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J・エドガー [映画]

2011 アメリカ C
7/17 NHKBSプレミアム

監督 クリント・イーストウッド
主演 レオナルド・ディカプリオ

ジョン・エドガー・フーヴァーの伝記映画。この人についてまったく知らないので、よくわからない場面がいくつもあった。作りとしては、老年のフーヴァーが伝記本を口述筆記で書き出す場面が最初にあり、そこで語られるのに合わせて若い時代のフーヴァーの様子が活写されるという形式。ではあるのだが、ケネディ大統領の時代の話やキング牧師の話に老年メイクのフーヴァーが出てきて、それは伝記の時点とはかけ離れてるのかと思ってしまった。つまり、若年の時代と老年の第一期と晩年の3つに分かれてるように思えたのだ。見終えてみると、そうではなく、若年の時代と伝記を書いている老年の時代のふたつに分かれているだけ(なのだと思う)。映画の最後の方で、伝記を書き終える場面があり、さらにその後の死の場面まで描かれるので、伝記を書いてる時点からの回想という作りを超えて、伝記を書いている時点というのも、生涯の一場面となっている。形式的に言えばの話である。

スキャンダルな暴露ものである。自分がこの人のことを知らないから確定的なことは言えないが、亡くなった後に暴露的に色々言われた話がまとめられているのであり、ここで始めて暴露されたとかではないのだろうと思う。
マザコン、同性愛、弱みを握って大統領も含む権力者をコントロールする手法など。
主要登場人物は、彼の母、側近2名、1名が副長官・クライド・トルソンで同性愛の相手、もう一人が、女性秘書・ヘレン・ギャンディ。ヘレンはフーヴァーのキャリアの初期ですでに知り合って個人秘書にしている。またトルソンも早い時期からの側近である。
この狭い交友関係の強調も彼の異様さを際立たせている。

ただ、自分はこういうのを見てもそれほど憤慨などせず、まあこんなもんだろうなあと思う。というよりこういう人もいるだろうなあといったところか。権力の遂行というのはそれほど常識的に行われてるとは思えず、多くの人の思惑のぶつかりあいで決まるだろうし、それが権力闘争につながると、初期の目的とはかけ離れた醜悪とも形容されることは常に行われているのだろうと思う。
で、あるのでこれを見て異形のひとだとは思うが、業績にあまり批判的な気持ちはない。常識的な範囲での批判的気持ちはあるけど。

でもこういう人が同時代に自分の社会にいるとなると、やはり感情が先走るだろうなあ。マスコミ先導の衆愚政治という批判もあるのでいくらか冷静な風にも見えるが。でもこれだって権力闘争で結局はそういうスキャンダルを煽る側と冷静にと呼びかける側との妥協みたいなもので世間の空気というのは決まる。

ウィキより--
フーヴァーのセクシュアリティ

本作はフーヴァーとトルソンの間にあったとされる同性愛関係が描かれるのかという点において注目を呼んだ。『ウォールストリート・ジャーナル』のインタビューで「フーヴァーが異性装者で、そしておそらくクローゼット・ホモセクシュアルであったとする元FBI職員の報告を取り上げるのか」を訊かれたイーストウッドは、脚本は「そういう方向ではなかった」と否定めいた回答をした[2]。これに対し、脚本を執筆したブラックはLGBT関連サイトAfterElton.comで脚本が「ゲイ色を排除した」とする見解を全面的に否定した。「J・エドガーのような人物を映画に描くとき、その人物の衷心にあるものを読み取ろうとしないなどということは、私の脚本にはありえない」。またブラックは、イーストウッドが異性装に関してのみ映画で描くことを否定したのを、インタビュアーが同性愛についても同様であると勘違いした可能性を示唆した。

2011年7月に公開された『Libertas Film Magazine』の脚本の論評によると、2人の関係は簡素に描かれているという。

事実、劇中の二人の関係は痴話喧嘩のような口論、キスシーン、フーヴァーの詩のほかは、非常に親密な上司と部下のように描かれており、全体に示唆されるにとどまっている。なお、異性装のシーンも1シーンある。一方で、フーヴァーがのちに個人秘書になる女性に性急なプロポーズをするシーンや、交際のあった女優との結婚を考えていたことも描写されている。
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この部分はなかなか興味深い。「異性装のシーンも1シーンある」というのはどこのことかと色々検索してみて見つけた。母親が死んで母親の服をまとう場面のことだそうだ。自分としてはこれだと女装趣味ということは全然気付かなかったが、知ってる人にはわかるのだろう。こうすれば映画で彼の女装趣味について全然取り上げなかったという風にはならないし、スキャンダルに取り上げることは避けてるといううまいやり方だ。
そう、この映画はこの人物についてある程度知ってる米国民向けに作られてるということもあるだろう。多くのエピソードが出てくるが、これも知ってる人から見るとちゃんとわかるのだろう。

一番の盛り上がりはフーヴァーとトルソンの喧嘩の場面。フーヴァーが女性と結婚を考えていることを打ち明けることから取っ組み合いとなり、そして最後にはキスでそれが納まるという展開。コントでありそうな場面だ。
ラストのフーヴァーの生白い死体の場面も結構なインパクト。
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