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無用庵隠居修行 [時代劇]

水谷豊主演の時代劇で今9月に新作が放映されるのに合わせて、これまでの作品が全部放映されている。録画視聴することにした。
放送日
9/1(火)~毎週火曜日 20.00~ 旧作品を順番に3作
9/22(火)20.00~ 新作「無用庵隠居修行4」

オリジナル放映日は第1作が2017年でその後順に1年に1作

原作は海老沢泰久の小説、この人は作品リストを見てみると、時代小説を専門に書いてる人ではないようだ。脚本は土橋章宏。
メインの出演者は水谷に加え岸部一徳、檀れいの3人。

水谷豊主演ということで大きな期待はしなかったのだが、まあその期待しなかったおれの期待どおりという感じの出来。水谷豊に色眼鏡なのは承知の上だが、どうもこの人は大物過ぎて汚れ役はやらないばかりか、彼が一番に映るような演出が過ぎていて、白けてしまうところが往々にしてある。

あとは気付いたことを箇条書き
第1作には主人公の日向半兵衛の心やすい友人である町医者の村田道庵役に左とん平が出ているが、左とん平はその後亡くなっている。第2作以降、佐藤B作演じる久庵という医者がその代わりのような役どころで登場、道庵がいないから弟子の久庵がやって来たというような一応の説明があり、また、その久庵の診療所が映る場面でも表札は「村田道庵」である。
たくさんの作品があるわけでもなく長く続いたシリーズでもないのだから、道庵を佐藤B作が演じてもいいし、「村田道庵」を引きずる必要もなさそうなものだが、なんというか律儀。ウィキによれば原作では医者の名前は久庵

第2作のゲストは常に怪演の本田博太郎
福本清三も。医者の役でレギュラーの久庵が半兵衛側の医者で、その逆側というか悪側のほう(本田博太郎)の治療をしている役。特別に筋に関わってくるということもない脇役での顔見せ

第3作ではゲストに石井愃一、秋野太作が名を連ねている。石井は出番の多い悪役。秋野はラストに少しだけ出る役だが、狂気の怪演で大満足
ほかに手塚理美、六平直政、鶴見辰吾、高嶋政伸と結構豪華

第1作の事件について調べるため奈津が大奥に入り込み、易々と秘密を掴み、それを外へ伝達する場面ですっかり白ける。そんなに簡単に大奥に入り込み、大奥から外へ情報を流せるかよ、と。
まあ、この主人公の職業である大番士というものがどれほどのものかわからず、それくらいのことはたやすい人物なのかもしれないのだけど。
と、こう考えると、この主人公の日向半兵衛の人物造形がすべての根幹となりそうで、時代劇特有のそこまで大きな役職についていなさそうだけど、なぜか大人物とも対等に話をし、なぜか遭遇した事件を解決しようという意欲を持ち、それをうまく解決していくというヒーロー。
年齢はいくつくらいなのかなあ。正直言えばずいぶん年齢のいったキャスティングで、もう10年から20年位前だったらこの人たちで旬だったかと。
第1作ではその大番士の半兵衛が養子を取り、職を譲り、自分は無用庵にて隠居生活に入るという過程が描かれており、それゆえのタイトル、「無用庵隠居修行」である。欲を持たず恬淡とした隠居生活を夢見ているようであるが、色々煩わしきことありで、なかなかそうはなれない。少し落語の「茶の湯」を思い出す
また奈津とは相思相愛でありながらも、隠居生活の身でそんな男女の関係にも興味を持たないという態度を無理して取る、というような人物像。
剣の達人。そうそう水谷豊は殺陣はダメだな。
長谷川平蔵が出てきて、これは半兵衛と旧知であり、半兵衛のほうが年上ということだろうか、ちょっと格上のような態度。
老中、松平定信の時代であり、定信も出てくる。演じるのは杉本哲太。第1作で半兵衛の働きを認め、その後続く作品では、何か起きるたびに半兵衛が活躍し、最後には定信に意見を申し上げるというような形式。
奈津の父母も出てくる。母親役は市毛良枝
これと半兵衛の年齢の関係も知りたいところ。半兵衛は奈津より、その両親と年齢が近そう。
水谷豊は顔は丁髷姿が似合い、時代劇も行ける感じだがセリフ回しがあまりうまくない。昔からうまい人ではないが、ところどころ特徴のある棒になるのがなんとも気になる。
年齢としては水谷自身の年齢を知っている、少なくとも長年俳優業をやってる人だということを知っており、相当の年齢のはずということを知っており、それにしては見てくれは若く、というようなことを考えていると、作品の中の人物はいくつなのだろうと混乱する。見てくれは若々しく、合格のような気がするが、若くちゃいけないのかもしれないし。それをいえば岸部一徳もだし、檀れいもだし。

心に残るような名作ではないいが、気楽に見れるエンタメ時代劇。新作のキャッチコピーも「笑いとサスペンス、感動ありの痛快エンターテインメント時代劇」

※9/22
新作で題4作
傑作という程ではないが、なかなかの良作で今までで一番よかった
これまでの作品もそうであるが、基本的にレギュラー陣は全員顔を出す。今回はその全員にそれなりの見せ場を作ろうとはせずに少ししか出ないというような人もおり、それがストーリー重視に繋がり、よい作品になったのかどうかはよくはわからないけど。
出演者では、まず冒頭、蕎麦屋の主人が福本清三。新作に出ているということは健在を確認することでもあり嬉しいところ
清水ミチコが怪演というか、この人が出ればそうなるだろうというか。ハマリ役過ぎる悪霊払いの祈祷師。
石倉三郎も終盤に少しだけ。刀の修繕をしている仕事で、持ち込まれた刀が今作の事件である辻斬りに関係する。
東田達夫の名も。この人も健在を知れる。といっても顔も知らないのだけど、必殺の後期あたりの作品でものすごくたくさん端役で出演している。顔を知らず、名前だけ覚えてしまったのだ。
段田安則がメインゲスト格。半沢でもかなり存在感のある役で出ており、続けての出演という風に見える。半兵衛の幼馴染、安田善四郎という役。剣の道場でも一緒、そして成年になってから仕事もともにしてきたという間柄。息子の正太郎に家督を譲っており、その息子が半兵衛の養子である新太郎と同僚という関係
今回のメインの事件である辻斬り、奈津が囮になり、半兵衛が見張り、出てきた辻斬りと剣を合わせる。その剣の筋に覚えがあり、それを確かめに善四郎と木刀で稽古をして、と進む。えー犯人は善四郎? と意外感。そこまでまったく悪の顔を見せておらず、半兵衛のよき友人。
で、ここらへんから自分も頭をフル回転、犯人は結局正太郎なのだけど、その直前に自分も気づいた。ここらへんの展開はなかなか良い。そして半兵衛は正太郎が犯人ということに気付いていたのかというと、気づいており、だが、これはどちらでもよさそう。つまり、善四郎を犯人と疑い、ところが善四郎から、持ち込まれた息子の刀で、気づいて驚くという風な展開もありではある。
まあこの作品の場合半兵衛はかなり何でも知っている的なキャラだが。

あ、そうそう新太郎の嫁であるおふみ、前作では伊勢屋の奉公人と紹介されていたのに、今作では父親が伊勢屋となっている。前作(と今作でもだが)で平蔵の養子になっている(日向の家に入るため武家の養女になった)が、それと同時に伊勢屋の養子にでもなったのだろうか

今作は事件が3つあり、そのうちのメインが辻斬りなのであるが、他の二つの結末がちょっとショボいく、またメインの事件と関連しないのでちょっと消化不良か。
ひとつは清水ミチコパートのインチキ祈祷師の件。これは半兵衛に懲らしめられ、火盗にお縄になる。
もう一つは巷の浮世絵を買い占めている江戸の中津藩留守居役、黒田(松澤一之)の不正。この件が解決されてないじゃんと見終わって思ったのだが、よく考えてみると、中途で新太郎が偶然手に入れ半兵衛が預かっていた不正の証拠となる黒田が回した留守居役同士の回状を種にしてお咲が支払いの済んでいないつけを全部取り立てていた。

そういえば火盗の同心の名前が木村と沢田。鬼平犯科帳でも有名な二人とおなじ名前、といっても木村は木村文蔵だが。