴染であったことが明かされる。入江若葉も討ち入り後に寺坂が成功の報告と金を渡しに来る場面で登場。なぜか最終話では登場しているが、クレジットがない、単に忘れただけだと思われるが。
「神崎与五郎の股くぐり」とされるエピソードがある。東下りの旅の途中で馬引きの男、丑五郎(粟津號)に因縁をつけられ、詫び証文を書かされ、土下座させられ、股をくぐらさせられるという侮辱を受けるも、討ち入りの件の露見を恐れ従うという内容。見終えてからしばらくして、講談の演題としてよく聞く「神崎の詫び証文」ってこれのことかと気付く。まだ噺自体を聞いたことはないのだが。
垣見五郎兵衛:片岡孝夫(特別出演)
クレジットはオープニングの方で、トメの位置でさらには起こし。見どころということがよくわかる。名前を騙って江戸へ向かう内蔵助が本人と会ってしまうというエピソードをたっぷり、吉右衛門版ではなかったやつだ。
毛利小平太:石原良純。これも初登場だったと思う。吉右衛門版では大工の図面で吉良邸の様子がわかるとなっているが、ここでは、献残屋(献残=「大名が受けた献上物で不用のもの、使いきれないで残っているもの」を扱う今でいう贈答品交換業)の門屋の娘まゆが襲われているのを助け、その店が吉良家のお出入り業者と知り手伝いとして入り込むという風になっている。
門屋伝右衛門:中田浩二
まゆ:大西結花
このエピソードは次回に続いていき、かなり長尺、石原の厚遇ぶりを感じられる。
大高源五が茶の湯の宗匠に弟子入り、吉良邸の茶の湯情報を探る。

10
大野九郎兵衛:藤田まことが再登場。なるほどなるほど、やっぱりずっと金の工面(阿久里の化粧代ということが序盤の回やこの回で言われている)を担当していたのね。藤田は最終話でも登場。高縄泉岳寺、内匠頭の墓に参集する一隊、内蔵助は墓の脇に用意された香と大野の手紙を見つけるという風になっている。
南部坂、雪の別れ。
吉右衛門版と結構違っているところがあったが、ここはあまり違いはない(細かく言えばいくらでもあるけど)。密偵がおり(密偵の名前は梅、吉右衛門で密偵梅は全篇に渡って出ていたが、この作品はここだけ)、それを察して空言を言う内蔵助に激怒し追い返される。内蔵助が置いていったものを盗もうとする密偵をとがめ、その中身を見て・・・。この後がちょっと違ってて、この場面が内蔵助が出て行ってすぐのことであり、瑤泉院が悟り、門のところまで来て、出ていく内蔵助を見送るという風になっている。吉右衛門版ではそのことを悟るのは内蔵助が出て行って相当に時間が経過してのこと。
OPクレジットにすでに物語から退場している面々がクレジットされ回想シーンでもあるのかしらと思ったが、この回の最後にちょっと驚く演出。ちょっと失敗じゃないかなあ、おれは笑ってしまったけど。
毛利小平太のエピソードの続き。討ち入り決行の日に門屋を訪れた小平太はこの門屋に住み込むように言われ、身分を明かす。するとまゆは今夜結婚をしてほしいと言い出し、困りながらもそれを受け入れ、その後討ち入りへ出発。が、門屋に押し入り強盗が入り、(ここらへんはとても変なのであるが、斬られた伝右衛門が小平太を追いかけ、まゆを助けてやってくれと懇願。傷を負っている伝右衛門より、無傷のまゆが店を出て走って追いかける、もしくはそのまま逃げるとか、そっちのほうが自然)小平太は門屋へ戻り強盗団と対決の末まゆを守るが自分は絶命。で、そのとき小平太の目に映ったのは、死んでいった者たちによる討ち入りだったというナレーションに合わせて、三平、お軽、田中貞四郎、高田郡兵衛、てつ、そして小平太が白装束で剣を手に走っている場面。とくに女が剣を持って走るという場面は難しいのではなかろうか、なんか表情がぎこちない。
門屋へ行く前の小平太と会い後でなと挨拶を交わしているのが、富森助右衛門:山内としおで、これまでにもすでに出てはいるが、この回ではそれなりにフィーチャー。子供に凧を作ってやってて、うまく飛ばず、それを直してやってから討ち入りに参加。この凧が最終回の親子凧のエピソード(お預けの身になっている外に凧が上がり、邸内からも凧を上げるよう促され、凧を上げる)に繋がっていく
「赤垣源蔵徳利の別れ」「天野屋利兵衛は男でござる」のエピソードはまったく触れられない
赤垣源蔵自体登場していたかどうか。天野屋もナレーションでも触れられず、武器の調達は自分たちでやったことになっており、南部坂雪の別れの場面で内蔵助が瑤泉院に渡すものは四十七士の血判所でなく、武器調達費用の帳面となっている

11
隣の屋敷は土屋主税とされている。。
上杉綱憲:中村橋之助も登場、色部に止められ槍を持って暴れるというあたりは通常の描き方か。

12
吉良は切腹を促され、介錯をと言って自分で腹を斬る。よくあるのは吉良が暴れる、抵抗するというものだが、こういう描き方もありだなと思った。というか、その場面での芦田の顔を見て、これはすんなり切腹を受け入れるんじゃないかと思ったらその通りになった。もちろん手向かいしたりしたほうがみっともなくてドラマ上劇的にはなるのだけど。そう思ったら、この作品では吉良の横暴さが幾分控えめか。もちろん全然嫌なやつではなく描かれたら、作品は成り立たないわけで、当然要所要所でわがまま、卑劣な面は描かれているが。
終わった後の街中で江戸市民が迎える場面。ここではそれまでに縁があった人たちが祝福するという場面だが、この作品でこの場面にチョイスされてるのは。
前日の待機所となったそば屋(対応するのは神崎)、
子供を背負った富森の妻、るん(対するのは富森だが、なぜか目もくれない)、
五木ひろしの畳屋(対応するのは安兵衛)、
おきよ(対応するのは不破)。
吉右衛門が登場する。OPクレジットでトメで起こし。最後の最後に登場。このエピソードは次回に持ち越し

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吉右衛門の役は後の六代目将軍となる松平綱豊で、義士の処罰に困る幕府の様子が描かれる中に登場。そしてそういうことかと思われる演出。おきよ(立花理佐)が六代目の側室になり、七代目の母となるということが先に説明されていたのはそういうことか。なんとおきよが綱豊に義士の命乞いをするのである。壮大なフラグ回収という風に見えるかもしれないが、ちょっと空言すぎてなんだかなあ、第12話のナレーションで不破を見送るおきよのアップで「それが初恋であった」とあり、命乞いの理由を以前阿久里の側にいて大変世話になりそのご恩返しができていないとかなんとか言っていたが、結局は好きな男のためである。まあそこらへんが若い女の潔さにも見えないこともないが。
そして綱豊も耳を傾けるが、その後お抱えの新井白石に意見を聞いて、とくにその件に口を出さなかったようで、その場面以降登場はしない。
日高久が登場。お預けに身になった浪士の回想シーンがいくつかある中で、片岡源五右衛門の父親として登場。片岡が大望を隠すため、仇討ちなんてとんでもないと嘘を言って縁を切られて江戸へ出てきたという場面。
富森の親子凧のエピソードが結構長い。
荒木十左衛門:西山辰夫がひっそりと再登場。内蔵助に切腹を命じる係となり、再びの再会という挨拶を交わし、自分の責任で話すと言ってから、吉良の息子がお預けになり吉良家が断絶になったことを知らせ、内蔵助たちを喜ばせる。
そうそう、この作品では吉良の首の先に公儀への抗議ということがあるということは強くは語られていなかったものの、先に内蔵助の決意として語られおり、討ち入り後、墓の前で自決しようとした堀部たちを抑え、再度上記のことを言って、公儀の沙汰を待つように言っている
吉右衛門版で濃く描かれていた寺坂吉右衛門がこの作品ではほとんど描かれないが、終盤では活躍、とくに討ち入り後に瑤泉院のところへ報告に行くところは名場面。

11話は全部討ち入り場面、12話の最初に吉良の切腹があり、あとは13話までがその後。全部殺陣となる11話もダレずに見れた。後から考えると、この11-13話という3話使っての討ち入りからその後までというのはちょっと多いかなと思うが。

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おきよの描かれ方は甚だ不満。第4話で一旦退場となっているが。
そこまでがひとつのエピソードで、それが討ち入り後に大層立派になられて・・・みたいなのはまあいいと思うが。この第4話までのエピソードが雑というかなんというか。おきよが赤穂で不破との再会というのが不自然すぎるかなあ。で、そこで会ったとしても、なんともすることができず、単に不破から突き放されるだけであり、不自然な再会がなんのためだかよくわからない感じなのだ。じゃあどうすればいいかというとわからない。犬に追いかけられているのを助けられて、それをひょんなことから同じ家中の不破というものだったと知り、しかもその件で脱藩したと知り、焦がれるみたいな感じで、そこらへんかもっと後にどこかで再会させるとかか。

一学は二刀流もやる剣の名手、剣で浅野勢と対決する剣士というイメージだが、ここではちょっと違ってて家老のように、作戦を考えて何人かの手勢を使って実行するみたいなことをやっている。例えば第7話では米屋の前原伊助を確証もなく捕らえ、リンチ拷問。討ち入りの際に再び顔を合わせ、一学は「おのれ、米屋」などと言っている。
高田郡兵衛の脱党後、屋敷を襲ったのもの一学主導。
それらは大抵ダーティーで汚い吉良を象徴してるかのよう、そして暗いイメージの人物像。最後の討ち入りの場面では二刀流も見せてはいるが。
清水一学:河原崎建三
左右田孫兵衛:内田勝正
吉良家の家老は家老で内田勝正が演じる左右田孫兵衛がいるにはいるが。

序盤では江戸急進派として以下の三人がセットで描かれる。
堀部安兵衛:岡本富士太(OPクレジット)
奥田孫太夫:牧冬吉(EDクレジット)
高田郡兵衛:森田健作(OPクレジット)

お軽勘平(5-6話)
萱野三平:坂東八十助
お軽:坂口良子
三平の父親、萱野七郎左衛門:北村英三
お軽の父親、与市兵衛 北見 唯一
城明け渡し。三平は赤穂浪士の一一員である。が、刃傷のとき、お軽と一緒にいたということでそしりを受けており、城明け渡しとともに自刃しようとし安兵衛など同士に止められる。この件は大石にも伝えられ、そこで三平とお軽の件、さらには内匠頭にもその仲は知れており、後に結婚する許しも得ていたことが知らされる。
三平は実家の萱野村(摂州)へ。三平はかつてこの村の領主、大島伊勢守の小姓であり、それを内匠頭にスカウトされ仮勤めの形で浅野家の家臣になったという経緯があった。三平の父が、領主大島への帰参が叶うことになったのでそうしろと三平に言うが、三平はそれを断る。お軽は三平に再三会いに来るも、三平の心が仇討にあり、それは大石のせいだと思い込む。
お軽は山科へやってきて大石と面会、大石を殺そうとするも大石の気迫に負ける。内蔵助はわしにはわからん、女は女同士で、と理玖に任せる。
ということがあり、そこでなにがあったのやら、内蔵助は三平を除名、表向きは仮勤めの経緯、実はお軽との新たな生活を願ってであった。
で、絶望した三平はお軽のところへ行くも、もうボロボロ。そしてここでどんな話があったのやら、なぜか次に出てくる場面では三平は家に戻っており、大島家の仕官を受けることになっている。
で、ここで全然わからないが、なぜか五十両がおかるの父親からおかるからの書状とともに渡される。おかるは自分から身を沈め十両を作った。これを仇討の支度金にしてくれと。
三平はお軽の店に行きお軽と会い、そして心中
なんだか経緯がよくわからない部分もあるが、どうやってもうまくいかずドツボにはまっていく三平というのは作劇として見ごたえがある。
お軽の実家は京の山崎(歌舞伎では山崎街道という名前が出てくる)。萱野村、山崎、山科、距離としてはさほどでもないのかな。

高田郡兵衛エピソード(7-8話)
高田郡兵衛:森田健作
内田三郎右衛門:芝本正
てつ:森口瑤子
郡兵衛が侍に襲われているてつを助ける。てつが父親(内田三郎右衛門)を伴い郡兵衛を訪ねてきて、交際が始まり、一夜をともにし、翌日父親が現れ、脅しめいたこと(婿養子にならねば討ち入り計画をを御上に知らせる)を言われ、それを口実に郡兵衛は同士から離脱。安兵衛、奥田からそれなりにエールを受けての離脱となり、こんな描かれ方もありかなと思う。また森田健作が郡兵衛役というのもここへきて、こういう色男、直情型というのは誠にはまり役に思えた。
一夜をともにした翌日父親が現れるというのはなんとも罠っぽいなと思ったものの、単に時間の制約だろうと思い返す。が、実はこれは罠だった。
幸せな結婚生活、が、郡兵衛宅に刺客が現れる。刺客は裏切り者呼ばわりし秘密が漏れることを恐れているというようなことを言う。これはミスリード、実は一学であり、この策を指揮したのはお蓮:神崎愛、彼女は全篇に渡って登場する色部の密偵であり、新八郎が連絡をよこさないので派遣されたりもしていた、なのでともに働くことは求められてはおらず、やりたければそうしろと言われているような関係。作品上は失敗が多く、物語のための存在という感じ。この後悲劇的な結末を迎えることになる。
さて、郡兵衛、義父が非番なので出かけるのを見て不審に思いつける。すると、内田は色部宅を訪れ、ここで意外な展開が大挙登場する。内田は色部の父親に世話になっており、今回の高田離脱工作に手を貸していた。内田の娘てつは養子であり、色部の父親から紹介だった。そしてお蓮はこれよりも前の回で新八郎に生い立ちを語っており、そこで色部の父親に世話になったこと、妹がいること。てつはお蓮の妹だった。
色部家の外で郡兵衛は内田を斬り殺す。そして郡兵衛は逃げ回った末に、内匠頭の墓の前で自刃。翌日てつも両国橋から身投げし自害。お蓮が看取る。色部はお蓮をもう用済みということで、新八郎に殺害指令が出るが、新八郎はお蓮のもとへ行き妹が見つかった経緯を聞き、江戸から出ることを勧める。

この番組の各回の始まりと終わりについて
これはテレ東の正月恒例「12時間超ワイドドラマ」という枠で放映されている(先に見た吉右衛門版はタイトルが変わっているが後継の番組であり同じ枠といっていいだろう)
で、おれは12時間垂れ流しのドラマで、それを1時間ずつに再編集しているのかと思っていた。ゆえに各回の最初に前回までのあらすじ的なものがあると、そういうところで時間調整しているのかな、と。が、この枠についてウィキを読んでいて子供のころの家や親せきで集っているときこの番組が映っていたことも時折あったのだろう、なんとなく思い出した。これはウィキにあるとおり、第○部と区切っていあるが、その区切りごとに作られていて、12時間の枠なら、2時間で1部ずつという風に番組欄には記載されていたような記憶がある。この番組だと12時間の枠なのに6部で13話まであり計算が合わないがそこらはどっかで調整されてるのだろう。最初から1時間枠での再放送を考えて作られているのかもしれないし、1部2時間のものを前編後編に分けるという程度の編集はあるのかもしれない。
またこの再放送での放映で、おかしなことは、最初の部分や最後の部分が毎回一緒というわけでないのだ。端的な例では、次回のあらすじが序盤で数回あったが、終盤は一切なかった。頭にナレーションと今の東京の風景の映像が流れる、それは各部で変わるが、それがない回もあった(吉右衛門版は第1話だけちょっと長めのナレーションと映像で、2話以降はそれの短縮バージョンで毎回同じ)。などである。まあ、ここらは深く考えない