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大岡越前 第15部 [時代劇]

オリジナル放映情報
1998年8月24日から1999年3月15日までナショナル劇場で放送された時代劇。製作はC.A.L。全26話
今回は
2021/06/29(火)~2021/08/25(水) TVK

第14部を見終えそのまま第15部第1話を視聴
第15部は最終シリーズ。
第1話 1998年8月24日
VTR収録ということがまず目を惹くが、すぐ慣れるだろう。
次に驚いたのは一平がなぜか同心に! 「第12〜14部にかけて大岡家の御用人・北村一平を演じた島英臣の役が変更となり、同心・北島駿介に変わった」ということだそうだ。
4代目桂三木助登場。うーん、ちょっと演技が・・・。「隼の六助」という役で、父親の3代目三木助が「隼の七」という名で賭場で通っていたという逸話からだろう。
第1話は吉宗登場回だが、吉宗がお忍びで城下へ出て・・・、という話ではなく、江戸城の御金蔵破りが出て、その対応を越前がすることになり・・・、という話のため、出番は少な目。
加藤剛、竹脇無我、山口崇みな老けたが、若さがなくなったという程度で老醜を晒すという感じはまったくなく、中年俳優による時代劇という感じで十分見れる。加藤剛が60歳で、山口はちょっと年上、竹脇はちょっと下だ。
川合伸旺がゲストで出ている。登場のところですぐにはわからなかった(クレジットで出演していることは知っていたので、ああ、これか、という風に気付いたが)。ずいぶん老けた、メイクのせいかもしれないが。
結城市朗は端役でのゲスト出演、半次が昔の仲間に聞き込みをするという場面で。こちらも老けた。

第2話 8月31日 殺しを見ていたお茶道具
太市:水野純一という新米の岡っ引きがレギュラーに加わる
北島駿介は夏目甚八と同格くらいの同心のようだ。口調はため口だしお互いに敬意を表すみたいな感じがない。またライバル関係っぽいようでそんな描写が第1話にあった
話は推理ドラマ風であり、犯人が予想できない感じではあるのだが、それは聞き込みや尋問で段々証拠が明らかになっていくからでもあり、予想できないのはしょうがない。
質屋の伊勢屋喜兵衛(劇中伊勢喜と呼ばれている)の母親お照が隠居所で殺された。それを発見したのは伊勢屋番頭の由兵衛、お照の前にはのみを持って茫然としている女中のおきみがいた。という発端。
サブタイトルのお茶道具は「棗(ナツメ)」
ナツメはお照がまだ店に立っていた時分に質流れとなった品。それは店の蔵にあることをお照は知っており、それがなぜか道具屋から持ち込まれ、由兵衛の仕業だとわかり、諭すため手紙で呼んだが、窮地に陥ったことを悟った由兵衛が殺しに及んだという筋。道具屋に誰がこのナツメを持ち込んだか聞けば一発でわかりそうなものだが、なぜかそれをせず遠回り(伊勢屋に質流れでナツメがあるかどうかを店の者に内緒で主人に聞き質すとか)して真相に辿り着いている。
最後人情噺っぽくなり、まさか由兵衛が軽い刑になるわけないよな、と思ったがもちろんその通り軽い刑なわけはない。ということは、人情噺っぽくする必要はないのでは。

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第3話 9月7日 狙われた花嫁
むささびの金五郎:内田勝正
銀次:福本清三
冒頭夏目たちに捕まるのが福本清三で、出番はこの場面と、その後の取り調べくらいだが、この銀次が属するむささびの金五郎一派の捕縛がこの回のストーリー
前回のところで書いた予想が的中というか、冒頭で夏目と北島で手柄争いをしている
赤垣の見合い相手、そしてこの後結婚に至りレギュラーになる笙子:河原崎有稀(現・伊藤榮子)が登場。
このシリーズのレギュラーであるらしい房吉:うえだ峻も今回が初登場。自身番の小者のような扱いで、レギュラー陣と以前からの顔馴染みのよう。岡っ引き役なのかもしれん。エピローグにも出ているので以前出ていた「水すましの源五郎」のような扱いではなく、それなりに重要なレギュラーとしての扱い。
静加はどうも大仰すぎるというか、好きでない(流れからして妙のポジションを奪ったようにも見え、二人を比べれば妙のほうがずっと良い)のだが、この回での一場面は面白かった。
静加が赤垣の見合い話を持ってきているのだが、その件を忠相夫妻と話し合っているときに、なぜか夫妻が愛を確かめ合うみたいな光景になってしまい、そこで「ふたりとも、なにやってんの」という間合いと声の調子が素晴らしい

第4話 9月14日 鬼を生き返らせた名医
お虎:赤木春恵
郁太郎:宮崎達也
おはま:小林かおり
松五郎:高城淳一
治兵衛:頭師孝雄
お杉:佐野アツ子
蓑助:山本紀彦
和助:小鹿番
サブタイトルの鬼が金貸し業のお虎で、名医が伊織
お虎が死の床で形見分けのために親戚が集まっている場面から始まる。珍しいストーリーで派手な捕物のような場面がなく、象徴的なのが、夏目や北島といった同心、そして岡っ引きも出てこない。片瀬と赤垣がかろうじて出てくるが。
そのお虎を診察した伊織はただの風邪だとあっさり治してしまい、その後この形見分けを反故にすると言い出したから親戚たちが不満を言い出し・・・、という相続争いの話。一方で息子夫婦(この妻のほうが小林かおり)が夜中に外で話をしている中で息子があの母親をもう殺したいと口走ってしまった(妻にたしなめられすぐ取り消す)せいで、ごろつきがじゃあ母親を殺してやろうかと介入してくるとう事件っぽいことも少しは挿入されているが。

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第5話 9月21日 奥医師の娘
天野宗仙:土屋嘉男
天野知安:竹本孝之
小夜:牛尾田恭代
春亭梅彦:石山律雄
天野祐石:井上高志
これまでに見たことあるような話から一転わりと凝った話が多くなったというようなことを、前シリーズのところで書いたと思うが、これもそんな感じで、当時に視聴者の嗜好に合わせたか、それなりに凝った推理ドラマ風。
石山律雄は山賊のような恰好のスキャンダルなことを書く偽作者。そういえば前シリーズで必殺のような時事風刺を盛り込んだ話が多くなるとあったように思うが、それに気を付けて見てはいなかったので、該当作は14-14くらいしかなかった。今回はそれほど盛り込まれてるわけではないが、この春亭梅彦が現代(放映当時)のスキャンダル雑誌の氾濫なんかが意識されている。
第1幕がありその後オープニング曲となるのだが、そのOP曲に繋がる場面というのは必ず忠相の顔である。この回では珍しく、忠相の顔から忠相が目を落とすメモ書き(そのメモに今回の事件の鍵となる名前(あまのそうせん)が書かれている)になり、OP曲へと繋がっている。
なぜこのことを書いたかといえば、その法則に気付いたあとに1回だけ忠相の顔じゃないところからOP曲になったことがあり、それはかなり前の回だが、そのことをメモっておきたいなと思っていたのだ。その回のことはほとんど記憶にないが、確かその場に忠相のいないという場面で伊織の顔だったかなあ、そんな風に始まったのでちょっと珍しいと思った。今回はそれでも忠相のいる場面からの繋がりだ。
片瀬の医師としてのキャリアを利用して、天野家へ送り込まれるという場面がある。これもなかなか珍しくて同心になって以降、発言で元医師であることを思わせるものはいくつもあったが、こうまであからさまに利用しているのは初だと思う。この大岡越前では前シリーズまでの設定が消えることがあるので、逆にその設定が消えていないことを確認できる場面。
片瀬は菊江に蘭学を教えるという役割もここで描かれ、二人の仲が冷やかされたりもしている。この菊江を演じている弓場沙織という人は黒木華のような雰囲気の人、調べて見ると、女優としてのキャリアは少なく、その後声優として活躍しているようだ
この回では高木が菊江から先生と呼ばれている。高木は今でいう看護師みたいな人で医師になるキャリアではないと思っていたので意外である。一応今までも医師見習いみたいな扱いだったのだろうか。まあ江戸時代という設定だから、そんなに厳密に分かれてはいないのだろうが。
奥医師天野宗仙の家の秘密にかかわる話。末娘小夜はちょっと活発な娘。そしてこの小夜が実の娘でなくて、という件で強請を天野家が強請を受けるというような話。この実の娘でない理由というのは白州の場面のその後でかなり長く語られるという構成。
小夜は潜り込んだ片瀬に興味を持ち、出かける際にお供に連れて行き、そこで菊江と鉢合わせ、菊江は片瀬が勉強をすっぽかしたと思っており、そこで年頃の娘と連れ立っているのを見て・・・みたいな展開があり、その後小夜が養生所へ菊江を対決に来る場面で、多分ここで片瀬が同心だとバレるのだろうな(片瀬は医師として天野家に派遣されており、密偵であることはもちろん秘密で菊江もそれを知らないし、小夜もそのことをまだ知ってはいない)と思ったがはたしてその通り。
小夜は父と兄たちのひそひそ話で自分が実の娘でないこと、母を殺した男の娘であることを知ってしまう。
結末では小夜はその真相(宗仙の女房は末娘を赤ん坊のころに亡くしてしまった、その頃宗仙は忙しく働いており、そのことを医師のくせに娘を見捨てたと詰り、乱心。宗仙の命を狙うようになってしまい、それを用人の小夜の父親が乱心を装って、宗仙の女房を殺し自害。小夜の母は事情も知らず、娘の小夜を抱いて川へ飛び込み、助かったのは小夜だけだった)を知り、その後医師となり片瀬、菊江と生涯の友情を得たと結ばれている

第6話 10月5日 大江戸韋駄天競走
宝来屋:河原崎建三
お勝:木村理恵
加納屋:二瓶鮫一
田所芳太郎:武見龍磨
これも今までにないような展開。
宝来屋は履物商で加納屋は履物問屋。冒頭は「韋駄天走」の話題。日本橋と上の寛永を往復するという。看板には「日本橋寛永寺間 (加)韋駄天走 世話人加納屋官兵衛」((加)は○付きの「加」)とある
宝来屋は50を超えているが出場するという。この競争は一等になると加納屋から賞金が出るという。
お勝は瓦版屋、履物屋の事情に食い込んでおり、宝来屋と加納屋双方から惚れられている。
宝来屋は商いがうまくいっておらず、加納屋の傘下になりたいと何度も面会を申し込んでいる。とここまでが前提。ちなみに冒頭の「韋駄天競走」は六助が一等。宝来屋はビリだがそこでお勝にプロボーズ。とこの場面で憎々しげにその様子をにらむ加納屋、とここで善玉悪玉がはっきりする。
演出から悪役が加納屋で善玉が宝来屋とわかるが、加納屋が殺され宝来屋が犯人だと忠相は断定。実は加納屋は死んでいなくて、とかいう展開かと思ったがそうはならずに変だなあと思いつつも眺めていると白州の場面になってしまう。その白州の場面でもなかなか真相に行かず宝来屋が叱りを受けたりして。最後にはようやく真相に辿り着く。加納屋が宝来屋の殺害を企てたが、計画が狂い、そもそも先に宝来屋は殺されてしまうはずで予定されていなかった二人の会談が始まり、そこでも偶発的な出来事として加納屋が死んでいたというのが真相。
この回は珍しく、夏目が出ておらず、北島と片瀬。そして勘太が出ておらず、辰三が出ている。

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第7話 10月12日 賄賂に揺れた老同心
佐藤允がメインゲストでサブタイトルにある老同心、粟津佐兵衛。
佐藤允といえば長年活躍してきた名優で、それゆえ彼をフィーチャーした回となっており、忠相からの信頼も厚く、後輩同心からも「親父さん」と慕われている勤続40年のベテラン同心の役で、そのためかあまり悪いことをやらせることもできず、サブタイトルにある賄賂についてもまさに「揺れた」という程度で、それゆえ話としては「なんだ、その程度か」という肩透かしの感じもある。
白州の場面では「一瞬」という言葉が使われており、まさに一瞬賄賂に心が動いた状況はあるのだが、その程度のことを白州で時間をかけて、実は賄賂をもらってないことの証明をしたり、さらには最後に越前から「それでもその罪は許しがたい」などと言われており、「?」な感じである。ちなみにその罪は許しがたいというのは、単なる前振りで、「であるから、(先に出されていた)お役御免の願い出を受理する、妻(病身で、その妻の看病ということもありお役御免を願い出ている)と一緒に吉野山での桜見物(作中でそういう話題が夫婦で出ており、エピローグでは忠相提案の「吉野山観桜奉加帳」にお金を皆が出している)をできることを祈っている」などと続くのだが。
佐藤允と中谷一郎ってなんとなく似ており、その佐藤允が「へいさん」と呼ばれているとまるで助け人だ。
朝鮮人参(※)を粉にして飲めばすらりと痩せるということで評判の「美人薬」なるいんちき薬(実際にはただの木の根っこ)が出回り江戸中の女がそれに狂騒、死者が出る騒ぎというのが冒頭で、ここは必殺のような時事風刺を盛り込んだ話ということになるだろう
※面白いこともあるものだ。作品内で「朝鮮人参」と再三言っていたと自分では記憶していた。で、上にあるように実際にはただの木の根っこも出てくるのだが、実際の朝鮮人参ってどんななのだろうと画像を検索したときに、検索候補として「朝鮮人参 高麗人参」と出てくる。そういえばそんな言い方もあったなと思った。ここに書く時正確を期そうと再度再生して用語をチェックしていたのだが、再三出てくる言葉は「朝鮮人参」でなく「高麗人参」。おれは高麗人参と聞いて頭の中で朝鮮人参と変換していたのだろう。おかしなもんだ。

第8話 10月26日 花嫁割いた母ふたり
お梶:三林京子
おきぬ:小林綾子
お仙:根岸季衣
これはサブタイトルからわかるように、これまで数回見たような話
岡っ引きの太市がさっそうと走ってる場面があり、この回には辰三も勘太も出ておらず、レギュラー陣の老齢化を強く感じる。が、じゃあ、今シリーズからのレギュラー岡っ引き、房吉のうえだ峻はなんなんだという気もしてくるが。
辰三や勘太、とくに辰三だが、この作品の象徴的な存在でもあり、辰三の場合演じている高橋元太郎のこの作品と同時間帯に交互にやっていた水戸黄門での八兵衛役での貢献もあり、キャストにいてくれるだけでいいというような存在なのだろう

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第9話 11月2日 白洲に立った将軍様
吉宗登場回。
吉宗がやっぱりお忍びで江戸の町。そこで出会った町人が殺人事件の容疑者となり、その無実の証言ができるのは吉宗だけ、という事態に、というような話
神尾左京:石倉英彦とあり、この石倉英彦は役名もないような端役や、1シリーズで何度も出てくるキャスト(必殺にも出ていたはず)ということでよく見る名前、ここでは顔もバッチリ映ってる
OP曲の前が忠相でなく、吉宗が映り、その後その吉宗を見ている男の顔。

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第10話 11月16日 信じるこころ
沢田源蔵:須藤正裕
三崎屋:草薙幸二郎
草薙幸二郎、必殺にもよく出ていた人、このころ69歳。
内容は記憶喪失を扱ったもので、ちょっと安直にも思える。赤垣と親交のある北町同心の沢田が最近評判がよくない。それを気にして赤垣は会いに行き、大丈夫だと確信したか、三崎屋による抜け荷探索の情報を教えてしまう。その抜け荷探索は失敗に終わり南町内に内通者がいるのではと騒然となる。
沢田は三崎屋の刺客に襲われ記憶喪失となってしまい、過去のこと、つまり赤垣は覚えているが、最近のことを覚えていない。そして純真な赤子のような心の持ち主となってしまい、善玉同心に生まれ変わる。
赤垣は沢田が内通者なのではと探索し、その事実を知り責任を取ろうと考える・・・。

第11話 11月23日 さまよう老人
伊平:江藤潤
おとき:大塚良重
松造:庄司永建
疾風の銀八:片桐竜次
小梅:伊吹友木子
老人介護だとか徘徊老人といった現代的風俗、必殺のような時事風刺ともいえる、を扱った回
雪絵の娘時代に家にいた女中のおときと再会、今は商家に嫁いでいて、多少ボケがきている(いつも外出してはどこかの婆さん(小梅)とあやとりをやっている)実父の松造を預かることになるという話を聞く。
その松造が家に戻らなくなる。で、これが誘拐事件に発展していくのだが、事の起こりは誘拐ではなく、松造がフラフラと迷い込んだところで、無頼連中がそれを利用して、あくまで預かってやってるのでその預かり料をせびるという形で始まる、ここが普通と異なる感じだが、そういう設定がうまく利用されてるかといえば、そこはさほどでなく、そのまま誘拐事件という感じでストーリーは進む。
一方でほかにも特徴的なところはあり、おときと伊平の夫婦、とくにおときはその実父の死を願い、金を出すのも止めよう(伊平は今より大きな店を買う予定でその金が狙われた)と言い出す場面があり、ここらへんは現代の高齢化問題などに繋がってくる描き方。
誘拐犯側のリーダー、銀八の片桐竜次がいい。ちょっとジョニー大倉似の悪役ながらやさしさが滲む感じ。
そしてそれが白州の場面で大いに発揮される。誘拐犯側はこの大岡越前という作品では普通の悪役というキャラで、極刑と裁かれるのが通常だが、今回はここに見せ場がくる。
おときが父の死を願った自分にもお裁きをと言い出し、それを越前は もう言うな 、といい、病んでしまった親を持つ子の苦しさ、そしてそれでもなお尽くすことの尊さを語り、そのやり取りの後に、銀八たちに、お前たちにも親はあろう、その親が子に望むこととは・・・と説教をし、牢に入ってゆっくり 母のぬくもりを思い起こせ、その先に人の道が見えてこよう、お上にも慈悲はあるぞ、と締める。
辰三が久々(このシリーズで何度目かの出演は数えてないが、非常に少ない)の登場
ほかに西山辰夫が役名なし、伊平に店を売る主人の役。
OP曲の前が忠相でなく、雪絵。そこは役宅で、忠相と赤垣、そして雪絵の会談の場であるのに忠相を差し置いてである。

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第12話 11月30日 罪を着た男
卯之吉:五代高之
おその:佐藤恵利
茂兵衛:矢野宣
亀吉:三田村賢二
近江屋:西山辰夫
西山辰夫、前回役名なし、今回役名あり。1シリーズに複数回出演だとか、違う役での連続出演ということで立ち位置(あまり重要な役が与えられてない、大物ではない)がわかる
これが初めてのことではないのだが、赤垣の出演がない(腰を痛めて家で臥せっている)のにも関わらず、笙子が登場。雪絵も出演がなく、赤垣に言われて雪絵(実家に用があっていない)の代わりに忠相役宅で手伝いをしているという設定。河原崎有稀がそれなりの格の俳優だからであろう。
伊織、竹脇無我、病気でもやったか、動きやセリフがスローモーで、目が虚ろな感じ(このシリーズに限らず終盤のシリーズになってからのことだったと思うが、このシリーズでは顕著)。ウィキによればこの前後うつ病だったらしい

第13話 12月7日 母恋し!
おとき:久野綾希子
丑松:長門裕之
お初:竹本聡子
さち:秋本美恵
新太郎:岡田聡
なんだか異例な回に思えた。が、書き出してみるとなんてことないとなるかも。
吉宗登場回。ご落胤に関わる話。忠相や部下が旅に出る、とこう書くと、これまでに時折あった話。
目安箱に六代将軍のご落胤の存在と、その生母を探してほしいという願いの書状。忠相に調べるよう密命が降り、忠相は旅へ。
戻ってその存在が本当であることを知らせる。そのご落胤はさちと名付けられた娘で15歳、病で明日をも知れぬ命、母に会いたいとのことをその娘を守って育ててきたかつて六代将軍に影の御用として仕えたものでいまは身を隠し漁師となっている丑松(長門裕之)が知らせてきたのだった。
丑松とさちは忠相の配慮で江戸へ来て、養生所で静養することになる。
そして母親探し、これには南町同心、岡っ引きが派遣される(派遣されるのは六人で夏目と勘太が不在)。先の忠相にもあったが、ここらも旅ものっぽい流れなのだが、この二つの捜査の場面は短時間で終わり、またまた舞台は江戸へ。
その探している母親(おとき)はおよねという名で江戸で呉服屋、十一屋の後家になっていた。そして、17歳の娘(後妻であり実の親ではない)、お初がもうすぐ嫁ぐという時期で、その結婚に師匠になっては、と、さちのことを知らぬふりをする。という筋で、ここからは、母親として会いたい、がやはり会えないという一点で話が進行、ここらの単調具合が珍しく感じた。話が単調すぎるからか、さちがもう危ないという段階では、自分が身代わりに母親になって、さちに会いに行くと提案したりもする
吉宗登場回の割に存在感が希薄。ただ吉宗も母と引き離され育てられたせいで、この件をなんとかしてやれと話す場面なんかはなかなか
また雪絵がそれなりの存在感、その母親に女の自分だったらと話に行ったり、上記のようなことをやろうとしたり。そして雪絵がさちと対面しようとするときに、お初、そしてその結婚相手の新太郎に促され、母親が会いに来るという展開。
母親探しという一点のみのストーリーでお涙頂戴場面が多い単調な話。
芝本正が役名なし、ときの村の名主(ただ当時の者は皆殺しにされその後に入ってきたので事情は知らない)

第14話 12月14日 小さな出会い
三浦リカ
吉宗登場回ながら短い出番でしかも話のメインではない、前回もそうだったが、今回はさらにであり、異例な形式。
医者は出てくる話でありながら伊織は出ておらず、高木と菊江がその役目、こういう風に医者の出番はあるが伊織は出ないというのはこれまでもしょっちゅうあったが、竹脇無我が出ないため代わりに山口崇を引っ張り出したという風に見えなくもない。
そして、冒頭は非番の忠相が大川で釣り、そこへ釣りの得意な少年が現れ、忠相に生意気な口を聞くというもので、ここでの軽いやり取りが加藤剛の忠相にしては珍しい。その少年の兄が殺人(結局は正当防衛ということで無罪放免になる)を犯してしまい、連座制からその少年も含む家族までもに罪が及びかねない状況になっていく話で、結末では北と南の奉行が連名でその連座制の廃止を吉宗に願い出て、それがお取り上げになるというもの。
福本清三がクレジットなしで、お白州の場面で奉行の近くにいて、六助が投げ出した証拠の刃物を忠相に持ち寄るという役
三浦リカ、必殺にもよく出ていた人、ここではいくらか年齢を重ねた姿形。

3/30
第15話 12月21日 思い込み
米倉斉加年、この大岡越前には初登場だったと思う。占い師、田山平内役。全体的にコミカルなキャラ。易断の奥の手と言って、履物を飛ばしてみると、それが水車に嵌ったり。サブタイトルは彼が演じる占い師、実は元は山田平左衛門という侍で仇として篠崎弥生、清次郎の姉弟から狙われる身、が不治の病でもうすぐ死ぬ(伊織は胃の爛れであり、酒を控え養生すればすぐよくなると診断)と思い込んでる(自らの易断)ところから。
質屋殺しの捜査とこの平内の仇討の件、質屋殺しの容疑者が、平内を仇として追っている清次郎であり、という風に両方は絡んではいるのだが、奉行所の捜査と、たぬきの六助、お花が平内から頼まれて平内の子(人探しを頼まれた二人は平内の子と勘違いするのだが、実は自分を仇と狙っている姉弟)を探すという件が別に進行し、最後の最後、捕物の場面でようやく繋がる(ここでも最初に平内が現れ遅れて南町の捕物隊が登場する)という形になっており、面白くできている。
質屋殺しの一件は清次郎は嵌められており、実は質屋の腹違いの弟が浪人や女と組んで仕組んだこと。
白州の場面も面白い。わずかな命ということで、姉弟から討たれたい平内は白州での立会を望むも、清次郎は仇討願を取り下げると言い出す。その仇討の原因が以後の勝ち負けという下らぬ内容。十年もの当てのない旅に疲れ果てたのとともに、その下らぬ原因に命をかける自分が馬鹿馬鹿しくなったのだ。清次郎は言う、今回の一件で人殺しとして追われる辛さと恐ろしさを味わった。山田平左衛門はそれを十年続けてる、もういいのではないか。
その十年はなんだったのかと問う弥生に忠相は仇討のむなしさを知り新しく生まれ変わるための10年、無駄ではなかったはずだ、と。
で、姉弟は納得するも、平内は「わしにはわからん」と叫ぶ。
忠相「あの世への旅立ちのとき、姉弟に安らかに送ってもらえ、これこそ仇討本懐」平内「いつのことになるやら」忠相「平内流易断では近いはずだ」とやり込める。最後まで平内は「納得できん」とぶつぶつ。
福本清三が二度出ているような感じ。キャストクレジットにはない
まずは第2幕終盤、奉行所内の場面、仇討ち願い届を見る忠相の後ろに。
さらに第4幕、捕物、殺陣の場面で平内と斬り合ってる。
どちらも大して目立ってない。違う人かもしれんなあ

3/31
第16話 1999年1月4日 髪結い姉妹の殺意
この回ではちょっと珍しいことがいくつか
まずはOP曲に繋がる場面の前。忠相でなく、しかも忠相のいる場面でもなく、レギュラー陣のいる場面でもないという、ゲスト陣だけの場面からOPクレジットに入っていく
評判の悪い浪人が死んでおり、検死の結果、殺しと断定。髪結いの姉妹が疑われる。
この回は容疑者(殺しの動機がある人物、作品内で怪しげな描写がされる人物)が比較的多くおり、その髪結いの姉妹の内、姉がほぼ下手人と断定、しかし、作品的には善玉、なにせ忠相の家に出入りしている髪結いである(冒頭、雪絵がその髪結い姉妹の冗談に笑い転げ、それを忠相が見守るという場面がある)、で殺さざるを得なかったのか、本人さえ殺したと思ったが、実はそれで死んではおらず、その後別の誰かが殺したか、みたいな内容になっていく。とくに後者の「別の誰かが殺した」というのはよくあるパターンでここでもそれが使われている。
最終盤で別の誰かを探しに、多くいる容疑者そのうちの一人のところへ同心が捜査しに行くのであるが、これが外れ。その場面に結構時間を割いており、こういう風に犯人でないところへ行く場面がたっぷり挿入されるのは珍しい気がする。普段は常に勘が当たって、遠回りの道草みたいなことがなく、それがあまりにも当たり過ぎていて面白みが減じているのだが。
で、容疑者が比較的多くおり、その分話が面白くなったかというと、そうでもなく、とっちらかった感じの内容だった。
後年のシリーズになって知ってる俳優、つまり70~80年代、必殺をやってた時代ともいえるが、そのころのドラマ、特に時代劇で活躍したような俳優、とくに中堅あたりの、があまり見当たらなくなり、このシリーズでは顕著。この回もゲスト陣に知ってる顔がない

4/1
第17話 1月11日 嘘で暴いた大岡裁き
この回のゲストにもしってる顔がほとんどない。わずかに結城市朗が脇で出ている程度だ。前シリーズだったかに出ていた山下慎司という子役がほぼメイン格、前回から比べるとだいぶ大人びた顔(前回見たとき、この回に出ることを知って、その時見比べたのだ)
殺人事件で、二人の近親者である容疑者がもう一人を庇うため自分がやったと言い合うというのはこれまでにも何回か見た内容だが、その二人というのが姉と弟で弟のほうはまだ少年(この役が山下慎司)というパターンはこれまであったかどうか。
OP曲に繋がる場面の前が忠相の顔でない。これはこのところ珍しいことではなくなってきた。
捜査の場面の連続でだんだん真相に近づくという形式で、忠相は指示をするという場面での登場のためあまり存在感がなく、そこが珍しい。
同心、岡っ引きが活躍するわけであるが、その中でも辰三が比較的目立っており、派手なフィーチャーのされ方でなく地味目な操作の場面で目立つというところが嬉しい。エピローグ場面でも褒められている。
そのエピローグ場面、まずはこの回のそこまでには出ていなかったはずの笙子がエピローグ場面でのみ登場、赤垣が笙子の待つ家に帰るが「たぬきでみんなが祝杯上げてるころ・・・」というようなことを赤垣が言い、結局ふたり連れ立ってたぬきに現れる。そのたぬき、エピローグ場面ではお馴染みであるが、ここにはこの回に出ていたレギュラー陣が全員(忠相や伊織は除く)登場するのが恒例なのだが、この回に出ていたはずの夏目がいない。
この回のサブタイトルは白州の場面でのこと。上に書いた姉と弟は無罪とわかりながらも、その二人を調べるための白州、そこへ下手人の本命(弟の勤め先の主人)を立会人とうそをついて呼び出すというところから。まだ証拠も上がってないなか、忠相の策略で自白させるという風な展開で、そこまで見せ場のなかった忠相の見せ場となる作りとなっている

4/2
第18話 1月18日 消えた財布
サブタイトルから芝浜かなと思ったが全然違ってた。
袋物屋、紙入れや煙草入れを商う。その袋物屋の池之端芳川の職人、伝七が日本橋松乃屋の主人とたぬきに入ってくるところから始まり、そこへ池之端芳川の女主人、お秋が入ってきて、伝七を引き抜こうとしてると見て、騒動になるというのが冒頭。
お秋:美苗。これが池内淳子に似た感じ、風格もあり、池内かと思ってしまったが、ウィキの項目もない人だ。
これ、最初の登場シーンで善玉かと思ったが全然外れ、悪役。見直したら、最初から悪役顔だな。池内淳子に似ているという一点(もし池内淳子だとしたら善玉で使われるだろう)で見誤った。
白州の場面の直前にお秋の悪事が完全に露呈したという場面がありながら、縛られるのは伝七で、参考人的扱いでお秋も白州へ。そして白州でお秋は強気、ここら辺が理解できない、とても白々しく見えた。白州ではお馴染みの越前が強気のお秋に見事な手腕で厳しい裁定を下すという流れなのだが、そこらへんが全然見事に見えない。だって見てる方にすでにお秋が悪だとわかってるのだから。
たぬきのお花と太一が恋仲っぽい描写が冒頭にある。
赤垣が出ていないが赤垣宅で同心連中が食事をし、笙子が給仕している場面がある。

4/3
第19話 1月25日 花は知っていた
銭形平次でこんな感じのサブタイトルの回があったのを覚えていた。それは紫陽花の花の色が土のアルカリ性の度合いによって変わるということが事件の鍵になる話だったと記憶している。
そこから持ってきた話かとおもいきいや全然違う話だった。
忠相や伊織とかつて植木市で知り合っており、植物に愛情を注ぐ男だった清吉がかつて北町に盗賊の一味として井筒屋の押し入った罪で捕まった。清吉にはアリバイがあったのだが、北町では取り上げにならなかった。
清吉のアリバイを証言できたはずだった駆け落ちものはそのとき見つからなかったのだが、後になって出てきて、その証言により無実とわかり清吉は江戸へ戻ってきた。井筒屋の隠居は清吉を人殺し呼ばわりをし騒動を起こす。
かつて務めていた呉服問屋の上州屋は同業の井筒屋と係争案件を抱えており、隠居への配慮もあり再就職を断り紹介状を書く。が、その紹介先も一度島送りになった清吉を警戒し再就職はできず、以降毎日就職先探しをしている清吉。
と、こんな前振り。井筒屋の隠居が殺される。そして作品の中で描かれる容疑者は二人。なのだが、ここの描き方がイマイチ。どちらもかなり容疑は濃厚なのに、その先が描かれないまま白州の場になってしまう。清吉は隠居のところへ被害者へ線香をあげに行き死んでいるのを見つけ、急いで家に帰る、と袖に血がついており、その説明を女房にしているところへ岡っ引き連中が現れる。ここで色々詰められるところなのに、その後清吉がどうなったかが言及されない。「清吉が犯人ではないのか」「いや、こう証言している」みたいな場面があるべき。
さらには上州屋、これが真犯人なのだが、上州屋と井筒屋隠居の間にはかなり深刻な仲違いがその前に描かれているのだが、そこを無視したかのように、上州屋はその日の昼に井筒屋隠居を訪ね、なごやかに会談をしたかのように証言をし、それをそんなはずはないという反論なしに受け入れられてしまっており、そこも変。最終的に白州の場でそこらを明らかにし忠相が裁きを下すのだが、見ている側としては、それ以前にそんなことわかってるじゃん、という感じなのだ。

第20話 2月1日 裏切られた友情
若山騎一郎がメインゲスト
うーん、ちょっとぼんやりした印象の回。武家のしがらみをテーマにしているということなのだろうが、ピンとこない。
雨宮平四郎(若山騎一郎)は直参御家人の部屋住み。夏目とひょんなことで知己を得る。
殺人事件を見て、それを追いかけ番所に届けようとするも、十両渡され黙ってしまう。
目撃情報から平四郎が容疑者として浮かぶ。
と、ここらで十両もらったからと言って、別に自分の身体、家族の身体に危害が及ぶ危険性みたいなものもないのだから、捜査の手がここまで伸びてるなら喋っちゃえばいいのに、というのが疑問点。
その裏にあるこの回の悪が大した悪に見えないのも、もやもやする。茶の湯の宗匠が奥右筆組頭(公儀の重職と大名旗本の間に立つ役職と説明されており、それゆえ大名家への御用達商人の推挙など簡単とされる)と結託して賄賂をもらって商家の御用達について差配しているというのが悪の内容。
いや、それは悪としても、それを金をもらって口止めを依頼された平四郎があれこれと思い悩むのがよくわからん。侍としての誇りとかそんなもんかねえ。
冒頭に顔のアップになる人物が何やら意味ありげなのだが、そこだけの出番なのも拍子抜け。商家の少年がいなくなり、かどわかしかと番所に届けられ(その商家の使用人が最初の顔のアップ)、夏目たちが捜索、平四郎がその少年を連れて歩いているのを見つけ咎めるものの、迷子を家に連れて行こうとしていただけということがわかり、真相がわかり仲直りしたぬきで酒を酌み交わすという展開

第21話 2月8日 疑惑の恩人
勘助:新克利
玉吉:森川正太
ゲストで知った顔が二人も、しかも冒頭から出てきての重要な人物の役、新克利はメインゲスト、森川正太は冒頭(とエピローグでちょっとだけ)だけだけど、殺人の容疑者に間違われて牢に入れられる役。
福本清三がクレジットなし。白州の場面で、奉行から一段下がった白州のところで椅子に座ってる向かって右の役人。
赤垣フィーチャー回で、中途に今の偉くなって何をやっても許される自分が大丈夫なのかと伊織に吐露するというストーリーにあまり関係のない場面が長くある。ここで伊織は誰にでも当てはまりそうな当たり前な養生訓を言って、医療費として1両取っており、それを忠相に話すという場面に繋がる。それを忠相は楽しそうに聞いており、赤垣を信頼して任せており、これからもそうする、そうすればお前(伊織が養生訓を言って医療費を取る)も儲かるだろうと返す場面がある。

4/4
第22話 2月15日 餅騒動の名裁き
おみよ:八木小織
与吉:山口粧太
徳兵衛:工藤堅大良
吉宗登場回
一点納得がいかないところがあったが、よくよく考えてみるとこれでいいのかな、とも。
幾世餅(落語のものとは字が違う)が登場、しかもメインの話題。落語の幾代餅エピソードが出てくるかなと思ったが、それは全然出てこない。が、途中で由来が語られる場面があり、徳兵衛が遊びに行った先で幾世太夫に出会う。女将が言うには美人でよくできた子だそうで、徳兵衛はそこから名前を取ったとされていた。
与吉がおみよに告白し振られ、自害しようとしてたのを吉宗が止め、キューピット役を買って出る、もおみよはただびっくりしてしまって断っただけで、そのままくっつくことになる。で、板前としてもイマイチな与吉は吉宗に促されたこともあり、自分の好物である幾世餅で商売しようと考える。その幾世餅、販売してるのが三好屋。与吉は三好屋徳兵衛に頼みに行き、許しを得る、という序盤の展開。
純愛幾世餅として与吉おみよの椿屋の評判が上がり売れ行き上々、三好屋のほうもそれに連れて元祖幾世餅としてこちらも商売が好調。
三好屋は幾世餅を一手販売にしたいと考え、椿屋に商売を止めるようにいい、瓦版屋でお互いの誹謗中傷を始める諍いになっていき、最後には三好屋が椿屋に幾世餅の販売を止めさせるように訴え出るという内容。
与吉のが徳兵衛から許しをもらうという場面、これは弟子入りし、作り方を伝授させてもらうというのが常道だと思うが、そういう場面はなく、ただ名前をもらって商売する許しを得るという形式、現代でいう商品名の商標登録のようなものか、
幾世餅は焼いた餅に餡をまぶしたものと説明されているが、作り方としてはそれほど技術のいらないものなのか、そもそも徳兵衛は与吉に許しを与えてメリットはある(許しを与える際、与吉が帰ってから、「どうせうまくいかないだろう」と言っている)のか、とここらはモヤモヤ。

4/5
第23話 2月22日 辻斬りは拝領の太刀
今回も知った顔はない。村井克行という若手がどこか内田勝正に似ており息子かなと思ったが違うようだ。
クレジットが加藤剛の後にレギュラー陣で二名並記となる。これは単独表記のレギュラー陣がいないということであり、それは例えば雪絵、辰三勘太、半次などなど、赤垣や伊織は最後の方、トメを飾るのでここにはクレジットされない。夏目は単独の時が多いが並記の場合もある。
出来は・・・、うーんなんだか物足りない。ちょっと異例の展開でもあるが。
辻斬りが現れ、それの下手人は伊織がそれを気にして見廻りも兼ねて歩いているところに現れたため割合簡単に割れる。で、その後はそれに使った刀、切っ先が灯篭にあたり、折れてしまい、その刀が家康から拝領の太刀の偽ものとわかり、なぜ偽ものなのかということに捜査の関心が移り、が、しかしもうドラマも終盤に来ており、これについても簡単に割れる。白州の場面は後者、偽ものにすり替えた件、の犯人、その屋敷の中間、があっさり裁かれる。と、ここらまで見てなんだかあっさりしていて物足りないなあ、と。
で、エピローグとしてこの後に前者の下手人に対する結末。旗本のため町奉行には手が出せぬということで内密に越前が動き回り、勧善懲悪的な結末。いや、ここまでが本編で、この後がエピローグ場面となろう。赤垣家に同心岡っ引き連中が集まっている。赤垣は、下手人が旗本と聞いて、 手が出せないと弱音を吐いた自分が恥ずかしいと言いながらも、笙子に慰められ、二人は見つめ合い・・・、同心岡っ引き連中は白けて出ていくというコントみたいのが地味にあり、その後はたぬき、越前と伊織以下養生所のふたりが飲んでいると、そこへ先の赤垣夫婦を除いた同心岡っ引き連中が加わりエンド。
赤垣というのは源次郎、孫兵衛の後釜だが、微妙に能力としては落ちるという風に描かれてるように見える。忠相も源さん、孫さんのようには呼ばずに赤垣と呼び捨てである。

第24話 3月1日 冤罪
岩尾正隆の名がゲストにある。
前回とは変わってレギュラー陣がかなりたくさん出ている。同心岡っ引きでは勘太と片瀬がいないという程度。
書くことなければ無理やり感想を書くこともないが、この回の演出はちょっと現代的だなと思った、のだが、考え直してみるとそうでもないのかなあ、と。
殺人事件、容疑者、政吉の証言に合わせ、場面再現の映像が流れる。それは未遂に終わっている。そして終盤で、それと同じ場面が別の視点から、本当の下手人、仙造がその未遂の様子をのぞき見ていて、それが未遂に終わったこと、そしてそこに政吉が凶器に使ったのみが落ちており、それを使って政吉に罪をかぶせることを思いつき、犯行に及んだということが忠相の口から説明され、その再現の映像が流れる。この事件の場面の再現と、それが後から同じ場面の別の視点からの再現というのが推理ものの現代的演出のように思った。でも考えてみると、昔のものでもありそうだなあ。なおこの演出方法は第14話「小さな出会い」でも使われている

4/6
第25話 3月8日 最後の罪が恩返し
大間々の嘉兵衛:中山仁
お秀:笹峰愛
鎌吉:木村元
芝本正がちょい役、福本清三は役名なしクレジットでちょい役
中山仁は、特技の後のクレジットでここはそれ相応の場所、おれはこの人は知らないけど。
まあまあいい出来なのでは。
若い女のスリが善玉として出てくるのはこれまでにも何度もあった。
冒頭にその女スリ、お秀がスリをする場面があるが、ちょっとひねりが加えられている。よくあるパターンだと、神社の境内など街中で女がスリ、同心が咎めるも、じゃあ服を脱ぐから調べてみろと凄まれるというもの。ここでも神社の境内だが、魚の行商をしてる少年が大店の母娘に行き辺り、少女の服を汚してしまい、その母親が弁償しろと怒鳴っているところに割って入るのがお秀、で、野次馬も巻き込み、その母親を退散させ、さらにはまんまとその母親から財布をするが、それを赤垣らに見つかり、追いかけられ捕まる。じゃあ服を脱ぐからという場面もあるが、赤垣がどうせもう持ってないんだろと返すところもひねりがあると思う。
このお秀の件に加え、もう一つのストーリーが強請屋の大物、大間々の嘉兵衛(嘉兵衛が作品内で最初に強請ってる相手が芝本正だ)がある藩と塩問屋の不正な取引をネタに強請ろうとする一件。
お秀は赤垣に足を洗えと繰り返し諭されているが反発、しかしスリの元締、鎌吉も引退を考えており、お秀にも足を洗うように言う。
お秀が街中で荒くれ一団(そのリーダーが福本清三)に絡まれ、橋から川へ落とされてしまう。それを助けた赤垣、番所へ運び、伊織を呼ぶ。そして別室で笙子に語る、お秀は捨て子にされていたのを拾い助けたという経緯もあり、父親のような気持ちで見守っていたのだった。それを聞き、お秀は聞いて立ち直る決心をする。
そのスリ一団に大間々の嘉兵衛から注文が入る、ある塩問屋の主人のふところのものをスってくれと。それを聞いたお秀、大間々の嘉兵衛の話は赤垣たちが話しているのが耳に入っており、この注文がなんらかの犯罪に絡んでいることを知り、自分にやらせてくれと元締に志願。そして赤垣にそういう注文があったことを知らせる、とここらがサブタイトルの由来だ。

4/8
第26話 3月15日 帰って来た友情
今井了仙:内藤武敏
升吉:新田純一
長尾伴内:中丸新将
仁平:出光元
権造:粟津號
最終回。
第20話にある「裏切られた友情」と対になるように見えるが、もちろん話に関連はない。第20話は夏目フィーチャー回、今回は最終回だから当然もっと特別な回になる。
サブタイトルがこのシリーズ、もしくはちょっと前からか、かなり具体的にストーリーを明示しているものになっているが、この回はちょっとボンヤリした感じ。指し示しているのは、ゲストとしてこのシリーズ唯一の登場、新三郎で、彼が長崎から帰ってきたことを示している。
竹脇無我がちょっとボンヤリした感じだから登場したのではと思えてしまう。その程度に登場シーンは伊織より多いくらいだ。
吉宗も登場する。そしてレギュラー陣も全員出演、とOPクレジットで確認したが、見ていくうちに、そういや夏目と房吉が出ていないように気付く。房吉はレギュラーとして新入りだし、出てなくても違和感はないが、夏目の場合はこれまで存在感もあり、話を引っ張ってきたレギュラーだけに出ていないと不在感が意識される。といってもこの回は出演者が多いため、他の同心岡っ引き連中もあまり活躍はしてない。
最後のエピローグ場面、やっぱり「たぬき」の場面だが、に夏目と房吉の二人がいるのを確認(この回での出番は多分そこだけ)。
エピローグ場面では吉宗もたぬきに来訪、そして吉宗のセリフが多い。長年続いた人気シリーズの最後としては、ちょっと、ハテナという感じにもなる。もっと忠相を、という意味。だが、吉宗が上機嫌に喋り忠相がかしこまっているというのもこのシリーズのお馴染みの場面なわけで、そう考えると納得。
この「たぬき」の場面の後に、養生所や臨時で使ってる寺の様子などが映り、たぬきでは映ってなかったレギュラー陣もチラリと映り、そしてナレーションで終わる
静加:藤間紫は出ていない。このシリーズでは何回出たっけな。
この回のOP、疱瘡が江戸で流行っているという設定で、養生所の手伝いに雪絵たちまで駆り出され、しかも養生所だけでは足りず寺を臨時に使っているという状況。で、その流行り病に新たな治療法を入れようとする伊織、新三郎、とそれを邪魔に思い、さらにその流行り病に乗じての奥医師と薬種問屋の悪事が描かれている
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加藤剛の顔について14部のところに色々書いたが、結局大きく崩れたような印象はない。よく頑張ったと思う。竹脇無我がこのシリーズではちょっとしんどそうである。山口崇も若々しさを維持しており、過去の異様なエネルギッシュさはひそめたが、むしろこれくらいのほうが将軍役としてはいいのではないかと思うくらい

落語のピンで、談志は三方一両損の奉行の場面で確かこのドラマの真似らしきことをやってるが、落語のピンをやっていた時期は、この作品の13部、14部あたりのころのことだ。まあその当時やっていた作品がどうのこうのというより、長年放送されていた人気ドラマが客にとっては大岡越前のひな形として受け入れられていたということだ。