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必殺からくり人・富嶽百景殺し旅 [必殺]

4/15-5/4
3日で見終えた。全14話
タイトルは「必殺からくり人・富嶽百景殺し旅」
細かい話だが、前作はタイトルが「新 必殺からくり人」、各話のサブタイトルが「東海道五十三次殺し旅 ○○」。今作はタイトルが「必殺からくり人・富嶽百景殺し旅」、各話のサブタイトルが「○○」。
これで「必殺シリーズ」すべての作品を一応一通り見たことになる、見納めのシリーズ(再放送されなかった回などは除く)。
今回のテレ玉の再放送で、初期のシリーズは初めて見るものも多かった。これまで、テレ玉やテレビ神奈川での再放送で見ていたが、いくつかのシリーズは録画機械のなかった時分で、半分眠りながら見ていたようなものもある。それをよく覚えてるのが「商売人」で、今回も録画をしており、これはもう一度見たいとは思っていたのだが、やはり初めて見るもののほうが楽しくて、こちらを先に見た。
さて、その商売人、それを見たのもテレ玉で多分今回の放映より2回前の2007年ころだったと思う(その次に放映されたときはテレビさえなかった)。で、ということは、この「必殺からくり人・富嶽百景殺し旅」もその流れで見たはずなのだ。が、こちらは見たという記憶がないのだ(実は唯一、なんとなく頭に残ってる場面はあるのだが)。そして次のシリーズ、「翔べ! 必殺うらごろし」、こちらははっきりと覚えている。今シリーズはよほど印象に残らなかったのか、単に見ていなかったのか。と思いつつシリーズを視聴したのだが、第11話、12話あたりで見た記憶が甦った。先に書いた唯一覚えている場面というのは、逆さ富士を見下ろしながら話をするからくり人たちの構図で、これを今回見ながら、やはり一応は見ていたのだなと思った。第11話は出来も良く、だから記憶に残っているのかもしれない。次の第12話の冒頭での今出川西紀が川を渡る場面も大層な迫力でこれも見たという記憶が少しだけ甦った。

音楽面。主題歌は前シリーズ『必殺商売人』と同じ(流れる部分の歌詞が1番2番で違うとのこと)。ゆえに、殺しの場面でかかるBGMもこれをアレンジしたもので前シリーズと一緒。さらにオープニングの口上のBGMも、タイトル・サブタイトルが出る際の短いBGMも同じ。オープニングの口上は、吉田日出子でこれは前シリーズとは違う、もちろんそこでの文句も。
最後の主題歌が流れるタイミング、他の必殺では、サブタイトルと「終わり」が出て後、イントロが流れるが、このシリーズでは本編の最後の場面(からくり人たちの旅の道中)でイントロが流れ始める。

以下の各話感想でも触れているが、この北斎の絵の中に殺しの依頼を書き込むという設定。自分なりに解釈すると、永寿堂が売れている広重の絵のからくりを北斎に教え、北斎にもそれをやってみよとの依頼により、北斎が諸国を巡り、前作の広重の如く絵を描いたということなのだろう。途中で永寿堂が受けた殺しの依頼を広重に伝え絵を描いてからくり人に渡すのではないかというようなことを書いたが、これは違うのだろうと思う

出雲のお艶(演・山田五十鈴)
三味線に刃物が仕込んであり、殺しの場面で三味線を解体するような形でそれを出すというやり方。山田五十鈴の必殺は、「からくり人」と「仕事人」であるが、ほとんどがシンプルに撥で相手を切り裂くというやり方をしているので、異色に思える。が、あまり成功しているとは思えない。
また、今シリーズでは安来節の師匠であるが、この曲がちょっと合わないという気がする。あくまでも他の素晴らしい作品群に比べてであるが。
三味線を奏で殺しの現場に現われ、殺した後、再び三味を構え弾きだすというのも、今作品以外でもよく見られるが、前記の殺し方のせいで、動作が少し大きくなりちょっとだけ違和感がある。
唐十郎(演・沖雅也)
髷を結っているが、月代は剃っていない。第4話では回想場面で月代を剃った町人姿、第5話では、武士に変装するため、武士の丁髷姿を披露
殺し方は刃物を首筋に刺すという形だが、釣竿のように長く伸びるようにもなっていて、遠くの敵を殺したりもする。また普通の殺陣のように斬り合いもする。一回で何人も殺す回も多い。
第1話で、その長い竿のようにして遠くの敵を殺し、その男が倒れたのをさらに奥にいた敵が気付き、唐十郎の方を向き、二人が対決という場面があるのだが、そこでそこに割って入り敵に向かっていき、一刀の下に斬られる男がいるのだが、あれは誰なんだろう。からくり人側の人間ではあるわけないし。
うさぎ(演・高橋洋子(第4話まで)、真行寺君枝(第5話以降))
最初の方では火のついた円盤を投げて相手を威嚇するという技を披露しており、そのためか火の扱いが得意ということなのだろう、北斎の絵を火であぶる際もうさぎが火を担当していたが、真行寺君枝になってからその設定はなくなったようだ
虫の鈴平(演・江戸家小猫(後の四代目・江戸家猫八 )
彼の得意芸を生かした設定は随所に見られるが、あまり活躍していたとは言いがたいか。
宇蔵(演・芦屋雁之助)
雁之助は前作のからくり人から続投。殺し方はアニメーションが入れられる荒唐無稽なもの。

第1話 「江戸 日本橋」
脚本が早坂暁、監督が黒木和男。黒木は必殺もやっていたとは。
前作(「新 必殺からくり人」)の世界観を継承している。キャストクレジットでは山田五十鈴[は「お艶」となっているが、作中ではもっぱら「太夫」と呼ばれる。彼女は前作を踏まえた役柄。
芦屋雁之助は「宇蔵」。前作で雁之助がやったようなお艶の忠実な手下であるが同一人物であるかどうかはわからない。
キャストクレジットのトップは沖雅也で「唐十郎」
シリーズ発端ということで、北斎とその娘のおえいの出番が長い。次回以降はこの二人は出てこない(ナレーションはおえいの吉田日出子で、話の途中でもナレーションで出てくる)。
北斎とおえいといえば、必殺の映画版でも扱われていたはず。またそれ以外でも出てきてたような気がするが、思い出せない。最近「百日紅」というアニメ映画が話題になっており、そこでおえいもなかなかの才人だったということが描かれているが、このエピソードをどっか別のとこで聞いた気がする。が、それは今シリーズには関係ない話か。
北斎の出番が長いことで、この第1話はからくり人の殺しにいたる話が短くなってしまっている。
また、先に書いた前作を踏まえているという作りのためだけに、北斎にも殺しを示唆した絵を描かせるというちょっと無理のある設定。殺しの依頼は西村永寿堂与八が北斎に殺しの対象を教え描かせているという設定のようだ。
この話以降の場面で「北斎先生の見込みが当たっているようだ」とかいうような台詞があるのだが、永寿堂の依頼通り北斎が描いているなら、北斎の見込みもなにもないと思うが

第2話 「隠田の水車」
清兵ヱ - 堺左千夫
源八郎 - 外山高士
北斎の絵に描きこまれたターゲットのヒントである赤くなる部分は「亀」
そしてストーリーにはいくつもの亀にまつわるものが出てくる。登場人物の「亀吉」、女郎屋の「亀甲屋」、亀の刺青をした男、そして商人に村の女を差し出すときの遊びでは亀が使われる。
これらのなにを指して北斎が描いたのだろうか

第3話 「駿州片倉茶園ノ不二」
玉木千阿弥- 大木実
土井玄蕃- 堀雄二
雪絵 - 佐藤万理
溝口兵江 - 高峰圭二
小松仙之助 - 大竹修造
琴路- 吉本真由美
片倉屋- 西山辰夫
茶壷道中(幕府に茶を運ぶ)の折、小島藩に立ち寄った将軍家茶道師範の千阿弥と賄賂を渡して地元の茶を幕府に公認の御飲料(「ごいんりょう」と発音されていた、どういう字があたるのかわからない)にしてもらおうとする小島藩の話。
小島藩の家老・土井玄蕃に娘を夜伽に差し出せなど千阿弥が無理難題を吹っかけながらも、頼みは一切聞かないという悪役。小島藩では不満がたまるが、玄蕃は殿にも家来にも我慢するように言う。
そして、その玄蕃は千阿弥をからくり人が狙ってることをかぎつけ、いつか始末してくれることを願う。
それがなされたことを報告されたとき、玄蕃は殿に向かってそのことを知っていたと言い、その場にいた千阿弥との間を取り次いでいた片倉屋を刺し殺し、自害する。
なかなか良い出来。
玄蕃とからくり人の絡みは、外で安来節をやっているお艶一行の元を訪れ、見物料の投げ銭を渡す場面、そしてその夜、娘・琴路の一周忌の墓前での場面(ここで何が起きたのかが語られ、回想場面となる)。
見ている最中、家臣はからくり人の存在を思いがけず知ったのかと思ったが、あとから思いなおすと依頼人が家臣なのかもしれん。
前作・「新 必殺からくり人」は広重が見聞してきた酷い出来事の始末をからくり人に頼むという形式だが、今作では元締が(仕事を受けて)、それを北斎に指示し絵を描かせて、それをからくり人の指令書にしているのだから。
と思って見直したが、そういう風に示唆されてる演出はないようだ。

第4話 「神奈川沖浪裏」
お静- 三浦真弓
上総屋 - 御木本伸介
魚辰- 谷口完
魚甚- 汐路章
丑松 - 黒部進
寅太 - 大林丈史
亥之助 - 内田勝正
魚辰と魚甚の抗争は放ったらかしなのはもったいない。良い話にできそうなのに。
一番鰹をめぐる魚卸屋の暗躍。そして唐十郎の過去の因縁が語られる。その回想場面が長いため、物語での現代(つまりからくり人たちが活動している時代)の描き方が短いためちょっと消化不良

第5話 「本所立川」
隼の俊次 - 花沢徳衛
用心棒 - 阿藤海
阿藤海は気づかなかった。他にも用心棒はいるのだが、阿藤だけ別にキャストクレジットされており、その中では格上なのだろう。
本所、置いてけ堀のかっぱ伝説を踏まえた話。ちょっとオカルトチックだったり、ふざけた調子があったりで前半はイマイチだと思っていたが、後半はなかなか。
今話からうさぎ役が高橋洋子から真行寺君枝へ。ほとんど違和感なし。そこまで目立っていなかったわけでもないが。

第6話 「下目黒」
鷹匠の話。

第7話 「駿州江尻」
政五郎 - 今井健二
今井健二はやくざの親分。
船を作るための図面をめぐる話。

第8話 「甲州犬目峠」
黄金屋幸兵衛- 江幡高志
江幡高志は商家の旦那というお似合いの役からはちょっと外れた役柄。疱瘡の病を偽るという話で、彼と、お艶、宇蔵が顔にボツボツをつけるという気持ち悪い場面あり。
この話は金山にまつわる不正を扱っており、疱瘡の病を偽るというのは、金が出た山一帯を独占するため、その山にある湯治場に病を偽り、強引に入り込み、文句が出たところで、一帯を買わせてくれと頼むという作戦。

第9話 「深川万年橋下」
旗本次男坊たちが作る「雷組(いかずちぐみ)」とやくざの対立。双方から人質を出して話し合いの機会を探ろうとするのだが、その人質はお取り潰しになり再興を願う武家が商売として、双方に出していた
なかなか良い出来だと思う。

第10話 「隅田川関屋の里」
新助- 住吉道博
住吉道博は助け人に出ていた住吉正博と同一人物
将軍家のお召し馬をめぐる話

第11話 「甲州三坂の水面」
富蔵- 三遊亭円之助
逆さ富士が題材。姥捨て山のような話。話の展開としては、その姥捨て山のような口減らしのための村のやり方が最初に紹介され、これじゃあ誰が悪いとも言えないし仕事にならないというようなセリフがあり、そこで、でももうちょっと調べれば何か出てくるかもしれないよと、さらに調べると、そこでは年貢で取った米を横流しして私腹を肥やしていたということが出てくるという流れでちょっと都合良すぎとも言えるし、整理されすぎとも言える。
その部分はちょっと疑問だが、出来は良い。
また演出が結構意欲的。暗い映像が続き、また一部では青み掛かった映像が効果的

第12話 「東海道金谷」
おふじ- 今出川西紀
川圧屋- 松山照夫
嘉平 - 梅津栄
大井川が舞台。船留めを恣意的に行い、儲けを企む悪人たちのために宿場町が混乱に陥っているというような話。
必殺のゲスト以外では知らないが、必殺ではかなり印象を残す役をこなしている俳優が何人かいるが、その最上位に確実に上がってくる二人、今出川西紀と松山照夫がゲスト。今出川西紀はウィキにある「不幸な田舎娘役を得意」とはちょっと違って、十代の娘がいる母親の役。松山照夫はいつもどおりのダミ声で典型的な悪役。
今出川西紀はお艶に食ってかかったり、宇蔵の安来節に合わせて「あら、エッサッサー」とでかい声で掛け声をかけたりと見せ場多し。
「不幸な田舎娘役」だと単発の出演になってしまうと思うが、普通の女の子役でレギュラーやっているのも見てみたいもんだ

第13話 「尾州不二見原」
弥助役で日高久。
十年ぶりに江戸から戻ったおりんはそこで自分の村がなくなっており、母親も許婚もいなくなっていることを知り呆然とする。しかも、顔見知りに聞いても、そんな村のことは知らず自分のことも知らないと言い張り、その村自体がなかったことにされていた。
第1話以来だと思うが元締の永寿堂の名前が出てくる(お艶の手紙にて)

第14話 「凱風快晴」
最終回というのは大抵なかなかの出来なのだが、これはどうにも散漫。
北斎親娘が第1話以来の登場。北斎を殺せという北斎自身の依頼。しかし、これは冗談で、殺されたような芝居をして、自らの葬式をしてしまうことで静かな環境で暮らしたいという願いからきたものだ。
その芝居は成功し、北斎は静かな生活を手に入れたのだが、北斎の本当の死を願う絵の版元と北斎の絵を所有しており値上がりを待っている者たちが結託して北斎を狙うというような筋立て。
ほかにも唐十郎を狙う謎の武芸者が出てきてキャラクターは多彩なのだが、話にまとまりがない感じがする



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