SSブログ

談志の迷宮志ん朝の闇 [読書]

談志の迷宮志ん朝の闇 立川末広 夏目書房 2004.1.25
タイトルから談志志ん朝についての論考かと思ったが、想像してたよりは他の落語家への言及も多くあり、落語に関するエッセイ集といった趣き。
「文七元結」「富久」・・・と落語の演題が各編のタイトルとなっており、その演題に関する小論となっている。
この本を最初図書館で見つけ冒頭の「文七元結」最後に収められている「芝浜」と読んだが、両方とも談志について多く言及されており、それも後期談志の論に沿った感じの書きぶりから、私の感性に合う部分と、合いすぎるが故に「単なる談志ファンの戯言」で読むに価せずという感覚とがないまぜになったが、気になったので図書館で借りてきた。
割と談志の後期に関する言及が多いが、著者の落語観覧歴は相当なもので文楽を見たとか、かなり早い時期の談志志ん朝を見たとか、最初に見たのは昔々亭桃太郎(金語楼の弟)の垂乳根だとか書かれている。
著者の名前はペンネームであり、立川流発足よりは前につけられたものではあるが、談志への憧れからつけたもの、下の名前は8月8日生まれというところから、また「末広亭」もあるし、といった感じでつけられたものだそうだ。ただ談志と面識はないっぽい。
楽しく読めたもののあまり得るところはなかったかなとは思うものの、一点初めて知ったことがある。「黄金餅」の章で志ん生の「黄金餅」について書かれており、志ん生以前の速記録でもほぼ志ん生と同じような形であり、あの「言い立て」の部分もすでに存在するということは初めて知った。この作品は円朝作であることは知っていたが、そこからどのように継承されていたかは私の間では長年謎であった。志ん生があのような形に仕上げたと思っていた。著者も同様のことを書いている。あの言い立ての部分も前からあったとは(言い終えた後の「私もくたびれた」というのは志ん生オリジナルのようだ)。ちなみに、その志ん生以前というのは残されてるものの最も古い口演速記、大正2年の橘家円蔵(四代目)との比較である。
志ん朝について多く書かれている項は、「鰻の幇間」であのニュースステーションでの久米宏との対談の思い出が、「化け物使い」で名演についてが書かれている。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0