SSブログ

必殺! THE HISSATSU [必殺]

84年
中村主水の必殺仕事人の映画版第1作。テレビシリーズの『必殺仕事人IV』と対応する。

必殺の映画化、まとめ
必殺仕事人以前の作品
必殺仕掛人(73年)
仕掛人 梅安蟻地獄(73年)
仕掛人 春雪仕掛針(74年)
ここからは必殺仕事人の映画版。カッコ内にどのテレビシリーズと対応するかを記述
必殺! THE HISSATSU(84年・必殺仕事人IV)
必殺! ブラウン館の怪物たち(85年・必殺仕事人V)
必殺! III 裏か表か(86年・必殺仕事人V・激闘編)
必殺4 恨みはらします(87年・必殺仕事人V・旋風編、必殺仕事人V・風雲竜虎編)
必殺!5 黄金の血(91年・必殺仕事人・激突!)
必殺! 主水死す(96年)
必殺始末人(97年)あまり仕事人とは関係ない
必殺! 三味線屋・勇次(99年)これは三味線屋の勇次を主人公に据えた作品

必殺はこれまで何本か映画化を観たがあまり感心しなかったがこれは楽しめた。どういうことか考えてみた。2点あると思った。①演出面で映画ということで凝った部分がある。②ストーリーが大げさで荒唐無稽、テレビ版と世界観が異なる、それに伴いおなじみのキャラクターがテレビ版の設定したキャラクター像から多少離れる
ところが今作品も①②両方当てはまらないでもないのだが、それでもそれなりに楽しめた。今まで見た中では1番いいと思う(必殺仕事人の映画の中で)。ただ後半がちょっとなあ。後で記述する。
①については今作品でもおおっと目を引くカメラワークがあったり映画ならではの大掛かりなセットがあったりしたが、よく考えてみるとそれが不満足な原因ではなかったのだろう。②の世界観というのはテレビ版の多くにある庶民の恨みを仕事人が晴らすというものが映画版になると、江戸城内の権力争いとかそういう大げさなものになったり、超人的な人間が出てきたり(必殺4 恨みはらします)とか思い入れがし難いものが多い。しかし今作品もストーリーとしては仕事人同士の抗争(テレビシリーズでもよく使われるが)という思い入れのしにくいものがメインストーリーだ。
じゃあ今作品はなぜすんなり入れたかといえば、まず第一にレギュラー仕事人グループの面々がほぼ過不足なくストーリーに絡んでいたこと。そしてその面々が、私の一番好きな時代の顔ぶれということだ。
秀、勇次、りく、加代。この面子が最高に絵になると思う。「新・必殺仕事人」から「必殺仕事人IV」までである。まあ順之助はどっちでもいいが(ただ順之助はシリーズによって脇に面白いレギュラーを引き連れてくるという効用はある。)
勇次が「必殺」の作り上げた集大成だろう。あの絵になる立ち振る舞いは素晴らしい。また加代は人気があったからこそだろう、レギュラーを長く努めているが、このキャラクターを楽しみに見ているという面も少なからずある。りくについては言うことなしだろうが、私は子供のころこの番組を見ていて、この人が苦手であった。この人が出てくると一時代昔の人ということで雰囲気が一気に古めかしくなってしまい、現実感覚のある時代劇の雰囲気を壊してしまうように思っていた。今見ると、まったくその感想は逆で、山田五十鈴が出てるだけで価値あると思う。一段格が上がるのだ。
すんなり入れたもうひとつの要因。今作品は前述のとおりメインストーリーは仕事人グループの抗争というものだが、前半にもうひとつの仕事があり、それは主水に持ち込まれる。それは女郎の「大切な人を殺された」恨みを晴らしてほしいというものだったが、じつはその大切な人が「猫」であったとわかり主水たちは断ることになる(レギュラーではない仕事人・朝之助がその仕事を完遂する)が、そこらへんのストーリー展開はテレビ版でおなじみの雰囲気であった。

後半、主水が抗争相手との対決を断りながら、実は仲間と別れて一人で対決に向かうあたりから、つまらなくなってしまった。主水だけが分かれて残された面子は主水抜きで戦いに挑もうとしたのか、といえば、主水と勇次、りくが顔を合わせ、「じゃあ3人で」となったところへ秀も現れ「また命知らずが来たぜ」と言うことから、主水が別れたところで、グループ全部が別れたとみるべきだろう。そうなると、各自がみんな一人で敵に立ち向かおうとしたということになる。それはいいのだが、そうなったとき、順之助と加代があの強敵に仲間なしで立ち向かうとはちょっと考えられない。
順之助は主水に腹を殴られ殺しに参加しないよう配慮されてるが、テレビシリーズではいつも加代のサポートをしてたはず。なんで参加させなかったのだろうか
殺しの場面。大人数を相手の大立ち回りである。これはテレビシリーズではあまりない。映画版の好きでないのはこの点でもある。やはり必殺は、見つからないようにひそかに一人一殺が醍醐味かと思う。勇次や秀の殺し技は大人数を相手にするものでないし。だからだろうか、今作品でも勇次は殺しをするとき非常に凝った登場をするが、結局数人しか殺していない。
その後潜水艦で逃げるあたりはまあご愛嬌か。ただ、この悪ふざけで終わればいいものを、この後に「しばらく江戸から逃げる」はずの面々が人形芝居(朝之助が演じる)を見ており、ちゃっかり江戸に戻ってるし、さらにその後は中村家の3人のおなじみのコント。これも長時間の映画の後には不要じゃないだろうか。

ゲストが豪華
仕事人がレギュラー以外にかなりの大人数。
此竹朝之助(蝶々の朝吉)(演 - 片岡孝夫)。大物でギャラも高かったろう。大活躍である。
絵日傘のお葉(演 - 中井貴恵)。この人の立ち位置がよくわからなかった。対立相手の「六文線」側の女だが主水と結ばれたあと、ラストで「六文線」を離脱してしまうあたりが
庄兵衛(演 - 石堂淑朗)、伝次(演 - 中田浩二)、牛鬼(演 - 大前均)。これが「六文銭」の面々。そういえばこの六文銭、三途の川の渡し賃から来ている。さきにブログに必殺剣戟人では4文銭でやってると指摘したばかりだ
霞の半吉(演 - 赤塚不二夫)、キツツキの吾平(演 - たこ八郎)。この二人は話題づくりのための特別出演だろう。短い出演時間。
鎖筒の時次郎(演 - 草野大悟)、胆臓潰しの石亀(演 - 斎藤清六)。こちらも上記二人と同じような扱いなのかもしれない。清六は当時人気あっただろうし。
ただ比較的長い出演時間であり、というより、最後まで絡んでくる仕事人かと思っていたら、あっけなく酔客(演・柳沢慎吾)に時次郎が刺されて殺されてしまい、石亀は逃げてしまうという顛末。最後まで出ないならなぜこんなエピソードを挟み込んだのかよくわからない感じもする。
政 / およね(演 - 芦屋雁之助 / 研ナオコ)、柳橋のお甲(演 - 朝丘雪路)、髪結いの新吉(演 - 美里英二)、太鼓持ちの善好(演 - 橋本功)。この5人は主水とは別の仕事人グループ。六文銭に無残に殺される。祭り(ウィキに拠れば山王祭とのこと)の最中に黒い神輿で六文銭が現れ次々と殺していく場面は映画ならでは金のかかった迫力ある演出。政はなんとか助かり、およねとともに主水たちの仕事に参加する。研ナオコが仕事の際に政に手を上に上げ合図するのだが、たぶんその際の手の動きは当時彼女がやってたCM(おにぎり、三角~♪「おにぎり山」とか言ったかな)でないかなと思う。

火野正平もあまり重要でないながら存在感ある役で出演している。最初のエピソード、女郎の依頼を調べている際にその女郎の大切な人としてなんとか探し当てた男の役。殺されてもいないし、その女郎の大切な人でもないこと、そしてその大切な人が猫であったことがここでわかる

斎藤清六は必殺橋掛人に瓦職人で出てたね。瓦職人は今回芦屋雁之助、研ナオコで夫婦だが、必殺橋掛人でも夫婦で瓦職人と雰囲気を引き継いだ感じだ。
また芦屋雁之助は必殺仕切人に出演してた。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0