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ソウル・キッチン [映画]

2009 ドイツ
2/8 スターチャンネル

ドイツの大衆的な食堂を舞台にしたコメディ
コメディにはリアリティーを飛びぬけた描き方をするものとリアリティのある設定をベースにしたものがあるが、これは後者。それゆえ笑いの面では抑制されたものになっている。
タイトルのソウルはソウルミュージックであり、店の名前の「ソウル・キッチン」。この食堂では常に音楽が流れていて、またバンドマンも常駐、練習のためもあり、店に音楽を供給することもしており、音楽好きの輩のたまり場のようでもある。音楽について多くは語られないが、要所要所では印象深いソウルミュージックが流れる。
この食堂についてはちょっとはっきりしない部分もあり、作品の最初の時点ですでに何年もやってきたかのようであり、だがその店のオーナー兼料理人(主人公)のジノスは腰の病で新たな料理人をスカウトすると、その人に料理を習うようなこともしている。まあ最初の時点では素人じみた料理を出す店だったということだろうけど。
さらには最初はラジカセで音楽を流しているが、クラブから兄イリアスたちがかっぱらってきたDJシステムで流すようになり、その一方でバンド演奏の場面もあり、またその後には音楽学校の看板を掲げたりもしていて、どういう店なのかイメージが一定しない。と書きながら、いや、こういう店はあるだろとも思う。DJシステムがあり生バンドが入り、音楽教室も開講していて・・・と。まあ見ていてなんなんだよという気がしたのだ。
そうそう、DJシステムを店に入れるところの描写は、ありゃちょっと失敗だろうな、と思った。店の外でイリアスたちに「すぐ返してこいよ」とジノスが言う、その次の場面でジノスが店に入っていくとそのセットの前で動かし方を模索しているイリアス。この二つの場面の間に時間が経過しているのだろうけど、それがわかるようにしないと、えっ何が起きたのと思ってしまう。例えば、その店の外の場面を長めにして、「返して来いよ」「これ使おうぜ、金がないんだし、ラジカセもなくなったし」とかの押し問答の末、ジノスが迷ってる顔がズームアップされ、その次に喜色満面でDJをしてるイリアスみたくすれば迷った末にジノスはそれを店に入れることを押し切られたんだとわかる(このように押し切られた場面が省略されてるような演出はよく見るし自分は好きだ)。
ラストがよくわからなかったのだがウィキですじを読んで何となく理解。
なんで税務署女とラストで結ばれてるのかなと思ってしまったのだった。税務署女とジノスの間にそういう伏線はなかったし。ラストは整体師のアンナか。

音楽
オープニングがソウルっぽい曲でまず期待が高まる。エンドクレジットで確認、Kool & The Gangの「Rated X」という曲。
サム・クックの「Ain't That Good News」がソース・ミュージックではなくBGMとして使われたあと、ソース・ミュージックとして店内でバンドが同じ曲をリズムを変えたアレンジで演奏する場面がある。クレジットで見ると、サム・クックのほかに「Bad Boy Boogiez」とある。このバンドのメンバーがこの作品において店でギターを弾いてるルッツ役のルーカス・グレゴロヴィッチということのようだ。
店が新装開店した際にやけに格好良いソウル・ジャズっぽい曲がかかる。ラストのクレジットでBoogaloo Joe Jonesの名がありやっぱりかと思う。上記のDJシステムを入れての新装開店の場面である。曲名は「Brown Bag」
エンディングでクレジットに入るところで使われるのはThe Isley Brothersの「It's Your Thing」

エンドクレジットの序盤、フィーチャーすべき人たちが画像入りで出るのだけど、この部分、クラブのフライヤー風に仕上げられていて格好良い。その後の羅列クレジットのところでもカラフルに装飾されておりポップになされている。
そのエンドクレジットの序盤の最初のところに「兄セムに捧ぐ」と出る。その兄というのは監督ファティ・アキンの兄のことらしく、この作品にも出ている。死んだわけでもないのに捧ぐってのはおかしいような。そんなことはないのか。
死んだといえば、この作品に出ているモニカ・ブライプトロイという女優は作品の公開前に亡くなっているようだ。

「Soul Kitchen」と検索したらドアーズの曲が出てきた。そういう曲があるのか。この作品の主人公、髪型がちょっとジム・モリソン風ではある